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※2022年3月1日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2022年3月1日 日刊ゲンダイ2面
【正気か狂気か、抵抗は誤算か織り込み済みか】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) March 2, 2022
誰も読めない プーチンの常軌を逸した肚のうち
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/hAu3RO4kgl
※文字起こし
ロシアとウクライナの停戦交渉が28日、ウクライナとの国境に近いベラルーシ南東部で行われた。ロシア通信によると、両国代表団はこの日の成果をそれぞれ本国に持ち帰って検討の上、改めて交渉に臨む見通し。ロシア代表団は、次回交渉が数日中にポーランドとベラルーシの国境地帯で行われると明らかにした。
ただ、プーチン大統領は、問題解決にはウクライナの「非武装化」や「中立的地位」、クリミアにおけるロシアの主権承認が条件だと、28日に電話会談したマクロン仏大統領に伝えている。ウクライナに事実上の降伏を求めるものであり、とてもウクライナ側は受け入れられない。交渉は難航必至である。
もっとも、ロシアが停戦交渉のテーブルに着いたのは、想定外の戦況が影響しているのかもしれない。
北部、東部、南部の3方向からウクライナを取り囲んでいたロシア軍が24日に侵攻した際は、一両日中の首都キエフ陥落もあり得るとされたが、そうはならなかった。米英当局は「ロシア軍は兵站の問題とウクライナ側の強い抵抗に苦しんでいる」「ウクライナ軍の抗戦はロシア側の予想を上回る」と分析。ウクライナ軍も28日、「ロシア軍による首都キエフの占領工作は失敗した」との声明を発表した。
ここまでのウクライナの抵抗は誤算なのか織り込み済みなのか。プーチン大統領が焦っている、との見方が出てきている。
今回のロシアの侵攻は、情報戦や首脳外交で抑制を求めてきた欧米各国にとって「まさか本当にやるとは」だった。国際社会を完全に敵に回せば、経済的にも打撃が大きい。実際、ロシアの特定の銀行は国際的な決済ネットワーク「SWIFT」から締め出されることが決まった。経済制裁の強化を受け、ロシア中央銀行は28日、主要政策金利を10.5%引き上げ、20%にすると決めている。ルーブル暴落とハイパーインフレ対策だ。
国民を経済的困窮に陥らせる恐れがあってもお構いなし。禁じ手の核兵器使用まで示唆するプーチンはいまや、正気か、狂気か、の異次元にいる。プーチンがここまで常軌を逸した行動に至った背景に何があるのか。
プロパガンダに酔うプーチンのとめどない野望 |
「2019年12月の首脳会談で会っていた人物とは、もはや同じではなかった」
マクロンのこの発言は注目だ。最後まで侵攻回避の仲介役を目指したマクロンの見たプーチンは、2年前と比べ「よりかたくなになり、孤立している」印象で、「イデオロギーや国家安全保障にこだわる傾向がうかがえた」という。
米国からも「何かおかしい」との声が上がる。ブッシュ(子)政権で国務長官を務めたライス氏は「以前の彼とは違う。不安定に見え、違う人物になってしまっている」と、メディアの取材に語った。
プーチンの変質──。その一端を表すとされるのが、昨年7月にプーチンが発表した「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」と題された論文だ。「我々の精神的、人間的、文化的な絆は一つの起源にさかのぼる」と説き、ロシア人とウクライナ人、ベラルーシ人は一つの民族であり、ウクライナの首都キエフはロシアの各都市の母だとしている。つまり、1991年の旧ソビエト連邦崩壊後の30年はプーチンにとって“間違った”歴史だということなのだ。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「旧ソ連復活というのは領土の問題だけではない。ナショナリズムの高まりも関係しているでしょう。プーチンの主張は、新たな帝国をつくるにあたり、民族の一体化を目指すということ。ウクライナにベラルーシも加えた『大ロシア主義』とでも言うようなロシア帝国の復活です。そこには、人道や人権といった価値観は存在しない。マクロン大統領らから『かつてのプーチンではない』との声が出るのは、プーチンが自らのプロパガンダに酔いしれているうちに、思考をむしばまれ、現実が見えなくなっているのではないか」
英誌「エコノミスト」元編集長のビル・エモット氏は毎日新聞のコラム(27日付)で、<プーチン大統領が目標としてきたのは、ロシアが通常のルールを適用されない超大国と見なされることだった>と書いた。“超大国”の野望はとどまるところを知らない。<ウクライナだけで、ことは終わらないだろう>として、<欧州の安全保障全体を左右する発言力と影響力を持つことだ>と予測した。
ソ連復活を夢見る独裁者をどうやったら止められるのだろうか。
KGBスパイとして目の当たりにした東西冷戦終結のトラウマ |
プーチンはソ連崩壊を「20世紀最大の地政学的大惨事」と呼んだ。ソ連の復活、強いロシアを再び、という思考に至ったのには、KGBのスパイとして東西冷戦終結を目の当たりにしたトラウマがあると専門家らは分析する。
東西ドイツを分断していた「ベルリンの壁」が崩壊した1989年。プーチンは旧東ドイツのドレスデンで暮らしていた。壁崩壊により自由を求める群衆は、ドレスデンのKGBのビルにも押し寄せ、プーチンはその群衆と対峙した原体験を持つ。
1990年にプーチンはソ連に戻ったが、翌91年、ソ連は崩壊。冷戦の勝者は米国を代表とする西側諸国という屈辱。90年代以降、世界秩序は米国一極体制となり、かつてのソ連邦構成国からもバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)などが米主導の軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)に加盟するまでになった。
しかし、米国は2000年代にアフガニスタンやイラクに派兵した「対テロ戦争」で疲弊。オバマ大統領時代に「世界の警察官ではいられない」と宣言した。米国の明らかな弱体化だった。そしてトランプ大統領が登場し、米国内の分断が進む。それはバイデン政権となってますます加速し、バイデンは国内対策でアフガン駐留米軍を完全撤退させた。中国の台頭もあり、米国の指導力が著しく低下したいまが、ソ連復活の好機到来とプーチンは捉えたのだろう。
国際ジャーナリストの春名幹男氏は言う。
「プーチンはソ連崩壊以降の西側に対して、強い報復の念を抱いてきた。2014年にウクライナ南部のクリミアを併合したことで一定の目的を果たしましたが、トランプ大統領誕生やブレグジット(英国のEU離脱)による欧州の分断、米のアフガン撤退で欧米の結束が揺らいだことなど、報復を実行に移すさらなるチャンスが来たとプーチンは見た。ただ、ウクライナをナメてかかり、いきなり全面戦争を仕掛けたものの、ウクライナ側の徹底的な抵抗に遭って苦戦を強いられている。大きな誤算でしょう」
国際社会との協調など微塵も考えていないプーチンに対し、世界中で大規模な反戦デモが湧き起こっている。ドイツ・ベルリン中心部のブランデンブルク門付近には27日、10万人以上がウクライナ国旗を表す青と黄の装束で行進し、連帯を表明した。こうした国際世論がプーチンに通じるのか。ウクライナにおいて、さらなる流血が続けば、国際社会は元の鞘に戻れない袋小路に入り込んでしまう。
「48時間以内のキエフ制圧がかなわなかった。反戦デモの拡大を受け、ドイツはロシアの銀行のSWIFT締め出しに同意した。いずれもロシアにとって想定外で、プーチンは追い込まれている。最悪シナリオは『小型核の使用』です。平気で国際法を犯せる指導者なのですから、ここまで来たらもう失うものはない、となってもおかしくありません」(五野井郁夫氏=前出)
それだけは避けなければならないが、この先、何が起こるのか。プーチンの肚のうちは誰にも読めない。プーチンにしかこの戦争は止められない。
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