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「表現の不自由展・その後」中止問題を巡る全国紙・地方紙社説 第3集(地方紙続編)
http://www.asyura2.com/19/senkyo264/msg/392.html
投稿者 肝話窮題 日時 2019 年 8 月 12 日 02:16:47: PfxDcIHABfKGo isyYYouHkeg
 

 
(2019年8月5日付 其の壱)
少女像展示中止/悪い前例にならないか

 日本社会の表現の自由度を示しているかのようだ。

 愛知県で開催中の国際芸術祭で、従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」などを展示する企画展が、開幕から3日で打ち切られた。

 会場の愛知県立美術館などに暴力やテロを思わせる抗議が相次ぎ、安全に配慮する必要に迫られた。
 実行委会長の大村秀章愛知県知事は記者会見で「『撤去しなければガソリン携行缶を持ってお邪魔する』というファクスもあった」と話した。

 実際に会場に足を運んでみると、入場制限が行われるほど観客が訪れていた。少女像には賛否両論あるが、展示が多くの人の関心を集めたのは事実だ。

 それだけに、暴力を示唆する抗議で中止に追い込まれたのは極めて残念だ。悪い前例になりかねない。強く懸念する。

 中止になった「表現の不自由展・その後」は、国内の美術館やイベントで撤去や展示不許可になった作品を展示することで、「表現の自由」について深く議論してもらう狙いがあった。

 芸術祭の芸術監督でジャーナリストの津田大介氏は「作品への賛否を示すものではない」として、展示には過去の経緯や作者の意図などの説明を付していた。

 ところが、撤去を要求する電話やメールが8月1日からの2日間だけで1400件以上あった。職員に執ように絡み名前を聞き出すといった電話もあり、継続は困難と判断したという。

 観客やスタッフを危険にさらさない、という判断は理解できる。しかし電話をした人の中に、会場で展示を見た人がどれほどいたのだろうか。ネットを通じて不正確で断片的な情報が広がったのが、実際ではないか。

 展示を見ていない人の声で、これから見学しようという人たちの知る権利や学ぶ権利が奪われた、ともいえる。

 河村たかし名古屋市長や菅義偉官房長官の対応にも疑問が残る。

 河村氏は「行政の立場を超えた展示」として中止を大村知事に求めた。菅氏は補助金交付を慎重にする考えを示した。

 両氏に従えば、憲法が禁じる検閲になりかねない。そもそも、政府や行政のトップは憲法を守る立場から脅迫的な抗議に苦言を呈すべきではなかったか。

 京都アニメーション放火殺人事件を示唆するファクスなどは、極めて不謹慎な脅迫だ。警察は厳しく取り締まってほしい。

京都新聞 2019/8/5
https://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20190805_4.html

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(2019年8月5日付 其の弐)
[愛知芸術祭 企画展中止]脅迫こそ批判すべきだ

 憲法が保障する表現の自由に不寛容な現在の日本の空気を映し出すことになった。

 愛知県で1日から始まった国内最大規模の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会は、企画展「表現の不自由展・その後」を中止すると発表した。

 企画展では元「従軍慰安婦」を象徴した「平和の少女像」や昭和天皇とみられる人物、憲法9条をテーマにした俳句など国内の美術館などで撤去されたりした作品群を展示。表現の自由を巡る現状を考え、議論のきっかけにしようというのが趣旨だ。

 2017年にうるま市で開かれたイベントで、米軍機墜落事故をモチーフにし、一時非公開になった「落米のおそれあり」も含まれていた。

 開幕から2日間で抗議の電話やメールは計約1400件に上ったという。主催する実行委会長の大村秀章愛知県知事は「テロや脅迫ともとれる抗議があり、安全な運営が危ぶまれる状況だ」と説明。「ガソリン携行缶を持って(会場の)美術館に行く」と、京都アニメーション放火殺人事件を連想させる内容のファクスも届いたという。

 抗議の半数が平和の少女像に関するもので、泥沼化に陥っている日韓関係が影響しているとみられる。

 表現の自由は民主主義を支える基盤だ。意見の違いを尊重し合うのが民主主義社会のあるべき姿である。

 暴力的な言葉を投げつけ、企画展を中止に追い込むのは卑劣極まりない。とうてい許されるものではない。

    ■    ■

 自由な表現活動を抗議や脅迫から守るのが本来の行政や政治家の責務である。

 逆に会長代行の河村たかし名古屋市長は企画展の視察後、大村知事に抗議文を出し、少女像などの展示中止を求めた。政治的圧力である。

 芸術祭は文化庁の補助事業で、菅義偉官房長官は慎重に判断する考えを示した。憲法の「検閲は、これをしてはならない」に反しかねない。菅氏はテロ予告や抗議に対してこそ強く批判すべきである。

 芸術祭の芸術監督でジャーナリストの津田大介さんが話すように、行政は「表現の現在を問う」という趣旨を認めたものだ。内容に介入するのは好ましくないとの大村知事の立場は当然である。

 津田さんは「物議をあえて醸す」と言っており、抗議は予想できたはずだ。警察に依頼するなど万全な対策をした上で、大村知事も毅然(きぜん)と対応すべきだったのではないか。

    ■    ■

 「表現の不自由展・その後」は15年に東京で開かれた小規模な展覧会「表現の不自由展」が原形である。日本の「言論と表現の自由」が脅かされているのではないか、との危機感から始まった。

 今回の企画展は、その続編の位置付けだ。中止になったことで不自由展がまた一つ重ねられ、日本における表現の自由の後退が国際社会に示されたと言わざるを得ない。

 主義主張は違っても、作品によって喚起される問題を自由闊達(かったつ)に議論すること。これこそが健全で民主的な社会だ。表現の自由を萎縮(いしゅく)させ、奪う社会は極めて危険だ。

沖縄タイムス 2019年8月5日
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/454271

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(2019年8月5日付 其の参)
愛知芸術祭展示中止 「表現の自由」守る努力を

 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、元従軍慰安婦を表現した「平和の少女像」などの展示が中止された。展示への抗議が相次ぎ、関係者や観客の安全を確保するため中止を判断したという。残念でならない。

 少女像は、企画展「表現の不自由展・その後」の一つとして出品されており、芸術祭の実行委員会は少女像だけでなく企画展全体を中止した。企画展には昭和天皇とみられる人物を扱った作品なども含まれていた。

 芸術祭が開幕したのは1日で、わずか3日で展示は打ち切られた。表現の自由を巡る日本の危機的な状況を映し出す深刻な事態だと言える。

 事務局によると、開幕から2日間で抗議の電話とメールは計約1400件に上った。実行委会長を務める大村秀章愛知県知事は「テロや脅迫ともとれる抗議があった」と語った。「ガソリン携行缶を持って行く」と京都アニメーション放火事件を連想させる内容のファクスもあったという。

 展示に賛同や理解を示す声がある一方、反対の意見もあるのは自然なことであり、さまざまな議論が起こるのはむしろ望ましい。だが展示を中止に追い込む卑劣な脅迫などの行為は断じて許されない。激しい憤りを禁じ得ない。

 企画展は国内の美術館やイベントで撤去や公開中止となった作品を集めた内容で、慰安婦問題のほか天皇と戦争、憲法9条などを題材にした芸術作品を紹介していた。表現の自由について議論を喚起することが企画の趣旨だった。

 芸術祭の芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介氏は「日韓関係の悪化など非常に悪いタイミングが重なった」と中止に無念さをにじませた。想定を超える批判があり、展示継続は困難との大村知事の判断に「断腸の思い」で同意したというが、企画展の実施団体は中止に抗議する声明を出した。こうした事例を繰り返してはならない。

 指摘しなければならないのは、政治家たちの振る舞いだ。実行委会長代行でもある河村たかし名古屋市長は「行政の立場を超えた展示が行われている」として大村知事に抗議文を出し少女像などの展示中止を求めた。松井一郎大阪市長(日本維新の会代表)は、事前に展示は問題だと河村氏に伝えていた。芸術祭は文化庁の補助事業だが、菅義偉官房長官は補助金交付を慎重に判断する考えを示した。

 自由な創作や表現活動を守るべき立場にある行政の責任者らのこうした言動は理解に苦しむ。日本ペンクラブは「政治的圧力そのもので、憲法21条2項が禁じる『検閲』にもつながる」と指摘している。

 日本は戦後、言論・表現の自由が封殺され道を誤った戦前の反省に立ち民主主義の歩みを続けてきたが、その基盤は決して強固ではない。展示中止の経緯を検証し、議論を深めなければならない。

琉球新報 2019年8月5日
mail_sharehttps://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-966044.html

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(2019年8月7日付 其の壱)
芸術祭展示中止/憲法違反の疑いが強い

 愛知県で開催中の国際芸術祭で、企画展の一つが開幕から3日で展示中止に追い込まれた。

 テロ予告や脅迫ともとれる抗議が殺到し、安全な運営が危ぶまれるとして緊急措置をとった。

 表現の自由は、憲法が最大限に保障する民主主義の根幹である。想定を超えた事態とはいえ、圧力に屈する形になったのは残念だ。

 さらに問題なのは、企画展に対する政治家の介入だ。憲法の禁じる検閲にあたる疑いが強い。

 実行委は中止の判断に至る経緯を検証した上で、企画展を再開する道を探ってもらいたい。

 企画「表現の不自由展・その後」は、各地の美術館で撤去されるなどした作品を集め、改めて議論を喚起しようとしたものだ。

 中には元従軍慰安婦を象徴する少女像や、昭和天皇の肖像をコラージュした版画などもあった。

 表現に触れて、はっとさせられたり、不快になったりする。多様な価値観を認め合うのが表現の自由であり、批判も自由だ。

 しかし、実行委には「ガソリン携行缶を持っていく」といったファクスまで届いた。京都の放火殺人事件を連想させるものであり、脅迫罪に当たるのではないか。

 意に沿わない表現活動を力ずくで阻止しようとする試みが、集中的になされた事態を憂慮する。

 河村たかし名古屋市長は、少女像の展示を「日本国民の心を踏みにじる行為」と非難し、実行委の会長である大村秀章愛知県知事に展示の中止を要求した。

 日本ペンクラブは「政治的圧力そのもので、憲法が禁じる検閲につながる」と抗議した。同感だ。

 大村氏としても、警備を強化するなど、展示続行の努力がもっとあってもよかったのではないか。

 憲法は同時に、自由権の乱用を禁じている。企画展は特定の人々を傷つける意図はなく、作品撤去の事実を示したにすぎない。乱用には当たらないと考える。

 芸術祭は文化庁の補助事業だ。菅義偉官房長官は補助金交付の是非を検討するとしたが、表現の自由の擁護に努めてほしい。

 気になるのは、芸術監督の津田大介氏が「表現の自由が後退する前例を作った責任を重く受け止めている」と述べたことだ。

 これを前例にしてはならない。芸術祭の出品作家やさまざまな文化団体から、政治家の介入や展示中止への抗議が相次いでいる。

 憲法に基づき、作品に対する自由な意見交換の場をつくるべく、環境を整えて出直すのが筋だ。

北海道新聞/2019/8/7
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/332702?rct=c_editorial

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(2019年8月7日付 其の弐)
表現の自由確保に努力を/慰安婦少女像の展示中止

 愛知県で国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が開幕からわずか3日目に突然、中止に追い込まれた。企画展では従軍慰安婦問題を象徴する「平和の少女像」などが展示されていたが、2日間で約1400件にも上る抗議の電話やメールが殺到した。会場への放火をほのめかす脅迫もあった。

 美術館などで過去に展示不可とされた作品を集め、「表現の自由」について議論を喚起するのが企画展の狙い。少女像のほか天皇や戦争、憲法9条などをテーマにした二十数点が並んだ。中でも少女像に抗議が集中。芸術祭実行委員会の会長を務める大村秀章知事は「安全の確保が難しい」と中止の理由を説明した。

 日韓関係の悪化もあり、賛否両論があるのは当然としても、異なる意見を認めようとせず、卑劣な脅迫に走ることは断じて許されない。その一方で、政治や行政の対応にも問題が多い。開幕直後、会長代行の河村たかし名古屋市長は少女像について「日本人の心を踏みにじる」と批判。大村氏に展示中止を求めた。

 文化庁の補助金事業であることから、菅義偉官房長官も補助金交付を慎重に判断する考えを示した。こうした発言が一連の抗議を勢いづかせた可能性もある。表現の自由は大きく傷ついた。これを「あしき前例」としないため立場を問わず、表現の場確保に努力を払うことが求められる。

 中止された企画展の元になったのは、東京都内のギャラリーで2015年に開かれた「表現の不自由展」。慰安婦問題などで問題提起したり、批判的に表現したりしたことから「抗議が来る」「政治的な内容」といった理由で発表の機会を奪われた作品を集め、話題を呼んだ。トリエンナーレの芸術監督が、そうした作品に別の作品も加え「その後」を企画した。

 少女像は民族服姿の座像。韓国の彫刻家夫妻が制作、ソウルの日本大使館前に設置された。世界各地にも同じ像があり、日韓対立の火種になってきた。12年にミニチュア版が東京都美術館に展示されたが、美術館側が「運営要綱に抵触する」と撤去した経緯がある。

 展示内容から実行委も一定の反発は想定していたが、それを超える抗議が押し寄せた。「ガソリン携行缶を持って美術館に行く」と京都アニメーション放火殺人事件を連想させるファクスまであった。ただ、それ以上に想定外だったのは河村氏の抗議だろう。

 中止発表後に改めて記者会見した大村氏は、河村氏が展示中止を求めたことを「表現の自由を保障した憲法21条に違反する疑いが極めて濃厚ではないか」と批判。「検閲ととられても仕方ない」とした。これに対し河村氏は「検閲ではない」と強調。従軍慰安婦問題を象徴する少女像展示を巡り「事実でなかった可能性がある」などと反論している。

 河村氏はかつて「南京大虐殺」はなかったのではないかと発言、南京市と名古屋市の交流停止に発展したことがある。今回の発言も不用意であり、行政が展示内容に口を挟むことが、どのような影響をもたらすかということには全く考えが及ばないようだ。

 今回の件で表現活動を萎縮させないため、再展示も含め何ができるか考えてみる必要がある。

東奥日報/2019/8/7
http://www.toonippo.co.jp/articles/-/230067

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(2019年8月7日付 其の参)
少女像展示中止 表現の自由が傷ついた

 愛知県で国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が開幕からわずか3日目に突然、中止に追い込まれた。企画展では従軍慰安婦問題を象徴する「平和の少女像」などが展示されていたが、2日間で約1400件にも上る抗議の電話やメールが殺到した。会場への放火をほのめかす脅迫もあった。

  美術館などで過去に展示不可とされた作品を集め、「表現の自由」について議論を喚起するのが企画展の狙い。少女像のほか天皇や戦争、憲法9条などをテーマにした二十数点が並んだ。中でも少女像に抗議が集中。芸術祭実行委員会の会長を務める大村秀章知事は「安全の確保が難しい」と中止の理由を説明した。

  日韓関係の悪化もあり、賛否両論があるのは当然としても、異なる意見を認めようとせず、卑劣な脅迫に走ることは断じて許されない。その一方で、政治や行政の対応にも問題が多い。開幕直後、会長代行の河村たかし名古屋市長は少女像について「日本人の心を踏みにじる」と批判。大村氏に展示中止を求めた。

  文化庁の補助金事業であることから、菅義偉官房長官も補助金交付を慎重に判断する考えを示した。こうした発言が一連の抗議を勢いづかせた可能性もある。表現の自由は大きく傷ついた。これを「あしき前例」としないため立場を問わず、表現の場確保に努力を払うことが求められよう。

  中止された企画展の元になったのは、東京都内のギャラリーで2015年に開かれた「表現の不自由展」。慰安婦問題などで問題提起したり、批判的に表現したりしたことから「抗議が来る」「政治的な内容」といった理由で発表の機会を奪われた作品を集め、話題を呼んだ。トリエンナーレの芸術監督が、そうした作品に別の作品も加え「その後」を企画した。

  少女像は民族服姿の座像。韓国の彫刻家夫妻が制作、ソウルの日本大使館前に設置された。世界各地にも同じ像があり、日韓対立の火種になってきた。12年にミニチュア版が東京都美術館に展示されたが、美術館側が「運営要綱に抵触する」と撤去した経緯がある。

  展示内容から実行委も一定の反発は想定していたが、それを超える抗議が押し寄せた。「ガソリン携行缶を持って美術館に行く」と京都アニメーション放火殺人事件を連想させる内容のファクスまであった。ただ、それ以上に想定外だったのは河村氏の抗議だろう。

  中止発表後に改めて記者会見した大村氏は河村氏が展示中止を求めたことを「表現の自由を保障した憲法21条に違反する疑いが極めて濃厚ではないか」と批判。「検閲ととられても仕方ない」とした。これに対し、河村氏は「検閲ではない」と強調。少女像展示を巡り「数十万人に強制したという韓国側の主張を認めたことになる」「事実でなかった可能性がある」などと反論している。

  河村氏はかつて「南京大虐殺」はなかったのではないかと発言、南京市と名古屋市の交流停止に発展したことがある。今回の発言も不用意というほかない。行政が展示内容に口を挟むことが、どのような影響をもたらすかということには全く考えが及ばないようだ。

  今回の件で表現活動を萎縮させないため、再展示も含め何ができるか考えてみる必要がある。(共同通信・堤秀司)

茨城新聞/2019/8/7
http://ibarakinews.jp/hp/hpdetail.php?elem=ronsetu&
佐賀新聞/2019/8/7
http://www.saga-s.co.jp/articles/-/410410
山陰中央新報/2019/8/8
http://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1565232128235/index.html

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(2019年8月7日付 其の四)
【表現の不自由展】中止は社会のゆがみ映す

 他人の価値観や表現が自らと相いれないからといって強硬につぶしにかかる。日本もそんな不寛容な社会になったのだろうか。

 愛知県の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展示の一つ「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれた。展示開始からわずか3日だった。

 実行委員会によると、元従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」などの展示に対し、想定外の悪質な抗議が相次いだ。「ガソリン携行缶を持って(会場の)美術館に行く」というファクスまで届いた。

 京都市の放火殺人事件を連想させる内容だ。抗議に対応する職員をインターネット上で中傷する事例もあったという。

 主催者が「安全な運営が危ぶまれる」と判断したことは理解できないわけではないが、まさに表現の不自由さを象徴する出来事になってしまった。看過できない事態だ。

 不自由展は国内の美術展やイベントで近年、撤去や公開中止になった作品を集めていた。挑戦的な企画展ということもあり、実行委も抗議は一定想定していたようだが、それを大きく超えたのは折からの日韓関係の悪化もあるだろう。

 もちろん展示への意見や反論もまた表現の自由だ。しかし、放火予告や職員を精神的に追い込む誹謗(ひぼう)中傷はもはや抗議の域を超え、犯罪である。暴力的に他人の表現の自由を奪うことがあってはならない。

 行政が主体の実行委が早々に圧力に屈したことも衝撃だ。防犯面などで関係機関との連携はできなかったのか。中止という最終手段しかなかったのだろうか。

 不自由展の実施団体は、実行委から一方的に中止を通告されたと非難している。事実であれば、これも禍根を残しかねない対応だ。

 実行委の会長代行である名古屋市の河村たかし市長の対応にも疑問を呈したい。河村市長は少女像などの撤去を求める抗議文を実行委会長の大村秀章県知事に出した。

 展示が「日本人の心を踏みにじるものだ」と指摘。県市、国の資金が活用されていることから「展示すべきではない」とも述べた。

 大村知事は、市長が「内容にいい悪いと言うことは憲法が禁じる検閲ととられても仕方ない」と強く批判している。当然だ。

 河村市長は従軍慰安婦問題が「事実でなかった可能性がある」との歴史認識に立つ。個人的にどのような見解を持とうが自由だが、市長として中止を求めれば、表現への弾圧ととられても仕方があるまい。

 まして税金は政治家や行政のものではなく国民のものだ。価値観が合わない人には使わせないという発想は許されない。

 今回の騒動が表現の自由を巡るあしき前例にならないか心配する。創作や発表の現場に萎縮を招いたり、忖度(そんたく)が働いたりしないだろうか。社会のゆがみを映す出来事として深刻に捉えていかなければならない。

高知新聞 2019.08.07
https://www.kochinews.co.jp/article/298982/

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(2019年8月8日付 其の壱)
表現の不自由展/中止をあしき前例とせず

 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、企画展「表現の不自由展・その後」が開幕からわずか3日で中止に追い込まれた。

 元従軍慰安婦を象徴する少女像の展示に抗議が殺到した。京都アニメーションの放火殺人事件に触れて「ガソリン携行缶を持って行く」などと脅迫するファクスも届いたという。

 実行委員会の会長を務める大村秀章知事は「安全な運営が危ぶまれる」と中止の理由を説明した。国内最大規模の芸術祭が、暴力的な言動によって展示をはばまれる。民主主義国とは思えない異常な事態である。

 異論を排除する不寛容な空気がここまでひどくなっているのかと、暗い気持ちになる。

 脅迫は犯罪である。違法行為は厳しく罪に問う。賠償も課する。それが法治国家の姿だ。

 愛知県はきのう被害届を出したが、警察はその前に「一線を越えれば取り締まる」と強い姿勢を示すべきだった。会場警備を厳重にする責任もあった。

 実際は事務局が過激な抗議の矢面に立ち、職員らが追い詰められたという。苦渋の選択だが、脅迫に屈した形になった。

 これをあしき前例としないためにも、実行委は問題を検証し教訓としなければならない。

 少女像は韓国の日本大使館前にも置かれ、歴史認識問題の火種になっている。政治と切り離し自由に考えるのが企画展の狙いだったが、両国の関係悪化の時期と重なったのも災いした。

 河村たかし名古屋市長が少女像の撤去を求めるなど、政治家の発言も問題を複雑にした。

 内容への賛否はあるだろう。だが「気に入らない」と首長や閣僚、議員らが口を挟むようでは戦前のような検閲国家になりかねない。見る機会を保障した上で議論を深めるのが筋だ。

 河村市長の要請に対し、大村知事は「表現の自由を保障した憲法21条に違反する疑いが濃厚」と指摘した。公費で補助する場合も、行政の規制は施設管理などにとどめるべきである。

 大規模な芸術祭には世界中の目が注がれている。この問題は海外でも報道された。日本社会の「表現の不自由」さを浮き彫りにするような結果となったのは、残念でならない。

神戸新聞/2019/8/8
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201908/0012588447.shtml

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(2019年8月8日付 其の弐)
不自由展中止/表現の自由への攻撃だ

 「表現の自由」が脅かされる深刻な事態である。

 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会が、企画展「表現の不自由展・その後」を中止にした。

 元従軍慰安婦を象徴した「平和の少女像」などの展示に対して、抗議が殺到したことなどを理由としている。中には「ガソリン携行缶を持って行く」と、京都アニメーション放火殺人事件を連想させるファクスもあった。

 残念なのは、脅しに実行委が屈したことだ。執拗に抗議すれば、気に入らない活動や言論を封殺できる。そんな風潮が広がれば、多様な表現活動が萎縮する恐れがある。

 憲法が保障する表現の自由は、民主主義を支える最も重要な基本的人権の一つだ。卑劣な威嚇にひるみ、自由に物が言いにくい窮屈な社会にしてはならない。

 企画展は、国内の美術館やイベントで近年、撤去や公開中止となった作品を集めたものだ。少女像のほか、昭和天皇とみられる人物を扱った作品などが展示されていた。

 実行委事務局によると、開幕から2日間で抗議の電話とメールが約1400件に上り、対処不能に陥ったという。実行委会長の大村秀章・愛知県知事は「安全な運営が危ぶまれる」と、中止を決断した苦しい胸の内を語った。

 テロ予告や脅迫は犯罪であり、断じて許してはならない。警察は発信元を特定し、厳重に対処すべきだ。

 事務局の対応も検証する必要がある。一定の反発を予測し人員を確保していたというが、結果的に足りなかった。

 芸術祭の芸術監督を担うジャーナリストの津田大介氏は「展示を拒否された作品を見てもらい、表現の自由について考えてもらう趣旨だった」と語っている。

 作品の受け止め方は人それぞれ違って当然であり、意見を交わすことで理解が深まる。そうした議論自体を許容しない「表現の不自由」の現状を可視化しようとした試みは、意義があったと言える。

 実行委は開催意図の丁寧な説明や市民の安全確保など、中止を決める前にやるべきことがあったのではないか。

 実行委会長代行の河村たかし名古屋市長が「日本人の心を踏みにじる」と、少女像などの撤去を求めたことも見過ごせない。菅義偉官房長官は、文化庁の補助金交付を慎重に判断する考えを示した。

 日本ペンクラブは「政治的圧力そのもので、憲法21条2項が禁じる『検閲』にもつながる」との声明を出した。

 大村知事も「税金を使っているから(やっていいことの)範囲が限られるというのが最近の論調だが、全く逆ではないか」と指摘した。

 感情的なバッシングがいかに横行しているか。表現の自由を守るべき公権力が「好ましくないもの」にどんな態度を取るのか。その一端が企画展の中止で明らかになったのは、皮肉と言えよう。

徳島新聞/2019/8/8
http://www.topics.or.jp/articles/-/240730

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(2019年8月8日付 其の参)
「不自由展」中止/「表現の場」脅かす事態だ

 愛知県で1日に始まった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」が開幕からわずか3日目に中止に追い込まれた。会場では従軍慰安婦問題を象徴する「平和の少女像」などが展示されていたが、抗議の電話やメールが殺到。主催者が「安全な運営が危ぶまれる状況」として急きょ中止を決めた。

 「ガソリン携行缶を持って会場に行く」と、京都アニメーション放火殺人事件を連想させる内容のファクスも送られてきたという。こうした卑劣な暴力的行為によって「表現の場」が脅かされ、閉ざされたのは憂慮すべき事態だ。

 企画展は、公立美術館などで行政が拒否したり、批判を恐れ自粛したりして公開されなかった作品を集めた。芸術祭の芸術監督を務めるジャーナリストの津田大介さんらが、「インターネットで横行するバッシングが、表現の自由を脅かしているのではないか」といった問題意識を基に企画したという。

 「物議を醸して議論を起こすことに意義がある」との思いもあったようだが、開幕直後から主に少女像を巡って想定をはるかに超える抗議、脅迫が相次いだ。日韓両政府の対立と重なった影響も大きかったろう。

 企画展が中止になったことを受け、出品作家を含む約70人のアーティストが抗議声明を発表。芸術祭の目的は「個々の意見や立場の違いを尊重し、すべての人びとに開かれた議論を実現するため」とし、中止によって作品を理解、読解するための議論も閉ざされてしまう、と指摘した。

 中止を決定する前に、多様な意見を交わす場を設ける試みがあっても良かったのではないか。今回の中止決定は「表現の自由」を萎縮させ、「表現の不自由」が現実にあることを図らずも印象づけてしまった。

 異なる意見を認めず、気に入らない表現活動を暴力的圧力でやめさせるような行為がまかり通ってはならない。あしき前例としないよう経緯を検証し教訓として残す努力が関係者には求められよう。

 この問題を巡っては政治家の言動にも疑問符が付いた。芸術祭は愛知県と名古屋市が経費を負担し、文化庁の補助金事業として開かれている。

 実行委員会の会長代行を務める河村たかし名古屋市長は、少女像について「日本人の心を踏みにじる」と批判し、展示中止を要求。また、菅義偉官房長官は補助金交付を慎重に判断する考えを示した。これらの言動には、公金支出を理由にして「自分の意に沿わない表現活動は認めない」との思いが底流にありはしないか。

 一方で、実行委会長の大村秀章愛知県知事は、表現の自由を保障する憲法21条を挙げて河村氏の発言を批判し、「公権力こそ表現の自由を守るべきだ」と話した。賛同したい。公権力の表現活動への介入が、往々にして社会の抑圧につながることは、歴史が教えるところである。

熊本日日/2019/8/8
https://kumanichi.com/column/syasetsu/1145132/

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(2019年8月8日付 其の四)
少女像展示中止 ◆行政が表現を萎縮させるな◆

 愛知県で国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が開幕からわずか3日目に突然、中止に追い込まれた。企画展では従軍慰安婦問題を象徴する「平和の少女像」などが展示されていたが、2日間で約1400件にも上る抗議の電話やメールが殺到した。

 美術館などで過去に展示不可とされた作品を集め、「表現の自由」について議論を喚起するのが企画展の狙い。少女像のほか天皇や戦争、憲法9条などをテーマにした二十数点が並んだ。中でも少女像に抗議が集中。芸術祭実行委員会会長を務める大村秀章知事は「安全の確保が難しい」と説明した。

 日韓関係の悪化もあり、賛否両論があるのは当然としても、異なる意見を認めようとせず、卑劣な脅迫に走ることは断じて許されない。その一方で、政治や行政の対応にも問題が多い。開幕直後、会長代行の河村たかし名古屋市長は少女像について「日本人の心を踏みにじる」と批判、大村氏に中止を求めた。

 文化庁の補助金事業であることから、菅義偉官房長官も補助金交付を慎重に判断する考えを示した。こうした発言が一連の抗議を勢いづかせた可能性もある。表現の自由は大きく傷ついた。これを「あしき前例」としないため、表現の場確保に努力を払うことが求められよう。

 少女像は民族服姿の座像。韓国の彫刻家夫妻が制作、ソウルの日本大使館前に設置された。世界各地にも同じ像があり、日韓対立の火種になってきた。

 展示内容から実行委も一定の反発は想定していたが、それを超える抗議が押し寄せた。「ガソリン携行缶を持って美術館に行く」と京都アニメーション放火殺人事件を連想させる内容のファクスまであった。ただ、それ以上に想定外だったのは河村氏の抗議だろう。

 中止発表後に改めて記者会見した大村氏は河村氏が展示中止を求めたことを「表現の自由を保障した憲法21条に違反する疑いが極めて濃厚ではないか」と批判。「検閲ととられても仕方ない」とした。これに対し、河村氏は「検閲ではない」と強調。少女像展示を巡り「数十万人に強制したという韓国側の主張を認めたことになる」などと反論している。

 河村氏はかつて「南京大虐殺」はなかったのではないかと発言、南京市と名古屋市の交流停止に発展したことがある。今回の発言も不用意というほかない。行政が展示内容に口を挟むことが、どんな影響をもたらすかということには考えが及ばないようだ。表現活動を萎縮させないため、再展示も含め何ができるか考えてみる必要がある。

宮崎日日/2019/8/8
http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_40318.html

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(2019年8月8日付 其の伍)
[少女像展示中止] 表現の自由を守らねば

 愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由・その後」が、開幕から3日で中止に追い込まれた。

 企画展は元従軍慰安婦を象徴した「平和の少女像」や昭和天皇をモチーフにした作品が展示され、表現の自由について議論を喚起する狙いがあった。

 しかし、抗議の電話とメールが事務局などに殺到し、2日間で1400件以上に上った。「ガソリン携行缶を持って美術館に行く」と京都アニメーション放火殺人事件を連想させる内容のファクスもあったという。悪質極まりない脅迫である。

 展示内容に賛否があるのは当然だとしても、異なる意見を認めず、暴力に訴えるような行為は卑劣で、断じて許されない。

 芸術祭実行委員会の会長を務める大村秀章知事は「テロや脅迫ともとれる抗議があり、安全な運営が危ぶまれる」と理由を語った。こうした形で公開中止になったのは非常に残念だ。

 トリエンナーレは3年に1度開かれ、現代美術展のほか映像作品の上映、演劇なども実施。国内外から90組以上のアーティストが参加する国内最大規模の芸術祭だ。

 中止になった企画展は、15年に東京で開催された「表現の不自由展」が原型である。慰安婦問題などで行政が拒否したり批判を恐れて自粛したりして、公開されなかった作品を集めた。

 日韓対立の火種になってきた少女像や、戦争をテーマにした展示内容から実行委も反発は予想していたものの、それを上回る抗議が押し寄せた。

 ただ、観客らの安全を優先させた判断とはいえ、警備強化などでの対応はできなかったか。公開断念が誤ったメッセージを発信することとなり、表現の自由の萎縮につながる恐れがある。

 不自由展の企画メンバーは実行委判断に「主催者自らが弾圧する歴史的暴挙だ」として声明を出した。「展示継続のためやれることはあった」などと、判断の経緯や抗議への対応をただす質問状を知事宛てに提出した。しっかりと検証し、説明する責任がある。

 今回の問題で見過ごせないのは政治の介入である。開幕直後に会長代行の河村たかし名古屋市長は、少女像について「日本人の心を踏みにじる」と批判し、大村氏に展示中止を求めた。菅義偉官房長官も文化庁の補助金交付を慎重に判断する考えを示した。

 こうした発言は一連の抗議を勢いづかせた可能性がある。政治家や行政トップが展示内容に口を挟むことが、どんな影響を与えるのか全く考えが及ばないようだ。

 今回の事態が「あしき前例」とならないよう、表現の自由を守る努力を続けなければならない。展示再開も含め、議論を深める必要がある。

南日本新聞/2019/8/8
http://373news.com//_column/syasetu.php?storyid=108813

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(2019年8月10日付 其の壱)
表現の不自由展

 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の中の企画展「表現の不自由展・その後」が公開3日で中止となった問題が、波紋を広げている。

 元従軍慰安婦を想起させる少女像、天皇と戦争、米軍基地、政権批判など、国内では公開がままならなかった作品群に対し、テロや脅迫まがいの抗議が相次ぎ、大村秀章知事が会長を務める国際芸術祭の実行委員会は「安全な運営が危ぶまれる」と判断した。

 議論に輪を掛けたのが、政治の介入だ。県とともに開催経費を負担する名古屋市の河村たかし市長は、同展視察を経て「日本人の心を踏みにじるもの」などとして中止を要請。菅義偉官房長官は、文化庁の補助金交付を慎重に判断すると発言した。

 河村市長は従軍慰安婦問題が「事実でなかった可能性がある」として、知事に少女像撤去などを求める抗議文を提出。大村知事は「公権力を行使する人が内容にいい悪いを言うことは、憲法が禁じる検閲と取られても仕方ない」と市長の姿勢を批判した。「その後展」は、思わぬ形で「表現の自由」の現状を社会に問うこととなった。

 一方で「その後展」の実行委は「中止決定に納得していない」として大村知事宛ての公開質問状を提出。同展出品作家を含む芸術祭参加アーティスト約70人も、連名で政治的介入と暴力、脅迫に抗議する声明を発表するなど、なお議論は尾を引きそうだ。

 政治的圧力や暴力的抗議を背景とする公開中止に、作家らの無念や憤りは想像するに余りある。だが実害が強く懸念される状況で、知事の職責に照らせば中止の判断自体は一概に否定されるものではあるまい。問題は実行委内で、展示への批判や反発を想定していた節があることだ。

 芸術祭は、ジャーナリストの津田大介氏が芸術監督を担った。「その後展」は、東京都内の小ギャラリーで15年に開かれた「不自由展」を基に企画。「物議を醸し議論を起こすことに意義がある」と決行されたという。

 目玉展示の一つとされた少女像が、日本と韓国の政治的対立の象徴となっているのは周知の事実。「物議を醸す」のは予想できたとして、立場を超えて「議論」する機会とするための仕掛けは十分だったのか。知事判断に芸術監督も従った中止劇は、その面の未熟さをしのばせる。

 この経緯に、作家らが反発するのは当然だろう。津田氏は「表現の自由を後退させてしまった」と述べたが、反省で終わらせるべき事案ではない。その立場で改めて主催側と協議するなど、表現の自由を萎縮させないための「その後」に注目したい。

岩手日報/2019/8/10
https://www.iwate-np.co.jp/article/2019/8/10/62061

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(2019年8月10日付 其の弐)
企画展/抗議で中止/表現の自由守り民主主義を育め

 自分が相いれない表現を、脅しや暴力で封殺しようとする誤った風潮がまかり通ることを深く憂慮する。

 愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が、開幕3日で中止になった。実行委員会は、元従軍慰安婦を象徴した「平和の少女像」などの展示に対し、電話やメールでの抗議が殺到し、安全な運営が危ぶまれる状況を説明。「ガソリン携行缶を持っておじゃまする」などと、京都アニメーション放火殺人事件を想起させるファクスまであったという。憲法が定める「表現の自由」を侵害する悪質な行為で断じて許されない。

 表現の自由は、単に芸術家や表現者の権利を守るためのものではない。作品を鑑賞した人が思索し、意見を交わし、理解し合う機会を保障する面もある。民主主義は、そうした営為の積み重ねによって強くなり、継承されていくものだ。中止でふたをするのではなく、圧力に屈せず、自由や民主主義を守るためにどうすればよいのか、政治や行政の姿勢、社会の在り方をともに考えていく必要がある。

 問題となった企画展は、国内の公立美術館やイベントで撤去や公開中止となった作品を集めていた。少女像のほかにも、昭和天皇を扱った作品があり、開幕直後から抗議が相次いだ。

 ファクスを送信した50代の男は、威力業務妨害の疑いで逮捕された。実力行為の予告や脅迫に対しては、今後も断固とした対応が不可欠だ。

 中止について、出品者や関係者から「納得していない」といった反発の声も上がっている。だが、スタッフや来場者に危害が加えられる可能性を考慮すれば、実行委の判断もやむを得ないだろう。とはいえ、企画展の趣旨から抗議は予想されたことでもあり、事前の警備や対応の強化も検討すべきだった。

 何より危惧されるのは、今回の中止をきっかけに、トラブルを恐れ創作活動が萎縮したり、施設側が使用や展示を認めない空気が広がることだ。芸術祭の芸術監督を務めたジャーナリスト津田大介さんを招いた神戸市でのシンポジウムが中止になる事態も起きた。安易な先例とすることは誤りだと認識しなければならない。

 名古屋市の河村たかし市長が少女像の公開中止を求めたり、菅義偉官房長官が芸術祭への補助金の交付を慎重に判断する考えを示したり、政治家から展示への圧力と受け取れる動きがあったことも看過できない。表現の自由は、言論や集会、結社の自由を制限し、反体制的な言動を厳しく取り締まった戦前・戦中の反省を踏まえて定められた経緯がある。自身や政府の見解と異なるからといって、検閲まがいの言動をすることは容認できない。政治家が人権や自由を率先して守る姿勢を示さないようでは、この国の民主主義はやせ細っていくばかりだ。

愛媛新聞/2019/8/10
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201908100006
   

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コメント
1. 日高見連邦共和国[15476] k_qNgoypmEGWTYukmGGNkQ 2019年8月12日 07:14:25 : Ij5DGaIBmM : NlRFQU5DV0E4dE0=[25] 報告
良スレ。
2. 地下爺[7973] km6Jupbq 2019年8月12日 07:24:28 : Fd9Ykl4EEQ : WThTTmlRY1p4N2s=[90] 報告

   この写真を 掲示すると 奴らは きっと

  「慈悲深いご領主様の 尊厳を 傷つける」 とか 言うんだろうね 。。。


3. 地下爺[7974] km6Jupbq 2019年8月12日 07:24:56 : Fd9Ykl4EEQ : WThTTmlRY1p4N2s=[91] 報告
 
4. 2019年8月12日 08:12:54 : R8Q5r0nzh6 : L2d4OW1RYjJiQ28=[1] 報告
徹底して集めましたね…
力作です。素晴らしい投稿です。
5. えすわい[1] gqaCt4LtgqI 2019年8月12日 20:14:33 : nqgvFoDrPA : enp5cHpPMUxxODI=[1] 報告
「表現の不自由展」の中止については、これまで、議論百中の様相を呈している。
「表現の自由」は、憲法の「公共の福祉」によって、制限を受けることは、多くの識者
 が述べているものの、「公共の福祉」とは、具体的に何かについては議論が収れん
する様子がない。
 日本が1979年に批准した国連の自由権規約を監督する国連規約人権委員会が、日本国憲法の「公共の福祉」概念が規約違反につながる危険性があり、このため、数次にわたり、是正勧告を行ったが、日本政府はこれに積極対応してこなかった。
人権委員会は、「公共の福祉」を規約が保障する内容に定義しない限り、表現の自由などの権利にいかなる制約も課すことを差し控えるよう強く求めるとしている。
 マスコミは、この国連動向をどの程度、報道してきただろうか。これを機会に、自由権規約における表現の自由と憲法について、改めて、考え直す必要があるのではないだろうか。そして、必要あれば、改憲を検討するのも一策ではないか。
6. 2019年8月12日 21:16:28 : ZRH8q0wbnY : b1VRZ3pqNmk0Wkk=[516] 報告
妨害だ バレたら困る 不都合が

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