★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK265 > 557.html
 ★阿修羅♪
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
ノモンハンの教訓 「顔」がない組織の不条理
http://www.asyura2.com/19/senkyo265/msg/557.html
投稿者 肝話窮題 日時 2019 年 9 月 15 日 23:49:29: PfxDcIHABfKGo isyYYouHkeg
 


 作家の村上春樹さんの長編小説「ねじまき鳥クロニクル」はノモンハン事件が題材だ。

 1939年、旧満州とモンゴルの境界を巡り旧日本軍の関東軍と旧ソ連・モンゴル軍が凄惨な戦いを繰り広げた局地戦争である。

 村上さんは40代前半、滞在していた米プリンストン大学の図書館で事件の本を読み込んだ。日本から2千キロも離れた大草原の戦場跡に足を運んでもいる。

 その体験と事件へのこだわりを紀行文「ノモンハンの鉄の墓場」に書いている。戦後日本の平和な「民主国家」も<表面を一皮むけば、そこにはやはり以前と同じような密閉された国家組織なり理念なりが脈々と息づいているのではあるまいか>と。

<曖昧な責任と決定>

 39年4月。関東軍は「満『ソ』国境紛争処理要綱」に基づく作戦命令を出した。

 要綱は作戦参謀の辻政信少佐が起案した。紛争が起きた場合、武力行使でソ連軍の出ばなをくじき越境しての攻撃もいとわない。国境が不明確な地域では現地司令官が国境を認定できる―。越権行為をも辞さない強硬策だった。

 内部には慎重な意見もあった。だが参謀には辻が兄のように慕う服部卓四郎中佐ら気脈を通じた人物が多く、異論を押し切った。

 紛争不拡大の方針だった東京の陸軍参謀本部は曖昧な態度に終始した。関東軍の作戦日誌には統帥が機能していなかったことを物語る記載がある。要綱には参謀本部から正式な指示や意見はなく「個人的に」2人の参謀から同意を得ただけだったというのだ。

 責任や経緯が不明確なまま重大な意思決定がなされた。

 日本側はハルハ河を国境と主張しソ連側はその東側にあると譲らない。6月、ハルハ河を越えたモンゴルの小部隊を日本側が撃退。関東軍は部隊を派遣、ソ連も正規軍を投入し衝突が拡大する。

 日本側は当初、戦いを優勢に進めた。だが戦力は歩兵が中心で明治時代の銃器を使っていた。ソ連軍は多数の戦車を動員。近代化した装備が威力を発揮した。

 さらにソ連はシベリア鉄道などを使い軍事力を欧州からノモンハンに大規模移動させていた。

 情報は在ソ日本大使館付武官が関東軍と東京の参謀本部に報告した。しかし関東軍参謀はソ連軍撃退に燃えているところに水を差す消極論と退けた。参謀本部も関心を示さず危機感は乏しかった。

 8月20日、ソ連軍の総攻撃が始まる。ソ連は23日にはドイツと不可侵条約を締結。ヒトラーの脅威をひとまず払拭したスターリンはこの戦いに傾注した。

 9月16日、停戦協定が成立。死傷者は双方合わせて約4万人に上った。国境線はソ連側の主張が通り日本は事実上敗北した。

 <日本軍はその先入観に合致するよう現実を歪曲する傾向があった。それに反する証拠は受け入れなかった>。戦後、旧日本軍人約400人をインタビューして大著「ノモンハン」を書いたアルビン・クックス(米国)の指摘だ。

<教訓学ばず破滅へ>

 上司に諌言したゆえに処分を受けたり、敗北の責任を問われ自決に追い込まれたりしたのは、死地をくぐり抜けた現場の連隊長だ。本来なら独善的な判断で兵士を犠牲にした参謀こそ厳しく処断されるべきだった。懲罰的な人事は行われたが、陸軍エリートの辻や服部らはほとぼりが冷めると大本営参謀に昇格した。

 陸軍省の研究委員会は翌40年に報告書をまとめた。最大の教訓は低水準の火力戦能力の向上と指摘しつつ「国軍伝統の精神威力をますます拡充する」としている。

 補給など兵たんや情報の軽視、根拠なき希望的観測、精神主義の偏重…。学ぶべき教訓に背を向けたまま日本軍は太平洋戦争に突入し日本を破滅させた。

 村上さんは紀行文「ノモンハンの鉄の墓場」をこう締めくくっている。僕らがそこで発見するのは僕ら自身じゃないのか、と。そして「忘れないこと」の大切さを語りかけている。

 福島原発事故で東京電力は大津波に襲われる可能性を示す子会社の試算結果を受けながら対策をとらなかった。原発を推進した国は誰も責任を取らないまま再稼働や原発輸出政策を進めている。

 「顔」がない責任の曖昧な組織の不条理はこれに限らず身近にもあろう。向き合うのは私たち自身を鏡に映すことでもある。

(9月15日)


信濃毎日新聞コラム「あすへのとびら」 2019年9月15日
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190915/KT190914ETI090006000.php  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
1. 2019年9月16日 01:07:04 : cA4M9XWQOQ : SVU1VEVRT3hDVlk=[259] 報告
机の上の勉強しかせずに
答えのある解答で点をとれた、と
誰よりも優秀だと勘違いする
日本の罵奸凌どもを駆逐するために
高給官僚の官邸人事を実現したが
これを悪用したのがズルしかできないバカ内閣
そして罵奸凌共はバカをバカにしているうちに
バカを制御できなくなった
さあ、学ぼう 局長以上は外部任用すべきだ
そして、自民党には失敗の責任をとらせ
壊滅させろ
台風の件でも猟官活動に勤しむクズの集まりだ
自民党に議員をさせることは
ヤクザに小遣いをやるようなものだ
2. しんのすけ99[808] grWC8YLMgreCrzk5 2019年9月16日 03:13:46 : A4AvZivHZs : WU95VlVYQVVmdmM=[570] 報告
まあ この ノモンハン事件において 辻正信をちゃんと咎めて処罰しておれば、後の太平洋戦争の展開は変わった

というか、ノモンハンを率直に教訓にしておれば 太平洋戦争じたいが 起らなかったかもしれない

しかしまあ 実際には無理な話でしょう 臭い物には蓋をする 都合の良い事だけしか見ようとしない悪癖は
あの国家体制の根本的な体質であり それも現在までに脈々と受け継がれていると言えましょう。

3. 2019年9月16日 08:01:31 : lSEfXrG9vc : a1U4YXBaNDNxS28=[217] 報告

「福島原発事故で東京電力は大津波に襲われる可能性を示す子会社の試算結果を受け

ながら対策をとらなかった」

「『福島第一原発は津波が来る前に壊れていた』元東電社員“炉心専門家”が決意の

実名告発」https://www.excite.co.jp/news/article/Bunshun_13348/


津波だと対策できそうだが、地震だと対策できそうもないな。原発建物の土台をやり

直して振動吸収機構を置く訳にはいかないだろう(ビルの耐震対策)。ノモンハンに

置き換えると「真因を津波にしよう!」と知恵を出した辻は誰か? そして服部卓四

郎/田中新一は誰か? だな。

薬害エイズの時は「厚生事務次官かそれに準じるトップ」が栄転するまでは「事実を

隠す」ことにした。その間にも患者が亡くなり続けた。

4. 2019年9月16日 08:22:12 : fPAGedqalU : S0tQb1pzMi91OVU=[515] 報告
 今の自民党政権のありようが、歴史から学ばず経済紛争に手を
 突っ込み国際紛争にまでバケさせる素地を持ったものだから、

 この『信濃毎日新聞コラム』が
 いま注目される事になるのだろう。

5. 2019年9月16日 10:13:16 : xWilnLukqM : T1JacUJxOUxIZUU=[1] 報告
>上司に諌言したゆえに処分を受けたり、敗北の責任を問われ自決に追い込まれたりしたのは、死地をくぐり抜けた現場の連隊長だ。本来なら独善的な判断で兵士を犠牲にした参謀こそ厳しく処断されるべきだった。懲罰的な人事は行われたが、陸軍エリートの辻や服部らはほとぼりが冷めると大本営参謀に昇格した。__

現在の政治とまったく同じだ。文科省の前川喜平が辞任に追いやられ、腐敗官僚の典型である萩生田が文科大臣になった。このままいけば、平和憲法のもとで自衛のためと称する戦争が始まり、国民の悲惨は約束されたようなものだ。

6. 2019年9月16日 11:51:07 : 1GJFQVU66M : c0lqbmRoR2RQY2c=[228] 報告
この問題の解決は、戦う前に勝敗を冷静に分析することを怠る習慣をやめることで解決するしかない。

こちらの弱みと相手の弱みを前もって分析しなければ、結果の分析も反省もできなくなる。米国の当事者たちは米中貿易戦争の成り行きをどの国より客観的に分析していることであろう。トップのトランプ大統領はしていない。

7. 2019年9月16日 12:06:02 : gwXGxXyINo : WGtPa1U3UmRWN1k=[57] 報告
> 9月16日、停戦協定が成立。死傷者は双方合わせて約4万人に上った。国境線はソ連側の主張が通り日本は事実上敗北した。

9月17日、ソビエト連邦はポーランド東部に侵攻を開始し、ソ連が新たに獲得した地域では間をおかずに大規模な迫害が始まった。1939年11月、ソビエト政府は掌握したポーランドの全地域を表面上ソ連に併合した[1]。

つまり、ソ連はヨーロッパではポーランド領の半分を侵略して自称「合法的に」自国領とし、アジアでは南樺太、千島列島を侵略して自称「合法的に」自国領とした。ノモンハン戦はその前哨戦だった。

村上春樹さんの長編小説「ねじまき鳥クロニクル」には、このことは書いてないのですか?

[1] ソビエト連邦によるポーランド侵攻
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%93%E3%82%A8%E3%83%88%E9%80%A3%E9%82%A6%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E4%BE%B5%E6%94%BB
ソビエト連邦によるポーランド侵攻(ソビエトれんぽうによるポーランドしんこう)は、宣戦布告がないまま開始された軍事作戦であった。1939年9月17日、ソビエト連邦はポーランド東部に侵攻を開始した。これはドイツがポーランド西部に侵入してから16日後のことだった。軍事作戦はこの日から20日間続き、1939年10月6日に終結した。
 結果としてポーランド第二共和国の全領土が分割され、それぞれドイツとソ連に併合されることとなった[7]。この共同したポーランド侵攻は、1939年8月23日に調印されたモロトフ=リッベントロップ協定のもと秘密裏に両国で同意がなされていた[8]。国土を守るポーランド軍をはるかに数で上回る赤軍は、戦略的・戦術的な欺きによってその目標を達成した。
 戦闘によって捕虜となったポーランド人は230,000人余りにのぼり[4][9]、ソ連が新たに獲得した地域では間をおかずに大規模な迫害が始まった。1939年11月、ソビエト政府は掌握したポーランドの全地域を表面上ソ連に併合した。軍事占領下におかれた1,350万人余りのポーランド国民は、ソ連内務人民委員部(НКВД / NKVD)の秘密警察の恐怖下で行われた擬似選挙を経て、ソビエト連邦の新たな市民へとつくり変えられた[10][11]。
 その結果として実現したのは、実力行使の合法化であった。ターゲットとなったポーランドの軍や警察、宗教における重要人物は次々と逮捕され、裁判を経ることなく処刑されていくなど、さまざまな形でソ連の抑圧的な政策がすすめられた[Note 5][12][13]。

8. 2019年9月16日 12:09:25 : 1GJFQVU66M : c0lqbmRoR2RQY2c=[229] 報告
米国のトップは分析を専門にする機関と切り離されているが、日本人はトップがすべてを決めることだと勘違いしている。トップの考えが下まで浸透することが良いことだと信じている。
9. 2019年9月16日 13:30:04 : VJIuGl9ao2 : V05zVy5XR3hoQkU=[34] 報告
戦後日本の平和な「民主国家」も<表面を一皮むけば、そこにはやはり以前と同じような密閉された国家組織なり理念なりが脈々と息づいているのではあるまいか

その通りだと思う。
看板を掛け替えただけで、統治構造は戦前とまったく同じだろう。

そそも参謀には指揮権が無い。なのになぜ主導し得るのか。
大本営が反対しているのにどうして現場が勝手に強行し得るのか。
そもそも統帥権の干犯ではないか。

それが通るということは、戦前も今も日本の真の構造は巷間言われているものとは全く異なるものだ。

10. 2019年9月16日 19:03:11 : GdzoXjoZdA : dTR2QzZCdWdvTVk=[58] 報告
顔見えぬ だから曖昧 責任も
11. 2019年9月17日 12:24:16 : hHRyrQsPsY : Nk5rVnVxSUM2Vk0=[228] 報告
>村上さんは(中略)僕らがそこで発見するのは僕ら自身じゃないのか、と。

僕ら、って誰だ、1億(総懺悔)か?
ところで、この村上文士は、イスラエルでナントカ文学賞(ノーベル賞への登竜門とか)の受賞式に出席し、その直前にパレスチナ人大虐殺という、バツのわるい事件が起きた時、受賞スピーチで「僕はタマゴの側に立つ」といったのだが、その後、どのようにタマゴの側に立った行動をしたか、ご存知の方がいたら教えて欲しい。

12. 2019年9月17日 12:37:15 : QLQ8aXepGE : cklwZHZDY0pRQ1U=[97] 報告
してみるとだ、いくら国内的には異論を封じに成功していても、対外的には失敗を重ね、いずれは破綻するということだ。

現政権、およびその背後で政権を支える公安、広告代理店はエリート意識に凝り固まって自分たちを万能の神と錯覚しているが、そういうエリート意識こそが危うい。

自分たち以外の異論は受け付けられない、独善で突っ走ることしか知らないでは必ずや先の大戦のような不幸な結末に行きつく。

歴史は過去を客観的に見直すことで教訓を見出すことに意味があるのだが、「歴史から学ぶ必要はない、ありのままを眺めるだけでよい」とする育鵬社の執筆者には歴史から学ばないでは同じ失敗をふたたび繰り返すだけだと言っておきたい。

13. 2019年9月19日 02:29:00 : 3KV1vMJJdE : L3RubnVtRU9tTlk=[167] 報告
このノモンハン事件そおんものが、真珠湾攻撃に繋がったことは、山本五十六連合艦隊司令長官が、管理監督者の立場として、ミッドウェー海戦での大敗する結果を招いた時点で、戦前の日本にとっての終わりの始まりのきっかけとなったことは、当時のアメリカ連邦政府に置かれましては、これが史上最大の作戦という映画にもなったノルマンディー上陸作戦が、ナチスドイツの終わりの始まりのきっかけとなったことは、当時のソ連もまた、まんまと騙されたふりをしたところで、このノモンハン事件そのものが、真珠湾攻撃と同じ意味を持つものであることは、自分がぷー^陳大統領ならば、まんまと騙されたふりをしたところで、「前提条件なしで日露平和友好条約を締結しよう」というのが、単なる個人的な思い付きによるものではないことは、憲法9条にノーベル平和賞のお墨付きを賜るという潜在的な思い付きが、自民党自らが「日米安全保障条約の終わりの始まりのきっかけとなる動かぬ証拠であることは、アメリカのトランプ大統領からして、もはやバレバレのことであることは、日本国民全体としては、まんまと騙されたふりをしたところで、安倍政権の終わるの始まりのきっかけとなることは、政治屋にとっての政治生命の終わりを意味することは言うまでもありませんが、人生の終わりを意味するものではございませんので、どうぞ、安心して、どんどん涙を流し続けながら、深く感謝して、そのまま、何処か人目のつかないところで、そっと静かに幸せに暮らして下さい。とでも働きかけていくしかないのかも知れませんね。

▲上へ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK265掲示板 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK265掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
政治・選挙・NHK265掲示板  
次へ