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アメリカの消費は現金給付がなければ死ぬ
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1171.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 10 月 13 日 02:21:03: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 量的緩和はデフレの原因 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 23 日 12:37:06)

貯蓄率によればアメリカの消費は現金給付がなければ死ぬ
2021年10月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16295


アメリカ経済がどういう状況かということはこれまでの記事で十分に説明できたと思うが、駄目押しにもう1つ最近の経済指標を紹介しておこう。

現金給付と貯蓄

コロナ後、アメリカではこれまで3回の現金給付が行われ、最後のものは今年3月に行われた。

当然ながらコロナ後にアメリカのGDPが急回復したのは現金給付が原因である。しかし現金給付を考慮しないアメリカ経済の本当の姿はもっと酷いものである。

絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14681


だから現金給付が3月に打ち止めになった後、途端に経済指標は悪化している。

この現金給付の効果を可視化するために一番良い指標は貯蓄率である。

貯蓄率とは可処分所得に占める消費に使われなかった金額の割合である。現金給付が行われればどうなるかと言えば、所得が不意に増えるため、消費が直ちにはそれに追いつかず、所得に占める貯蓄の割合、つまり貯蓄率は急上昇する。そして現金給付がなくなるにつれ貯蓄率は元の水準に戻ってゆく。

また貯蓄率はコロナによる消費の減少分にも関係している。コロナの蔓延で出かけられなかったり、消費が出来なかったりすれば当然ながら貯蓄は増える。だから貯蓄率が上がっている間は消費が制限されているという意味であり、貯蓄率が元に戻っていれば制限緩和によるGDP上昇余地はないということになる。

その貯蓄率が今どうなっているかと言えば、こうなっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/10/2021-aug-us-personal-saving-rate-chart.png


貯蓄率の下落が意味するもの

現金給付による貯蓄率の急騰はここの読者には既知のデータである。しかしそれは既にコロナ前のトレンドラインの位置まで下落し、数ヶ月横ばいとなっている。

これは現金給付の効果も既に無く、しかもアメリカ国民はコロナに邪魔されることなく最大限消費をしているということを意味している。そして、債券投資家スコット・マイナード氏の言葉を借りれば、「これ以上ない好景気ということは、もう上昇余地がないということだ」ということになる。

マイナード氏: 今が売り時だ (2021/7/31)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14658


米国株が最近下落していることを考えれば、マイナード氏のこの発言は結果的には正しかったということになる。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/10/2021-10-12-s-and-p-500-chart.png


もう現金給付やコロナからの回復によるボーナス的な経済成長の余地はアメリカ経済に残されていない。そこにあるのは現金給付のゲタを脱がせた、コロナ禍におけるアメリカ経済の本当の姿である。そしてその姿はここ数ヶ月の経済指標に如実に表れている。

アメリカの個人消費、現金給付後4ヶ月連続でほぼ横ばい
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16065

軟調な9月米雇用統計はインフレの原因、ドル円上昇は続くか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16273

予想通り減速の8月米インフレ率、デフレ相場に中国の不動産バブル崩壊の追い打ちか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15437


そしてこうしたここ数ヶ月の経済減速は、貯蓄率が底まで落ちたことに由来している。だから夏の段階でこう書いておいたのである。

貯蓄率が示す景気刺激の弾切れ (2021/8/8)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14795


貯蓄率が33.8%から9.4%になるまで経済再開してきたアメリカ経済のこれからの再開余地は、9.4%から8.3%までの1.1%である。


結論

さて、アメリカ経済の現状が良いか悪いかは明らかだと思うのだが、金融市場も中央銀行もその見解はわたしの真逆となっている。中央銀行は金融引き締めを行おうとしており、市場では金利とドルが上がっている。

繰り返しになるがこうしたトレンドはせいぜい数ヶ月しか続かないだろう。しかしそれが続く限りは投資家に仕込みのチャンスが与えられる。恐らく一番美味しいのは以下の記事で説明した米国債のトレードだと思われる。債券市場は明らかに持続不可能な方向に進んでいるからである。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/15210


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16295  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
1. 中川隆[-15994] koaQ7Jey 2021年10月13日 15:05:21 : HNQh6kvMDI : aE12RU5RYUJ5ZmM=[40] 報告
貯蓄率が示す景気刺激の弾切れ
2021年8月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14795


投資家にとって今一番重要な指標はCPI(消費者物価指数)だが、その発表を待っている間に他の指標も検証しておきたい。

弾切れのアメリカ経済

これまでの記事で書いてきたが、現在アメリカ経済は現金給付と低金利という景気刺激策で何とか持っている状態である。

絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP
しかし現金給付は今年3月で打ち止めである。経済統計だけ見ているとアメリカ経済は万全の状態に見える。しかし統計データはある程度遅れて出てくるので、主要な指標はまだ6月までの分、つまり現金給付後3ヶ月分しか出ておらず、この3ヶ月のデータが好調なのは当たり前である。しかしその後は現金給付の短期的影響が剥がれてくることになる。

つまり今後数ヶ月分のデータこそがアメリカ経済の本当の姿を徐々に明らかにするものだということになるが、実際のところアメリカ経済の「弾切れ」がどの程度なのかを先に判別できる指標がある。貯蓄率である。

貯蓄率

貯蓄率とは家計の可処分所得のうち消費に回されず残った分の割合である。

コロナ後のロックダウンと現金給付でアメリカの貯蓄率は一度大きく跳ね上がった。第一の理由はロックダウンで所得を使おうにも使えなかったこと、第二の理由は現金給付で余分な現金が入ってきたことである。

つまり、貯蓄率はコロナで経済が抑制されたり、現金給付で金余りになると高くなり、経済がコロナも刺激策もない通常の状態に戻ると低い水準へ戻ってゆくということになる。経済の「コロナ度」を測る上で非常に最適な統計なのである。

その貯蓄率はどうなっているかと言えば、次のようになっている。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/08/2021-jun-us-personal-saving-rate-chart.png


ここまで読んだ読者は貯蓄率がついにコロナ前の水準近くまで下がってきていることに注目するだろう。最新6月の水準が9.4%であり、コロナ前の水準が8.3%である。

コロナ後に貯蓄率がこの水準まで下がったことはなかった。最初に行われた2020年春の現金給付の後も貯蓄率は13%までしか下がらなかった。しかし今やコロナ前とそれほど遜色ない水準まで貯蓄率は下がっている。つまり、アメリカ経済は現在十分に「経済再開」した状態であり、これ以上の経済再開の余地はそれほど残されていない。

結論

これが投資家にとってどういう意味を持つか。債券投資家スコット・マイナード氏の言葉をもう一度引用すべきなのだろう。

マイナード氏: 今が売り時だ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14658


これ以上ない好景気ということは、もう上昇余地がないということだ。目一杯株式に賭けている資金を現金化するか、戦略を変えるか、そういうことになるだろう。

これは経済についても資産価格についても言える。金融市場は先日好調な雇用統計に湧き上がり、ドルも上昇した。しかし投資家にとって「これ以上ない好景気」は売りサインなのである。何故ならば、状況はこれ以上良くならないからである。

この記事ではマイナード氏の感覚的な表現をデータで解説した。その意味では「これ以上ない」は正確ではないだろう。正確にはこう言うべきである。貯蓄率が33.8%から9.4%になるまで経済再開してきたアメリカ経済のこれからの再開余地は、9.4%から8.3%までの1.1%である。

雇用統計に湧いているドル相場をどう見るか。市場のムードとは一歩離れて今後の経済統計がどうなるかを冷静に考えたとき、今年後半の投資戦略が見えてくるだろう。

ドル円見通し: 景気回復相場から追加刺激の催促相場へ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14778

マイナード氏: コンセンサスに反して進め
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14670

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/14795

2. 中川隆[-15361] koaQ7Jey 2021年11月11日 11:51:33 : N6zpS5ezAw : Uy9UNkFvUTlYZm8=[38] 報告
サマーズ氏: 中央銀行の甘さがインフレを加速させる
2021年11月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17215


アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで中央銀行のインフレ対策が甘すぎると指摘している。

止まらないアメリカのインフレ

アメリカのインフレは止まっていない。現金給付による需要過剰と脱炭素政策によるエネルギー価格高騰で加速しているアメリカのインフレは、アメリカ経済が減速の気配を見せている一方でそれほど弱まっていない。ジェフリー・ガンドラック氏が半年も前に予想した通りの展開である。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ (2021/6/14)
しかし緩和は続いている。アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は今月テーパリング(量的緩和縮小)の開始を発表したものの、量的緩和は来年6月まで終わらず、利上げにも及び腰である。

11月FOMC会合結果: テーパリング開始決定
インフレが加速する中で量的緩和を行なっていることの異常さがここの読者以外の人々にも分かってもらいたいものである。

サマーズ氏はパウエル議長のインフレに対する姿勢が十分だったかと聞かれ、次のように答えている。

緩和状況を実質金利や資産価格で測るならば、先週水曜にパウエル氏が話した時よりも、あるいは数ヶ月前よりも緩和的になっている。だから経済はリスクの高いシナリオへ向かっているのではないかと憂慮している。

3日に行われたFOMC会合の後に金融市場がどう反応したかと言えば、1つは金価格上昇である。


コロナ初期に上昇した後は長らく低迷している金価格が少し息を吹き返してきた。そしてその理由は皮肉にも中央銀行がインフレを退治できないと市場が見透かしていることにある。

債券投資家のスコット・マイナード氏はインフレに見舞われたアメリカ経済の選択肢は2つしかないと述べた。

マイナード氏: 物価高騰か資産バブル崩壊か二者択一
そして筆者や著名投資家の多くは政治家と中央銀行は物価高騰を引き起こすだろうと予想しているのである。

リフレ派の言い分

政府や中央銀行は何故緩和を止めないのか? 端的な理由は頭の足りない有権者の票が欲しいからだが、彼らの理論的ベースになっているリフレ派の経済学者の論理についても考えてみよう。サマーズ氏は次のように述べている。

わたしの友人で元クラスメートでもあるポール・クルーグマンのような思慮深い人々の主張は、景気後退になれば破滅的な結果になるから緩和しなければならない、そしてインフレは対処可能な問題だということだ。

景気後退のリスクから経済を守らなければならないということには同意するが、わたしの考えではインフレが加速した場合に中央銀行がそれをソフトランディングさせることの出来る実証済みの方法はほぼ存在しないということだ。

クルーグマン氏のようなリフレ派の元々の言い分は、インフレになれば金融引き締めをやれば良いというものだった。そしてついにアメリカはインフレになったが、今度は彼らはまだインフレではないと言い始めた。子供の言い訳だろうか。

しかしアメリカでは実際にあらゆる商品の価格が上がっており、日本ではまだガソリンや食料品の一部に限られ広範囲には広がっていないが来年にはそうも言ってはいられなくなるだろう。原油価格高騰は衣料など様々なものに転嫁されるからである。

リフレ派の経済学者が現実逃避を始めるのは構わないが、実際に高くなった商品を買わなければならない消費者はどうすれば良いのだろうか。そもそもリフレとは経済学ではなかったのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
誰も得しない現金給付

結局、アメリカ人は現金給付でもらった金額以上の金額をインフレで支払っている。しかも現金給付は一時的だったが、インフレは一時的ではないというおまけつきである。

現金給付という非常に共産主義的な政策は中国とソ連の失敗を欧米と日本にもたらそうとしている。ジム・ロジャーズ氏の以下の発言が思い出される。

ジム・ロジャーズ氏: 誰でも優れた投資家になれる方法
歴史から学べることは、人は歴史から学ばないということだ。

そこにリベラル派の脱炭素政策によってもたらされたエネルギー価格高騰が付いてくる。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
愚かな政策を支持した人々のお陰で来年の家計は世界中で厳しくなるだろう。リベラル派やリフレ派の人々は責任を取らないのだろうか? 彼らは自分が共産主義的だということが分かっていないのである。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17215

3. 中川隆[-14470] koaQ7Jey 2021年12月24日 05:11:41 : zPeXbWXQFc : RlBrUHl2NnpoOEU=[9] 報告
3回で足りるわけない米利上げ。2022年の米国経済は低速成長、日本株は20%超の下落も=藤井まり子
2021年12月22日
https://www.mag2.com/p/money/1140016


12月FOMCの結果は、市場の予想通りであり大きな波乱は起きずに済みました。しかし現在の米国経済のインフレ状況を見てみると、今のFRBの方針では抑えこむことは不可能です。2022年以降、FRBは掌返しで利上げを激しく行う可能性が高くなってきました。2022年以降の世界経済の行方について解説します。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)


パウエルFRBの「一日天下」
12月14〜15日に行われたFOMCの結果(=中身)と、その影響は15日当日だけの「わずか1日」だったことは、当メルマガ12月14日号で解説した通りになりました。

すなわち、パウエルFRBは、この日のFOMCの金利見通しを、金利先物市場の「のんびりと間違った金利予想」にこれ幸いと便乗して追随、「来年の利上げはおよそ年3回程度」としました。

記者会見も成功しました。議長は上手にしらばっくれて「内心のパニック」を市場に見透かされることはありませんでした。

その結果、内外の株式市場はほっと肩をなで下ろしました。アメリカ時間で12月15日当日は、アメリカ株式市場は「大幅上昇」で反応。翌日16日の日本株式市場もこのアメリカ株式市場に追随して、「爆上げ」で反応しました。

しかしながら、12月15日の「大幅上昇」は、よくよく調べてみるとその内実は「今回のFOMCの失敗」に賭けていた投機筋が、想定外の上昇に踏まれて、「売りポジション」を強制的に解消させられたことから起きていました。やはり、彼ら投機筋は「下げ」に賭けていたのです。

ですから、パウエル議長の「大芝居」が効力を発揮できたのは、踏み上げの起きたわずか1日だけでした。

一部の内外の市場関係者は、翌々日からは、もう一度改めて「FRBの来年の利上げ見通し」について精査を開始し始めた模様です。

12月16日、アメリカドル国債はさらに買い進められて、長期金利は再び1.40%台まで低下。 イールドカーブもフラット化したまま。 近い将来のアメリカ経済に「暗い見通し」を示します。

どちらにしろアメリカ経済はスローダウンする
これはローレンス・サマーズ元財務長官の指摘するように、ドル国債の金利市場が、次のことを警戒しはじめたことの現れでしょう。

すなわち、パウエルFRBは、来年3回しか利上げしない。つまり、インフレ退治を放棄して高インフレを放任する。その結果、アメリカ経済は向こう数年間スタグフレーション的な状態に陥って、成長はスローダウンする。

あるいは、FRBのインフレ退治のためのビシバシ利上げで、向こう2年以内にアメリカ経済がスローダウン、もしかしたらリセッション入りするかもしれない。

つまりは、「どっちみち、アメリカ経済はスローダウンする」ことを、市場が警戒していることの現れでしょう。

16日から、内外の株式市場は弱含みに転じて、調整局面入りへ。やはり、年末から年始にかけて、10%調整は巻き起こりそうです。

今年12月の株式市場は、「ドル国債市場の異変」すなわち「ドル国債のイールドカーブのフラット化」「アメリカ経済の近い将来の異変への懸念」に追随して、いつ調整を開始しても不思議では無かったのです。


2022年にFRBは激しい利上げをする
2022年は、FRBが「ビシバシ利上げ」を開始する最初の年です。

ところが、金利先物市場の来年の利上げ予測は、いまだに「のんびりと間違ってる」まま。先物市場は、来年2022年のFRBの利上げを3回くらいしか織り込んでいません。

パウエルFRBも、この「金利先物市場の間違っている、のんびり予測」に便乗して、FRBも12月のFOMCでは「しらばっくれて」います。

しかしながら、FRBがいま現在の「アメリカの7%近い高インフレ」を抑え込みたいならば、FRBが政策金利を中立金利よりもはるかに高いところまで引き上げることが必須です。

今のアメリカの中立金利は、「2.00〜3.00%」と推定されています(分りやすくするために、今後は、その中間を取って「中立金利:2.50%」と記します)。

すなわち、パウエルFRBが高インフレを退治したいならば、FRBは政策金利を「2.50%」よりはるかに高い水準へ、「ビシバシ」引き上げて、加熱気味のアメリカの内需をクールダウンさせて、アメリカ経済をスローダウンさせることが、必須です。

来年2022年のパウエルFRBは、7%近い高インフレを抑え込みたいならば、本当のところは、「1回の引き上げ率が0.25%ならば、1年間で8回をはるかに上回る政策金利の引き上げが必要」なのです。

2022年の米利上げは、年8回以上も必要?
ところが、年8回以上の利上げは、ものすごい勢いの利上げです。今のパウエルFRBは「とても厳しい現実」に直面しているのです。

「イールドカーブがフラット化して、長期金利が極度に低いまま」のドル国債の金利市場は、「後手後手に回り過ぎたパウエルFRBがさっさとインフレ退治を諦めて、今後はたいした利上げを行なわないまま、アメリカ経済をスローダウンさせてゆく」ことを織り込んでいるかもしれないのです。

一方、ローレン・サマーズ元財務長官によれば、もしかするとひょっとすると、「今のパウエルFRBさえも、この『厳しい現実』については、ちゃんと理解していない」かもしれないとのことです。

この「厳しい現実」を知った時、パウエルFRBは改めてパニックに陥って、内外の株式市場も震かんすることでしょう。

2022年はジェットコースター相場。どこかで20%の調整も
来年2022年のFRBは、どこかのFOMC会合で「間違っている市場予想」を大きく裏切りながら「今年は年8回の利上げが必要だ」と正直宣言して「タカ派へ急旋回」するかもしれません。この時、内外の株式市場は20%くらいの大幅調整をすることでしょう。

あるいは、来年2022年のFRBは、FOMCの会合が開かれるたびに、「2022年の利上げ見通し」を幾度も幾度も「小幅のタカ派修正」をして、幾度も幾度も「間違っている市場予想」をちょっとずつ驚かせていくかもしれません。

この場合は、内外の株式市場は5〜10%調整を繰り返すでしょう。が、どこかの時点で市場は、「自分たちもFRBも大きく間違っている」ことに気がついて、大幅調整するかもしれません。

いずれにせよ、来年2022年は、FOMCの会合が開かれるたびに、内外の株式市場は「市場予想を大きく上回る利上げ予告」に、動揺して調整することでしょう。

かくして、2022年は株式市場は乱高下が激しくなり、どこかの時点で、20%調整も起こり得るでしょう。

すなわち、来年2022年の内外の株式市場は、おそらく、「毎年株価が弱含む春から秋」(?)にかけて、一時的に20%くらいの大幅下落などなど、乱高下の激しい年になることが今から警戒されています。

それでも、2022年は、アメリカ経済では実質金利はマイナスのままです。S&P500は年間を通じては、まだ5〜6%の運用益は得られるだろと予想されています。 1年を平均してみると、おおむね株式ブームは継続することでしょう。

2022年末の株価目標は、とてもとてもザックリですが(2022年の予測は今までで一番ざっくりした予測です!)S&P500は、5,000〜5,100ポイント。2022年末のS&P500の株価目標については、モルガン・スタンレーなどの弱気派は(12月に入ってからさらに下方修正して)4,400ポイントとしています。ちなみに、モルガン・スタンレーは毎年弱気派です。

ヨーロッパ株式市場:高パフォーマンスが期待できる
ヨーロッパ株式市場は、アメリカ株式市場よりも「出遅れ感」が強いです。2022年のヨーロッパ株式市場は、アメリカ株式市場よりも高パーフォーマンスが期待されています。

日本株式市場:アメリカよりもさらに売り込まれる
主体性の無い動きを続ける日本株式市場は、来年もアメリカ株式市場の動きに追随することでしょう。

岸田政権による経済刺激策は、張りボテなだけで「中身はしょぼい」のが実態です。日本経済は、引き続き内需が弱い状態が続きそう。

ですから、日本では2022年においてもたいしたインフレは起きないでしょう。

さらに、2022年の日本経済は引き続き中国経済の影響も強く受けます。が、その中国経済も2022年に入っても不動産バブル崩壊の後始末に手こずったまま、来年は成長が大きくスローダウンすることが見込まれています。

結果、来年アメリカ株が大きく売り込まれたときは、日本株はアメリカ株よりももっと売り込まれることでしょう。来年は、おそらく春から秋にかけて、一時的にせよ日経平均が2万4,000円を大きく割り込むなんて「悪夢」が現実になるかもしれません。裏を返すと、「ビック・チャンス」なのですが…。

2022年末の日経平均は、2万9,500円〜3万0,500円と予想しています。

中国株式市場とその他の新興国株式市場
中国は、来年も「大型不動産バブルの後始末」に追われて成長が大きくスローダウンしそうです。株式市場の大幅な上昇は、あまり期待できません。

中国と関係の深い新興国株式市場もあまり期待はできないでしょう。

ただし、2022年のどこかの時点で、「ドル安」基調が始まって、「ドル安新興国通貨高」トレンドが始まるならば、この限りではありません。

「ドル安トレンド」が始まるならば、中国株式や新興国株式にもチャンスが訪れるかも知れません。


アメリカの高インフレは向こう3年は続く?
繰り返しになりますが、今のアメリカでは7%近い高インフレが猛威をふるっています!

今から記すことは、2022年内はあまり心配しなくても良いかもしれません。心配し始めたほうがよいのは、再来年(2023年)以降でしょう。

この高インフレは向こう3年くらいは続くことでしょう。

来年2022年は、パウエルFRBが「高インフレと戦うために、ビシバシ利上げをする、向こう2〜3年間の『最初の年』」です。

FRBが「大きく後手後手に回っている、回り過ぎている」ために、今の7%近い高インフレは、今後もますます燃えさかっていく可能性が高いです(夏場には、二桁近いインフレが起きても不思議ではないです)。

さて、繰り返しになりますが、この高インフレを抑え込むためには、「中立金利:2.5%」よりもはるかに高い政策金利が必須になります。

パウエルFRBが「来年1年間で0.25%の政策金利の引き上げを8回行なった」としても、「来年末の政策金利は2.00%」です。まだ「中立金利:2.50%」には及びません。「政策金利:2.00%」では、まだ高インフレを抑え込むことはできないのです。すなわち、この「2.00%」水準では、来年末になっても、7%近い高インフレは加速することはあっても、沈静化したり、下火にはなっていないのです。

さらに、「金融引き締めによるインフレ退治」には、半年か1年のタイムラグが必要です。大変驚くべきことかもしれませんが、アメリカの政策金利が2.50%よりも遙かに高くなった時点から、さらに半年から1年の時間が経過しないと、高インフレは沈静化し始めないのです。

すなわち、来年2022年は無理だとしても、再来年の2023年のどこかに時点で、FRBの政策金利が「中立金利2.50%」よりはるかに高くなるかもしれません。そして2023年に、やっとこさ、はるかに高くなったとしても、7%近い高インフレは2023年末になっても燃えさかっているはず。FRBがここまでバカスカがんばっても、アメリカで高インフレが止まるのは、2024年に入ってから。これが、パウエルFRBが後手後手に回ってしまった結果の「厳しい現実」なのです。

かくして、パウエルFRBがどんなにうまくやっても、現在進行形の高インフレは2024年に入って「やっと静まり始める」程度でしょう。

パウエルFRBの「高インフレとの戦い」、言い換えると、「ビシバシ利上げを続ける年」は、少なくとも「向こう2〜3年間は続く」のです。

3年間の「高インフレ」がアメリカ経済に及ぼす影響
7%を軽く上回るようなインフレが向こう2〜3年間は続くと、アメリカ経済はどうなるのか?

2022年から2023年のどこかの時点で、インフレが二桁に近づいたりすると、パウエルFRBがますますパニックに陥りやすくなります。パウエルFRBがパニックに陥って利上げをし過ぎて、アメリカ経済が大きくスローダウン、リセッション入りしてしまう可能性は、かくして生まれるわけです。確率としては30%〜40%。

反対に、パウエルFRBが中央銀行としての責任を放棄する可能性もあります。パニックに陥り過ぎて、無気力になったFRBは、何もしなくなる可能性があるのです。すなわち、驚きべきことに、FRBはビシバシ利上げなどは行なわずに、高インフレを放置する可能性が今から指摘されているのです。

来年2022年の利上げでは、パウエルFRBは「市場予測通りの年3回の利上げ」だけに留めて、インフレ退治を最初から諦めてしまう可能性があるのです。

結果、アメリカ経済は向こう数年間は「スタグフレーション的」な状態に陥って、やはり経済成長は大きくスローダウンしてしまうことでしょう。最終的には、アメリカは数年後あたり(?)にアメリカ経済は正真正銘のスタグフレーション(不況の中の物価高)に陥ってしまうことでしょう。確率としては、33%くらいと読んでいます。

かくして、アメリカ経済が無事にソフトランディングする確率は20〜25%くらいに低下しています。  

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