http://www.asyura2.com/19/warb23/msg/804.html
Tweet |
敗北が間近のキエフ政権を支えるため、米英政府が核戦争も辞さないのはなぜか
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202206050000/
2022.06.06 櫻井ジャーナル
ウクライナ情勢をめぐり、ドイツ政府の動きが注目されている。アメリカのジョー・バイデン政権は6月1日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権に対してHIMARS(高機動ロケット砲システム)を含む約7億ドル相当の武器を追加供給すると発表したが、ドイツに対しても高性能兵器の供給を求めているのだ。
ドイツで議論されているのは防空システムに使われる赤外線追尾の中距離地対空ミサイル「IRIS-T SLM」だが、ドイツを訪問したウクライナ議会のロスラン・ステファンチュク議長は潜水艦を求めた。
IRIS-T SLMはウクライナへ引き渡すつもりのようだが、時期が問題になっている。ドイツの情報機関「BND(連邦情報局)」の分析によると、ウクライナ側の抵抗は7月いっぱいで終わり、ロシア軍は8月にドンバス全域を制圧できる。ドンバスでウクライナ軍が組織的に戦うことができなくなると、一気にドニエプル川までロシア軍は制圧する可能性があるため、早急に兵器を供給するようドイツ政府は求められているのだが、物理的な困難に直面しているようだ。
ウクライナ政府もアメリカ政府もロシアを弱体化、あるいは殲滅するために攻撃を続けることを隠していない。そうした集団が高性能兵器をウクライナへ持ち込む以上、ロシアを攻撃する意図があると考えなければならない。すでに供給されたT-72戦車がキエフの近くに集められていたが、それらをロシア軍は攻撃、破壊したようだ。
ロシア軍は2月24日からウクライナに対する軍事作戦を始めたが、アメリカ軍の情報機関DIAもロシア軍が長距離ミサイルが攻撃している目標は軍事施設だと説明、住民が狙われているとする話を否定していた。
アメリカの国防総省がウクライナに建設していた兵器クラスの危険な病原体を扱う研究施設もターゲットになったようだ。ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は3月7日、ウクライナの研究施設で回収した文書から同国にはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると発表。そうした研究施設で鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。
こうした研究施設の存在はウクライナのアメリカ大使館も認めていた事実で、アメリカの上院外交委員会では3月8日にビクトリア・ヌランド国務次官がウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について証言している。
マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、ヌランドは兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語った。つまり、ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかったのである。
その後ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党が病原体研究の思想的な支柱で、その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDC(疾病予防管理センター)を含む政府機関だという。
資金はアメリカの予算からも出ているが、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ハンター・バイデンのロズモント・セネカ・パートナーズ、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などもスポンサーだ。
そのほか、生物兵器の研究開発システムにはアメリカ大使館、国防総省の契約企業であるメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、スカイマウント・メディカル、そしてCH2Mヒルなど、またファイザー、モデルナ、メルク、ギリアドを含む医薬品会社が組み込まれ、ドイツやポーランドも関係している。
ウクライナの問題を語る場合、この国が「寄せ集め国家」だということを忘れてはならない。東部や南部の地域はロシアから割譲され、住民の多くはロシア語を使い、文化や宗教もロシアに近かった。そこで、選挙では明確に西と東で支持者が別れる。均一な「ウクライナ人」は存在しないのだ。
アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行、東部地域と南部地域を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチを倒した。アメリカ政府がクーデターの主力として使ったのがネオ・ナチのグループで、その中核が「右派セクター」だった。そのクーデターを指揮していたのが国防次官補だったビクトリア・ヌランドだ。
戦闘員の訓練などNATOもクーデターを支援していたが、2013年5月から16年5月までSACEUR(NATO欧州連合軍最高司令官)を務めた軍人がアメリカ空軍のフィリップ・ブリードラブ大将。今年4月7日、核戦争への恐怖がプーチンに対する適切な対応を西側はとれないのだと発言した人物だ。
ブリードラブがこのように発言した理由はウクライナの戦況が自分たちにとって良くない展開になっていたからだろう。もっとゼレンスキー政権を軍事的に支援しろと言っているように聞こえる。
ウクライナの治安機関でCIAの下部機関でもあるSBU(ウクライナ保安庁)は反クーデター派を誘拐したり、拷問したり、暗殺してきたが、元SBU将校のバシリー・プロゾロフによると、SBUには「死の部隊」がある。
ロシア軍によるマリウポリ制圧が見通されていた4月21日になると、ミコライフ州で知事を務めるビタリー・キムは「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と宣言、そのために秘密部隊を編成したとしていた。「裏切り者」とはウォロディミル・ゼレンスキー大統領の政策に同意しない人びとであり、かつての日本で「国賊」とみなされた人びとに重なる。「国賊狩り」の様子もメディアは伝えていた。マリウポリ空港の地下にはSBUの「図書館」と呼ばれる秘密刑務所があり、拷問も行われていたとする証言もある。
ロシア軍が攻撃を始めた直後からネオ・ナチはロシアとの話し合いによる解決を望む人びとを排除してきたが、4月になって「国賊狩り」のターゲットが一般市民に拡大、恐怖政治が強化されている。
最も早い段階でネオ・ナチの犠牲になったとみられているのは、ロシア話し合いでの解決を目指していたボロディミル・ストルク。3月1日に誘拐され、拷問された上で射殺されている。
3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBU(ウクライナ保安庁)の隊員に射殺され、3月7日にはゴストメルのユーリ・プライリプコ市長の死体が発見されている。ウクライナ全体では11名の市長が行方不明だともいう。
アントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官は4月24日にキエフを極秘訪問、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と3時間ほど会談したと伝えられているが、その際、アメリカ側はさらなる軍事面や外交面の支援を約束している。4月25日にオースチン国防長官は支援の目的を「ロシアの弱体化」にあると語ったが、ロシアの現体制を転覆させ、ウラジミル・プーチン大統領を排除することが目的だと理解されている。
キム知事の発言から8日後、アメリカ国防総省のジョン・カービー報道官は同国がドイツでウクライナ軍の兵士に榴弾砲やレイダーの扱い方を訓練すると発表、30日にナンシー・ペロシ下院議長に率いられた議員団がウクライナを突如訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの支援継続を誓った。そしてアメリカ議会はウクライナに対する400億ドル相当の支援を5月19日に承認。
核戦争への恐怖がプーチンに対する適切な対応を西側はとれないのだというブリードラブの発言から2日後、イギリスのボリス・ジョンソン首相がキエフを訪問、それを境にしてロシア政府とウクライナ政府の停戦交渉は止まっている。
スイスのダボスで開かれたWEF(世界経済フォーラム)の年次総会でも興味深い発言があった。民主党のジョー・マンチン上院議員はウクライナがロシアと何らかの和平合意を結ぶことに反対すると表明したのだが、同じ総会にオンライン参加したヘンリー・キッシンジャーは平和を実現するためにドンバスやクリミアを割譲するべきだと語っている。ロシアの破壊と世界制覇を目指しているネオコンやその背後にいる私的権力は怒ったようだが、キッシンジャーは遅くとも2014年からそう主張していた。
キッシンジャーは2014年3月、つまりクーデターの翌月にはロシアとウクライナの歴史的に特殊な関係にあることを理解しなければならないと指摘、オバマ政権が実行した暴力的クーデターを批判していた。
それに対し、ジョージ・ソロスは5月24日、ロシア軍の攻撃で「第3次世界大戦」が始まったの可能性があるとし、「西側文明」は「生き残る」ため、できるだけ早くロシアを打倒しなければならないとWEFで主張している。米英金融資本にとって目障りな政権、体制を殲滅するのが彼の信条だ。
しかし、ソロスと親しいとされているコロンビア大学のジェフリー・サックス教授はロシアとの交渉を再開することがウクライナの利益になるとし、NATOをウクライナやジョージアへ拡大させることは無責任だということをアメリカ政府は理解すべきだとも主張している。
オバマ政権がウクライナで仕掛けたクーデターはNATOの東方拡大政策と結びついているが、ジョージ・ケナンは1998年5月にそうした政策を懸念する意見を表明している。ケナンは半コミュニストの外交官でソ連を敵視、「封じ込め政策」を打ち出したことで知られているが、そうした立場から見てもネオコンの政策は危険だと思えたのだろう。
西側支配層の内部で対立が激しくなっている。
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。