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「わたしたちに問われるのは、他に責任をなすりつけることではなく、自己批判を恐れず、失敗を直視し、一人でも多くの人びとと連帯する道を歩むことではないでしょうか」・・・松本昌次さん、戦後を体現した編集者の豊穣な世界 (朝日新聞社 論座)
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/613.html
投稿者 肝話窮題 日時 2019 年 7 月 02 日 00:00:35: PfxDcIHABfKGo isyYYouHkeg
 

松本昌次さん、戦後を体現した編集者の豊穣な世界

論座 2019年07月01日
中嶋 廣 編集者

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070100006_2.JPEG
編集者・松本昌次さん=2006年

■「ゼロ年代の50冊」の1冊 (本文はhttps://webronza.asahi.com/culture/articles/2019070100006.html?page=1参照。以下抜粋)

 今年1月15日、編集者の松本昌次さんが亡くなった。享年91歳。亡くなって半年近くが経つが、晩年の姿を、著書を通して書いておきたい。ここでは、私が編集をした『わたしの戦後出版史』(トランスビュー、2008年)と、それ以後に出た『戦後編集者雑文抄――追憶の影』(一葉社、2016年)、そして遺稿集、とは言っても松本さんの眼の行き届いた、『いま、言わねば――戦後編集者として』(一葉社、2019年)について書く。

■花田清輝と埴谷雄高の架空対談 (本文はhttps://webronza.asahi.com/culture/articles/2019070100006.html?page=2参照。以下抜粋)

 この『戦後編集者雑文抄』は、おおむね21世紀に書かれた文章を収める。今になってこの本を読めば、編集者・松本昌次さんがいかに多くの優れた人を、結びつけたかを思い知らされて、目くるめく思いがしよう。

 出版界が毎日毎日、新刊を出しながら、実際には荒涼たる風景の中で呆然と佇んでいるとき、松本さんの世界はじつに豊穣なのだ。今世紀に入って、荒涼のなかで、ほとんど何も残らなくなったとき、ただひとり松本さんだけが、小説家や詩人、政治学者や女優を華麗に結びつけた。

■吉本隆明との出会いと別れ (本文はhttps://webronza.asahi.com/culture/articles/2019070100006.html?page=3参照)

■初めて時事ネタを取り上げた「最後の本」

 最後の『いま、言わねば――戦後編集者として』は、松本さんが亡くなった後に出た。そういう意味では遺稿集だが、しかし松本さんから「最後の本」を作りたいという電話が、一葉社の和田悌二と大道万里子宛てにあり、会ってみると、収録予定の原稿はほとんど用意されていた。本の構成や目次から書名、体裁、発行部数、定価、販売方法まで、細かく書かれたメモが渡されている。

 これが齢91歳、亡くなる1か月前のことだ。全盛期、年に40〜50点作るのが当たり前の松本さんとしては、90歳を超えようが、亡くなる1か月前であろうが、本に関することはゆるがせにできなかった。

 「収録原稿は、基本的には二〇一三年から二〇一七年までに『レイバーネット』『ほっととーく』『9条連ニュース』に書かれたものの中から選んでほしいこと、体裁はとにかく簡素に、並製でカバーもオビもつけずに表紙のみにすること、ただし表紙にはルソーの『カーニヴァルの夕べ』を入れたい、ページ数は二百ページ以内におさめること、などなど、あの独特の丁寧なやさしい文字でびっしりと書き込まれていた」。

 この本は、松本さんにとって「最後の本」になることが決まっていた。その最後の本に、初めて時事ネタを取り上げたのである。松本さんは、考えてみれば編集者としては、著者のことなどを取り上げて、それが今現在と切り結んでいても、本の骨格は「追想」のかたちを取っていた。

 それが今度は、『いま、言わねば』と題して、身の回りの時事を正面に据えたのである。現在の天皇制、靖国問題、護憲と反原発、ヘイト・スピーチ、“壁”と村上春樹、トランプ劇場、などなど。松本さんは91歳で出す最後の本で、今まさに問題になっていることに、正面を切って応えたのだ。

 ここでは二つのコラムを取り上げよう。一つは「不都合な過去を帳消しにする安倍首相の演説」である。「安倍晋三首相の米議会演説に、のっけから岸信介祖父が登場したのには驚いた。しかも『民主主義の原則と理想を確信している』元総理大臣としてである」。

 岸信介といえば、戦前は満州国で官僚として頭角を現わし、東条内閣の商工相として積極的な役割を果たした。戦後はA級戦犯の容疑者として拘禁されたが、かろうじて一命を永らえ、総理大臣としてよみがえった。そして1960年の安保条約改定の強行採決を行い、民主主義を踏みにじった。

 しかし安倍首相は、傲岸にもそこを捻じ曲げる。「歴史認識などどこ吹く風の安倍首相にふさわしく、祖父はまるで生まれながらの民主主義者である……」。これは本当に信じられない。首相にふさわしくない人として、マスコミが特筆大書して批判すべきことだ。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070100006_3.jpeg
東京都北区の事務所で=2005年

■こんなふうに死にたい

 けれども、松本さんの真骨頂は、実はもう1本のコラム、「わたしたちに問われていること」にある。そのコラムは、憲法9条を守るために奮闘している、Aさんという女性を巡ってである。Aさんは9条を守る、ある運動体に所属しており、松本さんは大方30年ほど親しくさせていただいている。

 そのAさんがあるとき安倍首相を取り上げて、「インポテンツの男の子」のようだと表現した。これはAさんが、ある政治学者がそういうふうに表現したのを、「我が意を得たり……安倍を語る時これほど的確な表現はない」と書いたのだ。

 松本さんはこれにまったく納得できず、抗議の意味の手紙を出した。「これは相手をメクラ、ツンボといっているのと同じなのです。どんなに我慢できない安倍首相であっても、肉体的欠陥で相手をさげすむ姿勢は、在日朝鮮人にあらん限りのヘイト・スピーチを投げかける連中と、同次元にたつことになります」。

 するとAさんからは、おっしゃる通り、ヘイト・スピーチと同じ次元に立っていた、自戒します、という返事が来た。

 それはいいのだが、その返事にこんなことが書いてあった。「Aさんは、戦後七〇年、戦争に向かう根っこを断絶できるか、かなりのエネルギーがいるとのべて、『結局は選挙に行かなかった人々の無責任な行為のツケを、今、こうむっていると云う事か』と書いているのです」。つまりは、こういうことなのである。本当にAさんは、そういうふうに思っているのだろうか。

 「これは『上から目線』どころか、社会運動者としてのみずからの責任のほかへの転嫁以外の何物でもありません。……自己批判のない運動体は、弱体化するしかありません」。社会正義を押し立てて運動している人たちには、この手の人が大勢いる。

 また別に、М・Tさんは80歳で、八王子駅頭で民主主義の危機を訴えて、ビラ配りをしている。年齢を考えると、これは本当に頭の下がることである。

 しかしそのビラの終わり近くに、M・Tさんはこんなことを書いている。「米軍の事情で天から降ってきたような平和憲法で守られたことが理解できない民度の低い、思考停止族と一緒にすり鉢の底へ行きたくない」(大意)。

 これもさっきの、自分の意見とは異なる人に、責任を押し付けるのと一緒である。「ビラなどに関心を示さない、あるいは『五割の沈黙者』に対し、民度の低い思考停止族とは、よくも言えたものです。……このような傲慢な発言をみとめるわけにはいきません。わたしたちに問われるのは、他に責任をなすりつけることではなく、自己批判を恐れず、失敗を直視し、一人でも多くの人びとと連帯する道を歩むことではないでしょうか」。

 松本昌次さんは、救急車で緊急搬送された後も、死ぬ直前までこの本のゲラを直していたという。私もそんなふうに死にたい、と思う。

*ここで紹介した本は、三省堂書店神保町本店4階で展示・販売しています。

https://webronza.asahi.com/culture/articles/2019070100006.html  

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コメント
1. しんのすけ99[552] grWC8YLMgreCrzk5 2019年7月02日 03:01:18 : A4AvZivHZs : WU95VlVYQVVmdmM=[314] 報告
まったくその通り 責任を他になすりつける 実はこれで復興を早めたのが戦後の日本である

つまり 戦後GHQ が、東京裁判を一般にも公開して 「戦争の責任は彼ら日本の指導者と軍部にある」
したがって 「一般国民には責任はない」 というふうに日本国民の認識をその方向に持っていった
あくまでも 東西冷戦という構図のなかで いかに日本を速やかに復興させるか という観点しかない
あくまでも連合国の都合が最優先したのである

そして 右とか左とか まったく関係なく冷静に客観的に見つめるべきなのです

◆ 結論から言うとあの戦争 誰のせいでもない 日本国民ひとりひとりが戦犯であり戦争責任を負うのである

戦争経験世代が ほとんど鬼籍に入って いなくなってしまう今こそ あの戦争を正確に反省して教訓を求めるべき
岐路に立っているとも言えるのです。

2. 2019年7月02日 04:44:11 : NUsKEcJgBE : WXFHNUl5QUZlNlk=[1] 報告
>1
まだいたのか、ゆだのすけ666
3. スポンのポン[11660] g1iDfIOTgsyDfIOT 2019年7月02日 07:36:19 : XdUfstgVAw : RTJPWTdMWVh0Y1E=[204] 報告
 
 
>>1. しんのすけ99

>◆ 結論から言うとあの戦争 誰のせいでもない
 日本国民ひとりひとりが戦犯であり戦争責任を負うのである

■結論から言うと

 あなたは頭がおかしい。
 
 
 

4. 2019年7月02日 08:41:22 : WtFfHHczJG : cnZCbmtEZkxNQmM=[15] 報告
>> 『いま、言わねば』...現在の天皇制、靖国問題、護憲と反原発、
>> ヘイト・スピーチ、“壁”と村上春樹、トランプ劇場、などなど

なんでテレビ新聞などマスコミ報道の『いま、言わねば』ならない
喫緊の問題を取り上げなかったんだろうか?

なんかこれこそ「他に責任をなすりつける」ことを
してないか?

5. しんのすけ99[553] grWC8YLMgreCrzk5 2019年7月02日 12:59:08 : A4AvZivHZs : WU95VlVYQVVmdmM=[315] 報告
国民すべてが戦犯 根拠その一

満州事変

中国人の仕業に見せかけて自作自演のテロを起こし 関東軍がそれに乗じて満州全土を武力制圧した事件
実はこれ 中央政府も昭和天皇すらも知らなかった事で、関東軍参謀 石原莞爾と板垣征四郎が中心となり
勝手に軍を出動させ武力発動 朝鮮駐留軍の越境しての加勢も、当時最新鋭兵器であったはずの飛行機中隊も
すべて独断で軍を動かしている 言うなれば完全に 統帥権干犯として厳正に処罰されるのが当たり前だが
ここが石原莞爾の頭が切れる所で、勝手なる武力発動に 新聞マスコミの取材班を同行させて報道をうながし
日本国民から 直接 支持を集めるという手段に出た だから 勝手な武力発動に対して何一つお咎めなし
それどころか後に石原莞爾は、陸軍参謀本部という文字通り帝国陸軍の中枢へ 栄転を果たしているという

自作自演の謀略 満州事変を支持したのは 国民である

さらに この満州国建国が 中国の訴えにより 「国際法違反の侵略行為」 という処断を 42対1という
圧倒的大差で 非難決議をれたのを不服として 国際連盟に 脱退状を叩き付けた、それが松岡洋右外相なのだが
国民に罵声を浴びる覚悟を決めて帰国した松岡を待っていたのは、横浜港に10万人とも言われる大群衆が
押し寄せて、万雷の拍手と 万歳三唱で迎えたという事実である

ここから 松岡は 大衆迎合のパフォーマンス男となり この後 「昭和天皇がもっとも忌み嫌った男」 と
呼ばれるようになるのだが のちのA級戦犯 松岡洋右を 勘違いさせたのも 国民自身なのである。

6. 2019年7月02日 19:39:49 : D0QUl32qUN : OWczZmhIbUhDL3c=[921] 報告
直せるか 他人の振り見て 我が振りを
7. しんのすけ99[554] grWC8YLMgreCrzk5 2019年7月03日 02:59:36 : A4AvZivHZs : WU95VlVYQVVmdmM=[316] 報告
国民すべてが戦犯 根拠その二

5.15事件

有名な軍部によるテロおよびクーデターは、この5.15や2.26ではあるが 未遂に終わったものまで含め
こういった事件は 実は無数にあった そしてこういう事件こそが軍部が政治に対して使う 「脅し」 となった

海軍若手将校が中心となって 時の指導者 犬養毅首相を始めとする政府要人を殺害した 軍部のテロであるが
これで身柄を拘束された首謀者達は、普通ならば極刑にされるのが当然なのだが なんと微罪で終わっているのだ

その理由は 国民から山のように出された 「助命嘆願書」  国家の行く末を案じての行動だから
極刑にだけはしないでくれと なんと 自分の指を切り落として送り付けた人間までいるという
その原因は 首謀者達に同情的な論陣を張った 新聞マスコミによる影響が絶大だった訳ですが
この 「5.15が微罪に終わった」 という事実こそが 後の最悪のテロ 2.26事件へと繋がっていくのです

◆ つまり 国家に反逆して人を殺しても そこに大義が在るならば 微罪で済む という事 ◆

こう言う認識が芽生えた事で、後の最悪のテロ2.26事件へと繋がっていき そしてそれらのテロ事件が
政府や政党政治の者たちに対する 「軍部による脅し」 として使われるようになり 政党政治はその発言力を
急速に無くしていくのであった

「軍部の暴走」 これを支持したのも 国民そのものだったのです

ちなみに 後の2.26事件に於いては 5.15の反省からか 逆の意味での報道管制が敷かれて
首謀者達は あくまでも天皇に対する反逆であると 報道を規制した結果 今度は国民からの嘆願署名は起らず
首謀者達はみな極刑(銃殺刑)に処せられているが このテロを良い事に陸軍の統制派たちは
事あるごとに政府や政党政治へ 脅しを掛けるようになった訳である

そして日本は 戦争の道へ まっしぐらと相成る訳である。

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