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ペトロダラーシステム
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/822.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 4 月 21 日 19:24:00: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: アメリカ人は頭がおかしい 投稿者 中川隆 日時 2020 年 3 月 11 日 18:34:29)

ペトロダラーシステム


2020.04.21
原油価格マイナス!史上初! 通貨紙屑化の重要サイン来たーーー!
https://golden-tamatama.com/blog-entry-oil-value-minus.html


つぉぉぉぉおお。

ぇああああああああ。
何このチャート。
原油価格がぁぁあ。

初のマイナスになってしまいますた。

逆オイルショック来たー

価格がマイナスってどういうこと?
イメージつきにくいかもしれませんが。
石油買ったらお金貰えるということです。

初の原油価格マイナスを受けて
NYダウも592ドル安。

はい。
そうか。
これからガソリン価格安くなるんだ。
ワーイ(∩´∀`)∩
そんな単純な話じゃない。
もっと根本的な。。
次の段階。
そう。
これは次の段階の重要なサイン。
通貨の紙屑化。
いよいよ来る。
なぜそうなるのか。
前に書いた説明を再度載せときます。
皆さん知っての通りアメリカは借金大国ですよね。
不思議に思わないでしょうか、なんで毎年あんな借金してやってけるんだ?
毎年80兆の赤字。
輸入と輸出の差し引きが輸入が80兆も上回っている借金大国です。

えっ?
アメリカってそんなに毎年赤字なの?
だってgoogleとかappleとかfacebookとかamazonがあるじゃない。
それはアメリカのシリコンバレーの企業でしょ。
いやいや、IT企業はどっちかというと無国籍企業です。
タックスヘイブン企業。
アメリカの会社じゃぁありません。
アメリカは自動車、電気製品、食料品。
ありとあらゆるものを輸入してます。
完全輸入超過大国です。
これを個人の家計で例えるなら、支出と収入で差し引き毎年800万の赤字。
収入がちょびっとしかないのに、毎年バカスカ買い物してるキチガイ一家ってことです。
普通なら破産しちゃいますよね。
ぇえ?
なんでそれでやってけるの?
どらえもーーん。
毎年無駄遣いし過ぎて借金で首が回らないよ〜。
もうしょうがないなぁ のび太君は。

はい。
ペトロダラーシステム〜
じゃーん。

これを使えばどんなに借金をしようがやってけるんだ。
わーい(∩´∀`)∩
ありがとうカネえもーん。
そう。何度も今まで書いたことですね。
そりゃぁあんた。
米ドルが基軸通貨だからです。
アメリカはとにかく毎年米ドルを刷りまくってる。
そのため借金しようがなんだろうが、やってけるのです。
ぇ?
でも、そんなに米ドルを刷りまくったらハイパーインフレになるんじゃない?
例えばベネズエラなんて、こんなハイパーインフレになっちゃいますたよ。

いやいや。
ベネズエラの通貨ボリバルなんて誰も欲しがりません。
というか通貨名すら知りません。
そんな通貨を刷りまくったらそりゃインフレになるのは当たり前です。
でも、米ドルは世界中の人が欲しがってますよね。
だから米ドルは紙屑にならないのです。
これをペトロダラーシステムというのです。
アメリカが借金大国なのにやっていける仕組み。
米ドルが紙屑にならない仕組み。
例えばあなたが世界のどっかの国の人だとします。
そうですね。
あなたは例えば極北のアイスランド人だったとして。
ガクガクガクガク。
寒い。凍え死ぬ。
石油欲しい。
石油欲しいよ〜
そう思って、サウジアラビアさんに問い合わせる。
すみません。石油売ってくれませんか?
そうすると、1バレル70ドルですね。
そう言われる。
ドル以外では買えないんですか?
アイスランドの通貨クローナでは買えないの?
すみません。うちはドルでしか売ってないんですよ。
そう断られる。
そうですか。。。
で、しょうがないので他のイラクとかクェートとかいろんな国に問い合わせる。
でも、全部ドルでしか売ってくれないのですた。
実は原油はぜーーーんぶドルでしか買えない。
つまり、あなたは原油を手に入れようと思ったら、
まず自分の通貨とドルを交換してからそれで原油を買わざる得ないのですた。
これをペトロダラーシステムと言うのですた。
ペトロ(石油)とドルをくっつけた造語です。
ってことは普通に分かると思いますが、ドルの価値は下がりませんね。
だって、世界中の人が石油を欲しがる限り、ドルと交換したがるわけですから。
なので米ドルを刷りまくってもインフレにならないのです。
で、産油国はどんどん米ドルが貯まってきちゃいます。
当たり前ですが。
この溜まった米ドルどうしよう。
で、産油国はその米ドルをなにかで運用しようとするのですが、どこで運用するでしょうか。
実は、産油国はその米ドルで米国債を買ってるんですね。
つまりアメリカにお金を貸してあげてるのです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kosugetsutomu/20180109-00080211/


https://golden-tamatama.com/wp-content/uploads/2018/03/WS20180220AZC21AGAG000611.jpg

サウジアラビアさんなどの産油国は貯まった米ドルで米国債(借用証書)を買ってるのです。

これが必殺のペトロダラーシステムです。
どらえもんの出してくれた打出の小づち。

これで借金大国アメリカは維持されているのですた。
まわりまわって価値がアメリカに還流する仕組み。
どんなに使おうが、価値が回って戻って来るのです。
はい。
ですから
原油がマイナスになった。
この意味分かりますね。
その仕組みが逆回転し始めるのです。
今まで価値が米国にまわって来たものが、
今度は米国から価値がどんどん逃げてくくということです。
米ドルは石油価格で、価値を裏付けされてきた。
でも、マイナスになったということは。
こんな紙屑、なんで引き受けなきゃならないの?
引き受けてあげてもいいけど、保管料5万円よこせ。
このようになるのです。

いや、基軸通貨ドルに重要なサイン出た。
いよいよ来た。
世界の株価は半値戻しつつある。
でもそこから真っ逆さまに。。
かなり近い。
ひじょーに近い。

https://golden-tamatama.com/blog-entry-oil-value-minus.html
 

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コメント
1. 中川隆[-13047] koaQ7Jey 2020年4月21日 19:38:49 : 0mSWXSkwek : Lmc3M2g0VW5abnM=[14] 報告

ペトロダラーの終焉か、人民元建て原油先物の取引開始迫る
小菅努 | マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
2018/1/9
https://news.yahoo.co.jp/byline/kosugetsutomu/20180109-00080211/


中国で人民元建て原油先物取引が間もなく開始される。昨年12月に中国政府は取引開始の最終承認を行っているが、ポータル・ニュースサイト界面(Jiemian.com)は匿名の先物業者の話として、「1月18日」の取引開始で決まったと報じている。上場される上海期貨交易所の上海国際エネルギー取引所(INE)からの正式発表は行われていないが、12月中にシステムテストも終わっており、昨年から何度も延長が繰り返されていた人民元建て原油先物取引の開始が間近に迫っている。

国際原油価格については、米国のNYMEXで取引されているWTI原油先物、欧州のICEで取引されているブレント原油先物、そして中東(ドバイ)原油の三つが国際指標になるが、いずれもドル建てで取引されている。1バレル(約159kl)を何ドルにするのかを市場で決定し、これを指標価格に油種などに応じて各国が取引価格を決定していく流れになる。

一方、日本では東京商品取引所(TOCOM)がドバイ原油先物取引を上場しており、これは1klを何円にするのかを決定している。国内ではリットル単位の方が利便性が高く、自国通貨である円建ての指標価格を決定している。

その意味では、中国で人民元建て原油先物取引が開始されても、何ら議論に値しないとみることもできる。実際に、中国には上海期貨交易所の他に大連商品取引所、鄭州商品取引所などの大型の商品取引所が存在しており、工業用素材から農産物まで幅広いコモディティ(商品)の人民元建て指標価格が決定されている。

しかし、マーケットでは人民元建て原油先物取引の開始は、銅や大豆といった他のコモディティ先物取引とは異なる意味がある動きとの評価が存在している。すなわち、単純に人民元建て原油の指標価格を決定するのみならず、中国のより大きな国家戦略の中に位置づけられる動きとみられているのだ。具体的には、国際基軸通貨ドルに人民元が挑戦する通貨戦略がいよいよ佳境に入ったとみられている。


■ペトロダラーに挑戦する中国

この議論を理解するためには、「ペトロダラー(Petrodollar)」の話から始めなければならない。あまり聞きなれない言葉かもしれないが、「petroleum(=石油)」と「dollar(=ドル)」を合成した用語であり、国際原油取引では米ドルが国際決済通貨の殆どを占めることで、このような呼ばれ方をする。もっと踏み込むと、国際基軸通貨としてのドルの地位を維持するために、あらゆる国が必要としている石油をドルのみで取引する体制を創出・維持することを通じて、ドルの地位を守るアメリカの国家戦略システムと言える。

ペトロダラーの役割を重視する人達は、このペトロダラーの再循環(リサイクル)体制こそが、米国が世界最大の超大国としての地位を守るために、重要な役割を果たしていると考える。アメリカは「双子の赤字」と言われる巨額の貿易赤字と財政赤字を抱えており、通常であればインフレや通貨価値の低下、国際通貨としての地位低下といったアメリカにとって歓迎できない動きが想定される。それにもかかわらず、一貫して巨額の軍事支出が可能であり、中国に次ぐ世界第二位の経済規模を維持できているのは、ペトロダラーの再循環体制の恩恵と言える訳だ。

ロジックとしては、あらゆる国家は石油を必要としており、その国際決済をドルで行う限りは、産油国に巨額のドルが流れ込むことになる。そして、産油国はこのドルを米国債購入などを通じて米経済に還流させることで、アメリカの経済・財政を支援することになる。そしてアメリカはこうした流れを維持するために原油価格を高値誘導する必要があり、国際通貨基金(IMF)などを通じて新興国に資金援助(ドル)を行い、そのドルが原油購入を通じて再び米国に帰ってくる流れになる。


こうした視点からは、米経済とドルはペトロダラーの再循環体制によって支えられていると言え、今回の中国による人民元建て原油先物取引の開始は、このポスト金本位制のアメリカ経済とドルを支えてきた体制への挑戦ではないかとみられているのだ。

この辺の議論は陰謀論のようなものも数多く、例えばブッシュ政権がイラク攻撃で湾岸戦争に踏み切った背景としては、その当時のフセイン大統領が原油取引の決済をドル建てからユーロ建てに移行すると表明したことが、アメリカの「レッドライン」を超えたとの見方がある。イラクがペトロダラー体制に明確な反旗を翻したことで、他産油国がこうした動きに同調することを阻止するための見せしめとして、アメリカはイラク攻撃に踏み切ったという訳だ。

本稿ではこうした分析の是非については評価しないが、いずれにしても金、ドル、原油市場などには、ペトロダラーの再循環体制が崩壊した場合には、経済・政治・軍事などの面で大きな混乱が生じるとの見方が存在していることは間違いない。中国の人民元国際化への歩みが新たなステージに突入し、ペトロダラー再循環体制に危機が生じるとの見方が存在することが、人民元建て原油先物取引開始の動きが、マーケットで注目されている理由である。

従来は、ペトロダラーに挑戦する通貨があるとすればユーロだとみられていたが、欧州債務危機でユーロは自滅してドルに挑戦する当面の権利を失った。こうした中、世界最大の経済規模を確立し、軍事・政治の点でもプレゼンスを増す中国の通貨人民元が、いよいよドルに本格挑戦を開始する一里塚になるかもしれない動きになっている。


■結論が出るまでは長い時間が必要

仮に世界最大の原油輸入国である中国が、原油取引を順次人民元建てに移行することができれば、原油市場のみならずドルや金市場、更には国際政治・軍事にも大きな影響が生じる可能性がある。中国は既に「一帯一路(シルクロード経済圏)」構想において、資金提供を人民元建てで行うと同時に、地域の資源調達においても人民元決済を広げるなど、中国国外にも人民元建て決済圏を広げる努力を行っている。

その最終段階ともいえる国際基軸通貨ドルへの挑戦は1年や2年で結論が出るものではないが、少なくとも中国の原油取引決済でドルから人民元へのシフトが進めば、ペトロダラー再循環体制の議論を無視するとしても、ドルを取り巻く環境には大きな変化が生じる可能性がある。

ここ数年の通貨市場では法定通貨と仮想通貨との共存が可能かを巡る議論が活発化しているが、その法定通貨内では人民元のドルに対する挑戦が着実にレベルを引き上げている。TOCOMのドバイ原油先物上場などと、中国の原油先物上場の議論は、全く別次元のものである可能性が高いのだ。中国の人民元建て原油先物価格のスタートで、世界の政治経済環境に大きな変革が生じるか否かが注目される局面になっている。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kosugetsutomu/20180109-00080211/

2. 中川隆[-13032] koaQ7Jey 2020年4月22日 09:19:59 : 13OAtnQgho : d2VxeFFzSXBVMTI=[7] 報告

マイナスの原油価格が語るものとは?専門家の意見
© REUTERS / Maxim Shemetov 2020年04月22日

ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)でWTI(West Texas Intermediate)先物の5月物が月曜日の終値で300%暴落し、1バレルあたりマイナス37.63ドルまで落ち込んだ。このショッキングな数字は何を意味するのか、これにより世界経済は大惨事シナリオにどれだけ近づくのか、スプートニクが専門家にきいた。
金融アナリストのアンナ・コロリョワ氏は、今後の状況について、控えめながらも楽観的な予測を語った。

「どの産油国も採掘を行う企業に費用を支払わなければなりません。原価はどう計算しても、1バレル30ドルを下りません。企業にしてみれば、価格がマイナスになれば、倒産した方がマシです。身を切って従業員に給与を支払い、さらに生産した原油を買い取ってもらうために購入者に追加の支払いをするよりは、その方がマシです。これは完全に非現実的なシナリオであるため、原油価格の状況は必ず正常化します。もちろん、すぐ近い将来という訳にはいきませんが、私の予測では2ヶ月ほどで、市場に積み上がった膨大な在庫がはければすぐに、原油は値上がりするでしょう。」

1兆ドルで日本の経済は救われるか?

4月9日、OPECプラスの産油国は合計で日量1000万バレルの減産を話し合うビデオ会議を実施した。そのとき、メキシコ以外のすべての参加国が減産提案に同意し、翌日にはメキシコもアメリカと減産を調整した。それなのに、なぜこの合意が効かなかったのか?

アンナ・コロリョワ氏は言う。「完全に均衡を失った原油市場は、事実上、依然として続いています。今の市場には、コロナウイルスのパンデミックによる急激な不安定が原因で、何をしても効きません。たとえ政治化の声明でもです。市場は単に彼らを信じておらず、具体的なタイミングでどうするのが良いかという自らの考えに基づいて行動しているのです。」

ここでもうひとつ当然の疑問が湧いてくる。どうしてこの最悪で恐ろしい石油価格暴落が、ベンチマークだと考えられている北海ブレントではなく、WTI先物の5月物で起こったのだろうか?(編集部注:北海ブレントとWTIは、比重や加工度(精製レベル)の仕様が異なる2つの油種である。)

アンナ・コロリョワ氏は、今回のWTI先物の5月物には具体的な投機的要素があったと考えている。「これは(価格を暴落させ、市場の自然な動きを待たずに、上がるところで稼ごうとする)投機的な売りです。ですから、WTI先物の状況は近いうちに解消すると考えるのが合理的です。つまり、大暴落はおそらく通常の市場の下落に変わるだろうということです。そしてWTI先物の価格も近いうちに元に戻るはずです。」

ただしコロリョワ氏は、コロナウイルスによる世界経済の損失額を計算した人はまだいないため、石油価格を「当てる」ことや石油市場を正確に予測することには、現段階では意味がないと考えている。
https://jp.sputniknews.com/business/202004227385361/

3. 中川隆[-13017] koaQ7Jey 2020年4月22日 13:58:38 : 13OAtnQgho : d2VxeFFzSXBVMTI=[22] 報告
焼け太り中国がコロナ後に世界を支配する


コロナ後の世界 - 内田樹の研究室 2020-04-22
http://blog.tatsuru.com/2020/04/22_1114.html

『月刊日本』にロングインタビューが掲載された。「コロナ後の世界」について。


■「独裁か、民主主義か」という歴史的分岐点

―― 世界中がコロナ危機の対応に追われています。しかしたとえコロナが収束しても、もはや「元の世界」には戻らないと思います。内田さんはコロナ危機にどんな問題意識を持っていますか。

内田 新型コロナウイルス禍は、これからの世界のあり方を一変させると思います。「コロナ以前」と「コロナ以後」では世界の政治体制や経済体制は別のものになるでしょう。

 最も危惧しているのは、「新型コロナウイルスが民主主義を殺すかもしれない」ということです。こういう危機に際しては民主国家よりも独裁国家の方が適切に対処できるのではないか・・・と人々が思い始めるリスクがある。今回は中国が都市閉鎖や「一夜城」的な病院建設や医療資源の集中という、民主国家ではまず実施できない政策を強権的に下して、結果的に感染の抑制に成功しました。逆に、アメリカはトランプ大統領が秋の大統領選での再選という自己都合を優先させて、感染当初は「まったく問題ない」と言い張って初動に大きく後れを取り、感染が広がり出してからは有権者受けを狙った政策を連発しました。科学的で巨視的な対策を採れなかった。

 この差は、コロナ禍が終息した後の「アメリカの相対的な国威の低下」と「中国の相対的な国威の向上」として帰結すると予測されます。パンデミックを契機に、国際社会における米中のプレゼンスが逆転する。

 中国は新型コロナウイルスの発生源になり、初期段階では情報隠蔽や責任回避など、非民主的体制の脆さを露呈しましたが、党中央が仕切るようになってからは、強権的な手法で一気に感染拡大を抑え込んだ。それだけではなくて、中国は他国の支援に乗り出した。中国はマスクや検査キットや人工呼吸器や防護服などの医療資源の生産拠点です。どの国も喉から手が出るほど欲しがっているものを国内で潤沢に生産できる。このアドバンテージを利用して、習近平は医療支援する側に回った。

 イタリアは3月初旬に医療崩壊の危機に瀕しました。支援を要請しましたがEUの他のメンバーは反応してくれなかった。中国だけが支援を申し出た。人工呼吸器、マスク、防護服を送りました。これでイタリア国民の対中国評価は一気に上がった。知り合いのイタリア人も「いま頼りになるのは中国だけだ」と言っていました。

 もちろん中国も国益優先です。でも、トランプは秋の大統領選までのことしか考えていないけれど、習近平はこれから5年先10年先の地政学的地位を見越して行動している。短期的には「持ち出し」でも、長期的にはこの出費は回収できると見越して支援に動いた。この視野の広さの差がはっきりした。コロナ禍への対応を通じて、中国は国際社会を支える能力も意志もあることを明示し、アメリカは国際社会のリーダーシップを事実上放棄した。コロナ禍との戦いはこれから後も場合によっては1年以上続くかも知れませんが、アメリカがどこかで軌道修正をしないと、これ以後の国際協力体制は中国が指導することになりかねない。

―― 今回、中国の成功と米国の失敗が明らかになった。それが「コロナ以後」の政治体制にもつながってくるわけですね。

内田 そうです。今後、コロナ禍が終息して、危機を総括する段階になったところで、「米中の明暗を分けたのは政治システムの違いではないか」という議論が出て来るはずです。

 米中の政治システムを比較してみると、まず中国は一党独裁で、血みどろの権力闘争に勝ち残った人間がトップになる。実力主義の競争ですから、無能な人間がトップになることはまずない。それに対してアメリカの有権者は必ずしも有能な統治者を求めていない。アレクシス・ド・トクヴィルが洞察した通り、アメリカの有権者は自分たちと知性・徳性において同程度の人間に親近感を覚える。だからトランプのような愚鈍で徳性に欠けた人間が大統領に選ばれるリスクがある。トクヴィルの訪米の時のアメリカ大統領はアンドリュー・ジャクソンでインディアンの虐殺以外に見るべき功績のない凡庸な軍人でしたが、アメリカの有権者は彼を二度大統領に選びました。さいわいなことに、これが中国だったら致命的なことになりますが、アメリカは連邦制と三権分立がしっかり機能しているので、どれほど愚鈍な大統領でも、統治機構に致命的な傷を与えることはできない。

 少なくとも現時点では、アメリカン・デモクラシーよりも、中国的独裁制の方が成功しているように見える。欧州や日本でも、コロナに懲りて、「民主制を制限すべきだ」と言い出す人が必ず出てきます。

 中国はすでに顔認証システムなど網羅的な国民監視システムを開発して、これをアフリカやシンガポールや中南米の独裁国家に輸出しています。国民を監視・管理するシステムにおいて、中国はすでに世界一です。そういう抑圧的な統治機構に親近感を感じる人は自民党にもいますから、彼らは遠からず「中国に学べ」と言い始めるでしょう。


■なぜ安倍政権には危機管理能力がなかったのか

―― そのような大勢のなかで日本の状況はどう見るべきですか。

内田 日本はパンデミックの対応にははっきり失敗したと言ってよいと思います。それがどれくらいの規模の失敗であるかは、最終的な感染者・死者数が確定するまでは言えませんが、やり方を間違えていなければ、死者数ははるかに少なく済んだということになるはずです。

 東アジアでは、ほぼ同時に、中国、台湾、韓国、日本の4か国がコロナ問題に取り組みました。中国はほぼ感染を抑え込みました。台湾と韓国は初動の動きが鮮やかで、すでにピークアウトしました。その中で、日本だけが、感染が広まる前の段階で中国韓国やヨーロッパの情報が入っているというアドバンテージがありながら、検査体制も治療体制も整備しないで、無為のうちに二カ月を空費した。準備の時間的余裕がありながら、それをまったく活用しないまま感染拡大を迎えてしまった。

―― なぜ日本は失敗したのですか。

内田 為政者が無能だったということに尽きます。それは総理会見を見れば一目瞭然です。これだけ危機的状況にあるなかで、安倍首相は官僚の書いた作文を読み上げることしかできない。自分の言葉で、現状を説明し、方針を語り、国民に協力を求めるということができない。

 ドイツのメルケル首相やイギリスのボリス・ジョンソン首相やニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事はまことに説得力のあるメッセージを発信しました。それには比すべくもない。

 安倍首相は国会質疑でも、記者会見でも、問いに誠実に回答するということをこれまでしないで来ました。平気で嘘をつき、話をごまかし、平気で食言してきた。一言をこれほど軽んじた政治家を私はこれまで見たことがありません。国難的な状況では決して舵取りを委ねてはならない政治家に私たちは舵取りを委ねてしまった。それがどれほど日本に大きなダメージを与えることになっても、それはこのような人物を7年間も政権の座にとどめておいたわれわれの責任です。

 感染症対策として、やるべきことは一つしかありません。他国の成功例を模倣し、失敗例を回避する、これだけです。日本は感染拡大までタイムラグがありましたから、中国や台湾、韓国の前例に学ぶ時間的余裕はあったんです。しかし、政府はそれをしなかった。

 一つには、東京オリンピックを予定通り開催したいという願望に取り憑かれていたからです。そのために「日本では感染は広がっていない。防疫体制も完璧で、すべてはアンダーコントロールだ」と言い続ける必要があった。だから、検査もしなかったし、感染拡大に備えた医療資源の確保も病床の増設もしなかった。最悪の事態に備えてしまうと最悪の事態を招待するかも知れないから、何もしないことによって最悪の事態の到来を防ごうとしたのです。これは日本人に固有な民族誌的奇習です。気持ちはわからないでもありませんが、そういう呪術的な思考をする人間が近代国家の危機管理に当るべきではない。

 先行する成功事例を学ばなかったもう一つの理由は安倍政権が「イデオロギー政権」だからです。政策の適否よりもイデオロギーへの忠誠心の方を優先させた。だから、たとえ有効であることがわかっていても、中国や韓国や台湾の成功例は模倣したくない。野党も次々と対案を出していますが、それも採用しない。それは成功事例や対案の「内容」とは関係がないのです。「誰」が出した案であるかが問題なのです。ふだん敵視し、見下しているものたちのやることは絶対に模倣しない。国民の生命よりも自分のイデオロギーの無謬性方が優先するのです。こんな馬鹿げた理由で感染拡大を座視した国は世界のどこにもありません。

 安倍政権においては、主観的願望が客観的情勢判断を代行する。「そうであって欲しい」という祈願が自動的に「そうである」という事実として物質化する。安倍首相個人においては、それは日常的な現実なんだと思います。森友・加計・桜を見る会と、どの事案でも、首相が「そんなものはない」と宣告した公文書はいつのまにか消滅するし、首相が「知らない」と誓言したことについては関係者全員が記憶を失う。たぶんその全能感に慣れ切ってしまったのでしょう、「感染は拡大しない。すぐに終息する」と自分が言いさえすれば、それがそのまま現実になると半ば信じてしまった。

 リスクヘッジというのは「丁と半の両方の目に張る」ということです。両方に張るわけですから、片方は外れる。リスクヘッジでは、「準備したけれど、使わなかった資源」が必ず無駄になります。「準備したが使用しなかった資源」のことを経済学では「スラック(余裕、遊び)」と呼びます。スラックのあるシステムは危機耐性が強い。スラックのないシステムは弱い。

 東京五輪については「予定通りに開催される準備」と「五輪が中止されるほどのパンデミックに備えた防疫対策策の準備」の二つを同時並行的に行うというのが常識的なリスクヘッジです。五輪準備と防疫体制のいずれかが「スラック」になる。でも、どちらに転んでも対応できた。

 しかし、安倍政権は「五輪開催」の一点張りに賭けた。それを誰も止めなかった。それは今の日本の政治家や官僚の中にリスクヘッジというアイディアを理解している人間がほとんどいないということです。久しく費用対効果だとか「ジャストインタイム」だとか「在庫ゼロ」だとかいうことばかり言ってきたせいで、「危機に備えるためには、スラックが要る」ということの意味がもう理解できなくなった。

 感染症の場合、専門的な医療器具や病床は、パンデミックが起きないときにはほとんど使い道がありません。だから、「医療資源の効率的な活用」とか「病床稼働率の向上」とかいうことを医療の最優先課題だと思っている政治家や役人は感染症用の医療準備を無駄だと思って、カットします。そして、何年かに一度パンデミックが起きて、ばたばた人が死ぬのを見て、「どうして備えがないんだ?」とびっくりする。


■コロナ危機で中産階級が没落する

―― 日本が失敗したからこそ、独裁化の流れが生まれてくる。どういうことですか。

内田 日本はコロナ対応に失敗しましたが、これはもう起きてしまったことなので、取り返しがつかない。われわれに出来るのは、これからその失敗をどう総括し、どこを補正するかということです。本来なら「愚かな為政者を選んだせいで失敗した。これからはもっと賢い為政者を選びましょう」という簡単な話です。でも、そうはゆかない。

 コロナ終息後、自民党は「憲法のせいで必要な施策が実行できなかった」と総括すると思います。必ずそうします。「コロナ対応に失敗したのは、国民の基本的人権に配慮し過ぎたせいだ」と言って、自分たちの失敗の責任を憲法の瑕疵に転嫁しようとする。右派論壇からは、改憲して非常事態条項を新設せよとか、教育制度を変えて滅私奉公の愛国精神を涵養せよとか言い出す連中が湧いて出て来るでしょう。

 コロナ後には「すべて憲法のせい」「民主制は非効率だ」という言説が必ず湧き出てきます。これとどう立ち向かうか、それがコロナ後の最優先課題だと思います。心あるメディアは今こそ民主主義を守り、言論の自由を守るための論陣を張るべきだと思います。そうしないと、『月刊日本』なんかすぐに発禁ですよ。

―― 安倍政権はコロナ対策だけでなく、国民生活を守る経済政策にも失敗しています。

内田 コロナ禍がもたらした最大の社会的影響は「中間層の没落」が決定づけられたということでしょう。民主主義の土台になるのは「分厚い中産階級」です。しかし、新自由主義的な経済政策によって、世界的に階級の二極化が進み、中産階級がどんどん痩せ細って、貧困化している。

 コロナ禍のもたらす消費の冷え込みで、基礎体力のある大企業は何とか生き残れても、中小企業や自営業の多くは倒産や廃業に追い込まれるでしょう。ささやかながら自立した資本家であった市民たちが、労働以外に売るものを持たない無産階級に没落する。このままゆくと、日本社会は「一握りの富裕層」と「圧倒的多数の貧困層」に二極化する。それは亡国のシナリオです。食い止めようと思うならば、政策的に中産階級を保護するしかありません。

 野党はどこも「厚みのある中産階級を形成して、民主主義を守る」という政治課題については共通しているはずです。ですから、次の選挙では、「中産階級の再興と民主主義」をめざすのか「階層の二極化と独裁」をめざすのか、その選択の選挙だということを可視化する必要があると思います。

―― 中産階級が没落して民主主義が形骸化してしまったら、日本の政治はどういうものになるのですか。

内田 階層の二極化が進行すれば、さらに後進国化すると思います。ネポティズム(縁故主義)がはびこり、わずかな国富を少数の支配階層が排他的に独占するという、これまで開発独裁国や、後進国でしか見られなかったような政体になるだろうと思います。森友問題、加計問題、桜を見る会などの露骨なネポティズム事例を見ると、これは安倍政権の本質だと思います。独裁者とその一族が権力と国富を独占し、そのおこぼれに与ろうとする人々がそのまわりに群がる。そういう近代以前への退行が日本ではすでに始まっている。


■民主主義を遂行する「大人」であれ!

―― 今後、日本でも強権的な国家への誘惑が強まるかもしれませんが、それは亡国への道だという事実を肝に銘じなければならない。

内田 確かに短期的なスパンで見れば、中国のような独裁国家のほうが効率的に運営されているように見えます。民主主義は合意形成に時間がかかるし、作業効率が悪い。でも、長期的には民主的な国家のほうがよいものなんです。

 それは、民主主義は、市民の相当数が「成熟した市民」、つまり「大人」でなければ機能しないシステムだからです。少なくとも市民の7%くらいが「大人」でないと、民主主義的システムは回らない。一定数の「大人」がいないと動かないという民主主義の脆弱性が裏から見ると民主主義の遂行的な強みなんです。民主主義は市民たちに成熟を促します。王政や貴族政はそうではありません。少数の為政者が賢ければ、残りの国民はどれほど愚鈍でも未熟でも構わない。国民が全員「子ども」でも、独裁者ひとりが賢者であれば、国は適切に統治できる。むしろ独裁制では集団成員が「子ども」である方がうまく機能する。だから、独裁制は成員たちの市民的成熟を求めない。「何も考えないでいい」と甘やかす。その結果、自分でものを考える力のない、使い物にならない国民ばかりになって、国力が衰微、国運が尽きる。その点、民主主義は国民に対して「注文が多い」システムなんです。でも、そのおかげで復元力の強い、創造的な政体ができる。

 民主主義が生き延びるために、やることは簡単と言えば簡単なんです。システムとしてはもう出来上がっているんですから。後は「大人」の頭数を増やすことだけです。やることはそれだけです。

―― カミュは有名な小説『ペスト』のなかで、最終的に「ペストを他人に移さない紳士」の存在に希望を見出しています。ここに、いま私たちが何をなすべきかのヒントがあると思います。

内田 『ペスト』では、猛威を振るうペストに対して、市民たち有志が保健隊を組織します。これはナチズムに抵抗したレジスタンスの比喩とされています。いま私たちは新型コロナウイルスという「ペスト」に対抗しながら、同時に独裁化という「ペスト」にも対抗しなければならない。その意味で、『ペスト』は現在日本の危機的状況を寓話的に描いたものとして読むこともできます。

 『ペスト』の中で最も印象的な登場人物の一人は、下級役人のグランです。昼間は役所で働いて、夜は趣味で小説を書いている人物ですが、保健隊を結成したときにまっさきに志願する。役所仕事と執筆活動の合間に献身的に保健隊の活動を引き受け、ペストが終息すると、またなにごともなかったように元の平凡な生活に戻る。おそらくグランは、カミュが実際のレジスタンス活動のなかで出会った勇敢な人々の記憶を素材に造形された人物だと思います。特に英雄的なことをしようと思ったわけではなく、市民の当然の義務として、ひとつ間違えば命を落とすかもしれない危険な仕事に就いた。まるで、電車で老人に席を譲るようなカジュアルさで、レジスタンスの活動に参加した。それがカミュにとっての理想的な市民としての「紳士」だったんだろうと思います。

「紳士」にヒロイズムは要りません。過剰に意気込んだり、使命感に緊張したりすると、気長に戦い続けることができませんから。日常生活を穏やかに過ごしながらでなければ、持続した戦いを続けることはできない。

「コロナ以後」の日本で民主主義を守るためには、私たち一人ひとりが「大人」に、でき得るならば「紳士」にならなけらばならない。私はそう思います。
http://blog.tatsuru.com/2020/04/22_1114.html

4. 中川隆[-13016] koaQ7Jey 2020年4月22日 14:07:56 : 13OAtnQgho : d2VxeFFzSXBVMTI=[23] 報告
原油先物大惨事! (^_^)/~
2020年04月21日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1098.html


 原油先物WTIがマイナス。歴史的大惨事。::::緊急経済対策、緊急事態宣言、日経平均、下落、ダウ平均、日銀、FRB、GDP、円高、株安、破綻、地
  https://www.youtube.com/watch?v=gCTG_1aZPNM

 この十数年というもの、原油価格の高騰に泣かされてきた庶民としては、快哉を叫ぶしかない珍事が起きている。

 ガソリンスタンドに行って給油すると、1リットル100円だという。
 私 「満タンにしてください」

 店 「40リットル入りました」

 私 「なら4000円だよね……」 はい、といって1万円を渡す。
 
 店 「お釣り出します、1万4000円です……どうぞ」

 私 「ん ???……」

 店 「40リットル入りましたから4000円をお渡しします、ガソリンは1リットル、マイナス100円なんですよ……」

 てな不思議な光景が見られることはないのだが、国際先物原油価格が、1バレル40ドル近いマイナス価格になってしまった。
 https://twitter.com/livedoornews/status/1252358993248321538?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Etweet

 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58291780R20C20A4000000/

 詳細な理由は、冒頭にリンクしたオリーブの木の動画に説明されている。
 要するに、先物は、先払いして取引が成立済みなので、現物は定まった期日に引き渡される。このとき、必ず引き取らなければならない契約義務が発生しているため、需要が減退して保管タンクが満杯になり、引き取れない事情になってしまった場合、引き取る余裕のある業者に転売しなければならない。
 ニーズもないのに、無理矢理、転売を押しつけるわけだから、引受業者は足下を見て、転売手数料をぼったくることになり、商品価格は暴落どころか、赤字を生むだけの無価値なものとして、マイナス価格がついてしまうわけだ。

 まだ、本日、先ほどのニュースなので、誰もグラフ化しておらず、古い原油価格推移グラフを引用する。


 2016年1月までの古いグラフなので、その後、起きている劇的なドラマは反映されていない。しかし、これまでの原油デリバティブの歴史で、最低価格はバレル15ドルあたりをつけた34年前、1986年1月であるが、それより低い価格は、原油先物の歴史には存在しない。
 それが、先ほど、いきなりマイナス40ドルという価格が成立した。

 これは、驚愕的な価格であり、何を意味するかというと、世界中の原油生産が完全にストップするのである。  
 世界最大の石油輸出国である、アメリカのシェールオイル産業は、これで一気に壊滅するしかない。もしかしたら復興することもできないかもしれない。
 大半が先物に依存した、不安定な綱渡り経営なので、持ちこたえられる体力など存在しないからだ。

 同時に、原油先物に資産を投じてきた、世界中のファンドや、投資企業も倒産することを意味している。そして、倒産に伴う、CLO・CDSなどの保証保険の意味を持った高利回り元本不保証債権は、すべて完全なゴミとなり、これを購入している金融機関・投資家を追い詰める。
 
 1930年代、ニューデール恐慌も佳境に至ったウオール街では、誰も歩道を歩く者がいなくなった。
 一文無しになった投資家たちが、次々に高層ビルから飛び降りて、肉片血しぶきを飛び散らせるからだ。
 同じ光景が再現されるかもしれない。
 https://www.moneypost.jp/644632

 もう原油を掘りだしても、何の意味もない。すべて赤字を生むだけだからだ。
 世界中の、すべての石油生産がストップするだろう。一番困るのは、もちろんアメリカのシェールオイル業界、次にロシア、サウジアラビアだ。
 ドバイの栄華は、色あせ、原油販売を当てにして作られた虚構の市街地の息の根が止まる。

 これが、どれくらい続くかといえば、世界中の備蓄原油が半分くらい消費されてからだろうが、コロナ禍のおかげで、石油消費率が数分の一になってしまっているので、ずいぶん長く続く可能性がある。
 私など、来週あたりから、ありったけの容器で石油を買いだめしたいのだが、残念なことに石油には酸化による劣化があり、品質が、どんどん落ちていってしまうのだ。

 こうした市場供給システムは、一度崩壊してしまうと、元通りに再建するには、とても時間がかかる。業界は綱渡り経営が多いので、「倒産」というイベントを経ると、うまく他社による買収に乗れない場合、資産はバラバラに売り飛ばされ、組織も完全に瓦解してしまって元に戻れない。
 したがって、原油価格が元に戻っても、供給体制そのものが、根底から瓦解しているわけで、崩壊前のシステムが再現されることにはならない。

 ガソリンや灯油価格が下がるのは、とても嬉しいことだが、在庫が減って価格が回復しても、元通りの供給体制が復活しないので、市場価格はひどく不安定な時間を過ごさねばならなくなる。
 輸出入為替システムも崩壊しているので、石油製品の安定供給が非常に困難になると考えるべきだ。この不安定は、数ヶ月ではすまない期間、続く可能性がある。

 シェール業界はじめ、一定の備蓄在庫がある業界は、債務引き当てのため、備蓄を放出するしかないのだが、それも、バレルあたりマイナス40ドルでは不可能になってしまう。世界中の企業備蓄が、二束三文で市場に出回ることになるだろう。
 何よりも、先物投資家たちは、レバレッジをかけているのが普通なので、多くが全財産を失うことになるだろう。
 だから、これは「ニューデール大恐慌が裸足で逃げ出す」ほどの凄まじい経済崩壊が避けられないのである。

 これまで、何度も説明してきたが、何が起きるかというと、金融機関のBIS規制が事実上達成できないので、為替操作が世界的に不可能になり、全世界の物資、食料の流通が止まってしまう。
 リーマンショックの時、為替崩壊により、燃料購入が不可能になり、世界を彷徨った貨物船がたくさんいたことを思い出さねばならない。
 したがって、食料備蓄や自給率の小さな日本のような国では、たちまち輸入食品が手に入らなくなる。誰も経験したことのない、飢餓が始まるのだ。

 だから、私は、ずいぶん前から、プランターでいいから「芋の作り方」を練習しておけよと繰り返し書いてきた。
 何が起きるのか? 食べ物が消えるので、みんなが、わずかな土壌に殺到して、必死になって芋を作り始めるのだ。
 これからは、「芋作りの達人」が、もっとも尊敬される人である。

 そして、何よりも、仲間と共同してダーチャを持つことだと、書いてきた。理想は「ポツンと一軒家」だ。
 私は、この番組が20%を超える視聴率を獲得したことの意味は、視聴者の集合無意識に、これから起きることの不安と、その解決策が示されているからだと考えた。

 http://yadokari.net/real-estate/42085/

http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-298.html

http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1031.html

 これから、コロナ禍と巨大経済崩壊を生き延びるために一番大切なことを考えたい。

 私は、「人の心は弱いもの」だと思う。いつでも、他人と自分を比較して、優越感と劣等感の狭間に揺られて生きている人々は、過去数十年間、一度も経験したことのない凄まじい社会崩壊に、自分と比較すべき、また付和雷同すべき人物が見つからないのだ。
 つまり、たくさんの人が、いったい何をしたらよいのか? 問題解決に何をしたらよいのか分からないまま、食料危機や燃料危機の情勢に、海に漂う漂流物のように流されてゆくしかなくなる。

 こんなときのために人間には知恵がある。
 「三人寄れば文殊の知恵」というとおり、信用できそうな仲間と手を組んで、一緒に困難にあたれば打開策も見つかるはずだ。
 団結する相手を間違えてはいけない。だから、普段から、「いざとなったら、この人と一緒に行動する」と、目星をつけておかねばならないのだ。

 そうして、孤立を避けながら、過疎の田舎にダーチャによる活路を見いだそう。
 まずは、芋を作って食料危機に備えよう。みんなが思ってるほど食料生産は難しいものではない。本当の難しさを思い知るのは、病気が発生しやすくなる三年以上経てからである。

 甘藷は、発芽させれば、それが、そのまま苗になり、想像以上に大量に作ることができる。これが「救荒作物」と呼ばれるゆえんだ。
 しかし、PHや肥料に関する基礎知識もないまま栽培しても、小さな「イモモドキ」しか作ることはできない。
 普段から、ネットで勉強し、できればプランターで試験栽培し、苗や種芋を売っている店を覚えておきたい。

 食べ物と、暖かい家と衣類があれば、なんとか生き延びていけるはずだ。
 もう一つ、一番大切なのは、「信頼できる友」である。友人を大切にし、小さな共同体を結成して、困難にあたろう。

 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-924.html


http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1098.html

5. 中川隆[-13003] koaQ7Jey 2020年4月23日 06:35:25 : xl5kDle6R2 : OGhwbkgvR3N4YWs=[2] 報告
2020/4/23
「コロナ・ショック」と「大崩壊」の先にある世界  
https://green.ap.teacup.com/pekepon/2550.html
 

■ 新コロナウイルスは人工ウイルスか? ■

「新コロナウイスの塩基配列は70%がSARSと共通で、HIVのウイルスも交じっている」とインド工科大学の研究者が感染初期に論文を発表しましたが、直ぐに修正して当たり障りの無い表現に替えてしまいました。しかし、様々な研究の結果、これは、あながち間違いで無い事が分かってきています。

新コロナウイルスの元は中国のキクガシラ・コウモリのウイルスで、それがセンザンコウを介して人に感染する様に変異したというのが表向きの感染経路です。しかし、センザンコウはベトナムなどに生息する絶滅危惧種で(アニメ『キリングバイツ』を観てね)、いくら中国人がセンザンコウのウロコを漢方薬にするからと言って、こんな感染経路は「レア」過ぎて確率論から言えば「奇跡のウイルス」になってしまいます。

それよりも「研究室でチョチョイと作られた」た可能性の方が高いと考えるのは自然の流れで、最初の感染が広がった武漢に中国のウイルス(兵器)の研究所が有る事から、ここからの漏洩が疑われています。意図的では無く「漏れちゃった」というのがミソ。

■ 武漢の感染感染爆発より前に既に中国国内で感染が広がっていた ■

COVID-19の感染で興味深いのは、東アジアや中国の武漢以外の地域での被害の少なさです。これは弱毒性のウイルス感染による事前の抗体の獲得を示唆していますが、日本には武漢株が入って来る前に広東経由で別の株が浸入しているとゲノム解析の結果が示しています。

新型コロナ日本感染ルーツとウイルスの種類:中国のゲノム分析から yahooニュース 3/10 より

この事から、武漢で「強毒?」株が蔓延する以前に、中国本土では既に別の株の感染が拡大していた可能性が高い。


■ 強毒株の出所は中国か?アメリカか? ■

強毒株が最初に武漢で感染を拡大した事から、武漢の感染研究所からの漏洩が疑われる流れとなっていますが、中国の責任を追及するアメリカは「漏洩」を疑っています。いくらなんでも、中国が自国民を犠牲にして、欧米にウイルスによる「バンザ・アタック」を仕掛けたなどとは公には言い難い。

一方、中国の駐仏大使は「「フォート・デトリックの米陸軍研究機関「細菌・生物兵器研究所から漏洩したウイルスが米軍経由で持ち込まれた」と主張します。

米メリーランド州フォート・デトリックの米陸軍研究機関「細菌・生物兵器研究所」が2019年7月、汚染水漏れを起こし、 米疾病対策センター(CDC)の指示によって閉鎖された事件は以前から知られていました。

武漢では感染の始まる前に米軍も参加した「軍人運動会」が開かれていたので、ここで米兵が感染源になったと主張しているのです。

ただ、この主張も「米国内で漏れたウイルスが米兵を介して持ち込まれた」というスタンスです。決して「米国が撒いた」とは言わない。


■ 米中で責任の擦り合いが始まるだろうが、答えは闇の中 ■

米中の責任の擦り合いは、今後ますますエスカレートするハズです。しかし、結論は闇の中でしょう。そもそも、コロナウイルスの変異実験などは、世界中の研究機関(生物兵器開発機関)が手掛けているでしょうから、どこから漏れても不思議では有りません。全然違う研究所のウイルスが武漢で撒かれても誰にも分からないのです。

■ 米中対立と、米中デカップリングこそが目的 ■

私は「世界の経営者」を信じる陰謀論者で、「アメリカだろうが、中国だろうが、ロシアだろうが世界は上で繋がっている」と妄想しますから、今回のウイルス騒動で結果的に何が起きるか妄想する方が好きです。

今回のウイルス騒動で起こるのは「アメリカと中国のデカップリング」です。トランプは中国を仮想敵国として口撃して来ましたが、米経済は中国依存度が高いので、中国と完全に対立する事は不可能です。

アップルはiPhoneを世界中に売って巨額の利益を上げていますが、中国の工場で生産していました。GMも中国国内で生産して中国人相手に車を売っています。スターバックスのチェーン店は中国国内にも沢山有ります。

この様にアメリカ国内で販売される安い製品の多くが中国製であり、アメリカの製造業が生産も消費も中国に依存している状況で、米中が決定的に対立する事は難しい。

しかし、コロナ危機を切っ掛けに、アメリカ経済の中国離れは加速するハズです。トランプは元々、産業の国内回帰を促していました。サムソンも最新の半導体工場をアメリカ国内に建設させられています。


■ 原油安はペトロ・ダラーの存続を脅かすので中東で戦争が始まる ■

ここで注目すべきは「原油安」です。産油国の協調減産の足並みが乱れた事と、コロナショック需要が急激に落ち込んだ事で、原油先物市場では前代未聞の「マイナス」という価格が一時的に付いています。これはヘッジファンドが損切で投げ売りした為に起きた事ですが、それ以降も10ドル台という超安値が続いています。(リーマンショック直後には140ドル/バレルの高値を付けていたと記憶しています。)

原油安はアメリカにとって二つの「不都合な真実」を露呈させます。

1) シェール企業が破綻し、ジャンク債市場も破綻する
2) ペトロ・ダラー(石油兌換通貨)としてのドルの価値が下がる

アメリカにとっては原油価格は50−70ドル程度が適正なはずで、現在の様な極端な低価格が長引くと、手を打たなくてはならない。

「手」とは何かと言えば「中東での戦争」です。これはアメリカの「常套手段」で、ニクソンショックでドルの金兌換が停止された時にも中東で戦争が起こり、原油価格が高騰してドルの価値を支えました(オイルショック)。

リーマンショックの直後にもアメリカがイランを経済制裁する事で、ホルムズ海峡で緊張が高まりました。この時もドルの信用に疑問が持たれていました。

しかし、アメリカがイランと本格的に戦闘する事は避けられていました。何故なら、イランの背後にはロシアと中国が控えています。仮に、イランとサウジアラビアが全面戦争に突入したら、米と中露の対立は決定的となり、場合によっては局地的な直接戦闘も起こり兼ねません。(シリアでは米傘下の過激派や民間武装会社とロシア軍の戦闘は散発的に発生)

しかし、現在の様に米経済の中国依存度が高い状態で、戦争が始まると、中国がアメリカに経済攻撃を仕掛ける可能性が高い。米国からの輸入を禁じて、さらに米国への輸出を禁じる。中国は独裁国家ですから、多少経済にダメージが生じても国内の不満を強権で抑え込み、「憎きアメリカ」キャンペーンで不満の矛先をアメリカに向ける事が出来ます。

一方、アメリカは米中対立による景気の急激な悪化は、資産市場を直撃して暴落を発生させますし、国内のインフレ率も急上昇するので、政権維持すらままならない。

ですから、中東で米中が決定的に対立する前に、米中の経済のデカップリングが達成されていなければなりません。その切っ掛けを作ったのがコロナショックです。これで、米企業は中国依存の危険性を痛感しましたし、ウイルスの責任の擦り合いのエスカレートにも警戒するハズです。


■ ブロック化する世界 ■

仮にドルの価値を保つ為に中東で戦争が起こっても、アメリカやドルの凋落は止まらないでしょう。何故なら、アメリカの一国覇権こそが、世界の成長の限界の原因なのですから。

昨今の先進国や世界は「成長の限界」に達していました。その結果、金利はゼロになりました。これでは、経済を回す事が出来ません。

「成長の限界」の原因は二つ有ります。

1) 世界が抱える過剰生産性
2) アメリカ一極主義による消費制約

現在のドル基軸システムはアメリカの消費によって世界経済を成長させるシステムです。しかし、世界の抱える生産力はアメリカの消費より遥かに多い。しかし、ドル基軸体制では利益の多くがアメリカに還元されてしまうので、新興国の成長にも限界が生じ、過剰供給力が世界の物価し下げてしまいます。

これを解消する方法は、アメリカの一国覇権を終了する事。但し、一気にこれを進めると世界が混乱するので、一旦世界はブロック化の方向に進むはずです。

A) ドル円・グループ・・・TPPグループ(南北米大陸 + 環太平洋地域)
B) 元ルーブル・グループ・・・一帯一路グループ
C) ユーロ・グループ・・・EUとその周辺国
D) ディナール・グループ・・・中東・アフリカ


多分、世界はこの様な形でブロック化され、過度なグローバル化が制限されると予想されます。SDRの発展形の様な世界共通の電子通貨が発行されるかは??です。各国の調整が着かない可能性が高いのでは・・・・。


■ 米軍はハワイ・グアムラインまで退く ■

多極化によって米軍は「世界の警察」の役割を放棄します。ドルによる「みかじめ料」が失われるので、縄張りを守る必要も無くなります。

東アジア地域では、在韓米軍と在日米軍がグアムとオーストラリアに退くでしょう。これは随分以前から「トランスフォーム」として米軍が予定していたものですが、米中関係が良好だったので延期されていたものです。

空母を中核とする米機動部隊は。中国の精密弾道弾の恰好の標的ですから、米中対立が本格化した場合、米海軍は中国の周辺に近づけなくなります。


■ 日本は東南アジア諸国と連携して、中国と上手く付き合うしか無い ■

日本は米軍の様な中国から距離を取る事が出来ません。韓国なん陸続きですからもっと深刻です。

日本は中国に近過ぎますから、結局、中国と上手に付き合っていくしか有りません。一応、アメリカの後ろ盾があるとは言え、ハワイの向こうからワンワン言うだけで、率先して日本を守る事はしてくれませんから。

日本は東南アジア諸国と連携して中国と渡り合う事になるでしょう。これは経済でも軍事でも同様です。ただ、譲歩する事も多いでしょうが・・・・中国の市場も魅力的です・・・。


■ 斜陽の東洋の島国・・・・ ■

人口動態の悪化から、日本は「斜陽の東洋の島国」と呼ばれる様になるでしょう。これは高齢者が減り、人口動態が改善するまで続きます。

それ以降は「減った人口」が日本の強みになります。AI化と自動化によって、人口は国家の重荷になる時代、コンパクト化を達成した国の生産性は高くなります。

「せっかく減った人口です。これ以上増やさずに優良な人種だけを残します。」とはギレン・ザビの言葉ですが、「人口=国力」の時代に最初に分かれを告げるのは日本なのかも知れません。


まあ、私が生きている間に達成されるかは・・・・。


<追記>

ブロック化の後に、世界は再び一つに収斂して行くでしょう。陰謀論者の好きな「ワン・ワールド」とか「ニューワールド」とか「世界政府」ですが、そこまでの道のりは長い・・・。

https://green.ap.teacup.com/pekepon/2550.html

6. 中川隆[-12997] koaQ7Jey 2020年4月23日 16:06:00 : GQpq4C3J56 : WFRrYkRPZmZYYWc=[4] 報告
新型コロナによる世界恐慌でヨーロッパ経済壊滅の可能性2020年4月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10350

新型コロナウィルスの流行による世界的なロックダウンで世界経済は停止している。そして問題は停止していた間の経済損失だけではなく収入と資産の減少によるその後の消費停滞、経済減速だということを以下の記事で説明した。
•新型コロナで景気後退が続く仕組みと経済対策の影響を分かりやすく説明する

それはどうやら2008年のリーマンショック級の不況になりそうである。それでもアメリカと日本は何とか生き残るかもしれないが、ヨーロッパ経済がコロナショック後に原型を留めていることはかなり難しいだろう。

一昔前の覇権国

世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏はコロナショックによる世界恐慌がアメリカの覇権を危うくする事態を警告している。

•世界最大のヘッジファンド: アメリカの覇権が中国に奪われる4つの道筋

この歴史的な観点で言えばヨーロッパは先進国の中でもっとも古い覇権であり、その衰退は100年以上前から細々と続いている。そして今回のコロナショックが瀕死のヨーロッパにとどめを差してしまうかもしれない。

例えばイタリアの予算局は1-3月期のGDP成長率が5%のマイナス、4-6月期が10%のマイナスになると予想している。この予想が正しければ、仮に今年の後半は前年の水準に戻ったとしても(そんなことはあり得ないが)、2020年のイタリア経済は約4%のマイナス成長ということになる。実際には6%程度の景気後退となると考えられ、これはリーマン・ショック時の2009年の5.3%を上回る。

問題はこの6%の景気後退ではなく、その後の消費の減少である。記事の最初に載せた説明記事に借金の概念を付け加えて景気後退を説明した記事が以下である。

•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10248

この記事で説明したように、経済のなかに借金をして消費を無理矢理大きくしている経済主体がいる場合、景気後退による資金減少で借金ができなくなり債務がしぼむと無理矢理増やしていた分の消費がなくなるため、経済後退を乗り越えた後の経済水準は景気後退の前よりも一段弱いものとなる。詳しくは上記の記事を読んでもらいたい。

ではイタリアのGDPがリーマンショック以後どうなっているかというと、こうなっている。


リーマンショック前の水準をいまだ大きく下回っているのである。それで株価も上がっていない。


しかもその間政府債務はGDP比100%から130%に増えている。債務を無理矢理増やしてGDPも株価も上がっていないことに着目したい。そして今回のコロナショックでこの両方がもう一段下がることになるだろう。

これはヨーロッパにおいてイタリアだけの問題ではない。スペインやポルトガルも同じような状況にあり、ギリシャでは問題はより大きくなるだろう。ギリシャ政府は否定しているが、2020年は10%のマイナス成長になるという予想もある。

結論

もう一度イタリアのGDPと株価のチャートを考えてもらいたい。今だから「リーマンショック前の高値を回復していない」と言えるが、ここからもう一段下がればそれが長期的な下落トレンドであることを認めざるを得なくなる。それが最初に書いた「ヨーロッパの覇権の凋落」なのである。

•世界最大のヘッジファンド: アメリカの覇権が中国に奪われる4つの道筋

これはダリオ氏の観点を借りれば100年前からの長期トレンドであり、債務を無理矢理増やすことによってそれに抗ってきたが、明らかに限界が来ている。

ダリオ氏はアメリカの覇権の凋落を気にしているようだが、恐らくそれはヨーロッパに一番当てはまる表現だろう。ヨーロッパが先進国となってから数百年だが、コロナショックの後にはイタリアを含むヨーロッパ諸国の大半は先進国とは呼べない経済状況になっているかもしれない。今回の世界恐慌はそれだけ大きいものなのである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10350

7. 中川隆[-12891] koaQ7Jey 2020年4月27日 21:04:35 : zrsOI5p4Io : bEk5OEtmU2hDYVk=[3] 報告

原油の次に暴落するもの2020年4月26日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10440#more-10440

新型コロナウィルスの世界的流行により飛行機や自動車の利用が激減したことから原油価格が暴落したが、原油暴落の本当の原因は新型ウィルスではない。それは元々存在したバブルであり、それが20年かけて崩壊したのである。

20年来の原油バブル

原油価格の長期チャートを見てもらいたい。

原油はもともと20ドル前後だった。それは長らく20ドル前後だったのだが、2001年のドットコムバブル崩壊によってアメリカ経済が景気後退に陥ったことで、当時のグリーンスパン議長が4%もの利下げを行なったところから猛烈な勢いで原油価格に資金が流入し始めた。20ドルだった原油は100ドルを越え、ついには150ドル近くにまで達した。

このグリーンスパン氏の低金利政策によるバブルは2008年のリーマンショックの原因となるのだが、原油価格の高騰がそのバブルと同じ根を持ったものであることを証明するように原油相場も2008年のバブル崩壊とともに暴落している。

しかし原油はその後100ドル近辺に戻ってしまった。この歴史的な観点から見れば分かるが、それは100ドルが原油の適正価格になったということではなく、2001年からの原油バブルがまだ続いていることを意味していた。それは米国シェール産業による供給増加で2014年に100ドルから50ドル近辺まで下落し、コロナショックによって50ドルから地の底まで落ちることになったのだが、それらは単に元々存在したバブルを崩壊させるトリガーに過ぎなかったのである。

原油の後に続くもの

原油は元の水準にまで戻ったが、同じようにバブルになってまだ元の水準まで戻っていないものがある。例えば銅相場である。

これも全く同じ種類のバブルだということが理解してもらえるだろう。銅の価値が2000年代にいきなり急上昇したというわけではない。そして原油相場と違ってまだ崩壊していない。

銅相場のバブルがまだ崩壊していない事実は株式市場にも同様の資金が入り込んでおり、まだ出ていっていないことを意味している。以下は米国株のチャートである。

2008年以前のトレード経験のない金融関係者が多くなってきている今では忘れられていることかもしれないが、量的緩和以前の世界では米国株は必ずしも毎年上がり続ける資産クラスではない。実際に2009年までの10年間では横ばいを続けていたのである。原油相場や銅相場に帰るべき適正水準があり、量的緩和もそれを止められなかったとすれば、株式だけその運命を逃れる理由があるだろうか。

金融市場でないバブルも挙げてみよう。例えばイタリアのGDPである。原油相場を押し上げたアメリカの低金利は世界中に低金利をもたらし、低金利は債務の膨張を可能にする。債務が膨張すればGDPも膨張する。それで元々それほど上がるはずもなかったイタリアのGDPも2008年までは成長していたのである。

しかしこのバブルも2008年が頂点であり、コロナショックによって下落トレンドが確定的なものとなるだろう。ギリシャは更に一歩先に行っている。スペインやポルトガルはイタリアに続くだろう。以下の記事で説明した通りである。

•新型コロナによる世界恐慌でユーロが下落する理由

この結果イタリアの株式市場がどうなっているかと言えば、原油価格のように元の水準に戻っているのである。

そしてイタリアがこの運命を逃れられないように、結局はすべての国がこの運命を逃れることは出来ないのである。

このようにはっきりした前例があるにも関わらずそれを認めない人は多いだろう。しかし何故米国や日本がイタリアと違うと言えるのだろうか。バブルによって経済を無理矢理支えてきたという点ではどの国も同じであり、銅より早かった原油と同じようにイタリアは他の国より早かったというだけのことなのである。

スペインやポルトガルの後に続くのはドイツや日本であり、アメリカも同じように続くだろう。世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏が話しているのはそういうことである。

•世界最大のヘッジファンド: アメリカの覇権が中国に奪われる4つの道筋

このトレンドは20年来の巨大なトレンドであり、原油が他のものより先に暴落したようにすべてが一気に崩壊するのではなく、長い時間をかけて順番に崩壊してゆくことになる。

しかしはっきりしていることは1つある。量的緩和やヘリコプターマネーを使ったところで原油暴落やイタリア経済の斜陽化が止まらなかったように、それは単に順番の問題に過ぎないということである。そして金融緩和による延命が成功すればするほど最後の下落は痛ましいものになるだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10440#more-10440

8. 中川隆[-12700] koaQ7Jey 2020年5月08日 08:55:52 : EIjh7CCywc : RFRGdXFIdUF6OEU=[7] 報告

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
2020年5月7日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592#more-10592

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が米国と中国の覇権戦争の結末について語っている。

中国が覇権国家になる

ダリオ氏は今後中国が米国に成り代わって覇権国家になり、人民元が基軸通貨になるのかという問いについて以下のように答えている。


そうなる。しかし革命のように一気にそうなるのでなく、徐々にそうなるだろう。中国経済は何年もしない内に世界で最も重要な経済となり、米国は一定の期間そのライバルであり続けるだろう。米国と中国がこのライバル関係をどのように扱うかが世界にとってとても重要になる。

ダリオ氏はこれまでも覇権交代を今後のシナリオとして検証してきたが、今回遂に断定している。

•世界最大のヘッジファンド: アメリカの覇権が中国に奪われる4つの道筋

中国がアメリカを追い越して世界一の経済大国になるのはダリオ氏にとってメインシナリオであるようだ。その中国の通貨である人民元については次のように述べている。


基軸通貨としての人民元については、その変化はゆっくりしか起こらないだろう。基軸通貨の移行は覇権の移行にかなり遅れて起こるものだからである。どちらにしても中国は今後10年でもっとも重要な国となるだろう。

基軸通貨はなぜ重要か

しかし基軸通貨というのは何故重要なのだろうか。それは基軸通貨が暴落しにくいからである。ダリオ氏は次のように説明する。


今のところ米国はドルという基軸通貨を印刷できる大きな権力を持っている。膨大なドル建ての負債が世界中にあり負債が返済されるごとにドル買い需要が生まれる間は米国は大きな力を持つ。

世界中でドルが使われればドル買い需要が生まれる。今回のように金融危機が起こればドル建てで借金をしている人や企業はドルを調達して借金を返済しなければならなくなり、それがドル買い圧力を生む。今回のコロナショックで米国が負債を増やし量的緩和などの奔放な政策を行なってもドルが暴落していないのはそうしたドル買い圧力のためである。

しかしその恩寵にも限界がある。ダリオ氏は次のように続ける。


しかしデフォルトやドル紙幣の印刷などでこれらの負債が消え去ると、ドルの基軸通貨としての価値は減り始めるだろう。そうすると米国の経済的影響力は大幅に弱まる。歴史上すべての帝国はその負債と通貨とともに繁栄し衰退した。イギリスやオランダの覇権とその通貨に起こったことと同じである。

ドルが基軸通貨でなくなった場合、国内の負債が膨大で対外負債があり、貿易赤字まで抱えているアメリカの通貨ドルが暴落するのは避けられないだろう。しかしドルは基軸通貨であるためにこれまで耐えてきたのである。

コロナショックと負債

ダリオ氏はコロナショックを上手く切り抜ける条件として次のことを挙げている。


財政状況が強固な者が勝者となる。貯蓄がある者が勝者となり、負債のある者が敗者となる。

このことについては直感的にも明白だろう。貯蓄があれば数ヶ月のロックダウンにも耐えられるが、貯蓄がなければ無理に働いて感染するか働かずに飢えるかの選択肢しかない。現在そういう状況に陥っているのがブラジルである。

•ブラジル、新型コロナによる人口減少で景気後退へ

また、借金の有無によってコロナショック後の回復の度合いが違うということは以下の記事で簡単な経済モデルを作って説明している。この記事での検証によれば、借金があると仮定した場合コロナショック後の経済回復はより弱いものとなった。

•新型コロナで景気後退が続く仕組みと経済対策の影響を分かりやすく説明する
•新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する

ダリオ氏も次のように述べている。


負債がこれほど多くなければ経済へのダメージはもっと軽かったはずだ。国も人も企業も、こういう状況ではいくら貯蓄があっていくら負債があるかということがとても重要になる。

借金まみれの経済と貧富の差があるときに自然災害が起これば、それは最悪の組み合わせとなる。

自分の頭で考えられない人々には無視されがちな事実だが、量的緩和をしようと何をしようと借金にはネガティブな側面があるのである。

アメリカは「最悪の組み合わせ」を体現しているが、ドルはまだ暴落していない。上で述べたようにドルが基軸通貨だからである。ユーロ圏は最悪の組み合わせを揃えており、しかも基軸通貨ではないためユーロの下落は避けられないだろう。筆者はユーロを空売りしている。

•新型コロナによる世界恐慌でユーロが下落する理由

日本はどうだろうか。日本は国内では莫大な負債を抱えているが、対外的には高度経済成長期に蓄えた対外資産があるために何とか持ちこたえている。しかし対外資産が尽きれば膨大な負債があり基軸通貨でもない日本はブラジルのようになるほかない。

負債さえなければ日本の状況はもっとましだっただろう。しかしこれまで日本人はオリンピック施設などその後何の役にも立たない公共事業のために負債を積み上げる政府を支持してきたのである。大阪にある誰も訪れない万博公園がまたもう1つ出来上がるわけである。

日本国民は他人による勝手な自国の借金膨張によって全く自分には利益のないまま自国にブラジルシナリオが着々と迫っていることを理解しているのだろうか。それでも日本人は自民党を支持し続けるのだろう。政治家にはやりやすいことである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592#more-10592

9. 中川隆[-12740] koaQ7Jey 2020年5月10日 14:00:00 : txBdn50SLs : OURXcXpRZUdqSms=[4] 報告

世界最大のヘッジファンド: ドルは既に紙くずになっている2020年5月9日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10645

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が引き続き政府による紙幣印刷から身を守る方法について語っている。

通貨下落への防衛手段

前回の記事ではダリオ氏がLinkedInのブログ記事で何故量的緩和は債務の解決手段として悪手であるにもかかわらず人は量的緩和に頼ってしまうのかについて説明した部分を紹介した。

•世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする

そして通貨の価値は破滅的に下落すると主張していた。では投資家はどうすれば良いのだろうか? 今回はダリオ氏が通貨の代用品について語った部分を紹介したい。

通貨とは獲得した富を保存するための手段である。今日手に入れた収入を来月でも来年でも使えるのは、多くの人にとっては銀行に現金を置いておけるからである。しかし現金の価値が下落する時にはどうすれば良いのか? ダリオ氏は次のように説明する。


金は時代を問わず普遍的な代替通貨としての役割を果たしてきた。

株式もまた富の貯蔵手段となりうる。

不動産や美術品なども富の貯蔵手段である。

順番に見てゆきたい。

預金 vs 金積立

まず金だが、ダリオ氏は主要な通貨が1600年以来金に対してどれほど減価したかのチャートを示している。見事にすべてゼロに近づいているのだが、実は通貨の価値は下落するものだということを理解するためには400年も遡る必要はない。

読者は金価格の長期チャートを見たことがあるだろうか。見たことのある読者も少なくないだろう。しかし本当にその意味を実感するためにはグラフの上下を逆にする必要がある。つまり、金価格がどれだけ上がったかではなく、現金の価値がどれだけ下がったかを見るのである。以下は過去50年ほどの間に金に対してドルの価値がどう推移したかのチャートである。

50年の間にものの見事に紙くずになっている。50年ほど前のドルの価値を100%とすると、現在のドルの価値はその2.3%である。そして考えてほしいのは、この50年間ほとんどの人は資産の大部分を現金のままにしており、その資産は実際に紙くずになったということである。ダリオ氏が言っているのは、今現代人もそうなるのではないかということである。

現金が勝者だった黄金時代

しかし一方で現金のリターンがゴールドを上回った時期もある。ダリオ氏は次のように説明している。


1850年から1913年(第一次世界大戦まで)の期間では通貨(預金など短期金利による収入を含む)を保有した場合のリターンはゴールドを保有した場合のリターンよりも概して良くなっている。

この60年ほどの期間がどういう期間だったかと言えば、ほとんどの通貨は金か銀に為替レートが固定されており、しかも第二次産業革命と呼ばれるこの繁栄の時代では借金の借り手が借りた資金を収入に変え、収入が借金を返していたために貸し手は魅力的な金利を得ることが出来た。

借金で消費や自転車操業の企業を増やすのではなく生産性を増やし、その後には借金をしっかり返せていた時代があった。返せない借金をしないということがどれほど大事かということである。しかしそうでなければ通貨が紙切れになってゆく。

通貨の価値が維持され、しかも経済が成長していて借り手が金利を払える場合には誰もが問題なく良い生活を送っていた。「紙幣を印刷すると豊かになるのではないか」という「壺を買えば幸せになるのではないか」同然のまやかしで自分を騙す必要もなかったのである。この2つに何か違いがあるだろうか? 誰か教えてほしいものである。紙切れよりはむしろ壺のほうが価値があるだろう。

•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶

富の貯蔵手段としての株式

そして最後にダリオ氏が株式について語った部分を紹介しよう。


量的緩和により通貨と信用の供給が増加すると、通貨と信用の価値は減り、(その保有者は損害を受け、)債務の負担は減少することになる。

債務負担の減少によって通貨と信用が生産性と企業利益に流れ込む場合には株価の実質値(インフレによる株価上昇を差し引いた後の株価)が上昇するだろう。

まず前提となるのはインフレは株価にとってプラスだということである。インフレとは通貨の価値の下落なので、その通貨以外のすべてのものの価格が上昇する。株価も例外ではない。

ダリオ氏がここで言っているのは、創造された通貨と信用が生産性と企業利益の上昇に寄与する場合にはインフレの影響を除いても株価は上がるということである。今回のコロナショックではどうなるだろうか。そちらについても徐々に書いてゆきたいと思っている。

次のダリオ氏の更新は大英帝国とオランダがどのように基軸通貨のステータスを失ったかについての記事となるらしい。これまでの記事も再確認しながら待っておこう。

•世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする
•世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
•世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10645

10. 中川隆[-12733] koaQ7Jey 2020年5月10日 16:02:47 : txBdn50SLs : OURXcXpRZUdqSms=[11] 報告
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする
2020年5月8日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10616

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏がLinkedInでのブログ投稿で量的緩和についてこれまでより雄弁に語っている。

為替相場の終着点

ダリオ氏は現在の為替相場について次のように述べている。


ドル、ユーロ、円は債務の膨張・破裂サイクルの後期にあり、これらの通貨で債券を保有することの実質リターンは低く、新たに大量の債務が作り上げられマネタイズされてゆく。

そしてマネタイズの問題点について次のように説明する。


多くの人々は通貨を永遠に続くものと考えたり現金がもっとも安全な資産の保管場所だと思ったりするが、すべての通貨はいずれ減価するか消滅するのでそれは正しくない。

そしてそうなるときには現金と債券(それは通貨を受け取るという約束である)は減価されるかなくなるだろう。紙幣印刷と債務の減免は債務負担を減らすためのもっとも都合の良い方法だからである。

先進国はほとんどの国が巨額の債務を抱えている。ダリオ氏は債務を減らすためには以下の方法があると説明する。

•緊縮財政(消費を減らすこと)
•債務の不履行または減額
•資金と信用の移転(増税など)
•紙幣印刷と通貨の減価

最後のものは要するに量的緩和である。

ダリオ氏は次のように続ける。


この中で紙幣印刷はもっとも便利で、もっとも誤解されやすく、もっとも行われやすい債務縮小の方法である。

実際、紙幣印刷は債務の急な縮小を和らげ、この金融上の富を供給する代償として誰が富を取り上げられる被害者になるのかが分かりにくい(しかしそれは実際には通貨と債券の保有者全員である)。しかも大抵の場合資産価格が減価された通貨建てで上昇するので人々はリッチになったような気がする。

リッチになったような気がする。良いことではないか。

しかしダリオ氏は次のように続ける。


主要な準備通貨がこのように減価したり準備通貨としてのステータスを失ったりすることはわれわれが想像出来るなかで一番破滅的な経済的イベントである。

量的緩和の終着点

量的緩和と似たようなことは過去にも行われた。そして大抵の場合まともな終わり方をしなかった。ダリオ氏は次のように説明を続ける。


ほとんどの人は通貨の下落リスクに注意を払わない。ほとんどの人が心配するのは自国通貨建てで資産が増えるか減るかであって、自国通貨自体が上がるか下がるかを心配する人はほとんどいない。

1700年にはおよそ750の通貨が存在したが、今残っているものはたった20%であり、残っている通貨はそのすべてが減価している。

ドイツではグルデンやターラーが使われていた。日本には円がなく、小判や両が使われていた。イタリアでは6つの通貨のうちいくつかを使っていた。

それらの通貨の内いくらかはハイパーインフレになったり、敗戦や巨額の戦費で債務の支払いが不可能になったりして通貨が消滅し、別の通貨で置き換えられた。いくらかは別の通貨に統合された(ユーロのように)。ドルやポンドのようにいくらかは現在も残っているが価値は下落している。

ちなみに日本の両はいわゆる小判だったが、円に変わるまでの間に金の含有量が何度も減らされている。円ももともと金貨だったがついに紙切れになった。そして紙切れになっても誰も文句を言わないのである。アメリカでも同じことが起こっている。

•レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る

何故それでも量的緩和か

ダリオ氏が挙げた債務の4つの対処法の中でいつの間にか財布の中身をなかったことにされる紙幣印刷は本質的にはもっとも不公平なのだが、面白いことに人類が負債という問題に直面した時には大抵紙幣印刷が選ばれてきたのである。ダリオ氏は次のように述べている。


こうした通貨と信用の創造に誰も文句を言っていないようだ。それどころか、政府が通貨を印刷しなければ政府は残酷だなどと悲鳴が聞こえてきそうである。政府には送り出す金などなく、しかも政府とは金持ちの誰かではなくわたしたち自身であり、それをわたしたちが支払わなければならないということを誰も理解していない。

しかしそれでも量的緩和が終わるということをダリオ氏は予想しない。彼は次のように述べている。


今の状況で政府が予算とバランスを取るために支出を減らし、国民にも同じようにするように求め、不況でもたくさんの債務の不履行や減免をそのままにしたり、あるいはお金を持っている人から直接税金によってお金を持っていない人に再分配しようとしたりした場合のことを想像してみてほしい。紙幣印刷のほうがよほど政治的に受け入れられやすい。

つまり、ダリオ氏はそれが良いから量的緩和が行われるのではなく、良し悪しにかかわらず起こりやすいことが起きると言っているのである。

良いことは起こらない。それは起こりにくいからである。ダリオ氏はこうした量的緩和の状況を以下のように例えている。


これはある意味モノポリー(訳注:人生ゲームのようなもの)でプレイヤーのほとんどが文無しになって怒り出したので銀行役の人が現金を配り始める瞬間と同じようなものだ。

政治とは子供をあやすようなものなのである。しかし政治家はあやす対象から金を十分にせしめて帰ってゆくという点が子育てとは違っている。

政治家が何の責任も取らずに帰った後にはどうなるのだろうか? どれだけ紙幣を刷っても円は下がらないだろうか? しかし同じ先進国であるヨーロッパにはその運命は近づいてきているのである。

•新型コロナによる世界恐慌でヨーロッパ経済壊滅の可能性

そして米国がそうなる前に日本がそうなるだろう。

結論

ダリオ氏を含め、ほとんどの著名投資家は量的緩和について同じことを言っている。例えばコロナショックを予想したガンドラック氏である。

•ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判

例えばクォンタム・ファンドでポンド危機の際にポンドの空売りをしたドラッケンミラー氏である。

•ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶

筆者には彼らの理屈は当たり前のように聞こえるのだが、不思議と理解者は少ない。量的緩和を何も考えずに支持している人々はきっと彼らより深く経済を理解しているのだろう。

物事を理解できる人間は理解できない人間より大幅に少ないので、民主主義は常に間違え続けるしかない。彼らが間違えるのは勝手だが、巻き添えは遠慮をしたいものである。

幸いにも投資家は相場を使って自衛をすることが出来る。まずはユーロが量的緩和の犠牲になるだろう。

•新型コロナによる世界恐慌でユーロが下落する理由

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10616

11. 中川隆[-10995] koaQ7Jey 2020年10月06日 08:11:22 : lVzxSy1pmI : SkFCTkE0dnA2elU=[8] 報告

2020.10.06
ロックダウンの先には巨大金融資本が世界を直接統治する「新世界」が待つ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202010060000/

 1971年8月にリチャード・ニクソン大統領がドルと金との交換停止を発表、アメリカ経済の行き詰まりが表面化した。この決定によってアメリカはドルを金に束縛されることなく発行できるようになるが、金という裏付けをなくしてしまった。人びとがドルを有り難がらず、崇めなくなれば、ドル体制は崩れ、アメリカ中心の支配システムも崩壊する。

 そこでアメリカの支配者は実社会に流通するドルを吸い上げる仕組みを作ることにした。その仕組みのひとつが石油取引のドル決済強要。サウジアラビアをはじめとする主要産油国に対し、石油取引の決済をドルに限定させたのだ。

 これは本ブログでも繰り返し書いてきたことだが、どの国でもエネルギー資源は必要であり、各国は石油を買うためにドルを買い集め、ドルは産油国に集まることになる。

 産油国はアメリカの財務省証券や高額兵器を買うという形でドルをアメリカへ還流させ、アメリカ支配層は還流したドルを地下へ沈め、固定させる。これがいわゆるペトロダラーの仕組みだ。

 実社会に流通するドルを吸い上げる別の仕組みもある。投機市場にドルが流れ込む仕組みを作り、その中にドルを封印することにしたのだ。そこで投機市場を拡大するため、金融規制が大幅に緩和されていく。

 金融の中心地はアメリカのウォール街とイギリスのシティだが、イギリスの金融資本は1970年代にオフショア市場のネットワークを築き上げた。シティを中心にジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなど、かつで大英帝国を構成していた国や地域が連結させ、信託の仕組みを導入して資金を隠すことにしたのだ。それまでの有名な税金避難地はスイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコなどだったが、秘密度はシティのシステムが圧倒的に高い。

 ロンドンに対抗するため、アメリカは1981年にIBF(インターナショナル・バンキング・ファシリティー)を開設、これをモデルにして日本では86年にJOM(ジャパン・オフショア市場)をオープンさせたが、ここにきてアメリカが租税避難の主導権を握ったとされている。

 投機市場に資金が集まるようになると、金融資産を持つ人びとの資産は急速に増大していくが、これは帳簿上の数字にすぎない。相場が下がり始めればとてつもないスピードで数字は小さくなっていく。金融資産は所詮、絵に描いた餅にすぎない。

 実経済の行き詰まりを誤魔化すために金融マジックが導入されたのだが、次第に金融が実経済を呑み込むようになり、実経済は弱体化していく。その過程で力をつけたのが中国だ。21世紀に入ると金融資本の蹂躙されていたロシアが曲がりなりにも独立に成功、米英のライバルとして姿を現した。

 そこで米英の巨大金融資本はロシアや中国を攻撃する一方、金融資産を実態のある資産へ変えようとしている。生産活動を行っている企業を苦境に追い込んで借金漬けにし、あるいは倒産させ、債権者として生産システムを差し押さえようとしているのだろう。そうしたことを指摘する人は少なくない。そうした状況を作り出すショックとして使われているのがCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)だ。

 WEF(世界経済フォーラム)の創設者であるクラウス・シュワブは今年6月、パンデミックを利用して資本主義を大々的にリセットすると語っているが、巨大金融資本は世界を乗っ取り、直接統治するということだ。その世界がどうなるかを知りたいなら、ボリス・エリツィン時代のロシアを調べれば良いだろう。犯罪組織を後ろ盾とする富豪が支配、街は犯罪者と売春婦があふれた地獄のような社会がある。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202010060000/

12. 2020年11月11日 06:59:31 : BRl4i9uah6 : aDBCTkFVU0g3Nnc=[5] 報告
11-11 原油先物マイナス価格で中国銀行巨額損失→調査の顛末
2020/11/11




13. 2020年12月19日 09:27:17 : ksTNfNveS6 : Mzd3dWN0ZXU0dHM=[2] 報告
2020.12.19
コロナの危機感を利用し、資本主義システムを大々的に「リセット」するべきだと今年6月に主張したのはWEF(世界経済フォーラム)を創設したクラウス・シュワブ。このWEFは昨年、つまり2019年10月18日にジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターやビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と共同でコロナウイルスの全世界的な流行というシミュレーション、​イベント201​をニューヨークで実施した。そのシナリオによると、18カ月で6500万人が死亡するとされている。

 資本主義を「リセット」しなければならないのは、資本主義が行き詰まっているからだ。そうした状態が顕在化したのは1971年8月。当時のアメリカ大統領、リチャード・ニクソンがドルと金との交換停止を発表している。

 金という裏付けをなくしたドルを基軸通貨の地位に留めるため、アメリカの支配者は実社会に流通するドルを吸い上げる仕組みを作ることにした。その仕組みのひとつが石油取引のドル決済強要。サウジアラビアをはじめとする主要産油国に対して石油取引の決済をドルに限定させ、消費国にドルを買い集めさせ、それを回収する仕組み。これがペトロ・ダラーである。

 実社会に流通するドルを吸い上げるため、投機市場も使われている。投機を煽り、市場の中にドルを封印することにしたのだ。そこで金融規制が大幅に緩和されていくが、こうした金融マジックのような政策はアメリカの製造業を衰退させることになる。

 この政策ではソ連/ロシアや中国を屈服させる必要があった。1991年12月のソ連消滅で米英金融資本の計画は成功したかに見えたのだが、それをウラジミル・プーチンがひっくり返し、2015年頃にはネオコンの失策が中国をロシアへ接近させることになり、両国は戦略的同盟関係を結んだ。

 つまり、「リセット」を成功させるためには中国やロシアを屈服させなければならない。NATOの事務総長を務めるイェンス・ストルテンベルグは今年6月8日、NATO2030なるプロジェクトを始めると宣言したが、これはユーラシア大陸の周辺地域を支配して内陸部を締め上げるというイギリスの長期戦略と合致する。

 その戦略の軍事力としてNATOが使われようとしているのだが、太平洋地域でイギリスやフランスの海軍が活動し始めたのもそのため。日本はすでにアメリカの戦争マシーンへ組み込まれているが、大きな転換点は1995年2月に国防次官補だったジョセイフ・ナイが発表した「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」だ。21世紀に入ってロシアが曲がりなりにも再独立しなければ、アメリカは容易に世界の覇者になれただろう。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202012190000/

14. 中川隆[-8750] koaQ7Jey 2020年12月31日 15:43:16 : LuroSTCGT6 : NlI1WTJlZDlaemM=[19] 報告

2020.12.31
2021年に世界は悪霊に導かれてファシズムの世界へ向かう
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202012310000/


 2020年の世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)なる悪霊が徘徊、少なからぬ人を怯えさせた。目には見えない悪霊が徘徊していると信じたのだ。そうした人びとはWHO(世界保健機関)、各国政府、有力メディアなどによる宣伝を受け入れたとも言える。「なりゆくいきほひ」を見抜き、それに逆らわず、世界の動きは見ずに国内の出来事に集中、現在を生み出した原因が隠されている歴史的に目を向けない傾向がある日本では悪霊の演出は効果的だった。

 勿論、その程度は違うものの、日本以外でもそうした傾向はある。そうした状況を利用して資本主義を大々的に「リセット」するとWEF(世界経済フォーラム)の創設者であるクラウス・シュワブは主張、12月8日には「​バチカンを含む包括的資本主義会議​」が発足した。2021年は資本主義を作り直す年だと彼らは考えているのだろう。現在の資本主義体制を維持することは困難だと考える人は少なくない。体制を支配している彼ら自身もそう考えているはずだ。

 数年前からドルを基軸とする経済システムは2030年まで持たないと予測する声を聞くようになったが、リチャード・ニクソン米大統領がルと金の交換を停止すると発表した1971年の段階で生産活動はすでに行き詰まっている。ドルを自由に発行するため、金という裏付けを放棄したわけだ。

 しかし、金という制約なしにドルを発行すれば社会にドルがあふれてインフレになってしまう。そこでドルを回収する仕組みが考えられた。石油取引の決済をドルに限定させ、サウジアラビアなどOPEC諸国を介してアメリカへ還流させるペトロダラーがそのひとつ。その代償としてニクソン政権は産油国に対し、国の防衛、油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の供給、支配的な地位や収入の保障などを約束した。金融規制を大幅に緩和させ、投機市場に吸い上げる仕組みでもドルを吸い上げることになった。

 ペトロダラーの仕組みを効率的にするため、原油価格を引き上げる必要があった。その工作で重要な役割を演じたのは、ヘンリー・キッシンジャーの操り人形だったエジプトのアンワール・サダト。1970年9月にエジプトではガマル・ナセルが急死、10月にサダトが大統領に就任している。

 ナセル暗殺を試みて追放されていたムスリム同胞団をサダトはカイロへ呼び戻し、サウジアラビアとの同盟を打ちだしてイスラエルやアメリカとの関係を修復、その一方で1972年7月にはソ連の軍事顧問団をエジプトから追い出している。

 そしてサダトは1973年10月に第4次中東戦争を始めた。サダトを操っていたキッシンジャーはエジプトとイスラエルの戦争でエジプトに勝たせ、サダトのイスラム世界における影響力と高めようとしたとも言われている。

 この戦争が始まるとOPECは原油価格を1バーレルあたり3.01ドルから5.12ドルへ引き上げているが、この値上げは開戦の5カ月前、1973年5月にスウェーデンで開かれた秘密会議で決まったと​ザキ・ヤマニ元サウジアラビア石油相​は話している。この会議を開いたのはビルダーバーグ・グループだ。

 石油価格の急上昇の恩恵にイギリスも浴した。コストの高い北海油田が利益を生むようになり、イギリス経済を潤すことになったのだ。そのイギリスでは1970年代の後半にオフショア市場のネットワークが築かれている。

 そのネットワークはロンドンのシティを中心にして、ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなどで構成されている。最も秘密度の高い仕組みだと言われている。そして1986年の「ビッグバン」。富豪は資産の隠蔽、課税の回避が容易になった。

 こうした仕組みは生産活動を軽視した一種の金融マジック。それを正当化する理屈が新自由主義だが、この手品で経済を回復させることはできない。金回りは良くなったが、経済の実態は悪化し続け、金融マジックで誤魔化すことができなくなり、リセットしなけらばならなくなったのである。

 ロシアや中国は鉄道、道路、パイプラインなどで世界を結び、交易を盛んにして安定化を図ろうとしている。多極化した世界を想定しているのだが、アメリカやイギリス、つまりアングロ・サクソンは違った計画をたてている。

 ハルフォード・マッキンダーというイギリスの地理学者が1904年に発表したハートランド理論は、制海権を握っていることを利用してユーラシア大陸の周辺を支配、そこから内陸部を締め上げ、最終的にはハートランド(ロシア)を制圧するという長期戦略だ。この戦略はジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」、あるいはポール・ウォルフォウィッツの世界制覇ドクトリンのベースになっている。

 マッキンダーの背後にはイギリスの支配グループが存在している。彼もメンバーだった「円卓会議」運動もその戦略を実行するために創設されたと言えるだろう。

 この運動は1909年にアルフレッド・ミルナーを中心に始められたのだが、その基盤は「ミルナー幼稚園」と呼ばれるグループ。アフリカ南部の金やダイヤモンドの利権に支えられていた。

 この人脈はセシル・ローズから続いている。1866年に南アフリカで農夫がダイヤモンドを発見すると、ローズはオックスフォード大学で学びながら、NMロスチャイルド&サンの融資を受けて1871年にダイヤモンド取引に乗り出す。1888年にローズはデビアスを設立、91年にロンドンでウィリアム・ステッドとレジナルド・バリオル・ブレットに出会い、「秘密選民協会」を創設したと言われている。ローズとステッドのほかネイサン・ロスチャイルドやレジナルド・ブレットが含まれ、ビクトリア女王に対する顧問的な役割を果たしていたようだ。

 ステッドはポール・モール・ガゼットの編集者を務めた人物で、霊的な世界に関心を持っていた。ブレッドはビクトリア女王の相談相手として知られている。ロスチャイルドは金融界に君臨していた人物。

 1896年にローズの部下がトランスバールへ攻め込んで失敗(ジェイムソン侵入事件)、ローズは失脚する。ローズの計略を引き継いだのがイギリス政府で、結局、トランスバールとオレンジ自由国を併合してしまった。(ボーア戦争)この2領地にケープ植民地を併合させた国が南アフリカである。

 ローズは優生学の信奉者で、アングロ・サクソンを最も高貴な人種だと考えていた。こうした優生学的な思想を彼は1877年に書いた「信仰告白」で明らかにしている。彼によると、優秀なアングロ・サクソンが支配地域を広げることは義務だという。ローズは1902年に死亡、ミルナーが後継者として動き始めた。

 その一方、1864年にトーマス・ハクスリーを中心として優生学的な思想を持つ学者らがグループ「Xクラブ」を形成している。トーマスの孫にあたるオルダス・ハクスリーは『素晴らしい新世界』という小説を1932年に刊行した。いわゆるディストピア小説だが、これはイギリスの支配者たちの目標を熟知しうる立場にあった人物によって書かれたのだということを忘れてはならない。

 トーマス・ハクスリーのグループには支配階級の優越性を主張する社会ダーウィン主義を提唱したハーバート・スペンサー、チャールズ・ダーウィンの親友だったジョセフ・フッカー、このダーウィンのいとこであるジョン・ラボックも含まれていた。思想の根底には優生学やトーマス・マルサスの人口論があった。

 資本主義世界を支配するアメリカやイギリスの権力者はローズたちと似た思想に基づいて動いているようにしか思えない。その流れの中にナチズムもあった。資本主義リセットの先に私的権力が支配するファシズム体制が見える。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202012310000/

15. 中川隆[-8290] koaQ7Jey 2021年1月14日 10:12:00 : cZVObf7oyo : R3ZOZks4NktXUWc=[11] 報告
01-13 アメリカはなぜ中華系決済サービスを禁止したのか
2021/01/13




16. 中川隆[-7976] koaQ7Jey 2021年1月21日 17:35:26 : FFyjixcZEl : dms1QVQ2TU1PRVU=[4] 報告
紙幣印刷が起こしたアメリカのインフレはドルを暴落させるか
2021年1月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11948

2020年の新型コロナウィルスの世界的流行によって世界経済は大きな景気後退に見舞われており、結果としてアメリカや日本などの先進国政府は未曾有の景気刺激を行うこととなった。

そして前回報じた通り、現金給付などの政府による資金注入がアメリカにおいては物価上昇をもたらしている。

・コロナ不況でデフレになる日本、インフレになるアメリカ

資金注入によって株式市場が上がっていることは周知の通りだが、アメリカではそれだけに留まらず副作用が出てきているということである。アメリカの物価指数のチャートをもう一度掲載しよう。


なかなかの上昇ぶりである。

インフレの為替相場への影響は

こうした状況で投資家が当然懸念するのはドルの下落である。物価上昇とは貨幣の価値が下落することであるため、理論的には為替レートも下落することが考えられる。他の通貨に対してドルの価値が下がるということである。

世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏は早くから資金流入によるインフレとドル暴落に警鐘を鳴らしている。

・世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき


ではドル円はどうなるだろうか。

ドル円のチャートは現在のところ次のようになっている。


ドル円は長らく変わっていないような印象があるが実は長期でゆるやかな下落トレンドを形成している。

ドルを押し上げるもの

しかしそれでもコロナによりアメリカで金利が下がった割にはあまりドル円は下落していないように見える。アメリカでインフレ、日本でデフレという状況はドル円の下落を後押ししそうだが、為替市場ではインフレになった分だけ通貨が下落するわけでもないということは理解しておく必要があるだろう。

何故か。例えばここ20年で日本とアメリカの物価がどうなったかを見てみたい。以下は2000年の物価を1として両国の物価指数を並べたものである。


アメリカの物価が50%になったのに対して、日本の物価は2%の上昇とほぼ変わっていない。インフレだけを考えれば円が相対的に50%程度強くなっても良いはずなのだが、ドル円のチャートは同じ期間で次のようになっている。


20年でほぼ横ばいとなっている。

インフレはドルを押し下げないのか?

これはどういうことだろうか。

原因は主に2つあると考えられる。1つはここ20年のアメリカの経済発展が本物だったということである。

ジンバブエがインフレになれば通貨も暴落するが、経済成長の著しい国で経済成長によってインフレが起これば通貨はむしろ上昇する。

直近20年はアメリカでAmazonやFacebookなどのテック企業が栄えた期間である。アメリカで物価が上がったにもかかわらず為替レートに調整が起きなかったのは、日本が東南アジアよりも物価の高い国であるように、単にアメリカが日本よりも物価の高い国になったということである。

もう1つはドルが基軸通貨であるということである。基軸通貨とは通貨の発行国に限らず世界中で決済や貯蓄などに使われる通貨のことであり、ドルが基軸通貨である限りアメリカで中央銀行がドルを刷り続けてもある程度はドルは買われ続ける。

ドルの天下は続くのか

しかし問題はこの2つの条件がコロナで揺らぎ始めている可能性があるということである。まず今回のインフレは経済成長によるものではなく金融緩和と現金給付によるものである。その意味では為替レートはこのインフレをここ20年のようには見逃さないだろう。一定の影響を与えるはずである。

そして基軸通貨としてのドルだが、アメリカ経済は今後も世界の中心であり続けるだろうか。アメリカはいまや世界一の新型コロナ感染者数を誇る国であり、新規感染者数は1日20万人に迫る勢いとなっており、日本などのアジア諸国に比べて感染の度合いが酷い。

こうした状況を鑑みてか、最近ではダリオ氏に続いて債券投資家のガンドラック氏もアメリカよりアジアに目を向け始めている。

・世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
・ガンドラック氏: 米国株、アジア新興国株に強気

これがダリオ氏の言うようなアメリカの覇権交代という大きなトレンドなのかどうかは分からない。しかしどれだけ紙幣を印刷してもインフレにならなかった先進国経済についにインフレが訪れたのは1つの大きなターニングポイントである。


ダリオ氏が歴史を振り返って考察したように、ドルの凋落は急激に起こるのではなく何十年もかけてゆっくり進むだろう。コロナは本当にその転換点になるのかもしれない。

・世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
・世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11948

17. 中川隆[-7861] koaQ7Jey 2021年1月28日 18:25:24 : fhg8YYhxTo : Nzk4WlJOWGpHb0E=[25] 報告
2021.01.28
サウジ以上の産油国であるベネズエラをバイデン政権が狙っている可能性は大きい
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202101280000/


 石油を含むエネルギー資源は現代社会を支えている。どの国もエネルギー資源がなければ存続しえない。ジョー・バイデン政権もエネルギー資源の支配に力を入れるだろう。アメリカがエネルギー資源を支配、石油や天然ガスの供給を止めることができるということになれば、多くの国はアメリカの命令に逆らえなくなる。

 アメリカにとって石油はそれ以上の存在でもある。ドル体制を支えてきたのだ。基軸通貨であるドルを発行する特権によってアメリカの支配力は支えられてきた。

 1971年にリチャード・ニクソン大統領がドルと金の交換を停止すると発表、金という後ろ盾を失ったドルが基軸通貨の地位に留まることができたのはそれなりの仕掛けがあったからである。

 そのひとつは金融規制の大幅な緩和によって投機市場を肥大化させたことにあり、もうひとつは石油取引の決済をドルに限定させたことにある。アメリカはサウジアラビアをはじめとするOPEC(石油輸出国機構)に決済をドルに限定させ、その代償としてその国の防衛だけでなく、支配者の地位と収入を保障したのだ。

 産油国に集まったドルはアメリカの財務省証券や高額兵器を購入するなどという形でアメリカへ還流、また産油国を支配する人びとの預金や投資という形で金融システムや投機市場へ流れ込む。それによって現実世界に流通するドルを減少させ、ドルを発行する余裕を作ることができる。

 アメリカを中心とする支配システムにおいて、サウジアラビアの果たしている役割は大きいというこということだが、現在、サウジアラビアで大きな影響力を持っているモハメド・ビン・サルマン皇太子はサルマン国王の息子。新自由主義の信奉者で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とも友好的な関係にある。2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝ったことを受けてビン・サルマンは皇太子になったことを考えると、昨年の選挙でトランプが敗北した影響は避けられないだろう。

 ビン・サルマンは腕力で物事を解決しようとする傾向があるが、イエメンへの軍事侵攻はサウジアラビアを疲弊させている。イエメンでサウジアラビアと戦っているフーシ派は2019年9月にUAV(無人機。ドローンとも呼ばれる)と巡航ミサイルでサウジアラビアのアブカイクとハリスにあるアラムコの石油処理施設を攻撃、サウジアラビアの屋台骨が揺らいだ。

 この施設の周辺には88基のMIM-104 ペトリオット・システムが配備され、ペルシャ湾にはアメリカ海軍に所属する3隻の駆逐艦(イージス艦)がいたのだが、機能しなかったということだ。サウジアラビア王室のアメリカに対する信頼度が低下して当然だ。

 アメリカ国内の情勢もサウジアラビアに悪い影響を及ぼしている。バラク・オバマ政権やジョー・バイデン政権はネオコンの影響を強く受けているが、そのネオコンの暴力的な手法が失敗、状況を悪くしたのである。

 バラク・オバマ政権時代の2014年2月にアメリカはウクライナでクーデターを成功させた。ネオ・ナチを使ってビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除して傀儡政権を作り、ロシアとEUとの関係を断ち切ろうとしたのだろう。ロシアとEUを結びつけているのは天然ガスだ。

 同じ時期にアメリカ政府はイギリス政府と共同で中国に揺さぶりをかけた。香港で反中国政府の「佔領行動(雨傘運動)」を仕掛けたのだ。共通の敵が出現したことでロシアと中国は接近し、戦略的な同盟関係に入った。

 しかし、ヤヌコビッチの支持基盤だったウクライナの東部と南部の制圧にアメリカは手間取る。オデッサでは住民を虐殺して制圧したが、東部では戦闘が続き、クリミアはウクライナから離脱した。キエフの惨状を知ったクリミアの住民がいち早く動いた結果だ。

 クリミアはロシアの黒海艦隊が拠点にしてきた。このクリミアを制圧することでロシア軍を追い出そうとアメリカ政府は考えたのだろうが、失敗に終わった。

 西側ではロシア軍が軍事侵攻したと宣伝されたが、2014年当時、1万6000名のロシア軍が駐留していた。ロシアとウクライナが1997年に結んだ条約でロシア軍はクリミア半島に2万5000名までの部隊を駐留させられることになっていた。駐留していた部隊を西側は侵略してきたと宣伝したわけである。

 クーデターを成功させたものの、ロシアにダメージを与えるという目論見には失敗したアメリカ政府は新たな経済戦争を仕掛ける。ロシアの資金源であるエネルギー資源の相場を下落させたのだ。ソ連を消滅させる際に成功した手口を再び使ったのである。

 WTI原油の場合、2014年5月に1バーレル当たり110ドルを超す水準にあったが、年明け直後には50ドルを切る。2016年1月には40ドルを割り込んだ。値下がりが始まって間もない2014年9月11日にアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王は紅海の近くで会談、それから加速度的に下げ足を速めたことから原油相場を引き下げる謀議があったとも噂されている。

 ところが、原油価格の下落はロシアでなくサウジアラビアやアメリカの経済にダメージを与えることになった。ロシアの場合、石油相場と同じようにロシアの通貨ルーブルも値下がりしたことからアメリカ支配層が望んだような効果はなかったのである。2014年にサウジアラビアは約390億ドルの財政赤字になり、15年には約980億ドルに膨らんだと伝えられている。

 オバマ政権の政策を引き継ぐことが予想されたヒラリー・クリントンが2016年の大統領選挙で敗北したこともあり、サルマン国王は2017年10月にモスクワを訪問、ロシア製防空システムのS-400を購入したいという意向を伝え、ロシア側は受け入れる姿勢を示した。

 サウジアラビアはイランとの関係修復にも乗り出す。イラクを仲介役にして話し合いをはじめ、2020年1月3日にはサウジアラビアへの返書を携えてイランのガーセム・ソレイマーニーがバグダッド国際空港に到着した。そのソレイマーニーをアメリカはイスラエルの協力を得て暗殺している。アメリカ政府はサウジアラビアとイランとの間で進んでいた緊張緩和の動きを壊したのだ。

 バイデン政権は中東における攻撃の目標をシリアに集中しようとしているようだが、戦乱が拡大すると中東からの石油供給は困難になるだろう。地中海の東部、リビア、エジプト、パレスチナ、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ギリシャに面した場所に膨大な天然ガスが存在していると言われているが、これで全てが解決されるとは言えない。

 現在、石油の生産量はアメリカがトップだが、アメリカで大きな比重を占めるシェール・ガスやシェール・オイルは生産コストが高く、石油価格が下落するとビジネスとして成り立たなくなる。しかもこの生産方法は地下水を汚染して農業生産にダメージを与える可能性が高い。

 現在、最も石油の埋蔵量が多いと言われている国はベネズエラである。第2位がサウジアラビア。バイデン政権、いやアメリカの支配者はベネズエラを制圧したいだろう。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202101280000/

18. 中川隆[-6887] koaQ7Jey 2021年3月06日 16:05:23 : aEPWmwZz6g : ZGV2Z1VubE9GcFE=[16] 報告
2021.03.06
ドルを崇拝する人びとの末路(1/2)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202103060000/

 OECD(経済協力開発機構)の発表した加盟国の平均賃金が話題だ。日本は平均以下で、韓国を下回っているからだ。しかも、OECDはアメリカを中心とする西側諸国の集まりだが、落ち目である。


 アメリカの支配力を支えてきたのは基軸通貨であるドルを発行する特権。その特権がなければ各国のエリートを買収し、脅し、排除し、軍隊を世界に展開するといったようなことは不可能。その特権は世界の人びとがドルを交換の基本単位として認めているので成り立つ。貨幣を呪物として崇拝しているとも言える。カール・マルクスが言うところの「貨幣物神」だ。

 そのドル信仰を維持するために「ペトロダラー」の仕組みを作り、金融規制を大幅に緩和して投機市場を肥大化させた。「カジノ化」とも呼ばれたが、一種の金融マジックだ。

 しかし、ドル体制を支える金融システムが揺らいでいる。2008年9月にアメリカの大手投資会社リーマン・ブラザーズ・ホールディングズは連邦倒産法の適用を申請したが、この出来事は金融システムが危機的な状況にあることを世に知らしめた。このときはツケを庶民に回して乗り切ったが、その後も状況は改善されていない。

 そもそもカジノ化は行き詰まった資本主義システムを生きながらえさせるために導入された。生産を放棄し、投機でカネを回転させようとしたのだが、社会を実際に支えているのは生産活動であり、生産活動がなければ人間は生きていけない。

 しかし、経済のカジノ化を推進した人びとにとって商品やサービスはカネ儲けの手段にしかすぎない。生産活動に支えられている社会が見えていないとも言える。(つづく)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202103060000/


2021.03.06
ドルを崇拝する人びとの末路(2/2)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202103060002/


 これまで資本主義の信奉者はシステムの行き詰まりを侵略と略奪で打開してきた。「帝国主義」、最近の用語を使うならば「グローバル化」だが、それも限界に近づいている。しかもドル信仰を放棄する国も出てきている。そうした流れの中心に存在しているのがロシアと中国。ドルを信仰している人びとにとってロシアや中国は「異教徒」であり、破壊の対象である。

 ロシアはソ連の中心国だったが、そのソ連とアメリカが核戦争の寸前になったことが何度かある。大韓航空007便がソ連領空を深々と侵犯、カムチャツカやサハリンにある軍事施設の上を飛行、モネロン島の上空で撃墜されたとされている1983年も非常に危険の状況だった。

 ソ連はアメリカが先制核攻撃を狙っていると疑っていたのだが、そう推測する動きは1979年頃に始まっている。この年の7月にアメリカとイスラエルの情報機関に関係する人びとがエルサレムに集まり、「国際テロリズム」に関する会議を開いたのだが、実際はソ連を攻撃するプロパガンダについて話あっている。彼らはソ連を「テロリズムの黒幕」だと宣伝することにしていた。この年にはズビグネフ・ブレジンスキーがアフガニスタンで秘密工作を始めていた。

 エルサレムでの会議を主催するために「ジョナサン研究所」が設立されたが、この名前は、イスラエル軍がウガンダのエンテベを攻撃した際に戦死したヨナタン(ジョナサン)・ネタニヤフの名前から採られている。この人物はイスラエルの現首相、ベンヤミン・ネタニヤフの兄だ。

 1979年にはアメリカやイスラエルの傀儡だったイランの王制が倒れている。1月に国王が脱出、4月に「イスラム共和国」の建国が宣言された。7月にニカラグアでアメリカの傀儡でイスラエルと緊密な関係にあったソモサ一族の独裁体制がサンディニスタによって倒されている。

 同じ年の12月、NATOは戦術弾道ミサイル、パーシングIIを1983年からの西ヨーロッパに配備すると決め、西側では反対運動が起こる。そうした中、反戦運動の活動家でもあったジョン・レノンがカムバック、1980年10月には5年ぶりのシングル「スターティング・オーバー」を、また11月にはアルバム「ダブル・ファンタジー」をリリースした。

 11月にはアメリカで大統領選挙があり、その投票でFBIの手先として生きていたロナルド・レーガンが勝利、副大統領にはCIAのジョージ・H・W・ブッシュが選ばれた。そして12月8日にレノンは射殺される。1981年10月に西ドイツで開かれた反核集会には約30万人が集まったが、レノンが生きていたなら、その規模は格段に大きなものになっていたと見られている。

 アメリカの動きを警戒、ソ連のKGB(国家保安委員会)とGRU(参謀本部情報総局)は1981年5月に合同でRYAN(核ミサイル攻撃)作戦を始動させた。一触即発だ。

 そうした中、1982年11月に中曽根康弘が内閣総理大臣に就任、翌年の1月にはアメリカを訪問する。その際にワシントン・ポスト紙のインタビューを受け、日本を「巨大空母」と表現して問題になった。

 同紙によると、中曽根首相は「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべきだ」と発言、さらに「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語ったのである。

 この「不沈空母」という表現を誤訳だと騒いだ人もいるが、本質的な差はない。核戦争の危険性が高まっていた時、中曽根は日本をアメリカの空母、つまりソ連を攻撃する拠点にするという宣言したのだ。ソ連がアメリカからの攻撃に神経をとがらせていたことを知らなかったとするならば、日本政府に情報を収集する能力がないことを意味し、もし知っていたそうした発言をしたなら核戦争を始めるつもりだったということになる。

 中曽根の挑発的な発言から3カ月後の1983年の4月から5月にかけて、アメリカ海軍は千島列島エトロフ島の沖で大艦隊演習「フリーテックス83」を実施する。この演習には3空母、つまりエンタープライズ、ミッドウェー、コーラル・シーを中心とする機動部隊群が参加した。3空母の集結は尋常でない。演習では空母を飛び立った艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返したともされている。

 この艦隊演習の4カ月後、8月31日から9月1日にかけて大韓航空007便がソ連の領空を侵犯している。NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が設定したアラスカの「緩衝空域」と「飛行禁止空域」を横切っているが、NORADは反応していない。

 その後、航空機はカムチャツカを横切るのだが、その直前にアメリカ空軍の偵察機RC-135とランデブー飛行したと言われている。カムチャツカではソ連側の重要な軍事基地の上を飛行したが、ソ連側の交信記録によると、カムチャツカを横断する際に機影が一時レーダーから消えている。

 さらに領空侵犯機はソ連側の警告を無視して飛び続けした末にサハリン沖で撃墜されたとされている。通信の傍受記録を読むと、ターゲットになった航空機はモネロン島の上空で右へ旋回しながら降下したと戦闘機のパイロットから報告されているのだが、レーダーの記録を見ると左へ旋回している。この撃墜を利用してレーガン政権は大々的な反ソ連キャンペーンを展開した。

 レーガン政権は1983年11月にパーシングIIを西ドイツに配備しているが、その月にNATO軍は軍事演習「エイブル・アーチャー83」を計画、核攻撃のシミュレーションも行われることになっていた。

 これをKGBは「偽装演習」だと疑い、ソ連へ全面核戦争を仕掛けてくるのではないかとソ連政府は警戒、報復攻撃の準備を始めている。演習は5日間で終わるが、展開によっては核戦争になっていただろう。中曽根はそうした状況を作る手助けをしたわけだ。

 核戦争が回避された後、CIAはソ連を内部崩壊する工作を始める。その結果、1991年夏の段階でジョージ・H・W・ブッシュ大統領をはじめとするCIA人脈はイスラエルの情報機関を介してソ連の情報機関KGBの中枢と話をつけることに成功、ソ連を乗っ取ることで合意していた。ハンマー作戦だ。

 1991年の後半にはゴルバチョフを排除することに成功、欧米支配層の傀儡でこの年の7月にロシア大統領となったボリス・エリツィンが実権を握る。

 このエリツィンは同年12月にウクライナやベラルーシの首脳をベラルーシにあるベロベーシの森に集め、秘密裏に、国民に諮ることなくソ連からの離脱を決めてソ連を消滅させた。それ以降、約10年にわたってロシアを含む旧ソ連圏は西側の私的権力に支配されることになる。

 ソ連が消滅する直前、ゴスバンク(旧ソ連の国立中央銀行)には2000トンから3000トンの金塊が保管されていたが、後にそれが400トンに減っていることが判明した。CIAとKGBの腐敗グループが盗んだと見られている

 結局、アメリカはソ連を内部崩壊させることに成功したが、21世紀に入ってウラジミル・プーチンやその周辺がロシアを曲がりなりにも再独立させることに成功、シオニストの一派であるネオコンはジョー・バイデン政権を使い、ロシアを再び従属国にし、中国を制圧しようと目論んでいる。

 中国はケ小平の下でアメリカへ接近するが、そうした流れはリチャード・ニクソン大統領が1972年に中国を訪問した時から始まる。その後「四人組」の抵抗はあったが、そのグループは1976年に失脚した。その当時、アメリカでは新自由主義によるカジノ経済化が始まっていたが、その教祖的な存在だったミルトン・フリードマンが1980年に中国を訪問、新自由主義が中国に広まっていく。

 ところが、1980年代の後半になると新自由主義による社会の歪みが深刻化。1988年に実施した「経済改革」は深刻なインフレを招き、社会は不安定化する。胡耀邦や趙紫陽を後ろだととするエリート学生は「改革」の継続を求めたが、労働者などから不満の声が高まりから軌道修正を図ることになった。胡耀邦は1987年に総書記を辞任、89年に死亡。その死を切っ掛けに天安門広場で大規模な抗議活動が始まり、5月に戒厳令が敷かれた。

 この辺の事情は繰り返し書いてきたので今回は割愛するが、1989年1月からアメリカ大統領はCIA出身(エール大学でリクルートされた可能性が高い)のジョージ・H・W・ブッシュ、そのブッシュが大使として中国へ送り込んだ人物がブッシュと昵懇の間柄にあるCIA高官のジェームズ・リリーだということは指摘しておきたい。

 なお、リリーの前任大使であるウィンストン・ロードは大使を辞めた後、CIAの資金を流すNEDの会長に就任しているが、この3名はいずれもエール大学の出身で、学生の秘密結社スカル・アンド・ボーンズのメンバーだ。中国の学生はリリーだけでなく投機家のジョージ・ソロスともつながっていた。

 このロシアと中国をバラク・オバマ政権のネオコンは2014年に潰そうとする。ウクライナではネオ・ナチを使ったクーデター、香港ではイギリスの情報機関MI6と手を組んで反中国運動を展開したのだが、これによって中露はアメリカを警戒する気持ちが強まり、両国の接近を招いた。

 アメリカやイギリスの私的権力は中露を潰し、「資本主義の大々的なリセット」しようとしている。その環境作りに利用されているのがCOVID-19(そのために軍事的な緊張を高めているが(2019年-コロナウイルス感染症)騒動だ。あくまでも彼らの目的は中露を潰し、「資本主義の大々的なリセット」して自分たちの支配システムを維持していくことにある。そうした目論見は全面核戦争を引き起こしかねない。

(了)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202103060002/

19. 中川隆[-5440] koaQ7Jey 2021年4月20日 09:28:43 : fzZb06XXLw : bDI2N25GTEVHOFU=[26] 報告
04-20 中国でのビットコインの現在
2021/04/20




20. 中川隆[-5438] koaQ7Jey 2021年4月20日 09:30:49 : fzZb06XXLw : bDI2N25GTEVHOFU=[28] 報告
アメリカは具体的にどのように世界中のマネーを吸い上げているのか


21. 中川隆[-14140] koaQ7Jey 2022年1月19日 10:52:17 : y3o483bN1Y : NHJjeVV5TzZuS00=[7] 報告

2022.01.19XML
新時代でもヘゲモニーを握るために軍事的緊張を高め、COVID-19騒動を煽る米国
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202201180000/


 世界は新しい時代へ入りつつある。その新時代でもヘゲモニーを握ろうとしているアメリカを中心とする欧米の私的権力はロシアと中国を中心とする勢力を屈服させようと必死で、ウクライナや東アジアなどで軍事的な緊張が高まっている。中東やアフリカも2勢力が衝突する舞台になってきたが、ここにきてアメリカは中央アジアに火をつけようとしている。

 その一方、私的権力の代理人的な存在であるWEF(世界経済フォーラム)の創設者、クラウス・シュワブはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用して資本主義システムを大々的に「リセット」するべきだと主張した。

 現在のシステムはドルが中心。そのドルを発行する特権を持つアメリカの私的権力は圧倒的に優位な立場にある。そのシステムを維持するためにドルを実世界から私的権力の下へ還流させる必要がある。そこで考えられたのが石油取引のドル決済と金融規制の大々的な緩和。

 1971年までドルは兌換紙幣であり、金という裏付けがあった。その頃まで金はイギリスの支配下にあった南部アフリカが産出量で圧倒していたことから金本位制の通貨をコントロールできたのだが、その比率が急速に低下していく。そしてリチャード・ニクソン米大統領はドルと金の交換を停止すると発表したわけだ。

 金という制約なしにドルを発行できるようになったとも言えるが、何も対策を講じないと実世界にドルがあふれ、インフレになってしまう。そこでドルを還流させる仕組みが作られたのだ。

 世界は石油を必要としている。その石油を買うためにドルが必要となれば、各国はドルをかき集めるしかない。そして産油国へドルは集まるが、そのドルがアメリカへ戻る仕組みが作られたのだ。サウジアラビアをはじめとする産油国に対し、アメリカの私的権力はドル決済を認めさせる代償として、ニクソン政権は産油国に対して国の防衛と油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の供給、支配的な地位や収入の保障などを約束した。いわゆる「ペトロダラー」の仕組みだ。

 その還流効率を高める意味もあり、私的権力は原油相場の大幅な引き上げを実行した。サウジアラビアのファイサル国王の腹心で石油鉱物資源相を務めた​シェイク・ヤマニ​によると、1973年5月にスウェーデンで開かれた「秘密会議」でアメリカとイギリスの代表が400%の原油値上げを要求、オイル・ショックにつながったという。この会議はビルダーバーグ・グループの会合だったことが後に判明する。この会合は1973年5月11日から13日にかけてスウェーデンで開かれている。

 ヤマニによると、ファイサル国王は価格の高騰が代替エネルギー源の開発を刺激するとして値上げに反対していた。そこで国王はヤマニをイランのパーレビ国王の下へ派遣したのだが、そこで「なぜ原油価格の値上げに君たちは反対するのだ?そう願っているのか?ヘンリー・キッシンジャーに聞いてみろ、値上げを望んでいるのは彼なんだ」とパーレビから言われたという。

 石油相場が急騰した直接的な原因は1973年10月の第4次中東戦争。戦争勃発から10日後、OPECに加盟するペルシャ湾岸の6カ国が原油の公示価格を1バーレルあたり3.01ドルから5.12ドルへ引き上げると発表している。

 この戦争はエジプト軍の奇襲攻撃で始まり、イスラエルは窮地に陥った。キッシンジャーはエジプトのアンワール・サダト大統領をアラブ世界の英雄に仕立て上げると同時にイスラエルへ和平交渉に応じるようプレッシャーをかけようとしたとされているが、石油相場を急騰させることもシナリオに含まれていたはずだ。

 当初、戦争はキッシンジャーの思惑通りに進むが、これを懸念する声が国防長官や統合参謀本部議長などから出てくる。そして統合参謀本部ではイスラエルを助ける方法を検討するが、キッシンジャーは妨害したという。後にネオコンの中心的な存在になるリチャード・パールやポール・ウォルフォウィッツはキッシンジャーの動きに激怒している。(Len Colodny & Tom Shachtman, “The Forty Years War,” Harper, 2009)

 1970年代から金融規制の大幅な緩和で投機市場が肥大化していくことは言うまでもないだろう。実世界から資金を吸い上げて「バブル」という現象が現れるが、これは「ハイパーインフレ」の別形態だ。

 しかし、その後、アメリカの中東における支配力が弱まっていく。ウェズリー・クラーク元NATO欧州連合軍最高司令官によると、2001年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された直後、ラムズフェルド長官の周辺では攻撃予定国リストが作成されていた。イラクを手始めに、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを破壊するとされていたという。


 ドル体制からの離脱を目論んでいたサダム・フセインが支配していたイラクを先制攻撃で破壊したのは2003年。2010年から「アラブの春」というムスリム同胞団を中心とする体制転覆運動が始まり、アフリカに共通通貨を導入しようとしていたリビアのムアンマル・アル・カダフィの体制は2011年に潰された。2001年に攻撃が予定されていた国々は実際、攻撃の対象になっている。

 しかし、それでも中東での支配力を回復するというアメリカの計画は実現していない。そこで中東への依存度を低下させる必要性が強まっているわけだが、これはペトロダラーへの依存を低下させるということでもある。その目的を達成するためにも「カーボンゼロ」、そして通貨のデジタル化は必要なのだろう。デジタル化が進めばコンピュータによる通貨の管理が容易になる。

 リセットを実現するためにも使われているCOVID-19騒動は人びとの行動を制限、生産活動を麻痺させたが、石油の需要を低下させる要因にもなる。その騒動が始まって3年目に入ろうとしている今、「感染」に対する疑問が強まり、「COVID-19ワクチン」の危険性が明確になってきた。COVID-19の蔓延を演出する道具として使われてきたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が診断には不適切だということをWHO(世界保健機関)やCDC(疾病予防管理センター)も否定できなくなっているが、それでも日本は使い続けている。PCRのほかに「感染拡大」を演出する有効な手段が思いつかないのだろう。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202201180000/

22. 2022年1月19日 10:56:58 : y3o483bN1Y : NHJjeVV5TzZuS00=[9] 報告

ペトロダラーシステムと米国覇権の終焉
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/683.html
23. 2022年3月02日 08:53:27 : FZOBU9yPw6 : NVZHWXJmdjBqS00=[1] 報告
01-29 拡散されている「元が円を抜いた」情報を斬る
2022/01/29



妙佛 DEEP MAX
24. 中川隆[-13510] koaQ7Jey 2022年3月15日 08:15:45 : ddTeqfvkZA : SGdtN2p5YzNRYTY=[6] 報告
ジム・ロジャーズ氏: ウクライナ危機でドルは暴落する
2022年3月14日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/21358

ジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを設立したことで有名なジム・ロジャーズ氏がStansberry Researchのインタビューでウクライナ情勢とドル相場について語っている。

ロシアのウクライナ侵攻

ウクライナ侵攻後、意見を表明している著名投資家は多くない。あらゆる人が感情的になり、西側でも同調圧力という名の情報統制が行われているのだから、誰もメディアに顔を出して喋りたくはないだろう。

そんな中でも躊躇わずに意見を言い続ける投資家がいる。ロジャーズ氏である。彼はロシアの侵攻前から主張していた意見をそのまま主張している。

戦争は何にとっても良いことにはならない。ウクライナ危機は2014年にアメリカの国務省がウクライナでクーデターを引き起こし、選挙で選ばれたウクライナの政治家を追い出した。今われわれはその代償を払っている。

また、NATOはロシアの隣国ウクライナまで勢力を拡大してきた。この状況は完全な狂気だ。この戦争は起きる必要がなかった。誰の利益にもならないことをしている。

日本を含む西側のメディアではロシアのウクライナ侵攻は突然起きたような報道になっているが、元々の原因は2014年にアメリカが支援したウクライナのクーデターで当時の親ロシア政権が暴力デモによって追放されたことである。

それはベルリンの壁崩壊以降、東側に勢力拡大しないという約束を破って行われたNATOの勢力拡大の最終局面として行われた。ウクライナはロシアと国境を接しており、しかもモスクワまでミサイルを打ちやすい位置にあるからである。

ジム・ロジャーズ氏: 米国のウクライナ支援はロシアが米国直下のメキシコの反米を煽るようなもの
誰のための戦争か

ロジャーズ氏はこの誰の利益にもならない戦争が誰の利益のために行われたのかを語っている。

だがある官僚にとっては利益になるのかもしれない。彼女の名前はビクトリア・ヌーランドで、彼女は2014年のウクライナのクーデターを引き起こし、彼女の行為のためにわれわれは大きな代償を支払っている。

ヌーランド氏はアメリカの外交官で、2014年のウクライナのクーデターの後に新しい政権に誰が就くべきかを話し合っている会話をリークされニュースになった。つまり、ウクライナの現政権はアメリカの傀儡だということである。

ジム・ロジャーズ氏: 米国のロシア嫌いはオバマ政権によるウクライナ政権転覆が露呈して決まりが悪くなったから
これは当然ウクライナ国民にとっては悲劇なのだが、ロジャーズ氏によればアメリカの政治家は戦争を引き起こすことでアメリカにも危害を加えている。

アメリカはロシアに対して制裁を加えた。それは世界の貿易で幅広く使われているドルという通貨の使用権をアメリカが決めることが出来るからである。

しかしロジャーズ氏によれば、ドルを武器として使い始めたことで元々危ぶまれていたドルの命運が尽きたという。彼は次のように言う。

これはドルの終焉を意味している。何故ならば、国際的な通貨であるためにはドルは中立でなければならないが、米国政府はそのルールを変えようとしているからだ。

もしアメリカが誰かを気に入らなければ、制裁を加えてドルを使えなくする。

これは西側メディアの偏向報道に惑わされず、ウクライナにおけるアメリカの行動に疑問を持つ人々にとってはかなり現実的な黄色信号となっている。ドルを持つということは、アメリカに資産を預けるということだからである。

ひっそりと進むドル離れの動き

ロシアや中国がドルからの離脱を考えるのは当たり前の話だが、その他にも同じように考えている人々は日本人の思うほど少なくない。

以下の記事に書いたようにアメリカの共和党の議員がこの問題におけるNATOの責任を指摘しようとしてペンス元副大統領に黙らされているくらいだから、むしろ西洋の政治家の危険性を認識していないのは日本人くらいなのではないか。

欧米諸国を席巻する反ロシア同調圧力
そういう事情を分かっている人々は当然ながらドルを持つことを躊躇し始める。そしてアメリカと距離を置く行動はドルだけではなく、西側の株式市場や西洋の政治観・文化などにも波及する。

ドルだけではない西側への疑問

筆者が現状一番危険に思っているのは、西側諸国に上場するロシア関連の証券が取引停止になったこと、そしてFacebookやYoutube、EUなどがロシアメディアを遮断したことである。

前者は投資家にとって大問題である。西側のシステムを通して投資をしていると、西側の政治的利害のために資産を遮断されたり、最悪奪われたりする可能性がある。

また西側のロシアメディア遮断については、筆者は世界中のあらゆるメディアを読んでいるが、西側がアゾフ連隊などウクライナに不利な情報を一切報じない一方で、西側に遮断されたロシアのSputnikなどはウクライナ情勢に関してプーチン氏にとって不利な反戦デモのことなども報じていた。

アゾフ連隊: ウクライナ国家親衛隊に実際に存在するネオナチの暴力集団
日本や西洋の人々はロシアや中国は情報統制されていて自分たちは報道の自由を享受していると思い込んでいるが、実際に両方のメディアの記事を読んでいるとむしろ逆であることが分かる。ロシアや中国で西側メディアの情報を完全にシャットアウトすることは難しいが、ロシアの主張は西側にはまったく入ってこない。

だがやはりこうした脱西側の流れで一番ダメージが大きいのはドルからの離脱だろう。ロジャーズ氏はこう続ける。

制裁はアメリカを害している。今や多くの人がドルの代わりになるものを探し求めている。中国人、ロシア人、インド人、ブラジル人、イラン人…彼らは出来るだけ早く米国ドルの代わりになるものを作ろうとしている。

アメリカは毎日自分の足を撃ち続けている。ドルはもうすぐ基軸通貨ではなくなるだろう。それはアメリカにとって良いことではない。イギリスにとって良いことではなかったように。彼らの通貨はかつて基軸通貨だったが、そのステータスを失った。そして多くのものを失った。

ドルをこれまで支えていたもの

経済学上の大きなテーマの1つは、アメリカが大量に紙幣印刷し貿易赤字と財政赤字を抱えているにもかかわらず、何故ドルが暴落していないのかということである。

その答えはまずドルが基軸通貨であることである。基軸通貨であれば貿易で決済を行うためにドルが必要なので、ドルを買おうとする人々は世界中から現れる。それが本来暴落すべきドルを支えていたのである。

だがレイ・ダリオ氏などが研究していたように、基軸通貨を持った国は基軸通貨の上にあぐらをかくようになる。どれだけ紙幣を印刷しても問題は起きないという幻覚を見るのである。

歴史上その幻覚は覇権国家の末期にいつも現れるが、名前は異なっている。今回、その幻覚の名前はMMT(現代貨幣理論)と言うらしい。この宗教の信者の合言葉は「インフレが来るまで紙幣を印刷し続けられる」だったが、いや、ある意味ではそれは正しかったのかもしれない。インフレが来たからである。

2月の米国インフレ率は7.9%、今後更なる物価高騰へ
しかしインフレは覇権国家崩壊の第1段階に過ぎない。ダリオ氏が研究したように、第2段階は通貨暴落である。

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
結論

このウクライナ危機をきっかけとして進むドル離れは、インフレで元々危ぶまれていたドルの地位を暴落させてしまうだろう。

投資家にとって重要なのはタイミングだが、タイミングについては以下の記事で書いているのでそちらを参考にしてもらいたい。

2022年ドル円の推移予想: インフレによるドル高は持続せずドル円暴落へ
また、西側の政治家にコントロールされた決済システムを避けるために思いつくものはまず暗号通貨で、ポール・チューダー・ジョーンズ氏などはこの状況で暗号通貨を買っている。

チューダー・ジョーンズ氏、インフレヘッジで暗号通貨を買い増し
しかしロジャーズ氏はそれについては否定的のようである。

ジム・ロジャーズ氏: 仮想通貨の価値はゼロになる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/21358

25. 中川隆[-11985] koaQ7Jey 2023年12月14日 11:47:57 : nk5rGwKpeI : R3BsdlUwQTZ2a0U=[3] 報告
<▽45行くらい>
ペトロダラーの仕組み
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16829944

ペトロダラーシステム
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/822.html

ドルが基軸通貨ではなくなる
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14087403

人民元決済が拡大!中国が目論む米ドル基軸体制打破
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14111332

米ドル凋落の始まりか。ユーロが首位 10月の国際決済通貨シェア 2020年12月7日
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1213.html

ドルが下落したらアメリカは終わり
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1074.html

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14007513

ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14009793

世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953

世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3199

26. 中川隆[-11838] koaQ7Jey 2024年1月07日 09:45:41 : IetMpJEke2 : Q3ZLS2lSdi5WSy4=[8] 報告
なぜドル基軸体制が始まったのか〜金本位制の始まり〜|茂木誠
2024/01/06
https://www.youtube.com/watch?v=DXCiq92Vs5k
27. 中川隆[-11700] koaQ7Jey 2024年2月02日 17:04:03 : bm8TTGJh0s : b3BsT1RPYTdKZTI=[13] 報告
なぜドル基軸体制が始まったのか〜 金本位制の始まり〜|茂木誠
2024/01/06
https://www.youtube.com/watch?v=DXCiq92Vs5k

なぜドル基軸体制が始まったのか〜世界銀行とIMF〜|茂木誠
2024/01/12
https://www.youtube.com/watch?v=rrwIDB3vY58&t=0s

ドル基軸体制の動揺(前半)/プラザ合意とペトロダラー|茂木誠
2024/02/01
https://www.youtube.com/watch?v=-xioydnJ-ZI

28. 中川隆[-11652] koaQ7Jey 2024年2月11日 00:35:39 : FHR9n2FZls : Sk5HdkFGRWVkUVE=[1] 報告
ドル基軸体制の動揺(後半)/「ドルの終わり」とその後の世界|茂木誠
2024/02/06
https://www.youtube.com/watch?v=9yfP13svtF8
29. 中川隆[-11009] koaQ7Jey 2024年4月04日 08:49:17 : QXotTCG5js : Q0NJb3QwOVhZaGM=[4] 報告
<■75行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
金価格上昇の理由と今後の見通し
2024年4月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/46812

ここ1ヶ月ほど金相場が高騰しているので、久々にゴールドを話題に取り上げたい。

金価格上昇の原因

金価格が急上昇している。コロナ初期に急騰してから長らく横ばいが続いていたゴールドだが、ようやく再上昇を開始したという感じである。金価格のチャートは次のように推移している。


金相場のバリュエーションを測る伝統的な指標に注目していた投資家にはこの上昇は驚きかもしれない。何故ならば、金価格に影響を与えるはずの金利と期待インフレ率はそれほど動いているわけではないからである。

金相場を動かす指標

金属や農作物などのコモディティ市場では、価格は基本的に需要と供給で決まる。例えばコロナでロックダウンがあった時に原油価格がマイナスまで暴落したのは、経済が動かなくなり原油の需要がなくなったからである。

アイカーン氏: 原油をマイナス30ドルで買った (2022/2/22)
だがゴールドには実際の需要はほとんどない。宝飾品として使われるぐらいだが、売買される理由のほとんどは金融資産としてのものである。

だから金相場を動かす基本的な要因は金利とインフレ率である。ドル建てで取引されているゴールドは、ドルの金利が高くなれば投資家をドルに取られるが、ドルの金利が低くなり期待インフレ率が高まると、インフレによるドルの減価を恐れた投資家の資金が金相場に集まる。

だから3月からの金価格上昇を見た投資家は、まず金利が下がったか期待インフレ率が上がったと考えるだろう。

だが金融市場を見れば金利も期待インフレ率もそれほど変わっていないのである。アメリカの実質金利(の市場予想)は次のように推移している。


3月以降、それほど変わった気配はない。

期待インフレ率は次のようになっている。


多少上がっているが0.05%程度の違いである。

ドルを避けたい諸外国のゴールド買い

では金相場は何故上昇したのか。

原因は主に2つあるだろう。まず1つ目はドルの保有を避けたい諸外国政府の買いである。

アメリカがロシアに経済制裁を行い、ロシア人のドル資産を凍結したりドルを利用した決済網からロシアを除外したりした結果、BRICS諸国や中東の国々などは、ドル資産を持っていればアメリカの政治的都合で資産を凍結されかねないと考え、ドルの保有やドル決済を避けようとしている。

プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為
そしてドルを避けた資金が実際に金相場に流入している。最近の統計で言えば、中国は外貨準備にゴールドを増やしている。中国の立場からすればドル資産を持ちたくないのは当然だろう。インドも同じように考えるはずである。そうした動きが金相場にとってプラスになる。

インフレ相場におけるゴールドバブル

そして2つ目の原因は長期的なインフレ相場の継続である。

以前からの読者は読んでいると思うが、インフレ相場において金価格は金利とインフレ率の理屈を外れた大きな上昇を見せるということを以下の記事で解説しておいた。

1970年代の物価高騰時代における貴金属や農作物の価格推移
この記事によれば1970年代のアメリカのインフレ時代において、貴金属以外のコモディティ市場では物価上昇率から見て妥当な価格上昇となった一方で、ゴールドやシルバーはドルからの資産逃避を受けて物価上昇率を大きく上回るバブルになっている。

だから今回のインフレ相場でもインフレが退治されない限り、インフレ率の上昇速度だけでは説明できない金相場のバブルは続くだろうと書いておいた。

そして実際、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長はインフレを無視してマネタリーベースの拡大を続け、利下げの断行を宣言している。

3月FOMC会合結果: インフレ無視でハト派のパウエル議長
だから株式市場の上昇も続いているし、金相場も金利とインフレ率に連動する通常モードではなく、1970年代のようなインフレ相場のモードで動いているわけである。

結論

ということで、パウエル議長のインフレ退治が本当にインフレを退治してしまわない限り、金相場は今後もこのような合理的上昇幅を超えた上昇相場を続けることになるだろう。

金相場にとって警戒するべきなのはパウエル議長のインフレ退治がインフレを退治してしまうことだが、今のところ彼がインフレを本気で退治しようとしている気配はない。

サマーズ氏: パウエル議長は利下げをやりたくてたまらないようだ
ガンドラック氏: インフレ無視のパウエル議長のお陰でアメリカのインフレ率は下がらない
3%台で横ばいとなっているインフレ率が本当に上がり始めればパウエル氏も態度を変えるかもしれないが、アメリカ経済は少なくともあと半年ほどは景気後退にはなりそうにない状況であり、金相場への脅威は少なくとも差し迫ってはいないように見える。

1970年代のインフレバブルを分析した以下の記事は今の金相場を考える上で重要なので参考にしてもらいたい。

1970年代の物価高騰時代における貴金属や農作物の価格推移

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/46812

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