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記号化された天皇、一体化に利用する「われら」 井上達夫 (朝日新聞)
http://www.asyura2.com/19/senkyo260/msg/384.html
投稿者 肝話窮題 日時 2019 年 5 月 03 日 21:20:35: PfxDcIHABfKGo isyYYouHkeg
 

朝日新聞デジタル 2019年5月3日08時00分
 
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190425000822_comm.jpg
法哲学者の井上達夫さん=東京都文京区、高久潤撮影

 改元後初めての憲法記念日を迎えた。日本国憲法が明記した天皇の地位「象徴」の具体像は、平成を通じて大きく変わった。独自のリベラリズム論を展開してきた法哲学者の井上達夫・東大教授は、天皇に依存し続ける日本の今のあり方にリベラルな理念の欠如が読み取れるという。どういうことなのか。(聞き手 文化くらし報道部兼オピニオン編集部記者・高久潤)

 ――日本国憲法で2度目の天皇の代替わりになりました。
 
 「昭和から平成の時とは大きな違いを感じます。昭和天皇の体調が悪化してから社会に蔓延(まんえん)したのは『自粛』という名の同調圧力です。テレビCMで井上陽水さんの『お元気ですか?』という言葉は口パクにされ、多くの行事も自粛された。天皇の戦争責任に言及した当時の長崎市長本島等さんが後に銃撃されるなど、私は社会が狂気に陥っていると思いました。ですが、今回は穏やかな歓迎ムードが広がっている。死去と生前退位の違いはありますが、天皇の存在の変化もあるでしょう」
 
 「昭和天皇は『人間宣言』以降も象徴になりましたが、やはり戦争の『影』を引きずり続けた。日本国憲法は、天皇の地位が『主権の存する日本国民の総意に基く』と定めます。前天皇はこの憲法の下で即位した初めての天皇です。自らの地位の正統性の根拠である『国民の総意』による支持を日々得る責任が自分にある、というのが彼の信念だったように思います。その自覚ゆえに、国事行為を超え、慰霊の旅などを繰り返した」
 
 「特に強く印象に残っているのはハンセン病患者への慰問です。家族とも切り離された人たちのもとに足を運ぶ。こうした『忘れ去られた』人たちを社会的に包摂しようとした振る舞いの蓄積ゆえに、天皇制への高い支持を可能にし、暗さのない代替わりにつながった」
 
 ――象徴天皇制が多様な人の生を社会に包摂していく。つまり平成を通じてリベラルな社会になっていった、と。
 
 「私はリベラリズムを、『異質な他者との共生』の思想として捉えています。確かに天皇個人はリベラルな考えを重視した人物だったと思います。国旗国歌法が施行された後の2004年の園遊会で、都教育委員(当時)で将棋棋士の米長邦雄氏が『日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事』と言うと、強制にならないように、と答えた。さらに、『国民の総意』により受容されるために、国民と日々直に接し続ける責任を加齢で果たせなくなったと判断すると、保守派の反発に抗して生前退位を求めた。憲法上の天皇の国事行為は明記されていますが、それ以外に踏み込むことはリスクを伴う。政治的な行為・発言は禁じられ、実際に米長氏への発言、生前退位の意思を明らかにした『おことば』には、批判の声も上がった。それでもリスクをとったのはリベラルな考えゆえでしょう」
 
 「ただ天皇個人と天皇制は区別して考えないとならない。私は象徴天皇制を、日本に残った最後の『奴隷制』だと考えます」
 
 ――奴隷制、で…
 
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https://www.asahi.com/articles/ASM4Z4DF2M4ZUCVL00F.html  

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コメント
1. 地下爺[6127] km6Jupbq 2019年5月04日 00:41:42 : EvprcEFGVc : NDJuS292Z1UvRHc=[508] 報告
 ――奴隷制、ですか。

 「民主主義とは『われら人民』による自己統治です。統治者たる『われら人民』を一体化させるシンボル(記号)として、特定の血統をもった天皇・皇族を利用しているのが『象徴天皇制』です。記号化された天皇・皇族は政治権力どころか人権まで剝奪(はくだつ)され、言論の自由・職業選択の自由もない。皇位継承が男性に限られ、女性皇族だけが民間人と結婚したら自動的に皇籍離脱するというのもひどい女性差別で、法の下の平等を定めた憲法14条違反ですが、問題視する声はかつてより小さくなっている。つまり主権者国民が一体化できるための結節点として天皇・皇族が利用され、彼らが『人権なき記号的存在』として扱われることに国民は違和感すらもたないのです」

 「国民主権と天皇制を両立可能とする天皇観自体は新しくはありません。戦後、哲学者の和辻哲郎は国民の文化的な象徴としての天皇こそが日本の伝統だと説いたし、歴史学者津田左右吉はさらに進んで、国民はもはや『天皇の赤子』ではなく、『国家の総てを主宰すべき』国民が天皇・皇室を愛すべき我が子として『懐に抱く』のが『民主政治の本質』だと説き、天皇と国民の主体−客体関係を逆転させました」

 「象徴天皇制は民主主義とは両立します。しかし、特定の血統をもった一族から人権を剥奪し、彼らを『われら国民』のアイデンティティーを確保するための道具として利用し続けるのは、『異質な他者との共生』の思想としてのリベラリズムとは相いれない」

 ――日本国憲法は象徴天皇制を明記しています。憲法はリベラルではないのですか。

 「日本国憲法2条は、天皇の地位を世襲と明記している点でリベラルとは言えませんが、それ以外は、国会が議決した皇室典範の定めによる、としている。つまり皇位継承資格・継承順位や皇籍離脱決定手続き、女性宮家の可否といった問題は立法に委ねられている。皇室典範改正という立法的措置によって、象徴天皇制をリベラルな方向に変えていくことは可能です。右も左も、天皇は『国政に関する権能を有しない』という憲法4条の規定を理由に、天皇の表現の自由や国民と親しく接する自由まで奪い、天皇をロボット化しようとしていますが、表現行為や国民との交流は政治的権能行使とは全く別で、不当な憲法拡大解釈です。この憲法解釈の是正も必要です」

 「しかしこういう問題が、これまで大きな議論になったこともないし、代替わりもなんとなくの歓迎ムードに終始してしまった。『令和』という新元号の意味や印象がどうかなど、象徴天皇制にとって非本質的な問題ばかりがクローズアップされている」

 「天皇・皇族を被差別少数者としてみると、日本社会の排除の構図が浮かび上がります。『在日特権を許さない市民の会』(在特会)による在日韓国・朝鮮人攻撃、沖縄の米軍基地反対闘争に対するバッシングなどの少数者差別は、前天皇の意思に反しているでしょう。過去の日本の植民地支配への反省や、本土に犠牲にされてきた沖縄への思いを前天皇が強くもっていることは周知の事実です。しかし皮肉にも、天皇制は、『われら日本人』を自任する偏狭な集団が、天皇を彼らのアイデンティティーのシンボルとして利用して少数者迫害をすることを促進している。そのために、天皇制が天皇をもその意に反して抑圧し、天皇・皇族の人権をも侵害しているという事実が、ますます不可視化されてしまう」

 「かつて私は異質な他者との共生の思想としてリベラリズムを構想するにあたり、マイノリティーの排除や抑圧の問題に重点を置いていました。平成を通じてとりわけはっきりしたのは、被差別少数者問題だけでなく、多数派内部において、政治的に抗争する諸勢力が、『われら』(味方)と『彼ら』(敵)の二項対立図式に支配され、『政治的立場を異にする他者に対する公正さ』の要請を踏みにじっているという問題です。これは憲法をめぐる議論で深刻に表れています」

 ――具体的にどういうことですか。

 「9条の問題です。リベラリズムにとって、人々が正しい政策をめぐって対立しながら論争するのは、社会が健全である証しです。立憲主義の要請とは、この対立を包容して公正に物事を決定する政治的競争のルールとして憲法を尊重することを意味する。しかし9条をめぐっては政府右派勢力も、護憲派左派勢力も、自己の安全保障政策を『われこそ正しい』と政敵に押しつける手段として9条を歪曲(わいきょく)し、憲法を『政争の具』におとしめている」

 「護憲派は、一切の戦力保有行使を禁じる9条2項の明文に反する自衛隊と日米安保を専守防衛ならOKという。安倍晋三首相改憲案は9条2項を温存しながら自衛隊を明記する、と。これは論理的な矛盾で憲法を自殺させます。一方護憲派は集団的自衛の行使の拡大を安倍政権が解釈改憲で『解禁』したことに、立憲主義を掲げて批判しましたが、個別的自衛権なら自衛隊も日米安保もよいという。解釈改憲していることに変わりがない」

 「この現状は極めて危険です。最小限の戦力統制規範すら憲法に規定できないまま、憲法の外部で、戦力の現実が肥大化している。この現状に護憲派が加担しています。戦力に対する憲法的統制の欠損への危機感がまったくない」

 ――では今考えるべき立憲主義とは、どのようなものですか。

 「立憲主義というなら、護憲・改憲派も、公正な政治的競争のルールに従うべきです。自分たちの政治的な好みによって解釈改憲を繰り返すことは、国民の憲法改正権力を奪って、憲法を改ざんすることを意味する。護憲派は、96条の改正規定にのっとって、専守防衛・個別的自衛権の枠内で自衛戦力を明示的に承認し戦力統制規範を盛り込む『立憲的改憲』案を支持すべきなのです」

 「『異質な他者との共生』というリベラルな理念は、人々が『われら』として集団的に一体化したとき排除しがちな『彼ら』への公正な配慮を求めます。『彼ら』は被差別少数者も『政敵』も含む。天皇制の下で被差別少数者を抑圧する多数派国民と、9条問題で政敵に勝つために憲法を改ざんしあう諸勢力は、いずれも『われら』の『彼ら』に対する不公正な支配欲求に駆られ、リベラルな共生理念を蹂躙(じゅうりん)しています」(聞き手・高久潤)

     ◇

 いのうえ・たつお 1954年生まれ。東京大学教授。著書に『共生の作法』『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』など。『立憲主義という企て』を刊行予定。

2. 地下爺[6128] km6Jupbq 2019年5月04日 00:46:35 : EvprcEFGVc : NDJuS292Z1UvRHc=[509] 報告

  大事な ことだと 思います。

  上皇・美智子さま が 国民の一人一人に 心寄せられたように

  考えなければ ならないことだと思います。

  私は 右翼だから 無くならでいほしいと思いますが

  当事者 の立場になったとき どーなんでしょうかね?!

  あなた できますか?!

3. 2019年5月04日 10:52:46 : SRAAjYso4k : RTdlNUw0TDNlU1k=[3] 報告
代替わり「憲法違反の宗教儀式だ」 天皇制反対の講演会
明治学院大(東京都港区)では、「天皇の代替わりを考える講演会」があり、教職員や学生ら約100人が参加。
西南学院大でも。
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20190501003511.html?ref=yahoo

小森陽一氏は今は明治学院大なのですね。

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