| 『小沢一郎の権力論 全て語る!』小塚かおる著 朝日新書刊 2017年12月30日 第1発行
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 (文字書き起こし)
 ◆第2章 あの「政権交代」の真相 ■野党に必要なのは、いかに自分を捨てるか(P.84〜86) 野党の足並みが乱れたら戦は勝てない。そのことは2017年の衆院選で政治家も国民もよく分かったと思う。
 やはり、野党再編、野党結集を実現するしか、政権交代はできないんだ。 僕がずっと前から言ってるのは、選挙を1つの届け出政党でやるしかないということ。政権を取るためには1つの政党としてやる以外にないと思う。
 そうすると小選挙区も比例区も単一の運動になるから、みんなで力を合わせ
 て選挙をやれることになる。
 もちろん新しい政党を作るというのがベストだ。しかし。各政党が解散しての新党というのは難しいということになれば、次善の策として「オリーブの木」
 という方法がある。
 ご存知の通り、僕はかねてからイタリアで中道政党と左派政党が連合して選挙に臨んだ例に倣って、日本の野党も「オリーブの木」構想で戦う事を提唱して
 きた。その際、既存の政党とは別に届け出政党を作り、その政党に個人が参加
 するという形で選挙に臨む。そうすれば、必ず勝てる。第一党になれる。個人
 のそのままの政党がそれぞれ選挙に臨んで自公に勝てっこないことは、ここ
 5回の選挙で嫌というほど分かった筈だ。
 ただ、多くの人は「オリーブの木」というと、比例区だけを統一名簿で戦うことを連想するようだ。しかし、それでは十分な効果を発揮することはできない。
 比例区も選挙区も統一名簿で一緒に戦ってこそ、オリーブの木構想の強みが
 発揮される。比例区だけを統一名簿にして、選挙区は候補者調整にとどめると、
 選挙区で自党以外の候補者が出た場合、どうしても選挙区の活動がおざなりに
 なってしまうからだ。人情として、自党の比例区の活動に力を入れてしまうか
 らだ。それでは、本当に野党が結集したことにはならない。
 1つの政党で戦えば、みんなが得をするんだよ。当たり前だ。票が増えるんだから当選者が多くなる。自民党から議席を奪うんだからね。そうじゃないと、
 お互いが骨肉の争いだけしていることになる。それでは国民が野党から離れて
 しまう。
 政党を1つにする必要はない、選挙区調整だけでいいのではないか、という意見があるが、それでは勝てない。絶対に過半数を取ることはできない。別々
 の政党で戦っている限り、自分の党の系統でない候補者につおては本気になっ
 て応援しないと思う。1つになればこそ、初めて一生懸命やるんだ。比例区と
 選挙区の両方が1つにならないと勝てない。統一名簿で比例区も選挙区も戦う。
 届け出政党は1つにしなければならない。
 野党は2017年衆院選の結果を深刻に受け止め、次の選挙に向け一歩も二歩も連携を前進させていかなければならない。それは、党利党略を超えて、現在
 の日本の政治状況において最優先すべき課題だ。
 解散総選挙はいつあるか分からないし、2019年には参院選がある。そこで勝利するためには、比例区も選挙区も、野党は1つの統一体として戦っていく
 必要がある。それができなければ、前回以上の負け方をするだろうと思う。
 そうなると、自公政権がますます勝手な方向に突っ走ることになり、日本には
 議会制民主主義がほぼ永久に定着しなくなってしまう。それはまさに悲劇以外
 の何物でもない。
 同じ轍を踏まないためにも、次の選挙は何としても野党が1つの器をつくって戦うことが絶対条件だ。逆に、そすれば必ず勝利し、政権を取ることができる、
 と僕は信じている。
 (以下省略) ■フランスの例に見る、野党共闘の当たり前(P.88、89) (承前) そもそも民主主義とは、最悪の事態を変えるために、あるいは最悪の事態を阻止するために、よりベターな選択をするということ。よりマシな方を選ぶ
 ための制度と言える。「小異を捨てて大同につく」という言葉があるが、
 これこそ民主主義制度の本質を現した言葉ではないか。
 (中略) それに、メディアは野党ばかりを責めるが、野合というのなら自公政権の方がよっぽど野合じゃないかと思う。
 大きなメディアがケチをつけるために、政策が一致してなきゃダメだ、って細かなことまでゴチャゴチャ言うでしょう。それを言ったら、自民党なんて
 右から左までいて党内で政策が違うし、公明党と自民党の連立だっておかしい。
 それを全部棚に上げて、野党の連携は批判する。野党の連中も、メディアの
 そうした批判にビクビクしてね。
 例えば、集団的自衛権、憲法9条というのは本当に国家の根本の問題だ。それから今でいえば、原発の問題。それらは一致しなきゃおかしいし、自公政権と
 対峙できる国家の基本的な問題でもある。もう1ついえば、官僚支配をやめる、
 中央集権から地方分権。一致しなければいけない基本理念や政策はせいぜいそ
 んなものだよ。
 憲法9条と集団的自衛権はまあ、1つの政策と考えられるから、3つだな。少なくとも3つのイシューで合意できれば、連携は可能。全然問題ない。
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 (引用終わり)
 
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