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プチ鹿島と20年の政界展望語る／政界地獄耳ＳＰ１
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201912310000877.html
2020年1月1日9時0分 日刊スポーツ
| 日刊スポーツの政治連載コラム「政界地獄耳」は今年、開始から30年の節目を迎える。日々動く永田町や霞が関で耳をそばだて、世に出る前の動きをキャッチし続ける筆者（K）氏と、連載を日々愛読し、筆者を「地獄耳師匠」とリスペクトしてやまない時事芸人・プチ鹿島（49）が、2020年の政界展望を語り合った。「文春オンライン」とコラボレーションし、2回にわたりお届けする。 第1回は、地獄耳師匠から「今年は大政局の予感」との言葉とともに、あるキーマンの名前が飛び出した。【取材・構成 中山知子】 ◇ ◇ ◇ 鹿島 「地獄耳師匠」と呼ばせていただきます。ところで、永田町では、政界地獄耳がまず朝イチで話題になるというウワサを耳にしました。 地獄耳 スポーツ新聞は日本中に配られますが、最初にアレ？と思ったのは、朝のラジオで紹介されていること。一般紙にも書いていない、いささか踏み込んだところを読んでくれるキャスターが増えてきた。そのうち「地獄耳が読まれていたぞ」と人づてに聞くようになり、「永田町読者率」が高いことも分かりました 鹿島 永田町読者率！ですか。 地獄耳 誰が書いているか分からない。中身よりも、まず、こいつは誰だと（笑い）。今もいろんなうわさがあるようですね。 鹿島 いいですね。何か、覆面レスラーみたいで。 地獄耳 与野党とも、国会に国対（国会対策委員会）の部屋があり、その日の政治の記事を与野党関係なく徹底的に切り抜く。そこで、「地獄耳」をむさぼるように読む議員もいるらしいです。 鹿島 記事のコピーを、国会の中で読んでいる様子を後ろからカメラで撮られる、まぬけな議員も見られますよね。でも、そういう資料は絶対、捨てられないんですね（笑い）。 地獄耳 他の資料は急いでシュレッダーにかけられて、捨てられるのに。 鹿島 地獄耳師匠は、なかなか新聞に反映されないネットの論議やネタを、リサーチされている印象があります。 地獄耳 永田町読者率が高いことが分かってきた時、彼らがいちばん持っていない情報はネットの情報かもしれないと思いました。調査力のすごさに脱帽することもあります。「ネット世論」というのが、一般の世論とは別のところであるということを、分からせた方がいい。ネットは敵だと思っている人もいるかもしれませんが、自分たちの手の届くところの話だけ知っていれば良い時代は、とっくに終わっています。事実、昨年の参院選はネットのマーケティングをうまく使った山本太郎さんや山田太郎さん、立花孝志さんなどが、ぐんと票を伸ばした。 鹿島 田中角栄さんや小沢一郎さんのように、1軒1軒回って、というのも効果があるんでしょうが、同じくらいの「デジタルどぶ板」は必要ですよね。ところで、昨年はネットで「上級国民」という言葉が生まれました。紙ベースで読んでも、なかなか心に届かない。でも実際にいるかどうか別として、いるんじゃないのと思わせる時点で、問題があるわけですよね。 地獄耳 上級国民というだけで、こういう人のことではないかと誰もがイメージできた。逮捕状が出たのに、逮捕されない人がいたとか。自分たちが知らない、特別なルールが適用される国民がいるんじゃないかと。都市伝説が、リアルになってきた感じですね。 鹿島 一般紙は、政権の本質を硬い言葉で表現しますが、「上級国民の特権があるんじゃないの」というスタンスがスポーツ紙に合うし、また、それが本質かもしれないですね 地獄耳 第1次安倍政権では「お友達」と言われました。近しい人や側近で何かやり、親しい人に融通をきかせることが、長期政権になって、桜を見る会に呼ばれる人と呼ばれるない人が生まれたように、「選民意識」として現れた。国民じたいを敵か味方か、選ぼうとする安倍政治の本質を、国民の方が明確に見抜いて、「上級国民」という言葉をつくったのではないですか。 鹿島 私もそこが本質だと思っています。安倍首相が在職最長記録を達成した直前の昨年11月16日、地獄耳師匠がお書きになって、なるほどなと思ったが、ひとこと「せこさ」とあったんです。 地獄耳 巨悪ではない。せこさなんですよ。権力の行使というと絶対的なパワーを感じるが、ちっちゃなところで権力を使う。そうするとすごい、せこい感じがしてしまうんです。 鹿島 そのせこさがいろんなものにつながっているんじゃないのと考えれば、分かりやすいですよね。僕は人間の本質というのは小さいことに現れると思います。（（2）に続く） ＜地獄耳寄り情報＞ 戦後の子（ね）年は過去6度あるが、うち5回、政権交代が起きた。84年も自民党内政変が発生。大政局のジンクスの年に重なる20年、安倍政権の運命は？ ◆1948年（昭23）3月 片山哲内閣総辞職受けて、芦田均内閣が発足。芦田内閣も同年10月に総辞職。第2次吉田内閣が発足 ◆60年（昭35）7月 安倍首相の祖父、岸信介首相退陣で、池田勇人内閣発足 ◆72年（昭47）7月 佐藤栄作首相が辞意表明を受け、田中角栄内閣が発足 ◆84年（昭59）10月 自民党総裁選をめぐる「二階堂進・擁立構想」騒動 ◆96年（平8）1月 村山富市首相が退陣し、橋本龍太郎氏が首相に ◆08年9月 福田康夫首相が退陣し、麻生太郎内閣が発足 ＜政界地獄耳＞ 日刊スポーツで1990年（平2）10月1日から続く長寿名物コラム。匿名の筆者がバトンをつなぎながら執筆。政界や官庁街・霞が関の情報をいち早く入手し、社会面に週6日（日曜日紙面は休み）で掲載。第1回は当時の自民党幹事長、小沢一郎氏に関する記事だった。 プチ鹿島は、携帯電話に過去の記事を蓄積しているほどの愛読者だ。日刊スポーツが創刊70周年を迎えた16年3月には、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏が「社会面の連載『政界地獄耳』が大好きで、日刊スポーツを手にした時は欠かさずに読んでいるんです」とコメント。政財界にとどまらず、スポーツ選手の間でも広く愛読されている。 政権に透けて見える「選民意識」／政界地獄耳ＳＰ２ https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201912310000879.html 2020年1月1日9時1分 日刊スポーツ 日刊スポーツの政治連載コラム「政界地獄耳」は今年、開始から30年の節目を迎える。日々動く永田町や霞が関で耳をそばだて、世に出る前の動きをキャッチし続ける筆者（K）氏と、連載を日々愛読し、筆者を「地獄耳師匠」とリスペクトしてやまない時事芸人・プチ鹿島（49）が、2020年の政界展望を語り合った。 ◇ ◇ ◇ 鹿島 ところで安倍さんは今年、どうなると思いますか。 地獄耳 今年は五輪もあって華やかな話題も多そうですが、僕は政局的には、激動の大政局が起きると思う。トランプ米大統領の再選の有無で世界中の空気が変わりますが、日本も相当変わるでしょうね。 鹿島 今年、オリパラで夢みたいなお祭り感は漂いますが、終わったり、ぱっとしないまま終わると、虚脱感の方が多いように思います。安倍首相も、憲法改正などいろんなものを今年、大団円を迎えたかったはずですが、見通しは立っていない。今年1年が終わって何もなければ、どうするんでしょう 地獄耳 経済の落ち込みも考えられるし、オリパラロスも起きるでしょう。「ひと区切り」の年になりかねません。 鹿島 衆院解散総選挙の可能性はありますか 地獄耳 自民党には「解散するなら今がチャンス」という人もいますが、勝ち負けの意味で与党は維持できても、国民との信頼関係がどんどんなくなってきている。原発政策と同じで、いくら技術的に安全と言っても、国民との信頼関係がない。信頼を取り戻す努力をしているかといえば、むしろ押し切ろうとしている。それが今の安倍政権の姿勢が似ている気がします。 鹿島 質問に答えないとか、ですね。 地獄耳 「問題ないですから」みたいな。でもそこは、モリカケ問題まで。桜を見る会の問題が終わらないのは、萩生田光一文科相の「身の丈発言」に代表されるように、「選民意識」が見えてしまったため。安倍政治は長く続きましたが、こういう「選民的ずる」みたいなものばかりじゃないかと。 鹿島 巨大な正義でも、巨悪でもないわけですよね 地獄耳 この中途半端なせこい感じに国民が飽きてくると、もっとダイナミックなことが起きかねない。それが大政局になりかねないということ。がらっと変わるかもしれません 鹿島 それは自民党の中からですか 地獄耳 国民にもあるのではないですか。令和の新しい時代になったのに、閉塞（へいそく）感が続いている。それを、国民自身が打破したくなるのではないか。安倍政権を倒せば打破できるという短絡的なものではなく、この空気は違うんじゃないか、という思いが生まれて来るのではないかと思います。もし、安倍さんが辞めるような事態が起きた場合、次の総理は7年間の尻ぬぐいが相当大変になります。 鹿島 相当すごい荷物を背負うということですね 地獄耳 安倍政治を継承するふりをして、否定していかないといけない。アベノミクスも外交もうまくいっていない。総括と検証の時期に入るでしょう。薄っぺらい政治を長くみせられ、みんなが慣れてしまった。だからこそ今、中村喜四郎さんが脚光を浴びているように思います 鹿島 おお。「無敗の男」ですね。 地獄耳 寡黙な男が本当に怒っているところに、説得力がある。政治的に、何か特別な立場に付くことはないかもしれませんが、中村さんのような男の生き方は今年、1つのかぎになるのではないか。昭和の政治家で、平成は沈黙を守り、令和に目覚めた。野党のとりまとめの救世主にもなるかもしれません。 鹿島 そうか、平成の間は寝ていた、と思えばいいわけですね 地獄耳 これまではある意味、小沢一郎さんが1人で踏ん張っていた。中村さんは、自民党の小沢幹事長の下で総務局長を務めた。その後たもとを分かち、まだ2人の距離はありますが、こういう政治のドロッとしたところが分かっている人が、野党でタッグを組むことで、空気は変わるのではないでしょうか。（次回は3日配信） |
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