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レーダー照射問題、「千載一遇の好機」を逃したかもしれない「強い意向」(ハーバー・ビジネス・オンライン)
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/486.html
投稿者 赤かぶ 日時 2019 年 1 月 21 日 06:00:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

レーダー照射問題、「千載一遇の好機」を逃したかもしれない「強い意向」
https://hbol.jp/183410
2019.01.15 牧田寛 ハーバー・ビジネス・オンライン


防衛省公開動画より

 過去2回にわたり、韓国駆逐艦広開土大王による海自哨戒機への電波照射インシデントについての検証を行ってきました。今回はあのインシデントが持っていた「意味」について考えてみたいと思います。

日本側にとって「好機」だったはずのインシデント

 昨年の暮、引っ越しの段取りが狂って右往左往していた最中に韓国駆逐艦広開土大王が、海自の哨戒機に電探照射したという報道が目に入りました。  当初私が抱いたのは、「あぁ、また優秀世界無比を誇る海自のP-3Cが公海上でしつこくし〜〜〜〜〜つこく低空飛行して、たまりかねた外国艦艇から仕返しされたな。しかし、イルミネーターや射撃電探とは穏やかでない。明らかに当該国の交戦規定(ROE)違反で、艦長か火器管制士官は重営倉入りか予備役送り、最悪、不名誉除隊だな。外交上は、貸しをいっぱい作る千載一遇の好機だ」という感想でした。

 制度上、何重にもインターロックがかかっていても、現地の指揮官が意図的にROEを破れば破れないことはないわけで、その具体例は満州事変でしょう。フィクションの世界では「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」が代表と言えます。(私は、劇中のストレンジラヴ博士を師と仰いでいます。)

 過去、前線指揮官の暴走や兵士の激発により戦端が開かれて泥沼化し、多大な犠牲を生じた紛争や戦争は数多くあり、それが故にROEなどが整備され、外交やそれ以前の実務者協議という紛争解決手段を整えてきたのは人類の英知と言えます。冷戦時代、偶発核戦争の恐怖は大変に大きなものでそれが故に米ソ間には、国家元首間のホットラインまで整備されてきています。

 今回は、友好国である韓国海軍が相手ですので、射撃電探照射なら実務者協議でケリを付け、国会の委員会報告で文民統制の形式を整えれば終わり。イルミネーター照射なら、外交案件として、韓国政府より遺憾の意を取り付け、再発防止のための日韓委員会を作ることで終わりと考えておりました。韓国は陸軍国ですが、広開土大王の就役以降、外洋海軍化を進めており、日韓海軍の調整組織を作る必要がそろそろ出てきていると思われますので、日本主導で事を運ぶ千載一遇の好機だったと言えます。  いくら海自のP-3C(実際は最新鋭機P-1、当然クルーも世界超一流)がしつこくブンブン低空接触飛行したとしても、射撃電探照射は行き過ぎで、イルミネーター照射に至っては、絶対にやってはいけないことです。イルミネーター照射まですれば、P-3C(実際にはP-1)がほうほうの体で逃げ去った後、築城基地からF-2(世界最強と言っても良い対艦攻撃機)が大挙して押し寄せて、韓国艦船が逃げ出すまで回りをグルグル飛行したかもしれません。

 防衛省は、実務者協議で最近ギクシャクしている韓国に貸しを作る絶好のチャンス、外務省も同様に千載一遇の好機です。これは韓国海軍からのビッグなクリスマスプレゼントかお歳暮であって、最大限活かすのが官僚の仕事だとワクワクしながらことの推移を見守っていました。

「イルミネーター」照射はなぜ重大なのか?

 ここで、射撃統制電探やイルミネーターなど、馴染みのない言葉が並び、報道もそれによって混乱していますので、簡単に解説します。

 艦船用の電探は、航海用電探、対水上見張り電探、対空見張り電探、三次元電探、射撃管制電探、イルミネーターにおおきく分けられます。対水上見張り電探、対空見張り電探は三次元電探で兼ねることもあります。

 本稿では、広開土大王が搭載している航海用電探と対空捜索用二次元電探、三次元電探、射撃管制(統制)電探、イルミネーターについて簡単に説明します。

1)航海用電探

 ごく一般に見られるプレジャーボートから漁船、商船、軍艦などで水上見張りに広く使われる電探。広開土大王には、デウ社SPS-95Kが搭載されている。広い範囲をある程度の遠距離まで検知できる。対象は船や陸地。Cバンド、Sバンド、Xバンド、Kバンドなど(*1)、製品によって周波数帯域は異なっている。

 SPS-95Kは、Cバンド(4~8GHz)で探知距離250km、ビーム幅は横1.5°。Cバンドを利用すると、イルミネーターや射撃電探に使われるXバンドと干渉しない。ただし、Cバンドは対空見張り電探などで混み合っている場合が多い。(参照:“Daewoo SPS-95K” Radar Basics

2)対空捜索用二次元電探

 広開土大王が搭載しているのはレイセオン社のAN/SPS-49。遠距離の対空捜索用電探。Lバンド(0.5~1.5GHz)を使用し、周波数がやや低いために長距離捜索に好適。探知距離は1~460kmであり、方位と距離がわかるが、角度(高度)はわからない。対水上捜索にも使える。ビーム幅は、横3.3°、縦11°。


photo by Peripitus via Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

3)三次元電探

 かつて対空電探は、捜索用の二次元電探で方位と距離を、高角測定電探で高度を測定していたが、これらを統合したものが三次元電探

 広開土大王が搭載しているのは、タレス・ネーデルランド社のMW-08で、Cバンド(4~8GHz)を使用している。探知距離は、27kmと短いが、マッハ4までの航空機を追跡でき、二目標への対水上射撃指揮も可能*。従って韓国国防部は、MW-08も射撃管制電探(射撃統制電探)としている(参照:*合衆国国防技術センター(DTIC)のドキュメント)。ビーム幅は、横2°、縦12°。


photo by U.S. Navy (public domain)

4)射撃管制電探(韓国国防部は射撃統制電探と呼称)

 砲やミサイルの照準を合わせるための電探。一般に高い周波数の電波を使い、比較的近距離の対象を精密に測定、追尾する。広開土大王が搭載しているのは、タレス・ネーデルランド社のSTIR-180(※2)で、Xバンド(8~12GHz)とKバンド(18~26GHz)を使用している。電波を二波使うのは、シークラッター(波による鏡面反射)による虚像やノイズを除去するため。高い周波数の電波をピンポイントで照射するため、指向性の高いパラボラアンテナを用いる。結果、ビーム幅はXバンドで1.4°、Kバンドで0.3°とたいへんに鋭い。この電探で照射するということは交戦意志を示すことになるので、使用はROEにより制限されている。


STIR-180 収束性の高いパラボラアンテナをつかっている。 photo by 玄史生 via wikimedia comons (CC BY-SA 3.0)

5)イルミネーター(韓国国防部は、射撃追跡電探と呼称)

 スタンダードミサイル(SM-1,SM-2)やシー・スパローなどの艦対空ミサイルで多く採用されているセミアクティブ・ホーミングミサイルの誘導用電波投影機。目標に向けて強力な電波(連続波:CW)を精密・追尾照射し、目標から反射した電波を目指してミサイルが飛翔する。母艦に強力な電波照射と追尾を任せるので、ミサイルのシーカー(目標探索装置)を小型化できる。

 目標は、強力な連続波で電波を浴びせられるので、イルミネーターによる照射は特徴的に検知し得る。広開土大王は、イルミネーターを射撃統制電探であるSTIR-180で兼用している。

 イルミネーターによる照射は、ミサイルの発射を意味するので極めて危険であり、被照射機はあらゆる手段を使って妨害、逃走を試みることになる。具体的にはECMや機体の限界いっぱいの激しい機動、全速離脱。  イルミネーターによる照射は、極めて強い交戦意思を示すことになり、使用はROEにより厳しく制限されている。

※1:XバンドやCバンドのようにマイクロ波の周波数帯はアルファベットで分類されるが、歴史的経緯から3種類の分類法があり、現在はIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)によるものとEU/NATOによるものが併存している。困ったことに、同じアルファベットで異なる周波数帯を示すことがあるため、たいへんに混乱しやすい。(参照:“電波の周波数による分類 – Wikipedia”

※2:STIRシステムは、EOTSという光学システムも搭載している。タレス社のSTIR 1.2 EO Mk2のカタログをみると、3基の光学カメラが設置されていることが分かる。説明によるとカラーズームカメラ、赤外線カメラ、白黒カメラ、レーザー測距儀が搭載されている。

広開土大王は、STIR-180から電波発射したのか?

 日韓間の争点の核心は、この広開土大王は、STIR-180から電波発射したのか?に尽きます。韓国側は、STIR-180をEOTS(光学モード)で使っていたが、電波は一切放射していないと主張しています。日本側は、射撃管制電探に特徴的な電波を照射されたと主張していますが、どの電探からの電波か、イルミネーターであったか否かを一切明らかにしていません。不思議なことに、日本政府からは公式にこれらの点について全く言及されていません。

 日韓両国ともに軍事機密(防衛機密)にあたる電波情報を外交の場で開示することは考えられず、日本側が安倍晋三氏の個人的意向で本件事態を外交問題化した時点で真相究明はほぼ不可能となっています。従って、外交の場では水掛け論層が続くと思われます。

 広開土大王でXバンドKバンドを放射するのはSTIR-180のみですので、P-1の誤探知でなく且つP-1が受信した「FC系レーダー波」がXバンドであった場合は韓国側がSTIR-180から電波放射したことになります。ところが、現場にはもう一隻韓国船艇が居ました。参峰号です。

 参峰号の電探は、軍用のSHARPEYE(ケルヴィン・ヒューズ社)です。使用周波数帯はXバンドとSバンドで、Xバンド放射源が参峰号にもあります。(参照:SHARPEYE/ケルヴィン・ヒューズ社

 もちろん、同じXバンドと言っても周波数など電波特性は異なる可能性がきわめて高く(一致するほうがおかしい)、P-1がその程度の誤判断をするかというと、かなり疑問があります。しかし一方で、P-1の電子支援装置(ESM)がどの程度の精度で自動化されているか、旧西側圏の欧州製電波兵装の情報をどの程度保有しているかもわかりません。クルーの練度も関わります。これらは、P-1の命とも言える機密であって、漏洩することは国益をおおきく損なうこととなります。

 一方で、かつて合衆国海軍が起こした大不祥事、イラン航空655便撃墜事件という電波情報解析の誤りから民間航空機(エアバスA300 290人)を撃墜し、全員を殺害したという事例が示すように、電子戦における識別は難しいものです。この事件では合衆国海軍イージス艦ヴィンセンスが、イラン空軍F-14(もちろん合衆国製)の敵味方識別信号(IFF)と、A-300の電波高度計の信号を誤認し、僚艦2隻は誤認を認識していたのにもかかわらず迎撃を抑止できぬまま撃破してしまいました。この事件は、電子情報(電波情報)の取り扱い、警告の無線が通じないなど今回の日韓軍事的インシデントへの示唆に富んでいます。

 いずれにせよ本来、日韓実務者協議の場で密室での情報交換によって決着をつけられるはずであった射撃管制電探照射問題は、安倍晋三氏の個人的意向による映像公開とそれによる外交問題化によって真相究明の糸は切られてしまっています。これは日本側の大変な失態と言えます。まさに、外交上の一大好機を台無しにしてしまったと言えます。

 今後、韓国側との実務者協議を再開できても、当初見込んだ外交上の優位性はすっかり消し飛んでしまっています。誠に残念なことです。私は、日本側映像を見、その公開理由が官邸の強い意向であったという報道を見たとき、何という外交下手かと嘆きました。外交上の大失態です。  今回は、日韓の軍事的インシデントにおいて得られた教訓まで言及する予定でしたが、長くなりましたので第4回で取り上げることとします。

【前回までの記事の訂正】

 第二回の日本側映像の検討で、二箇所訂正があります。  広開土大王級に搭載のシー・スパロー艦対空ミサイルは、自律飛行できないもので、終末誘導まで母艦からのイルミネーター照射が必要です。(自機のシーカーでアクティブホーミングはできないようです。)

 広開土大王と参峰号の間に居た被救助船とゴムボートが映像では途中から居なくなっている記述しましたが、読者の方から映っているとご指摘がありました。40インチ全画面に拡大して映像を確認したところ、映像の中頃まで参峰号の近くに小型船が存在していることが確認できました。映像の後半では、P-1は8キロまで退避していたために参峰号、広開土大王ともに映っておりません。

『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』番外編――広開土大王射撃電探照射事件について3



<取材・文・撮影/牧田寛 Twitter ID:@BB45_Colorado> まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中












































 

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コメント
1. 2019年1月21日 07:38:37 : CzYJx39lTc : FaXl5LfuFC0[1329] 報告

コメント紹介>

この事件が始めに報道された時、防衛省は「影像公開」に消極的だった。

しかし、安倍が「影像公開」を指示したため、防衛省は公開に方針変更した。

安倍の「素人外交」「韓国に喧嘩を売る」行為は明らかだ。

2. 2019年1月21日 19:14:13 : ru3mGWOizM : dn@i2vTN86Q[80] 報告
ありゃしない 嘘で固めた 好機など

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