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スタグフレーションに備えよ!
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1202.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 10 月 21 日 14:19:17: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 量的緩和はデフレの原因 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 23 日 12:37:06)

スタグフレーションに備えよ!
2021/10/14



 

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コメント
1. 2021年10月25日 13:56:21 : TB9yu1cbVQ : TGVnMUt0dC5KQXc=[28] 報告
 本当に生活が苦しくなっていること
2021年10月25日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1658.html


先に、日本社会は単純なインフレではなく、不況による賃金低下とインフレが同時にやってくる「スタッグフレーション」という現実に襲われていることを書いた。
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1642.html

 スタグフレーションとは?
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B0%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

 当地のガソリン価格は、24日現在、もっとも安い店でもリットル162円に達した。このままでは、史上最高値の180円台を軽く突破し、200円を超すのは確実に思える。
 https://kuruma-news.jp/post/435665

 私の住む中津川市では、ちょっとした買い物でも、店まで車で10〜20キロ走って出かけなければならないから、一回の買い物で500円玉を覚悟しなければならない。車の年間経費は、安倍晋三時代の爆上げで、軽自動車であっても30万円程度はかかる。
 もし、エンゲル係数と同様の、車経費係数があれば、それは、エンゲル係数に匹敵するはずだ。
 幸い野菜生産地なので都会よりは安いが、最近では驚くほどの高騰ぶりだ。

 上のリンクにあるように、すでに離島ではリットル200円を超えている。本土も越えるのは時間の問題とみられている。
 流通経費の暴騰は、確実に生鮮食品物価に反映されるので、あらゆる食品価格が上昇し、エンゲル係数がかつてない比重を占める日が津波のように押し寄せている。
 以下に、エンゲル係数について触れた記事を紹介する。

 「エンゲル係数」がまた上昇…1年前とは違って「今回は本格的にヤバい」理由
2020年の時とはワケが違う 現代ビジネス 2021年10月25日
 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/88589

 エンゲル係数は、家計の消費支出に占める食料費の割合。生活する上で食料費は最も必要な支出のため、数値が低ければ、それだけ食料費以外に使える支出が増え、生活が豊かとなる。一方で数値が上がれば、食料費以外に使える支出が減り、生活が厳しくなるという目安になる。

 エンゲル係数の意味を読み解く上では、いくつかのポイントがある。
 まずは所得の状況だ。所得を見る場合でも、「可処分所得」の動向を見る必要がある。
 可処分所得は、税金を差し引き、児童手当を足した金額で、“いわゆる手取りの収入”となる。この可処分所得は、自由に使える所得であり、増えるほど生活に余裕が生まれる。

 次に見なければならないのが、消費にいくら使っているのかを示す「消費支出」だ。
 さらに、「物価動向」も忘れてはいけない。物価(食料価格)の上昇・下落によっても、エンゲル係数は大きく変動する。
 つまり、これらの可処分所得、消費支出、物価(食料価格)などの動きが複合的に組み合わさってエンゲル係数は変動するといえる。

さて、このエンゲル係数だが、実は20年にも急上昇している。
 総務省の家計調査のサラリーマン家庭の標準となる「2人以上の勤労者世帯」で見ると、17年23.8%、18年24.1%、19年23.9%で推移したエンゲル係数が、20年には26.0%と2.1ポイントも上昇した。(表1)

engeru.jpg


 この時、可処分所得、消費支出、物価(食料価格)はどうだったのか。
 20年の月平均の可処分所得は49万8639円と、前年の47万6645円から4.6%増加。これに対して、消費支出は30万5811円と、前年の32万3853円から5.6%の減少だ。一方で、食料費は7万9496円と2.6%増加(19年は7万7431円)している。

 つまり可処分所得が増加しているなかで、消費支出は減少し、食料費だけが減らずにエンゲル係数が上昇したというケースとなった。
 その背景には、新型コロナウイルスの感染拡大が大きく影響している。

 20年の可処分所得増加は定額給付金の影響を受けている。2人以上世帯なら、1人10万円の定額給付金が少なくとも20万円は入ったことになる。月額にならせば約1万7000円の増加だ。

 一方で、外出自粛により消費が手控えられたことや、2020年夏に原油価格が大きく下落したことなどから家計のエネルギー負担額も減少。消費支出が減少したと考えられる。
 物価については、20年の総合物価指数は夏場まで上昇しており、その後は下落している。なかでも食料は秋頃までは上昇していたことがわかる(表2)。
engeru2.jpg


 従って、20年のエンゲル係数の急上昇は、食料価格(物価)が秋季まで上昇したものの、手取り収入が増加したなかで食料費以外の消費が減少した効果が大きく、少なくとも “生活が厳しくなった”シグナルではなかったと言える。

 余談だが、エンゲル係数は所得水準が高くなるほど低くなる。食料費は所得水準で大きな格差はないため、相対的に所得が低いほどエンゲル係数は高くなり、所得が高いほど低くなるからだ。

 つまりエンゲル係数が上昇することは、より所得水準が低い世帯の生活が厳しくなっていることを表わす。
  それでは、21年に入ってのエンゲル係数の状況はどうか。

 総務省の家計調査は直近で8月分までしか発表されていないが、エンゲル係数は3月と4月こそ低下したものの、5月から再び上昇し、6月以降は20年の平均26.0%を上回っている。(表3)

 engeru3.jpg


 問題は、今回のエンゲル係数の上昇が“どのような意味を持っているのか”だ。それを読み解くヒントは物価の動きにある。
 消費者物価指数は9月分まで発表されているが、その動きを見ると、食料は6月から、エネルギーも4月から上昇が続き、9月には20年と21年を通じて、最も高い指数まで物価上昇している。

 筆者は10月22日の「日本国民に大ダメージを与える『不景気中の物価上昇』が現実味を帯びてきたワケ」で、スタグフレーションに陥る可能性とその問題点を指摘した。
 その中で、エネルギー・資源価格の上昇と為替の円安進行が相まって、輸入物価が上がり、本格的な物価上昇はこれから到来する可能性を述べた。そして、景気と所得の上昇がままならない中で、“悪い物価上昇”が起きると予測した。

エネルギー・資源高と円安は、食料価格の上昇も引き起こす。日本は食料の多くを輸入に頼っているし、国内での食料生産や生産された食料を消費者にもとに届けるためにも、エネルギーが必要となる。こうしたコストが食料価格に転嫁されることで、食料の物価指数は確実に上昇する。

 9月の消費者物価指数では、すでに食料価格が上昇しており、10月1日からは様々な食品の価格が値上げされた。食料価格の上昇は今後も続き、これからが本番となる。そして食料価格が上がれば、エンゲル係数の上昇へとつながっていく。

 さらに20年とは違い、21年には定額給付金という手取り収入が増加した特殊要因がない。家計調査によると、21年8月までの可処分所得は半数の月で前年同月を下回っている。
 手取り収入が増えない中で、20年よりも早く、高いペースで食品価格が上昇を続ければ、これからのエンゲル係数上昇は“生活が厳しくなっている”シグナルとなる可能性が高い。
***************************************************************
 引用以上

 ケインズは、ニューデール大恐慌のなかで、経済の本質は「底辺における需要」であると述べた。
 底辺の人々に現金が渡ることが、社会全体の景気循環にとってもっとも大切であることを見抜いていたから、底辺の労働者大衆を豊かにする財政投資が需要を喚起し、経済高揚にもっとも効果的な手段であると述べていた。
 https://nichigopress.jp/account/imasara-keizai/126122/

 需要を生み出すのは、労働者の手にした現金であり、それが「消費雰囲気」をもたらす。みんなが現金を手渡されて、一斉に購買をはじめることで景気高揚の爆発的雰囲気が生まれ、それが社会全体を活性化し「元気」が生まれるという理屈だが、この原理は、第一次大戦の敗戦賠償で疲弊のどん底にあったドイツ経済を劇的に立ち直らせる財政投資でも証明された。

 ドイツのヒャルマル・シャハトは、どん底に落ちたドイツ経済を立て直す仕事に就き、アウトバーン建設を中核に、ドイツ労働者階級に、直接現金を手渡すことで、奇跡的な経済復興に成功した。
 シャハトは、非ナチス党員であり、ヒトラーの手柄にすり替えられたが、真実は違う。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%8F%E3%83%88

 シャハトの政策で、もっとも大切と思われるのが、「直接現金を労働者に手渡す」という方法だ。もしも、資本家を経由して金を渡すと、必ず資本家は竹中平蔵のように大部分を中抜きし、肝心の労働者の手元には、いくらも残らないことが分かりきっていたからだ。
 賃金総額は、工事予算の実に46%に達した。(ゼネコンの賃金は、総予算のせいぜい10%程度)シャハトの真の狙いは、工事よりも労働者を富ませることだったのだ。
 https://ncode.syosetu.com/n7704fo/1/

 底辺の労働者に金が渡ったなら、それは激しく購買意欲を刺激し、景気高揚の雰囲気が生まれる。そうした活気が底辺から上部構造までも活気を与えるのだ。
 日本政府は、1990年以来のバブル崩壊、景気低迷で、まったく逆のことをやった。
 
 21世紀に入って、小泉政権の最高権力者となった竹中平蔵は、「金持ちが豊かになればトリクルダウンで貧乏人にも金が回る」というデマを吐いて、労働者の基本的権利を廃止し、金持ちの税率をどんどん下げて、金持ち階級の利権に奉仕するための日本社会=政治体制を作り上げた。

 そして、消費税をどんどん上げてゆき、安倍晋三にいたって、とうとう10%にまで上げた。多くの人々が、財務省の「財政均衡論」=プライマリーバランス論に騙され、消費増税に抵抗せず、結果として、上げられた消費税の大半が大企業の金庫に収まることになった。

 欧州では消費税が20%以上だと正当化する理屈もあるが、日本の場合は、多くが所得税との二重取りであり、生活必需品の消費税は存在しないか、低く抑えられているのが常識だ。日本のように、貧乏人が生きてゆけなくなるほど、食品・日用品にまで重税をかけている国はない。
 日本の消費税は、まる「人頭税」なのだ。

 消費税のせいで、購買意欲は大きく減退し、人々は本当に必要なものしか購入できなくなった。必需品でさえ、中古流通市場が劇的に拡大しているのは、ヤフオクやメルカリが証明しているし、アマゾン楽天の勃興も、自民党の貧乏拡大政策によって、「少しでも安いものを」という意思が反映されているのだ。

 そこに中国の超安価商品が津波のように押し寄せてきた。中国では「ヘイハイズ」という無戸籍者が2億人もいるといわれ、彼らは、人権と戸籍、教育がないため、タダ同然の奴隷労働で生きてゆくしかなく、これが中国激安単価の秘密である。
 「一人っ子政策」が廃止されてヘイハイズが減っても、今度はウイグルやチベットの人々を強制的に奴隷労働に駆り出し、役に立たなくなれば、彼らの臓器を売り飛ばすという極悪、超絶マフィアが、中国共産党である。

 自民党が、いつまでたっても中国共産党を糾弾せず、親分の習近平を国賓として招くという驚愕的方針を行っている理由は、二階博文ら新中国派が、巨大な利権を享受しているからだ。

 消費税10%は、中国製品との競争のなかで、圧倒的な不利を招き、国内の、中小零細企業群を破壊し、底辺労働者の購買能力を絶望的なほど切り下げた。
 これで景気がどん底に落ち込まねば理屈が通らない。
 何よりも、自民党、安倍晋三・竹中平蔵らは消費雰囲気を極度に冷凍してしまった。大半の国民が日常の暮らしに困窮し、日々の糧を得ることさえ苦しむようになった。

 自民党は、貧しい国民をますます貧しくする政策しかとらない。税金を際限なく上げ、あらゆる経費を上げ、すべての料金を高くし、学費も支払えないようにし、日本社会は勝ち組の超大金持ちと、大学にも行けない大多数の貧乏人世帯に完全分化する社会がやってきた。

 そして、今回の選挙で、また自民党が勝利するとすれば、いったい何が起きる?
 それは日本社会の完全破滅であり、人々は戦争で日本が滅びることを潜在的に望むようになるだろう。

http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1658.html

2. 2021年10月25日 23:21:45 : TB9yu1cbVQ : TGVnMUt0dC5KQXc=[40] 報告
ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる
2021年10月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16629

ブラック・マンデーを予測したことで有名な投資家ポール・チューダー・ジョーンズ氏がCNBCのインタビューでインフレについて語っている。

インフレ危機

ジョーンズ氏は次のように断言する。

今投資家が直面している最大の問題はインフレだ。

Fed(連邦準備制度)がインフレは一時的だと言い張る中でそうではないと言い続けてきたジョーンズ氏だから、今こう発言することに不思議はないだろう。彼はこう続ける。

インフレが一時的ではないことは明らかだ。このまま居座り、間違いなく金融市場に対する脅威となり、そして恐らくは社会全体への脅威となるだろう。

事実、ガソリン価格が高騰しているのは日本人でも実感しているはずだ。金融市場では原油価格は次のように推移している。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/10/2021-10-25-wti-crude-oil-chart.png


去年マイナスになった原油価格を高値まで押し上げたのは、現金給付と西洋のリベラル派が推し進めた脱炭素政策である。需要があるにもかかわらず、化石燃料の生産を無理矢理抑制した結果がこれである。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16442


高騰するエネルギー価格が既に高くなっている物価を更に押し上げてゆくとジョーンズ氏は主張する。

5.4%というCPI(消費者物価指数)の数字は本当に驚きだ。30年来の高い数字で、もちろんここから数ヶ月で更に上がってゆく。

原油価格の高騰はそこから数ヶ月の遅れを経て、原油を原料として作られる様々な製品のインフレへと転嫁されてゆくからである。

インフレを招く現金給付

そしてインフレの原因となっているのは脱炭素政策だけではない。マネーサプライ、つまり銀行口座に存在する貨幣の量についてもジョーンズ氏は言及する。

経済の需要の側を考えよう。つまりM2(訳注:マネーサプライ)だ。M2は新型コロナの流行が始まってから5.4兆ドルも増えた。この増加量は本来の増加量よりも3.5兆ドル多い。

3.5兆ドル、つまりGDPの16%分が預金として待機しており、株式や暗号通貨や不動産や消費に使われるのを待っている。

アメリカでマネーサプライが増加したのは明らかに現金給付が原因である。アメリカでは都度3回、合計で1人あたり30万円以上の現金が給付されており、これが銀行預金残高の爆発的増加と物価の上昇をもたらした。

そしてこれは対岸の火事ではない。日本にも遠からずインフレの時代が来るだろう。何故ならば、日本も再び現金給付を考え始めているからである。

日本でもインフレ近づく

アメリカで既に日用品の値段が上がって年間で10万円どころではない損失になっている消費者も多いだろうに、負け確定の戦略に後から率先して飛び込んでゆくあたりは流石、第2次世界大戦で負けた日本らしいというべきだろうか。脱炭素政策についても同じことで、先導していた菅氏と小泉氏はいなくなったが、それでも日本政府は西洋の間違いを今後も真似するのだろう。

現金給付に関しては経済学者ミルトン・フリードマン氏が述べた現金給付の本質をもう一度思い出してほしい。

ミルトン・フリードマン氏: リベラリズムは衆愚政治である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12998


こうした政策の中身は、現実には政府がまったく恣意的に国民の一部から税金を略奪して国民の他の一部に補助金として与えるということでしかない。

結局GO TOトラベルも現金給付もそういうものでしかなかったにもかかわらず、前者を否定する人も後者には気を引かれるらしい。しかし国民がそういう道を選ぶならば、来年か再来年には日本にもアメリカのような物価高騰が待ち受けているだろう。

皮肉なのは、現金給付と脱炭素政策という物価高騰の二大原因が両方とも政治家によって引き起こされた、つまり政治家が何もしなければ問題は生じなかっただろうということである。経済学者ハイエク氏は本当に慧眼だったと言わざるを得ない。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992


政府が自分の頭で考えて行動しようとすれば、その被害は増大するように思われる。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16629

3. 2021年10月30日 07:30:09 : y9oJSsGeWg : LzAuSFZDVkpiMEU=[8] 報告
第3四半期のアメリカGDPは大幅減速、スタグフレーションへ秒読み
2021年10月29日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16963

10月28日に2021年7-9月期のアメリカGDP統計が発表され、実質経済成長率は2.0%の成長(前期比年率、以下同じ)となり、前期の6.7%から大幅減速した。一方でインフレはそれほど減速しておらず、やはりアメリカ経済にはスタグフレーションの匂いが立ち込めている。

急減速するアメリカ経済

この展開はここの読者には当然の流れに見えるだろう。アメリカ経済は4-6月期の時点で、数字には表れない減速の兆候が見られると指摘しておいたからである。

絶好調に見えて実は満身創痍の第2四半期米国GDP
ともかく先ずは全体のチャートを見てみよう。アメリカの実質GDP(そのままの数字で成長率ではない)のチャートは次のようになっている。


コロナ後の急回復が徐々に鈍化してきているのが分かるだろう。そしてついに年率2%という普通の数字に戻った。しかしここで鈍化が終わっていないとすれば、アメリカ経済はやはり低成長か、悪ければ景気後退というのが人為的な刺激策のない場合の本当の姿ということになる。

そしてその見方はやはり正しそうに思える。何故ならば、ここまで急回復を演出してきたのはアメリカで3回行われた現金給付であり、最後の現金給付は3月に行われ4-6月期のGDPを押し上げたが、それが7-9月には切れた結果、成長率が2%になった。

4月以降ほぼ横ばいの個人消費

その様子が一番分かるのが、GDPの最大要素である個人消費である。実質個人消費は1.6%の成長となり、前期の12.0%から大幅減速した。


チャートの形はGDP全体とかなり似ている。個人消費がGDPの最大要素なのだから当たり前である。

しかし個人消費は毎月発表されている指標であり、月次データがある。この月次のチャートを(8月分までだが)掲載すると、個人消費が現金給付だけでここまで伸びてきたことがよく分かる。


3月の現金給付で急騰した後、ほぼ横ばいなのである。この傾向が続けば当然GDPも同じようになり、2%成長さえ怪しくなってくる。一方でインフレはそれほど減速していないのである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる
現金給付で副作用なしに経済成長出来るという幻想の誤りにアメリカ人は嫌でも気付き始めた。日本人はこれからそこに突っ込もうとしている。人生がギャグなのだろうか。

日本経済はこうすれば復活する 自民党が絶対に実行しない経済政策
上向きの投資

一方で今回良かったのが投資である。実質国内民間総投資は11.7%の成長となり、前期の-3.9%から反発した。


投資が良かった理由としてはまず第一に企業がコロナに慣れてきたことが挙げられるだろう。個人消費が上がったにもかかわらず設備投資が進んでいないことは供給過少を生みインフレの原因となっているわけだが、逆に言えば企業の投資には上昇余地があると言える。

企業がコロナに慣れてくるにつれその状況は改善してくるはずで、その意味では投資はアメリカのGDPの要素で唯一希望が持てるものであると言える。

第二の理由としてはやはり長期金利だろう。アメリカの長期金利は3月に頭打ちとなっており、これが時間差である程度は効いているものと思われる。


しかし金利は当然ながらインフレ次第でどうなるかは分からない。一度インフレが始まれば現金給付にも低金利にも頼れなくなるのである。何度も言うが、デフレの何と有難かったことだろうか。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
政府支出

さて、次は政府支出である。政府支出は0.8%の成長となり、前期の-2.0%からやや持ち直したがあまり動きがないと言える。


この要素は結局バイデン政権次第であり、バイデン政権が動くのは来年11月の中間選挙に向けてだろうから、まだ時間がある。

止まらないアメリカの経常赤字

最後に輸出入だが、これは酷い状態である。実質輸出入は元々マイナス(経常赤字)であり、その赤字幅は23.4%拡大した。前期の6.2%からかなり加速した形となる。


もうアメリカの双子の赤字(財政赤字、経常赤字)は止まらないのだろうか。アメリカは資金を失い続けていることになる。ジェフリー・ガンドラック氏などはこれがドル暴落に繋がると予想している。

ガンドラック氏: ドル暴落は何年かの内に 米国株から避難せよ
経常赤字は当然ながらドルの価値だけではなくGDPをも蝕んでいるが、それも止まりそうにない。

結論

ということで、アメリカGDPで少しでも望みがあるのは投資だけで、その他はもう駄目である。もう一度現金給付をしようにも物価高騰が口を開いて待ち受けている。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる
もはやフランスのように自爆覚悟で「インフレ対策で現金給付」するしかないだろう。

フランス、インフレ対策で現金給付へ
この状況で俄然面白くなってくるのが米国債のトレードである。

筆者のスタグフレーショントレードはほとんど以下の記事に集約されると言っても良い。スタグフレーションでは株式も債券も普通に投資しても勝てないが、債券に関しては勝つ方法がある。もう一度読み直す時期が来ているのだろう。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16963

4. 中川隆[-15558] koaQ7Jey 2021年11月05日 15:49:10 : HomVPsrQBI : QzFtbi9kY0tFRU0=[21] 報告
11月FOMC会合結果: テーパリング開始決定
2021年11月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17088

アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は米国時間10月2日から3日まで金融政策決定会合であるFOMC会合を行い、政策金利の維持とテーパリング(量的緩和縮小)を決定した。

「インフレは一時的」

テーパリング決定は事前の予想通りだが、大きなイベントであることは確かである。しかしいつも通り先ずは発表された声明文から検証していこう。

テーマはやはりインフレである。アメリカでは現金給付と脱炭素政策による化石燃料高騰によって物価が高騰している。

サマーズ氏: インフレは今や広範囲に燃え広がっている
しかしFedは現在アメリカで発生している物価高騰が短期要因によるものであるとの姿勢を崩していない。著名ファンドマネージャーらが猛批判しているが、パウエル議長は知らんぷりである。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ
パウエル氏はもう長らく「インフレは一時的」だと言い続けてきた。彼がそれを始めてから半年ほどになる。もはや「一時的」とは果たして何処まで長くなれるのかという言語学上の問題に発展しているのではないか。

いつまで経ってもインフレが収まらないので、今回の声明文ではトーンが少し変化している。前回の声明文では、インフレに関して次のように書かれていた。

インフレは短期的要因を反映して上昇している。

それが今回の声明文では次のように変更されている。

インフレは短期的と予想される要因を反映して上昇している。

段々雲行きが怪しくなってきたのではないか。

テーパリング開始

Fedの経済見通しが間違っているのはいつものことなので、あまり気にせずテーパリングの話題に移ろう。声明文には次のように書かれている。

われわれは国債の月間買い入れ額を100億ドル、モーゲージ債の買い入れ額を50億ドルずつ減額し始めることを決定した。

これは今月から始まるという。現在の月間買い入れ額は国債が800億ドル、モーゲージ債が400億ドルなので、このペースで行けば量的緩和は来年6月には終了することになる。ただ、声明文によればこの減額ペースは変更される可能性があるという。

各月において同じような減額が行われることが適切になるだろうと判断しているが、経済見通しの変化によって正当化されるならば、減額ペースを調整する準備がある。

結局どうするのか何も明確にならない。基本的にもう何も明らかにはしないということが、自分が原因で2018年の世界同時株安を引き起こしたパウエル氏の信条なのである。

12月FOMC会合結果は空売り派への満額回答 (2018/12/20)
利上げは宣言せず

さて、テーパリングについては想定通りだが、投資家にとっての問題は今後の利上げである。少なくともパウエル氏は利上げに積極的ではないようだ。会合後の記者会見で次のように述べている。

利上げを行う良いタイミングではないと考えている。労働市場が回復する必要があるからだ。

しかし曖昧な文言を付け加えることを彼は忘れない。
もし対応が必要なら躊躇しないつもりだ。

ちなみに金利先物市場は来年6月の利上げを想定している。もっと重要なのは、長短金利差である。最新のGDP統計はインフレが止まらないまま景気後退に陥るスタグフレーションを暗示している。

第3四半期のアメリカGDPは大幅減速、スタグフレーションへ秒読み
スタグフレーションになれば、景気後退で長期金利には下方圧力がかかるが、インフレに対応するために利上げをしなければならなくなるので、短期金利が上がって長期金利が下がり、長短金利差が縮小、あるいはマイナスになる。これはまだ市場に織り込まれていない投資チャンスである。


スタグフレーションになるならば、これがマイナスまで落ちるはずである。詳しくは以下の記事を参考にしてほしい。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想
結論

はっきり言ってアメリカ経済は詰んでいる。すべては現金給付と脱炭素政策が引き起こしたことである。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
そして既に誰かが落ちている落とし穴に喜んで落ちに行くのが日本のお家芸である。現金給付に加え、岸田首相は脱炭素政策に1兆円出すらしい。

他人の金であれば人はこれほど簡単にドブに捨てられる。あるいは捨てる方がまだましだろう。ドブに1兆円を捨てても天然ガス価格は高騰しないからである。世界はほとんどコメディなのである。

フランス、インフレ対策で現金給付へ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17088

5. 2021年11月07日 16:54:09 : 8eAKFJA3Eg : RllvUXk4amRjQms=[49] 報告
コストプッシュ型インフレの脅威
NEW!2021-11-07
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12708672951.html


 日本にコストプッシュ型のインフレという脅威が迫りつつあります。

『OPECプラス、日米の増産要請に応じず 原油価格はさらに上昇か
 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」は4日、閣僚級会合を開き、毎月日量40万バレルずつ協調減産幅を縮小して供給量を増やすという従来方針を12月についても維持することを決めた。足元の原油高に対処するため、日米などが増産を要請していたが、応じなかった。(後略)』

 お判りでしょうが、わたくし共が求めているのは「需要牽引型」のインフレです。


 総需要(厳密には「潜在的総需要」)が常に供給能力を上回り続ける。インフレギャップ(供給能力不足)を埋めるため、企業や政府が生産性向上のための投資に乗り出す。

 投資の結果、生産性が向上する。生産性とは、従業員一人当たりの「生産量」ですが、GDP三面等価の原則により、生産=需要=所得になります。生産性の向上は、国民に実質賃金上昇という恩恵をもたらす。


 実質賃金が増えた国民は、消費や住宅投資を増やす。さらに、企業や政府の投資(設備投資、公共投資)自体も、GDPの需要の一部です。供給能力を引き上げる目的の投資自体が、需要をさらに拡大してしまう。

 結果、インフレギャップがいつまでたっても埋まらない。それで、良いわけです。


 総需要が供給能力に対し、常に生産性向上の投資をするよう「高圧」をかける。これが、イエレン財務長官や経産省の新機軸がいう「高圧経済」、需要牽引型のインフレです。

 無論、コストプッシュ型インフレであっても、省エネ技術の開発など「投資」を増やす可能性はあります。


 とはいえ、それ以前の話として、国民は、
「所得が上がらない中、一方的に物価の上昇に直面する」
 ことになり、総需要は停滞します。


 コストプッシュ型インフレの最もわかりやすい現象は、ガソリン価格の上昇です。ガソリン価格の上昇は、特に公共交通機関が充実していない、地方の住民にダメージを与えます。


 無論、原油価格の上昇は幅広く拡散していくことになります。原材料価格の上昇、運送費の上昇など、国民生活全般に悪影響を与えるわけですが、別に「需要」が増えているわけではないのです。


 需要の拡大は「イコール所得の拡大(GDP三面等価の原則により)」になりますが、コストプッシュ型インフレは、実質賃金をむしろ引き下げます。

【日本の消費者物価指数の推移(対前年比%)】


http://mtdata.jp/data_77.html#CPI

 2008年に注目してください。当時は、資源バブルの影響で、CPI(総合)とコアCPI(生鮮食品を除く総合)が2%を超す水準にまで上昇しました。もっとも、コアコアCPI(食料(酒類除く)エネルギーを除く総合)は上昇していません。


 もちろん、資源価格高騰はコアコアCPIにも影響を与えたのでしょうが、CPI、コアCPIとは2%もの乖離が生じた。

 直近(21年9月)のインフレ率を見ると、CPIが+0.2%、コアCPIが+0.1%であるのに対し、コアコアCPIは▲0.8%。資源価格上昇の影響が、すでに露呈し始めています。


 今後の展開ですが、
1.コアコアCPIを無視し、エネルギー価格が含まれるインフレ率が上昇したことを騒ぎ立て、「日本はデフレ脱却した」と叫ぶ
2.コストプッシュ型インフレを理由に、日本が積極財政に転換することを妨害する
 と、二種類のバカ共頭が悪い人たちが出現するでしょう(もうしているけど)。


 コアコアCPIを無視して「デフレ脱却だ!」と叫ぶ1の連中は、単なる無知ですが、問題は2です。
 コストプッシュ型インフレは国民の貧困化です。しかも、ただでさえコロナ禍で所得が減っている国民にとっては、さらなる実質賃金切り下げ要因なのです。


 ならば、
「国民の所得を直接引き上げる積極財政」
 を求めなければなりません。というか、本気で日本国民のことを考えているならば、政治家はそう動くでしょう。

 具体的には、現金給付。ガソリン税廃止。そして、消費税の廃止です。これらの政策は、国民の所得に対し、ダイレクトに好影響を与えます。


 目の前で多くの国民が貧困に苦しんでいる。それにも関わらず、コストプッシュ型インフレを「積極財政妨害」のために活用するような連中は、心底「人間の屑」だと思います。

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12708672951.html

6. 2021年11月11日 11:50:58 : N6zpS5ezAw : Uy9UNkFvUTlYZm8=[37] 報告
サマーズ氏: 中央銀行の甘さがインフレを加速させる
2021年11月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17215


アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで中央銀行のインフレ対策が甘すぎると指摘している。

止まらないアメリカのインフレ

アメリカのインフレは止まっていない。現金給付による需要過剰と脱炭素政策によるエネルギー価格高騰で加速しているアメリカのインフレは、アメリカ経済が減速の気配を見せている一方でそれほど弱まっていない。ジェフリー・ガンドラック氏が半年も前に予想した通りの展開である。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ (2021/6/14)
しかし緩和は続いている。アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は今月テーパリング(量的緩和縮小)の開始を発表したものの、量的緩和は来年6月まで終わらず、利上げにも及び腰である。

11月FOMC会合結果: テーパリング開始決定
インフレが加速する中で量的緩和を行なっていることの異常さがここの読者以外の人々にも分かってもらいたいものである。

サマーズ氏はパウエル議長のインフレに対する姿勢が十分だったかと聞かれ、次のように答えている。

緩和状況を実質金利や資産価格で測るならば、先週水曜にパウエル氏が話した時よりも、あるいは数ヶ月前よりも緩和的になっている。だから経済はリスクの高いシナリオへ向かっているのではないかと憂慮している。

3日に行われたFOMC会合の後に金融市場がどう反応したかと言えば、1つは金価格上昇である。


コロナ初期に上昇した後は長らく低迷している金価格が少し息を吹き返してきた。そしてその理由は皮肉にも中央銀行がインフレを退治できないと市場が見透かしていることにある。

債券投資家のスコット・マイナード氏はインフレに見舞われたアメリカ経済の選択肢は2つしかないと述べた。

マイナード氏: 物価高騰か資産バブル崩壊か二者択一
そして筆者や著名投資家の多くは政治家と中央銀行は物価高騰を引き起こすだろうと予想しているのである。

リフレ派の言い分

政府や中央銀行は何故緩和を止めないのか? 端的な理由は頭の足りない有権者の票が欲しいからだが、彼らの理論的ベースになっているリフレ派の経済学者の論理についても考えてみよう。サマーズ氏は次のように述べている。

わたしの友人で元クラスメートでもあるポール・クルーグマンのような思慮深い人々の主張は、景気後退になれば破滅的な結果になるから緩和しなければならない、そしてインフレは対処可能な問題だということだ。

景気後退のリスクから経済を守らなければならないということには同意するが、わたしの考えではインフレが加速した場合に中央銀行がそれをソフトランディングさせることの出来る実証済みの方法はほぼ存在しないということだ。

クルーグマン氏のようなリフレ派の元々の言い分は、インフレになれば金融引き締めをやれば良いというものだった。そしてついにアメリカはインフレになったが、今度は彼らはまだインフレではないと言い始めた。子供の言い訳だろうか。

しかしアメリカでは実際にあらゆる商品の価格が上がっており、日本ではまだガソリンや食料品の一部に限られ広範囲には広がっていないが来年にはそうも言ってはいられなくなるだろう。原油価格高騰は衣料など様々なものに転嫁されるからである。

リフレ派の経済学者が現実逃避を始めるのは構わないが、実際に高くなった商品を買わなければならない消費者はどうすれば良いのだろうか。そもそもリフレとは経済学ではなかったのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
誰も得しない現金給付

結局、アメリカ人は現金給付でもらった金額以上の金額をインフレで支払っている。しかも現金給付は一時的だったが、インフレは一時的ではないというおまけつきである。

現金給付という非常に共産主義的な政策は中国とソ連の失敗を欧米と日本にもたらそうとしている。ジム・ロジャーズ氏の以下の発言が思い出される。

ジム・ロジャーズ氏: 誰でも優れた投資家になれる方法
歴史から学べることは、人は歴史から学ばないということだ。

そこにリベラル派の脱炭素政策によってもたらされたエネルギー価格高騰が付いてくる。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
愚かな政策を支持した人々のお陰で来年の家計は世界中で厳しくなるだろう。リベラル派やリフレ派の人々は責任を取らないのだろうか? 彼らは自分が共産主義的だということが分かっていないのである。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17215

7. 中川隆[-15349] koaQ7Jey 2021年11月11日 20:26:26 : N6zpS5ezAw : Uy9UNkFvUTlYZm8=[64] 報告
10月の米インフレは年率12%近い高騰、来年は物資不足か
2021年11月11日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17244


最新のアメリカのCPI(消費者物価指数)が発表され、10月は11.9%(前月比年率、以下同じ)の上昇となり、前月の5.1%から急加速した。

止まらないアメリカのインフレ

ついに家計に影響が出るレベルのインフレになってきたと言えよう。まずは全体のチャートを見てみよう。


見事に跳ね上がっている。夏場に半導体不足で中古車価格が高騰した時から一時的に収まっていたインフレが再発してきた。春過ぎに以下の記事でジェフリー・ガンドラック氏が予想していた通りの展開であり、流石は債券投資家だと言うべきだろう。当時の彼の発言は読み返す価値がある。

ガンドラック氏、インフレ無視の中央銀行を痛烈批判 (2021/5/17)
さて、ではCPIの内容を見てゆくが、夏にはインフレ高騰を先導していた中古車の10月の価格上昇は34.5%となり、前月のマイナス成長-8.1%から持ち直してはいるが、チャートを見れば一時のような強烈な高騰は収まっていることが分かる。


今回のCPIを押し上げたのは中古車価格ではなさそうである。

では住宅価格はどうだろうか? 住宅の価格を反映する CPIの要素である持ち家の見なし家賃(持ち家に家賃を払うと仮定して産出する項目)は5.4%の上昇となり、前月の5.3%から僅かに加速した。


上昇率は高止まりしており、住宅バブルは続いていると見るべきだが、先月からあまり変わっておらず、こちらも今回全体を押し上げた項目ではないだろう。

高騰するエネルギー価格

ではエネルギー価格はどうだろうか。10月のエネルギー価格は年率74.9%の上昇となり、前月の16.5%から大きく跳ね上がった。


明らかにこれである。脱炭素な人々が原油と天然ガスの供給を無理矢理制限した結果、エネルギー価格が高騰している。当然の結果で本当に馬鹿ではないのかと思う。

COP26の化石燃料事業への融資停止はエネルギー価格高騰をもたらす
原油価格のチャートは次のようになっている。


原油価格もそうだが、天然ガスの高騰はより深刻で、脱炭素政策を特に推し進めたヨーロッパでは貧しい人々が暖房なしで日本より寒い冬を過ごさなければならない瀬戸際になっている。

フランス、インフレ対策で現金給付へ
脱炭素を推し進めた張本人であるリベラル派の裕福なヨーロッパ人たちは、それでも暖房の効いた部屋で冬を過ごすのだろう。彼らが偽善者でなければ誰がそうなのだろうか。

他に波及するエネルギー価格高騰

電力価格の高騰だけでも家計には結構なダメージだが、原油価格高騰はそれだけでは終わらない。

例えば衣料品の価格は今回0.0%と完全に横ばいだが、高い原油価格が定着すれば化学繊維の価格を通して衣料品価格も上昇してくるはずである。


更に、砂糖やコーンなどの一部の農作物はバイオ燃料になるためエネルギー価格と連動している。つまり、エネルギー価格が高騰すると農作物も高騰する。しかしタイムラグがある。それが本格的にスーパーの食料品の価格に反映されてくるのは恐らく来年のことだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17244

8. 中川隆[-15294] koaQ7Jey 2021年11月14日 10:39:25 : GOGU4P3R6A : RVliVmZjWkd0bi4=[12] 報告
世界最大のヘッジファンド: 資産価格が上昇しても裕福にはならない
2021年11月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17277


世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、LinkedInのブログでますます高まるアメリカのインフレについてコメントしている。

止まらないアメリカの物価高騰

先日、アメリカではCPI(消費者物価指数)が発表され、物価上昇が30年ぶりの高水準であることが示された。

10月の米インフレは年率12%近い高騰、来年は物資不足か
かねてより紙幣印刷が最終的にはインフレを生むと主張してきたダリオ氏がこれに反応したのは当然だろう。彼は次のように述べている。

昨日のインフレ統計はインフレが高まっており、人々の財産を溶かしていることを示している。これは当然である。

去年コロナの流行が始まり、現金給付や様々な救済措置が発表された時から筆者やダリオ氏やジェフリー・ガンドラック氏のような投資家たちは当たり前のように物価高騰が起こるとして警告を続けてきた。

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
そしてそれが当たり前のように現実となっている。

まともな金融家には何の驚きもない、政治家によって引き起こされた経済危機がアメリカを襲っている。政治家が国民を襲っていると言っても良いだろう。票田にばら撒くために国民の生活を犠牲にしたからである。そして日本では、国民は自分を害した政治家に対して犬のように寝転んで腹を撫でられようとしている。自民党支持者のことである。

不可避の物価高騰

好む好まざるに関わらず、インフレは来る。日本でもガソリン価格が高騰しているが、こんなものはまだまだ序の口である。ダリオ氏は次のように続ける。

一部の人々は資産価格が上がって裕福になったと勘違いしているが、自分の購買力がどれだけ溶けているかを考えていない。一番被害を受けるのは、資産を現金で持っている人だ。

ダリオ氏は数年前から現金はゴミだと言い続けてきた。

世界最大のヘッジファンド: 現金はゴミ、別のものに投資を
それは当時は現金よりも金融資産をという意味だったが、今では現金を持っていてもものは買えないという意味に変わった。それがインフレの意味である。そういう時代が来ようとしている。

状況を上手く説明するために、ダリオ氏は4つの定式を立てている。

資産 = 購買力
資産 ≠ 金融資産
資産の創造 = 生産すること
資産の減少 = 購買力の減少
要するに、資産価格が上がってもそれを売却してものが買えなければ何の意味もないとダリオ氏は言っているのである。そして豊かになるためには紙幣を印刷するのではなく、ものを生産する必要がある。ダリオ氏は以前言っていた。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
紙幣は食べられない。

インフレ対策

人々はどうするべきだろうか。例えば株式の購入はインフレには勝てないのだろうか。

1970年代から80年代のアメリカのインフレでは、株価はインフレに大いに負け、インフレを差し引いた実質リターンでは酷い状況に陥っている。以下の記事は再読の価値があるが、当時の株価をインフレ率で割ったチャートを再掲載しよう。

世界最大のヘッジファンド: 紙幣印刷で株式の実質リターンがマイナスになる

アメリカ株が10年間マイナスリターンだった時代があったのである。そしてそれはインフレによってもたらされた。この意味が今の投資家に分かるだろうか。

アメリカの凋落

物価高騰とは貨幣価値の暴落であり、それは一定のタイムラグを経て為替相場におけるドルの暴落に繋がる。ダリオ氏がその先に見ているのはアメリカの凋落である。

世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
ダリオ氏は人々が政府から降ってくるお金でリッチになった気分になる代わりに貧困に突入するのではなく、ものを生産することで豊かになってほしいと願っている。

アメリカは収入よりもよほど多くの消費をしており、しかもそれをばら撒かれて減価している紙幣で支払っている。状況を改善するには協力してより生産するしかない。今のところ、われわれは間違った方向に進んでいる。

だが人々がダリオ氏の賢明な助言を聞くことはないだろう。人々は賢明ではないからである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17277

9. 中川隆[-15153] koaQ7Jey 2021年11月24日 03:55:54 : 34RYzVL0Ss : dk5pdEs0MHRvU0E=[4] 報告
【1ドル=130円】今後1〜2年でさらに円安になる理由と対策
2021/11/18


10. 2021年12月04日 13:03:52 : GsebW1pNtY : OWJKeFZIcTZMVFE=[29] 報告
エンゲル係数が高止まり、低所得者層が増加…賃金低下+悪い物価上昇、家計貧しく(Business Journal)
http://www.asyura2.com/21/hasan135/msg/611.html
https://biz-journal.jp/2021/12/post_267059.html
2021.12.04 05:50 文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト Business Journal

■エンゲル係数で示される生活水準の低下

 経済的なゆとりを示す「エンゲル係数」が、我が国ではコロナショック以降高水準にある。特に今年5月以降は二人以上世帯で27%を超えており、無職世帯に限れば30%を超えている。この背景には、家計全体の支出減や食料品価格の上昇がある。

 エンゲル係数は家計の消費支出に占める食料費の割合である。食料費は生活する上で最も必需な品目のため、一般に数値が下がると生活水準が上がり、逆に数値が上がると生活水準が下がる目安とされている。

■背景にはコロナショックの後遺症

 最近の我が国のエンゲル係数上昇は、食料品価格の上昇と支出全体の減少が要因となっているが、その背景には、いずれもコロナショックが関係している。つまり、コロナショック以降の海外の需要急増等に伴う化石燃料や農産物等の資源高が食料品やエネルギーの価格を押し上げる一方で、国内では9月まで行動制限が敷かれていたことでサービス消費の機会が奪われてきたことがある。

 また、昨年度の企業業績の悪化も、タイムラグを伴って今年度の賃金低下をもたらしている。そして、行動制限緩和以降も新型コロナ感染に対する恐怖心に伴いサービス支出の機会が奪われることで家計の節約が続く一方で、世界の需要拡大やコロナに伴う供給制約等で食料品の価格が上昇基調にある。そして、こうした海外に所得が流出する中での生活必需品価格の上昇は、生活水準の低下に拍車をかけている。

■節約と食料品価格の上昇が係数押上げ

 2021年9月のエンゲル係数は前年比で▲0.2ポイント低下を記録している。しかし、食料品の値上げが相次いでいる一方で食料品の消費量は減っているように見える。そこで、エンゲル係数の上昇率を食料品の消費量、すなわち実質食料支出と相対価格および全体の消費性向と実質実収入・非消費支出に分けて要因分解してみた。

 すると、食料品の消費量減が▲1.2 ポイントもの押し下げに働く一方で、食料品の相対価格上昇と消費性向すなわち消費量全体の減がそれぞれ+0.3、+1.3ポイントの押し上げ要因になっていることがわかる。

 消費量減の背景には、緊急事態宣言発出に伴う外食量減と、食料品価格上昇に伴う購入減が考えられる。一方、消費性向すなわち可処分所得に対する消費の割合が下がった背景には、やはり緊急事態宣下発出に伴う移動や接触を伴う支出が減ったことが推察される。つまり、家計の節約と食料品価格の上昇が、このところのエンゲル係数押し上げの実体である。

■食料品価格の上昇は「悪い物価上昇」

 こうした食料やエネルギーといった、国内で十分供給できない輸入品の価格上昇で説明できる物価上昇は、「悪い物価上昇」といえる。そもそも、物価上昇には「良い物価上昇」と「悪い物価上昇」がある。「良い物価上昇」とは、国内需要の拡大によって物価が上昇し、これが企業収益の増加を通じて賃金の上昇をもたらし、さらに国内需要が拡大するという好循環を生み出す。

 しかし、現在の物価上昇は輸入原材料価格の高騰を原因とした食料・エネルギーの値上げによりもたらされている。そして、国内需要の拡大を伴わない物価上昇により、家計は節約を通じて国内需要を一段と委縮させている。その結果、企業の売り上げが減少して景気を悪化させていることからすれば、「悪い物価上昇」以外の何物でもない。

 このように、食料やエネルギーの価格が上昇している背景としては、(1)海外での需要増加等により輸入品の価格が上昇している、(2)世界的な脱炭素化の流れにより化石燃料の採掘関連に投資資金が流れ込みにくくなっている、(3)異常気象により農作物の収穫量が減少している―こと等がある。

 特に、世界的なコロナショックによる世界経済の低迷後、世界の経済成長は回復しつつあるが、主要先進国の金融政策が出口に向かう中でも海外経済は今後とも高い経済成長を遂げると見込まれる。こうなれば、世界の食料・エネルギー需給は、中長期的には人口の増加や所得水準の向上等に伴う需要の拡大に加え、脱炭素化や都市化による農地減少等も要因となり、今後とも需要が供給を上回る状態が継続する可能性が高い。つまり、食料・エネルギー価格は持続的に上昇基調をたどると見ておいたほうがいい。

■生活格差をもたらす食料品価格の上昇

 ここで重要なのは、食料・エネルギー価格の上昇が、生活格差の拡大をもたらすことである。食料・エネルギーといえば、低所得であるほど消費支出に占める比重が高く、高所得であるほど比重が低くなる傾向があるためだ。

 事実、総務省「家計調査」によれば、可処分所得に占める食料・エネルギーの割合は、年収最上位20%の世帯が16.8%程度なのに対して、年収最下位20%の世帯では28.2%程度である。従って、全体の物価が下がる中で食料・エネルギーの価格が上昇すると、特に低所得者層を中心に購入価格上昇を通じて負担感が高まり、購買力を抑えることになる。そして、低所得者層の実質購買力が一段と低下し、富裕層との間の実質所得格差は一段と拡大する。

 さらに深刻なのは、我が国の低所得者層が増加傾向を示している一方で、高所得者層が減少傾向を示していることがある。事実、総務省の家計調査年報で年収階層別の世帯構成比を見ると、年収が最も低い 200 万円未満に属する世帯の割合は2000年の2.4%から2020年には3.1%に拡大している一方で、年収が最も高い1500万円以上に属する世帯の割合は2000年の4.8%から2020年には3.1%まで縮小している。

 こうした所得構造の変化は、我が国経済がマクロ安定化政策を誤ったことにより企業や家計がお金をため込む一方で、政府が財政規律を意識して支出が抑制傾向となり、結果として過剰貯蓄を通じて日本国民の購買力が損なわれていることを表しているといえよう。そして、我が国では高所得者層の減少と低所得者層の増加を招き、結果として家計全体が貧しくなってきたといえる。

■日銀のインフレ目標達成判断に重要な「食料・エネルギー除く総合」

 これに対し、日銀はインフレ目標2%を掲げている。しかし、輸入食料品価格の上昇により消費者物価の前年比が+2%に到達しても、それは安定した上昇とは言えず、「良い物価上昇」の好循環は描けない。

 つまり、本当の意味でのデフレ脱却には、消費段階での物価上昇だけでなく、国内で生み出された付加価値価格の上昇や国内需要不足の解消、単位あたりの労働コストの上昇が必要となる。

 そしてそうなるには、賃金の上昇により国内需要が強まる「良い物価上昇」がもたらされることが不可欠といえよう。従って、日銀のインフレ目標は、米国のように「食料・エネルギー除く総合、すなわちコアコアCPI」のインフレ率も重視すべきだろう。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

●永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。

11. 中川隆[-14517] koaQ7Jey 2021年12月20日 09:36:29 : r6Bg08QnFk : OGxIUmNIYWdJaFU=[13] 報告
イギリスの先見性 _ 物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行


物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行
2021年3月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763


コロナ禍による景気後退で先進国のほとんどは野放図に量的緩和と現金給付を行なっている。アメリカでは既に物価高騰の初期症状が出ているが、気に留めている政治家は見られない。一方でインフレの危険性に気付いてインフレ主義から逃げ出そうとしている国がある。イギリスである。

米国がインフレが2%を超えて推移しても直ちに金融引き締めはしないと主張していることは以下の記事で報じておいた。

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避


そしてアメリカでのインフレ懸念による金利高騰につられて金利が上がっているユーロ圏では、金利高騰を抑えようとECB(ヨーロッパ中央銀行)のパネッタ専務理事は債券買い入れの増額をほのめかしている。

パンデミック緊急買い入れプログラムの買い入れ枠すべて、あるいは必要ならばそれ以上の買い入れを行うことを躊躇するべきではない。

そんな中でひとり違う方向を見ている中央銀行がある。イングランド銀行である。

わが道を行くイギリス

日米欧がインフレを考慮せず緩和を続けるなか、イングランド銀行の主席エコノミストであるアンディ・ハルデーン氏は先月末の公演でインフレへの懸念を表明した。氏は公演のなかで次のように述べている。

フリードリヒ・フォン・ハイエクはかつてインフレ制御は虎の尾を掴もうとすることに似ていると言った。

ハルデーン氏が持ち出すのはここの読者にお馴染みの経済学者ハイエク氏である。財政出動を正当化したケインズ氏と論陣を張り合ったハイエク氏は、政府が財政出動にともなう利権を増やすために科学的根拠のないインフレ主義を隠れ蓑にしていると主張していた。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
世界最大のヘッジファンド運用者レイ・ダリオ氏の最近の主張もどうもハイエク氏の経済学を基盤にしているような論調であり、優れた論客は自然とハイエク経済学に集まるようである。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
20世紀最大の経済学者(ケインズ氏ではない)に敬意を払うハルデーン氏は、コロナ禍による景気刺激によってインフレの虎が覚醒しつつあると主張する。

過去12ヶ月における未曾有の出来事と政策による対応で、虎はいまや興奮状態にある。

特に世界的にコロナの新規感染者数が減り、しかもアメリカでも日本でも更なる財政出動が予定されている今、インフレ率はどうなってゆくだろうか。ハルデーン氏は次のように続ける。

これから需要が回復し、供給に制約があるとすれば、予想よりも鋭くかつ持続的な物価の上昇がイギリスに起こり、インフレ目標をオーバーシュートする可能性があると判断している。

世界の金融市場はこの可能性を織り込み始めている。期待インフレ率は米国で上昇しており、ユーロ圏でも米国ほどではないが上昇している。

ハルデーン氏は中央銀行家というよりはヘッジファンドマネージャーのように経済を見る人物である。これまでの記事を既読の読者もそう思ったのではないか。彼は金融市場の動きを理解している。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる


イングランド銀行の先見性

Fed(連邦準備制度)や日銀が無視しているリスクをイングランド銀行は見つめている。個人的に面白く思うのはこのインフレゲームはイギリスが始めたものだという事実である。

中央銀行によるマネーゲームはイギリスによって発明された。イングランド銀行は世界初の中央銀行だからである。イングランド銀行が財政ファイナンスのために設立されたことは以下の記事で説明した通りである。

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
その後、中央銀行というシステムは政治家にとって便利だということが判明したため各国も追随した。

そして今、イギリスが始めたマネーゲームからイギリスだけが逃げ出そうとしている。非常にイギリスらしいことである。グローバリズムもいわば大英帝国によって広められたものではなかったか。そこから最初に逃げ出したのもイギリスであった。

国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力
イギリス人は危険を察知する嗅覚に長けている。中国主導のアジアインフラ投資銀行も欧州勢が参加を躊躇している中でまっさきに手を挙げ、欧州勢の出資を促して中国に恩を売ったかと思うと実際の資金はドイツに任せて自分の金はほとんど出さなかった。世界大戦でも元々中核に居たはずなのだがいつの間にか戦争は日本とドイツのせいだということになっていた。

そのイギリスがインフレ政策から手を引こうとしている。優れたファンドマネージャー並みのエコノミストを有していたことがイングランド銀行にとっての幸運だろう。そして筆者が懸念しているのが、最後まで沈みゆく船に乗り続けるのがまたもや日本になるのではないかということである。

第2次世界大戦でも西欧諸国が始めた植民地政策の後始末を何故か担当することになったのが引き際を理解しなかった日本とドイツである。世界大戦は日本とドイツの責任ということになっている。始めたのはスペイン、ポルトガル、イギリス、フランスである。

中央銀行というイギリスが始めたマネーゲームに最後まで乗っているのも恐らく日本になるだろう。中央銀行などそもそも必要ないのである。日本人がそれに気付く日はいつ来るだろうか。多分来ないだろう。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763

イギリスがいち早く利上げ実行 早期インフレ撃退なるか
2021年12月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18194


世界的にインフレが大きな懸念となる中、各国の中央銀行は物価高騰を抑えるための金融引き締めを渋っている。アメリカはいまだ量的緩和を終了できておらず、ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁は金融緩和を続ける構えで「マダム・インフレーション」と揶揄されている。誰もみずから株価を下落させたくないのである。

そうした中で痛みを伴ってでも早く行動し早く傷口を塞ぐために利上げを開始した国がある。イギリスである。

イングランド銀行、予想外の利上げ

イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は12月16日、予告なしに政策金利を0.1%から0.25%へ利上げした。ベイリー総裁は中央銀行にとって事前にガイダンスを出すことは有害だと考えている中央銀行家だから、Fed(連邦準備制度)のように事前に予告しなかったことに驚きはないだろう。

イギリスの現在のインフレ率は5.1%(前年同月比、以下同じ)であり、莫大な現金給付を行なったアメリカの6%よりも多少ましである。グラフは最新月の分を含んでいないが次のようになっている。


それでもイングランド銀行は先に動いた。内部でいち早くインフレの危険性を指摘したのは以下の記事で報じたようにハルデーン氏だった。3月の時点でインフレの危険性を指摘できた中央銀行家が他に居ただろうか。

物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行 (2021/3/4)
そして最終的にはベイリー総裁もそれに同意したということである。今回の利上げは8対1の多数によって支持されている。

開始された利上げ

イングランド銀行は今後、イギリスのインフレ率は冬のあいだ5%前後、春には6%まで上がると予想している。ちなみにこの予想は11月の予想に比べて上方修正を余儀なくされている。

しかしそれでもイングランド銀行は他よりも早く動いた。アメリカは量的緩和を3月頃までに終了、その後利上げを行うと考えられている。アメリカが金利を上げない間、つまりインフレ率が6%であるにもかかわらずゼロ金利をいまだに維持している間に、インフレは更に加速するだろう。

利上げは当然経済と株式市場にとってマイナスとなる。ただ、イギリスの株式市場は今のところ過剰反応はしていないようだ。


歴史的には、1回目の利上げですぐに株価暴落となることは少ない。以下の記事を参考にしてもらいたい。

世界的インフレで株価暴落が起きるのはいつか
マイナード氏: 利上げの初期には株を買え


しかしそれでもコロナで疲弊した現在の実体経済は何処の国も脆弱であり、株式市場もそれほど長くは耐えられないだろう。

結論

それでもイギリスはいち早く利上げを開始した。個人的にはこれが正しい選択だと思う。火は小さい内に消火するに限るからである。そうすれば消費者に及ぶ物価高騰の被害もアメリカやユーロ圏、そして日本よりも小さくなるだろう。

筆者はどの国が先にインフレに向き合うか興味を持って見ていたが、やはりイギリスだった。中東人をヨーロッパに甘言でおびき寄せて地中海で溺れさせる移民政策から一番最初に手を引いたのもイギリスだった。

国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力
そしてもっと言えば、2度の世界大戦で2度とも勝っているのもイギリスなのである。それは偶然でもイギリスが軍事的に強かったためでもない。イギリス人は沈みゆく船を嗅ぎ分けることに関して天賦の才を持っている。インフレ政策は沈みゆく船だということである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18194  

12. 中川隆[-14471] koaQ7Jey 2021年12月24日 05:11:11 : zPeXbWXQFc : RlBrUHl2NnpoOEU=[8] 報告
3回で足りるわけない米利上げ。2022年の米国経済は低速成長、日本株は20%超の下落も=藤井まり子
2021年12月22日
https://www.mag2.com/p/money/1140016


12月FOMCの結果は、市場の予想通りであり大きな波乱は起きずに済みました。しかし現在の米国経済のインフレ状況を見てみると、今のFRBの方針では抑えこむことは不可能です。2022年以降、FRBは掌返しで利上げを激しく行う可能性が高くなってきました。2022年以降の世界経済の行方について解説します。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)


パウエルFRBの「一日天下」
12月14〜15日に行われたFOMCの結果(=中身)と、その影響は15日当日だけの「わずか1日」だったことは、当メルマガ12月14日号で解説した通りになりました。

すなわち、パウエルFRBは、この日のFOMCの金利見通しを、金利先物市場の「のんびりと間違った金利予想」にこれ幸いと便乗して追随、「来年の利上げはおよそ年3回程度」としました。

記者会見も成功しました。議長は上手にしらばっくれて「内心のパニック」を市場に見透かされることはありませんでした。

その結果、内外の株式市場はほっと肩をなで下ろしました。アメリカ時間で12月15日当日は、アメリカ株式市場は「大幅上昇」で反応。翌日16日の日本株式市場もこのアメリカ株式市場に追随して、「爆上げ」で反応しました。

しかしながら、12月15日の「大幅上昇」は、よくよく調べてみるとその内実は「今回のFOMCの失敗」に賭けていた投機筋が、想定外の上昇に踏まれて、「売りポジション」を強制的に解消させられたことから起きていました。やはり、彼ら投機筋は「下げ」に賭けていたのです。

ですから、パウエル議長の「大芝居」が効力を発揮できたのは、踏み上げの起きたわずか1日だけでした。

一部の内外の市場関係者は、翌々日からは、もう一度改めて「FRBの来年の利上げ見通し」について精査を開始し始めた模様です。

12月16日、アメリカドル国債はさらに買い進められて、長期金利は再び1.40%台まで低下。 イールドカーブもフラット化したまま。 近い将来のアメリカ経済に「暗い見通し」を示します。

どちらにしろアメリカ経済はスローダウンする
これはローレンス・サマーズ元財務長官の指摘するように、ドル国債の金利市場が、次のことを警戒しはじめたことの現れでしょう。

すなわち、パウエルFRBは、来年3回しか利上げしない。つまり、インフレ退治を放棄して高インフレを放任する。その結果、アメリカ経済は向こう数年間スタグフレーション的な状態に陥って、成長はスローダウンする。

あるいは、FRBのインフレ退治のためのビシバシ利上げで、向こう2年以内にアメリカ経済がスローダウン、もしかしたらリセッション入りするかもしれない。

つまりは、「どっちみち、アメリカ経済はスローダウンする」ことを、市場が警戒していることの現れでしょう。

16日から、内外の株式市場は弱含みに転じて、調整局面入りへ。やはり、年末から年始にかけて、10%調整は巻き起こりそうです。

今年12月の株式市場は、「ドル国債市場の異変」すなわち「ドル国債のイールドカーブのフラット化」「アメリカ経済の近い将来の異変への懸念」に追随して、いつ調整を開始しても不思議では無かったのです。


2022年にFRBは激しい利上げをする
2022年は、FRBが「ビシバシ利上げ」を開始する最初の年です。

ところが、金利先物市場の来年の利上げ予測は、いまだに「のんびりと間違ってる」まま。先物市場は、来年2022年のFRBの利上げを3回くらいしか織り込んでいません。

パウエルFRBも、この「金利先物市場の間違っている、のんびり予測」に便乗して、FRBも12月のFOMCでは「しらばっくれて」います。

しかしながら、FRBがいま現在の「アメリカの7%近い高インフレ」を抑え込みたいならば、FRBが政策金利を中立金利よりもはるかに高いところまで引き上げることが必須です。

今のアメリカの中立金利は、「2.00〜3.00%」と推定されています(分りやすくするために、今後は、その中間を取って「中立金利:2.50%」と記します)。

すなわち、パウエルFRBが高インフレを退治したいならば、FRBは政策金利を「2.50%」よりはるかに高い水準へ、「ビシバシ」引き上げて、加熱気味のアメリカの内需をクールダウンさせて、アメリカ経済をスローダウンさせることが、必須です。

来年2022年のパウエルFRBは、7%近い高インフレを抑え込みたいならば、本当のところは、「1回の引き上げ率が0.25%ならば、1年間で8回をはるかに上回る政策金利の引き上げが必要」なのです。

2022年の米利上げは、年8回以上も必要?
ところが、年8回以上の利上げは、ものすごい勢いの利上げです。今のパウエルFRBは「とても厳しい現実」に直面しているのです。

「イールドカーブがフラット化して、長期金利が極度に低いまま」のドル国債の金利市場は、「後手後手に回り過ぎたパウエルFRBがさっさとインフレ退治を諦めて、今後はたいした利上げを行なわないまま、アメリカ経済をスローダウンさせてゆく」ことを織り込んでいるかもしれないのです。

一方、ローレン・サマーズ元財務長官によれば、もしかするとひょっとすると、「今のパウエルFRBさえも、この『厳しい現実』については、ちゃんと理解していない」かもしれないとのことです。

この「厳しい現実」を知った時、パウエルFRBは改めてパニックに陥って、内外の株式市場も震かんすることでしょう。

2022年はジェットコースター相場。どこかで20%の調整も
来年2022年のFRBは、どこかのFOMC会合で「間違っている市場予想」を大きく裏切りながら「今年は年8回の利上げが必要だ」と正直宣言して「タカ派へ急旋回」するかもしれません。この時、内外の株式市場は20%くらいの大幅調整をすることでしょう。

あるいは、来年2022年のFRBは、FOMCの会合が開かれるたびに、「2022年の利上げ見通し」を幾度も幾度も「小幅のタカ派修正」をして、幾度も幾度も「間違っている市場予想」をちょっとずつ驚かせていくかもしれません。

この場合は、内外の株式市場は5〜10%調整を繰り返すでしょう。が、どこかの時点で市場は、「自分たちもFRBも大きく間違っている」ことに気がついて、大幅調整するかもしれません。

いずれにせよ、来年2022年は、FOMCの会合が開かれるたびに、内外の株式市場は「市場予想を大きく上回る利上げ予告」に、動揺して調整することでしょう。

かくして、2022年は株式市場は乱高下が激しくなり、どこかの時点で、20%調整も起こり得るでしょう。

すなわち、来年2022年の内外の株式市場は、おそらく、「毎年株価が弱含む春から秋」(?)にかけて、一時的に20%くらいの大幅下落などなど、乱高下の激しい年になることが今から警戒されています。

それでも、2022年は、アメリカ経済では実質金利はマイナスのままです。S&P500は年間を通じては、まだ5〜6%の運用益は得られるだろと予想されています。 1年を平均してみると、おおむね株式ブームは継続することでしょう。

2022年末の株価目標は、とてもとてもザックリですが(2022年の予測は今までで一番ざっくりした予測です!)S&P500は、5,000〜5,100ポイント。2022年末のS&P500の株価目標については、モルガン・スタンレーなどの弱気派は(12月に入ってからさらに下方修正して)4,400ポイントとしています。ちなみに、モルガン・スタンレーは毎年弱気派です。

ヨーロッパ株式市場:高パフォーマンスが期待できる
ヨーロッパ株式市場は、アメリカ株式市場よりも「出遅れ感」が強いです。2022年のヨーロッパ株式市場は、アメリカ株式市場よりも高パーフォーマンスが期待されています。

日本株式市場:アメリカよりもさらに売り込まれる
主体性の無い動きを続ける日本株式市場は、来年もアメリカ株式市場の動きに追随することでしょう。

岸田政権による経済刺激策は、張りボテなだけで「中身はしょぼい」のが実態です。日本経済は、引き続き内需が弱い状態が続きそう。

ですから、日本では2022年においてもたいしたインフレは起きないでしょう。

さらに、2022年の日本経済は引き続き中国経済の影響も強く受けます。が、その中国経済も2022年に入っても不動産バブル崩壊の後始末に手こずったまま、来年は成長が大きくスローダウンすることが見込まれています。

結果、来年アメリカ株が大きく売り込まれたときは、日本株はアメリカ株よりももっと売り込まれることでしょう。来年は、おそらく春から秋にかけて、一時的にせよ日経平均が2万4,000円を大きく割り込むなんて「悪夢」が現実になるかもしれません。裏を返すと、「ビック・チャンス」なのですが…。

2022年末の日経平均は、2万9,500円〜3万0,500円と予想しています。

中国株式市場とその他の新興国株式市場
中国は、来年も「大型不動産バブルの後始末」に追われて成長が大きくスローダウンしそうです。株式市場の大幅な上昇は、あまり期待できません。

中国と関係の深い新興国株式市場もあまり期待はできないでしょう。

ただし、2022年のどこかの時点で、「ドル安」基調が始まって、「ドル安新興国通貨高」トレンドが始まるならば、この限りではありません。

「ドル安トレンド」が始まるならば、中国株式や新興国株式にもチャンスが訪れるかも知れません。


アメリカの高インフレは向こう3年は続く?
繰り返しになりますが、今のアメリカでは7%近い高インフレが猛威をふるっています!

今から記すことは、2022年内はあまり心配しなくても良いかもしれません。心配し始めたほうがよいのは、再来年(2023年)以降でしょう。

この高インフレは向こう3年くらいは続くことでしょう。

来年2022年は、パウエルFRBが「高インフレと戦うために、ビシバシ利上げをする、向こう2〜3年間の『最初の年』」です。

FRBが「大きく後手後手に回っている、回り過ぎている」ために、今の7%近い高インフレは、今後もますます燃えさかっていく可能性が高いです(夏場には、二桁近いインフレが起きても不思議ではないです)。

さて、繰り返しになりますが、この高インフレを抑え込むためには、「中立金利:2.5%」よりもはるかに高い政策金利が必須になります。

パウエルFRBが「来年1年間で0.25%の政策金利の引き上げを8回行なった」としても、「来年末の政策金利は2.00%」です。まだ「中立金利:2.50%」には及びません。「政策金利:2.00%」では、まだ高インフレを抑え込むことはできないのです。すなわち、この「2.00%」水準では、来年末になっても、7%近い高インフレは加速することはあっても、沈静化したり、下火にはなっていないのです。

さらに、「金融引き締めによるインフレ退治」には、半年か1年のタイムラグが必要です。大変驚くべきことかもしれませんが、アメリカの政策金利が2.50%よりも遙かに高くなった時点から、さらに半年から1年の時間が経過しないと、高インフレは沈静化し始めないのです。

すなわち、来年2022年は無理だとしても、再来年の2023年のどこかに時点で、FRBの政策金利が「中立金利2.50%」よりはるかに高くなるかもしれません。そして2023年に、やっとこさ、はるかに高くなったとしても、7%近い高インフレは2023年末になっても燃えさかっているはず。FRBがここまでバカスカがんばっても、アメリカで高インフレが止まるのは、2024年に入ってから。これが、パウエルFRBが後手後手に回ってしまった結果の「厳しい現実」なのです。

かくして、パウエルFRBがどんなにうまくやっても、現在進行形の高インフレは2024年に入って「やっと静まり始める」程度でしょう。

パウエルFRBの「高インフレとの戦い」、言い換えると、「ビシバシ利上げを続ける年」は、少なくとも「向こう2〜3年間は続く」のです。

3年間の「高インフレ」がアメリカ経済に及ぼす影響
7%を軽く上回るようなインフレが向こう2〜3年間は続くと、アメリカ経済はどうなるのか?

2022年から2023年のどこかの時点で、インフレが二桁に近づいたりすると、パウエルFRBがますますパニックに陥りやすくなります。パウエルFRBがパニックに陥って利上げをし過ぎて、アメリカ経済が大きくスローダウン、リセッション入りしてしまう可能性は、かくして生まれるわけです。確率としては30%〜40%。

反対に、パウエルFRBが中央銀行としての責任を放棄する可能性もあります。パニックに陥り過ぎて、無気力になったFRBは、何もしなくなる可能性があるのです。すなわち、驚きべきことに、FRBはビシバシ利上げなどは行なわずに、高インフレを放置する可能性が今から指摘されているのです。

来年2022年の利上げでは、パウエルFRBは「市場予測通りの年3回の利上げ」だけに留めて、インフレ退治を最初から諦めてしまう可能性があるのです。

結果、アメリカ経済は向こう数年間は「スタグフレーション的」な状態に陥って、やはり経済成長は大きくスローダウンしてしまうことでしょう。最終的には、アメリカは数年後あたり(?)にアメリカ経済は正真正銘のスタグフレーション(不況の中の物価高)に陥ってしまうことでしょう。確率としては、33%くらいと読んでいます。

かくして、アメリカ経済が無事にソフトランディングする確率は20〜25%くらいに低下しています。  

13. 中川隆[-14405] koaQ7Jey 2021年12月28日 11:18:13 : Y4RaJLU9Ds : VDdQZHR4alRReXc=[13] 報告

2021年12月28日
サマーズ元財務長官、アメリカはスタグフレーションになると予言

大きな不況ではその場に留まれず下に落ちていく


リセッションが目前に迫っている

今アメリカ人が最も恐れているのはコロナではなくインフレと不況で、非常に高い確率で現実化すると予想されている。

サマーズ元米財務長官は最近、アメリカはリセッション(景気後退)に陥った後にスタグネーション(停滞)に見舞われるリスクがあると語った。

日本語では「深刻な不況とハイパーインフレが同時に起きるだろう」とでも翻訳でき、かなり強い表現でした。

今まで10年ほどアメリカの経済関係者は「世界がどうなろうとアメリカ経済は無敵」のような発言を繰り返してきた。

それが今はみんなインフレ、リセッション、スタグフレーション、利上げなどの話をしている。

事の始まりは2007年のサブプライムショックで、ホームレス向け住宅ローンである事を隠して投資家に販売していた。


こんな物がうまく行く訳がないのだが、成るべくしてサブプライムは破綻し、連鎖的にリーマンショックに至った。

当時の状況はアメリカの破綻は秒読み、ドルは明日にもデフォルトし紙切れになるとされていました。

大手メディアもすべてアメリカ破産の現実味を記事にしていて、もうアメリカは復活しないと思われていた。


ところがバーナンキというFRB議長が「お金は使えば使うほど増えていく」というヘリコプター理論を展開した。

「金がなければ空から撒けば良い」という名言を残して無限大の金融緩和を行い、政府も無限大の支出をした。

この結果アメリカ政府は破綻したりせず、面白いようにお金が増えてあっと言う間に経済回復しました。

再びリーマン級の不況がやってくる

これがMMT理論の始まりで、アメリカが実際にやってみて大成功したが日本政府は拒否しています。

中央銀行がお金を無限に発行し、政府は無限大の支出をし、それでGDPが増えて税収が増えるので良いじゃないかという考えです。

こうしてアメリカ経済は奇跡の復活を遂げ、2020年まで空前の好景気を続けました。


ここでコロナウイルスがアメリカを襲い、アメリカはまたまた無限のお金を発行し政府は無限の支出をしました。

アメリカは2020年の1年間だけでコロナ対策で数百兆円を使い、国民は受け取った金で消費し空前の好景気になった。

土地や住宅から株からビットコイン、自動車にPS5まであらゆる商品が売れまくりました。


その結果2021年のインフレ率は6%を超え、これはアメリカでは危険な水準と認識されている。

日本のバブル経済と同じ話で、景気を良くし過ぎたらインフレになったので、インフレ鎮静化する必要が生じた。

インフレ率を下げるには利上げが有効だが、利上げは「お金を動かなくする」ので景気を悪化させます。


サマーズ元財務長官は、利上げをしてもハイパーインフレを防げず、不況とインフレが同時に起きると予言している。

実際そうなったらアメリカだけでなく、日本や全世界がリーマンショック級の不況に陥るでしょう

https://www.thutmosev.com/archives/87423256.html

14. 中川隆[-14200] koaQ7Jey 2022年1月14日 16:30:03 : YiKsQr8iaU : Y0FrLlhZZEZ2NkE=[3] 報告

2022年01月14日
米利上げでアメリカと世界の好景気は終わる

米利上げは世界経済を悪化させます

利上げの影響は徐々に大きくなる

アメリカは2020年から21年にかけて新型コロナへの経済対策で数百兆円を支出し、金融バブルを創出しました。

米企業や米国民は政府からお金を受け取り投資や消費をし、米企業は空前の好業績で消費が拡大した。

アメリカだけでは使い切れないほどのお金を手にしたので人々は投資し、企業の株価は空前の高値を更新し続けた。

余った金はビットコインなど仮想通貨にも向かい、それでも使い切れないので全世界に投資され駆け巡った。

これが2020年から21年に起きた世界マネーバブルで、大元のお金は米政府とFRBが出していました。

だがアメリカは景気が良くなりすぎてインフレになり、21年のインフレ率は6%以上にもなりました。


インフレで好景気がずっと続けば良いが、インフレで不況になるとスタグフレーションという南米型経済崩壊が起きる。

ジンバブエとかベネズエラでは物価が年に何倍にも値上がりするのにマイナス成長で、こうなってしまうと再生は困難です。

アメリカはジンバブエのようになる前に利上げで経済を冷やしてインフレ率を低下させる事にしました。


2022年は4回の利上げが予定されていて、現在の0.25%から一度に0.25%ずつ利上げし年末には1.25%にするでしょう。

それでインフレが収まらなければ来年も利上げが続き、利上げは数年間つづくことがあります。

米利上げになるとドル高円安になるとマスコミや評論家は言いますが、実際には逆に円高ドル安になります。

デフレの日本が勝者になるか

これはマスコミの人は短期的な予測を好むからで、利上げすると金利収入を当て込んで一時的にドルが買われます。

だが『金利』は本質的に信用度を表すもので、高金利通貨は信用度が低く、低金利通貨は信用度が高い。

だからジンバブエやベネズエラやトルコの通貨は必ず暴落し、日本円のような超低金利通貨は結局円高になります。


米金利が1%なら影響は小さいが、2%、3%、4%と利上げすれば、ドル円レートは「1ドル100円、90円、80円」と円高になります。

2013年以降は円安が進みましたが、これは米国が低金利政策を続けたので日米金利差がゼロに近くなったからです。

米国が利上げを続け日米金利差が拡大すると通貨が不安定になり、1997年のアジア通貨危機もこんな状況下で起きました。


2007年からのリーマンショックも米利上げの最中で、過去の多くの世界不況はアメリカの利上げで発生していました。

リーマンショックの始まりである2007年8月に5.25%だった米政策金利は2008年1月には3%、12月には0.25%に引き下げられました。

例えば現在0.25%の金利を1.25%に上げると、銀行は金利として5倍もの金額をFRBに支払う必要がある。


金融機関は貸し出しを渋るようになり、社会にお金が回らなくなって不況になり、インフレ率が下がる仕組みです。

日本は相変わらずデフレなので、少しインフレ率が上がっても米国のようにはならないでしょう。

すると世界で日本だけ低金利という事になり、これは恐らく超円高要因になります。


米国が急ピッチで利上げを続けると、ドル円レートは100円を割り込み95年や2011年の円高を試しに行くでしょう。

同時に日本だけお金を借りやすいという事でもあるので、もしかしたら日本経済にはプラスになるかも知れません

https://www.thutmosev.com/archives/87538507.html

15. 中川隆[-14152] koaQ7Jey 2022年1月18日 07:51:42 : 3ECNedPwGs : RnhEczdWSW94cW8=[11] 報告
サマーズ氏、インフレを強欲な企業のせいとした民主党を批判
2022年1月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18847

アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が、先週発表されたCPI(消費者物価指数)を受けてインフレについてコメントしている。

1970年代の物価高騰を繰り返す

12月のアメリカのインフレ率は遂に7%台に到達した。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%
この発表を受け、サマーズ氏はこの水準がどれだけ高いか説明している。

インフレ率が去年の2/3の水準だった時にニクソン大統領は賃金の統制を行なった。現在のインフレ水準はベトナム戦争に起因する物価高騰の頂点よりもなお高い。

これはつまり、アメリカで物価高騰が止まらなくなった1970年代におけるインフレ第1波より高い水準にあるということである。当時のインフレ率は以下のようになっている。


少し前まで1970年代のインフレのようにはならないと言っている人が何人も居たが、現在のインフレ率は既に当時の水準に達しているということである。

インフレは一時的ではない

何故物価がここまで上昇するまで放置されてきたかと言えば、Fed(連邦準備制度)のパウエル議長やバイデン政権の政治家たちが何の根拠もなくインフレは一時的だと主張してきたからである。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ
彼らは最初何の根拠もなくそう主張し、次に債券投資家のスコット・マイナード氏らがコロナによる一時的な半導体不足で中古車市場が高騰していると指摘すると、その主張をオウムのように繰り返してきた。

しかしインフレはそうした一時的な要素だけではないと何度も主張してきたのが、経済学者のなかで恐らく世界で唯一、金融の実務家にも一目置かれるサマーズ氏である。この状況をこれまで警告し続けてきたサマーズ氏は次のように言う。

経済統計はわたしが言い続けた通りの展開となっている。確かにインフレのいくらかの要素は一時的なもので、それらは後退するが、全体としては根強い物価上昇に向かっている。それはインフレ期待にも賃金の上昇にも労働力不足にも表れている。

労働市場はかなりの過熱状態にある。失業者に対する求人の比率はかなりの期間なかったほど高い。カウンセラーからマクドナルドの店員まで、労働者は何処でも不足している。経済の生産能力に比べて購買力と需要は過剰となっている。

このままではインフレは高止まりするだけでなく、加速し続けるだろう。

問題はもはやコロナで一時的に生産不足となった一部の商品だけのものではなく、経済全体のものとなっている。その証拠の1つは労働市場であり、もう1つの証拠は以下の記事でジェフリー・ガンドラック氏が言及していた住宅バブルだろう。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
インフレが止まらなければ、これまで経済と株価を支えてきた低金利政策を撤回して利上げなど金融引き締めを行わなければならなくなる。これまで低金利に依存してきた経済と株価がどれだけ耐えられるかは、あまり希望のある話ではない。

サマーズ氏は次のように言う。

実体経済は過熱しており、Fedは混乱を招くことなしに経済を冷却するという本当の困難に直面するだろうが、それに成功した例は過去にほとんどない。

目を背け続ける政治家たち

しかしどうやらFedとバイデン政権はインフレに上手く対処できそうにない。そもそもインフレという事実を1年以上の間認めなかった彼らに何が出来るだろうか。

彼らは最近になってようやくインフレの事実を認めたものの、今度はその原因を他人に押し付けようとしている。

アメリカ民主党のエリザベス・ウォーレン議員などは、現在の物価上昇は「強欲な企業たち」のせいで起こったと企業を非難している。自分たちの現金給付と脱炭素政策で起こったインフレに対してあまりにも馬鹿げたことである。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
サマーズ氏はこうした政治家たちを次のように批判する。

政治家たちが現在のインフレは企業の強欲さから引き起こされたと主張するとき、雇用の安定とインフレの沈静化の両方を達成できる日はどんどん遠のいてゆく。

上で述べたように今や物価高騰は労働市場と住宅バブルの問題となっており、コロナによる一時的な供給減少の問題、あるいはウォーレン氏の主張するように(何の根拠があるのだろう?)個別の企業の問題ではなくなっている。

インフレは加速する

現在のインフレが政策金利が1%以下の低金利下で続くとき、間違いなく1970年代のような2桁のインフレ率が待ち受けているだろう。

サマーズ氏: 中央銀行と市場はインフレを過小評価、政策金利は2.5%以上まで上がる
1970年代には当時のFed議長ポール・ボルカー氏が強烈な利上げを行い、厳しい不況と引き換えにインフレを沈静化させた。サマーズ氏はその繰り返しが起こらないよう祈っている。

ポール・ボルカー氏がFedの議長となった時に必要とされたような過激な経済縮小を回避できることを祈っているし、避けられるとも思っている。

しかしインフレの原因を企業の強欲さや特定の業界のせいにするような政治家たちのやり方は、経済を最終的に景気後退に導くリスクを生じさせる。

だがバイデン政権がサマーズ氏の期待に応えるようなことはありそうもない。もはや問題は、単に経済と株式市場はいつまでもつかということなのである。

2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する
レイ・ダリオ氏など一部の投資家は、まだもう少し猶予があると考えている。

世界最大のヘッジファンド: インフレでも株式は魅力的な投資先


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18847

16. 中川隆[-14146] koaQ7Jey 2022年1月18日 11:22:29 : 3ECNedPwGs : RnhEczdWSW94cW8=[19] 報告
金利上昇で高騰する銀行株の買い時・売り時を解説!
2022/01/14



金利上昇で高騰「銀行株」は買いか売りかホールドか?日本特有の値動きを考慮したトレード戦略=栫井駿介
2022年1月18日
https://www.mag2.com/p/money/1148067


金利上昇で株価が上がっている銀行株について、主にファンダメンタルズの方面から詳しく分析します。銀行株を持っている、またはこれから買おうとしている場合、どのような行動を取るべきでしょうか?(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)


銀行の利益はどこから?
アメリカの長期金利が上昇していて、2021年末には1.5%ほどだったものが2022年に入ると一時は1.8%を超えるまでになりました。

米国国債10年 日足(SBI証券提供)

これを受けて、「金利の上昇と言えば銀行株」ということで銀行株の株価が上昇しています。

220118_kakoi_1

しかし、PERを見てみるとまだかなり低い水準となっています。

株価が上昇しているのにPERは割安なので、まだ買えるのではないかと思えてしまいますが、果たして本当にそうなのでしょうか。



まず、銀行のビジネスモデルを簡単に説明します。

銀行は、人々からの預金を企業に貸し出したり有価証券で運用したりします。

220118_kakoi_2

企業に貸し出して回収するときの利息から、人々からの預金に付く利息を差し引いたものが利ざやとなり、そこから人件費などのコストを引いたものが最終的な銀行の利益となります。(図は預金利息を0.1%、企業への貸出利息を2.0%と仮定したもの)

このように銀行のビジネスモデルは非常に単純なものとなっています。



企業に貸し出す金利は市場金利+αという形で決まるので、市場金利が上昇すれば企業への貸出金利も上がることになります。

よって、【金利の上昇=銀行株の上昇】という連想が生まれるのです。


日本の金利は上がらない!?
では、アメリカの金利が上がったからと言って日本の金利も上がるのかというところです。

短期的に見ると、確かにある程度の連動性はあります。



日本の10年利回り国債金利も今年に入って大きく上がっています。

日本国債10年 日足(SBI証券提供)
日本国債10年 日足(SBI証券提供)

そもそもなぜアメリカが金利を上げようとしているかというと、最大の理由はインフレの抑制のためです。

これはアメリカのCPI(消費者物価指数)の推移です。

米国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス
米国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス

物流の混乱や生産者の不足などでものの価格が上がっているところにさらに金融緩和でお金をばらまいていて、物価の上昇に拍車がかかっています。



2021年12月にはなんと7%も価格が上昇しました。

これが続くと、低所得者層や年金生活者は苦しくなってしまうので、これを抑えるために金利を引き上げて物価を下げるという動きを行わなければなりません。

ところが、今の日本のCPIはこのようになっています。

全国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス
全国消費者物価指数(CPI) ※出典:Yahoo!ファイナンス

確かに物価は上がっていますが、数字を見ると、0.6%に過ぎません。

アメリカの7%に対して0.6%なので、大して上がっていないというのが正直なところです。

日本も物価が上がり始めてはいますが、これは金融緩和によるものではなく、物流費や原油価格の上昇によるいわゆる“コストプッシュ型”のインフレなので、利上げを行ったところで物価にはさほど影響がないということになります。

国内情勢だけを見ると、日本は金利を上げる必要は必ずしもありません。

しかし、アメリカの金利に合わせて上げなければならないケースもあります。

アメリカの金利が上がると、自国で運用するよりアメリカに持って行って運用するほうが利益が出るということになるので、世界中からアメリカにお金が集まる、つまりドルが買われ、ドル高となります。

円安ドル高となってしまうと輸入物価が上昇してしまうので、それを抑えるために利上げを行ってアメリカに流れてしまったお金を引き戻さなければならないという側面があります。

一方で、日本には輸出企業が多く、円安になると海外競争力があがるので、円安はどちらかというと歓迎される向きがあります。

したがって、円安になったからと言ってそう簡単に利上げを行うかというと必ずしもそうではありません。

また、ドル/円のレートを見ても、今は1ドル=115円といったところで、過去と比べてもそこまで円安の状況ではありません。

米ドル/円 月足(SBI証券提供)


【関連】1ドル130円超に備えよ。日銀が円安を放置する3つの理由とは?逆風・追い風が吹く企業も解説=栫井駿介
https://www.mag2.com/p/money/1127780


この間も日本の政策金利はほぼゼロでしたから、それでもそこまで円安になっていないので、日本はそう簡単に金利を上げないのではないかというのが私の考えです。


銀行の業績と金利の関係
しかしながら、メカニズムとしてはアメリカの金利が上がれば日本の金利も上がりやすいというところがあるので、仮に日本の金利が上がった時のことを考えてみましょう。

三菱UFJフィナンシャルグループを例に、金利と業績の関係を見てみます。



220118_kakoi_5

直近10年で、日本の金利は右肩下がりとなっていて、1%あったものがほぼゼロというところになっています。

しかし、1株当たりの利益は横ばいで、業績(株価)もほぼ横ばいとなっています。

長期的に見ると、金利と業績はあまり連動していないという結論がここから導き出せます。

したがって、今、金利の上昇で銀行株が上がっていますが、そんなに長くは続かないのではないか、という仮説が立てられるわけです。



では、金利と業績がなぜ連動しないのかということを考えてみます。

1つ目の仮説として、1%以下の微々たる金利変動では業績にそれほど影響は与えないのではないかというものです。

金利に対する業績の感応度はそれほど高くないということです。

逆に言えば、金利が2%3%と大きく上がっていくようであれば業績(株価)にも影響が出る可能性があると考えます。

2つ目の仮説は、銀行の利益の本質は「長短金利差」なのではないかということです。

先ほどは銀行の利益は運用金利(企業への貸出金利)から調達金利(預金利息)を引いたものと言いましたが、運用金利が上がる時には同時に調達金利も上がることになるので、単純に金利が上がったからと言って利益が増えるというわけではありません。

これは「イールドカーブ」と呼ばれるもので、金利とその償却期間の相関関係を表したものです。

220118_kakoi_6

期間が長くなるほど金利が上がっています。

預金者には6ヶ月や1年など比較的短い期間で利息を払い、企業には3年・5年といった長い期間で貸し出し、その金利の差が銀行の利益となります。

この長期と短期の金利差が大きくならないと銀行の利益は上がらないということになります。

イールドカーブの傾きが上がった時(スティープ化)、初めて銀行の利益が上がります。

しかし、長い期間で貸し出すと当然リスクも大きくなるので、今日本の銀行はそのリスクを下げようとして貸出期間を短くするという動きをしています。(レギュレーションの短期化)

それによって、この長短金利差の恩恵をあまり受けられなくなっているのです。

3つ目の仮説として、オーバーバンキングによる金利競争というものがあります。

実は今、預金量自体はどんどん増えています。

しかし、それを貸し出す先が無いのです。

国債で運用してもそれこそ金利がゼロに近いですから、できれば安定的に金利を払ってくれる優良企業に貸したいところですが、企業の方にも資金需要があまり無く、仮に借りたい企業があったとしても、貸したい銀行がたくさんあるので、より金利が低い銀行から借りようとし、どんどん金利が引き下がることになります。



長期金利とは直接関係なく、銀行は利益を得にくくなっているところです。

以上のことから、短期的な株価を見れば、金利が上がれば銀行株が上がりやすい側面がありますが、長期的に見ると、株価が上がり続けるためのベースとなる業績は簡単には上がらないということが言えます。


売る?買う?ホールド?銀行株の扱い方
結論としてはこうなります。

1. 国内金利が米国と連動して上がるかどうかは不透明
2. 国内金利が上昇したとして、過去10年の業績・株価の連動性は低い
3. 上昇基調の継続あるいはイールドカーブの鋭化があれば、長期的な株価の伸びも期待できる
(3)に関しては、金利やイールドカーブの状況によるので、事前に予測するのはなかなか難しいと思われます。



これを受けて、投資家はどのように動くべきか、私から提案させていただきます。

割安感もあり、既に銀行株を保有しているなら、もう利確のタイミングを探っても良いのではないかと思います。

このグラフを見れば分かるように、株価はボックス圏で、上がったり下がったりを繰り返しています。

(SBI証券提供)
(SBI証券提供)

なぜこのような動きをするかというと、銀行に成長性が見込まれておらず、上がったら早めに売ろうと考えている投資家が多いからです。



これから右肩上がりで上昇し続けることは、よほど金利が上がり続けたり長短金利差が広がり続けない限り、難しいと思われます。

したがって、ここまで上がればラッキーと思っていったん売るということを検討するべきだと思います。

配当目的で保有しているのなら、配当利回りは4%くらいあり、配当としては手堅いので、そのまま持ち続けても良いと思います。

1つの方法として、先ほども示した通り株価はボックス圏で動いているので、上がった時に売って下がったら買いなおすというのも配当株の買い方としておすすめです。

今、上昇しているのでこれから買おうとしている方も多いと思います。

確かにこの上昇トレンドでPERも低いので、上昇がしばらく続く可能性も大いにあります。

しかし、やはり成長性は厳しいですから、どこかで下げに転じることが考えられます。

今から買ってすっと放置というわけではなく、どこで売るかを意識したうえでエントリーするべきだと考えます。

まとめ
1. 割安感で保有していた人 → 利確のタイミングを探る
2. 配当目的で保有していた人 → 基本保有継続だが利確もアリ
3. これから買おうと思っている人 → まだ悪くないかもしれないが、売りどきは意識
17. 中川隆[-14132] koaQ7Jey 2022年1月19日 20:47:23 : HuHSGoKygw : WWpVMi5ZRnhCRC4=[13] 報告
金融市場、今年5回以上の利上げを織り込み始める 株式市場は風前の灯火
2022年1月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18899


アメリカのインフレが止まらない。そして同じように、インフレを抑制するための利上げも止まらなくなりそうだ。利上げで間違いなくダメージを受ける株式市場の運命は風前の灯火である。

金融引き締め加速へ

覚えている読者がいるかどうかも分からなくなってきたが、アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)のパウエル議長が当面の間は量的緩和とゼロ金利を継続すると言っていたのはたった2ヶ月前の話である。

それがテーパリング(量的緩和縮小)の加速に追い込まれ、その後2020年内に3回の利上げを表明するところまで本当にたった数週間程度の話だった。

パウエル議長、ついに「一時的」を撤回しテーパリング加速を示唆 (2020/12/1)
12月FOMC会合結果: 利上げ3回示唆でタカ派に転換も株価は上昇 (2020/12/16)
そしてそれももはや変わるかもしれない。アメリカの債券市場が3回どころか今年中に5回以上の利上げを織り込み始めたからである。

止まらない短期金利上昇

以下の記事で債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏が言っていたように、そもそも緩和を続けたかったパウエル議長が利上げに追い込まれたのは、物価高騰で利上げは不可避と見た債券市場が、今後の利上げ予想を織り込んで推移する2年物国債の金利を上昇させ始めたからである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
それでパウエル氏も慌てて追従することとなった。ガンドラック氏はどうせ2年物国債が政策金利を決定するのだからFedは要らないではないかと言っていたが、パウエル氏に代わって中央銀行業務を行なっている2年物国債の金利がその後どうなっているかと言えば、次のようになっている。


これがアメリカの中央銀行の仕事ぶりである。パウエル氏はこれを見て、そろそろ利上げ回数を3回から増やさなければならないと思い始めているだろう。Netflixを眺めているティーンエイジャーでも同じ仕事が出来るのではないか。

上の記事でガンドラック氏の言っていたことをもう一度思い出したい。

2年物国債がゼロ近辺にある時には、利上げがないと分かる。0.75%まで上がれば、2022年に恐らく3回の利上げがあるということが分かる。何故か? 他でもない2年物の金利が利上げ3回と同じ水準まで上がったからである。

では1.1%という現在の水準が利上げ何回分かと言えば、1回の利上げは0.25%なので、4回か5回である。

これとは別に金利先物市場における年末までの利上げ回数の織り込みを見てみると、次のようになっている。

2回: 5.2%
3回: 18.2%
4回: 31.4%
5回: 28.5%
6回: 13.3%
7回: 2.7%
少し前まで年内3回の利上げがメインシナリオだったものが、4回がメインシナリオになり、しかも5回の利上げがある確率と拮抗し始めている。このまま行けば5回がメインシナリオとなり、6回の可能性も見えてくるだろう。

利上げと株式市場

言うまでもなく、これまで金融緩和で上昇してきた株式市場にとって利上げはマイナス要因である。

株式市場は大丈夫なのだろうか? ガンドラック氏が次のように言っていたことを思い出したい。

ここ何ヶ月かの債券市場の動きを見ていると、現在の市場では政策金利が1.25%まで上がっただけで市場が崩壊してしまいそうだ。

その水準まで既にかなり近づいている。その他にもマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏などは4回の利上げが危ないと指摘し、筆者も4回前後が限界だと見ているが、今年の金利予想は既にほぼその水準に到達しているということである。

サマーズ氏: 市場を急落させても4回の利上げが必要
利上げでインフレは止まるか

言うまでもなくそれはインフレを抑えるために必要だからである。

だが考えてもらいたいのだが、仮に5回利上げしたとして、政策金利は1.25%になるが、現在のインフレ率は7.1%である。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%
7.1%のインフレ率に対して1.25%の政策金利、つまりそれは超低金利である。

金融緩和で自国通貨を暴落させたトルコのエルドアン大統領の息の掛かったトルコの中央銀行は、インフレ率が19.9%で政策金利が15%となっている状態を「金融引き締め」と呼んだ。

物価高騰と金融緩和でトルコリラが暴落中
西洋諸国はこれを笑っていた。しかし考えてほしいのだが、インフレ率を差し引いたトルコの実質金利はおよそ-5%、一方でアメリカの実質金利はおよそ-6%となり、(仮に5回の利上げが行われたとしても)むしろアメリカの方が常軌を逸した金融緩和状態なのである。ちなみに利上げがまだ行われていない現在の実質金利は-7.1%である。

結論

どう考えても利上げはインフレを止めるには不十分であり、株式市場を暴落させるには十分な水準に到達しつつある。インフレは止まらなくなるだろう。今年の半ばにはインフレ率が2桁を越えている可能性も十分にある。その段階で利上げはまだ1回か2回しか行われていない計算である。

筆者の予想では、株式市場を暴落させる水準まで利上げをしなければならないという事実が春か夏頃までには明らかになり、市場はパニックになるだろう。

それまで株式市場は上昇するという見方もある。だが間違いなくプロ向けのチキンレースであり、筆者はお勧めしない。

マイナード氏: 利上げの初期には株を買え
世界最大のヘッジファンド: インフレでも株式は魅力的な投資先
この相場で必要なのはスタグフレーションに賭けるポジションである。もう何十年もスタグフレーションは起こったことがないので、これに対応できる投資家はほとんどいないだろう。以下の記事などを参考にしながらこの難しい相場を乗り切ってもらいたい。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18899

18. 中川隆[-14106] koaQ7Jey 2022年1月21日 12:13:49 : 8TUb5hYdHg : dDF5OVNWVlpkLk0=[15] 報告
2022年のスタグフレーションに投資する方法
2022年1月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18949


年始から著名投資家の相場観の紹介に忙しかったため、なかなか書けていなかったが、2022年の投資戦略について包括的に書いてみよう。

インフレと景気後退の合わせ技

2022年のテーマはスタグフレーションである。

スタグフレーションとはインフレと景気後退が同時に来ることである。物価は需要と供給に左右されるが、景気が後退すると通常需要も後退するため、物価押し下げの要因となることが多い。つまりはデフレである。

ここ数十年の間、経済のテーマはデフレと景気後退だった。インフレが起こることはなかった。だがデフレにあぐらをかいて、どんなに紙幣を印刷してもインフレにはならないと高をくくって紙幣をばら撒き続けた結果、アメリカでは前年比7.1%の物価高騰が起こっており、しかも収拾の目処は立っていない。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%
リフレ派の似非経済学者たちにインフレは良いものだと教えられてきた多くの人々は、スーパーの食料品の値段が上がり始めてようやく、インフレとはものが同じ値段で買えないことだという事実に気づいたようである。面白い話ではないか。政府やマスコミの言うことを信じるからそういうことになるのである。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
結果として中央銀行は金融緩和の撤回、そして金融引き締めを強いられている。しかし利上げを行うとインフレが抑制されるより先に株価が暴落するということは、以下の記事を読んだ人には確実に思える話だろう。

金融市場、今年5回以上の利上げを織り込み始める 株式市場は風前の灯火
インフレ対策とは違うスタグフレーション対策

このままでは物価高騰は止まらず、先に景気後退が来そうである。景気後退にもかかわらず物価上昇が収まっていない状態、つまりスタグフレーションは、著名投資家やここの読者には2022年のメインシナリオである。債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などは半年以上前からこの状況を的確に予想していた。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ (2021/6/14)
今後の経済動向を予想するのは簡単である。それはスタグフレーションである。

しかし投資家にとってはややこしい問題が待ち構えている。スタグフレーションに賭ける投資は、インフレに賭ける投資よりも複雑だということである。

単にインフレに賭けるだけならば、ゴールドやシルバー、原油や大豆やコーンなどを買えば良い。暗号通貨も上がり続けるかもしれない。物価が上がるのだから、ものを買えば良いのである。金融市場で売買できるこうした商品はコモディティと呼ばれている。

事実、コモディティ銘柄はインフレを織り込んで1年半前から上昇してきた。ここではそうした動きを最初から報じ続けている。

金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰 (2020/10/14)
例えば原油価格は次のように推移している。


だが2022年、金融引き締めは経済成長を殺してしまうだろう。そうなれば株価は暴落し、それはこうしたコモディティ価格にもマイナスに働く。リーマン・ショック時に金価格が暴落していることを思い出したい。

リーマンショックで急落した金価格、上昇した米国債
スタグフレーション相場では、単にコモディティ銘柄を買うだけでは駄目なのである。

スタグフレーションへの賭け方

では投資家はどうすれば良いだろうか?

まずはスタグフレーションとはそもそも何であるかを思い出したい。まず名目経済成長率とはインフレ率と実質経済成長率の和である。

名目経済成長率 = インフレ率 + 実質経済成長率
スタグフレーションとは、この内インフレ率はそれほど下がらないが、実質経済成長率が下がってしまう状態のことである。結果として名目経済成長率は必ずしも下がるわけではない。

この名目と実質ということが重要である。例えば株価はインフレを差し引きしていないので名目の数字であり、(銘柄にもよるが)インフレはプラスに働くものの実質経済成長率の減少はマイナスに働く。

この状況で株式という資産クラスが微妙なのは、インフレというプラス要因と実質経済成長率減少というマイナス要因の両方の影響を受けるからである。グロース株など銘柄によってはインフレもマイナス影響となり、そうしたものはむしろ空売り対象だろう。著名投資家も手を引き始めている。

ドラッケンミラー氏、やはりインフレ懸念でハイテク株を利益確定
ジョージ・ソロス氏、インフレトレードを継続 ハイテク株は一部利益確定
そこで、投資家は「名目の成長率からインフレを差し引いたものが下落する」ことに賭ける必要があることが分かる。

名目のものとは、例えば株式である。

一方でインフレに連動するものには金属やエネルギー資源、農作物などのコモディティ銘柄がある。

ここまで言えば多くの読者には分かるのではないか。株式を空売りして、同額のコモディティを買うのである。そうすれば「名目からインフレを差し引いた、実質的な価格減少に賭けるポジション」が出来上がる。それこそがスタグフレーショントレードである。

スタグフレーションで空売りすべきもの

しかし株式と言っても様々な種類がある。2018年の世界同時株安からの読者は実体験として覚えているだろうが、株価暴落と言ってもすべての銘柄が同時に下落を始めるわけではない。

2018年の例ではまず中国株などの新興国株が下落し、次に日本やヨーロッパなどの株式が下落し、米国株が下落した。

同じ国の株式市場でも株価指数に採用されている大型株が下落するのは最後で、日本のマザーズやアメリカならRussell 2000など小型株指数から先に下落する。詳細は当時の記事を読んでもらいたい。

遂に米国株にも減速の兆し (2018/10/8)
世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
また、ガンドラック氏は大型株より先に下落するものとしてジャンク債を挙げており、金利上昇に耐えられない銘柄としては随一のものであるので、筆者もお勧めしている。

ガンドラック氏: 株価急落のタイミングはジャンク債が教えてくれる
ジャンク債の空売りは安全なヘッジになるか
こうした階層構造をランク分けすると次のようになるだろうか。

ランク1: S&P 500など
ランク2: Russell 2000、日本株、欧州株、ジャンク債など
ランク3: 日本や欧州の小型株、新興国株など
現状、ランク1はまだ上昇基調であり、ランク2は横ばい、ランク3は下落済みという感じである。

2018年の例ではランク2はランク1が下落する相場の最後まで上がらずに横ばいを続けたケースが多かった。日本株については最後に一瞬だけ上がったのでそういう可能性もあると考えるべきだが、ランク2の中で分散して空売りしておけばリスクは大きくないだろう。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
スタグフレーションで買うべきもの

一方で同額買うべきものはコモディティである。あるいは株式の中でもコモディティを産出する銘柄についてはコモディティ扱いしても良い。小型株指数とのロングショート(買いと空売りの組み合わせ)はまさにスタグフレーショントレードである。

具体的にはどうだろうか。筆者はそろそろゴールドに手を出して良いと考えている。(しかし上記の空売りと組み合わせたスタグフレーショントレードとしてである。)


ゴールドはこれまでコモディティの中では売られてきた方である。これは利上げがゴールドにマイナスだったからだが、現状の利上げペースではインフレを止められないということがはっきりしてきた今はゴールドに風が向き始めているだろう。

また、現在のインフレのもう1つの原因は脱炭素政策である。化石燃料の供給を強制的に減らしたために化石燃料が高騰している。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない
脱炭素に取り憑かれたフランスなどは天然ガスの高騰に現金給付で対応してまさに火に油を注いでいる。

フランス、インフレ対策で現金給付へ
彼らはどうしても化石燃料を使いたくないため、ヨーロッパでは原子力発電に予算が組まれるなど原発が再注目されている。

原油や天然ガスに直接賭けるのも悪くはないが、天然ガスや原子力などの関連株式銘柄に割安なものがまだ残っている。

そして最後に紹介するのが農作物である。今回のインフレの問題は1970年代以来の大問題だが、農作物にはまだ10年来の高値さえ越えていないものが山ほどある。

例えばとうもろこしである。


他には大豆もある。


とうもろこしと大豆はバイオエタノールの原料となるためエネルギー価格高騰と連動する。

連動しないものとしては、小麦などはまだまだ安いだろう。


また、コモディティでも中国バブル崩壊の影響が大きいものは避けるべきだろう。中国の影響の少ないコモディティと大きいコモディティでロングショートを行うことも出来る。中国については詳細は別の記事に譲りたい。

サマーズ氏: 中国恒大集団のデフォルト危機は日本のバブル崩壊と同じで極めて深刻
恒大集団倒産と中国不動産バブル崩壊で空売りすべき銘柄リスト
結論

以上、買いと空売りを組み合わせたスタグフレーショントレードを紹介した。まとめると、買うべき銘柄は以下のものである。

ゴールド
エネルギー資源や関連銘柄の安いもの
とうもろこしや大豆、小麦など農作物
空売りすべき銘柄は以下のものである。

米国小型株指数
日本株やヨーロッパ株
ジャンク債
中国関連コモディティ
このように、スタグフレーショントレードはインフレトレードよりもよほど難しく、しかもここ何十年もスタグフレーションは起こったことがないため、経験ある投資家は世界にもほとんどいないだろう。

また、物価水準に基づいたトレードの第一のものは米国債のトレードであり、筆者の第一のポジションもそれであることは、もう一度述べておきたい。以下の記事で詳しく説明している。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18949

19. 中川隆[-14040] koaQ7Jey 2022年1月27日 09:35:07 : sUlbBSxYZw : VDIxWXo3Vmwud3c=[20] 報告
マイナード氏: アメリカは2018年世界同時株安を繰り返そうとしている
2022年1月25日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19117


Guggenheim Partnersのスコット・マイナード氏が顧客向けのレポートでアメリカの利上げがインフレではなく株価を殺してしまう可能性について語っている。やはり優れた投資家は誰もが2018年の株安を思い出しているようである。

量的引き締めの脅威

Fed(連邦準備制度)は元々インフレは一時的なものに過ぎないのでゼロ金利政策を当面維持すると言っていたが、ここ数ヶ月の間にまず量的緩和を縮小し始め、次に今年3回の利上げを宣言し、しかも最近では一部メンバーがバランスシートを拡大した量的緩和を逆回し(縮小)する量的引き締めにまで言及するという豹変ぶりを見せている。

12月FOMC会合結果: 利上げ3回示唆でタカ派に転換も株価は上昇

量的引き締めとはつまり、市場に資金を注入する量的緩和とは反対に市場から資金を吸い上げるということである。Fedの一部メンバーは物価高騰を止めるために量的引き締めもやむを得ないと考えている。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%


この状況についてマイナード氏は次のように述べている。

2018年にFedが利上げを行いながら実行した前回のバランスシート縮小が金融市場にどれほど酷い結果をもたらしたかを考えれば、Fedがまた利上げとバランスシート縮小を同時にやろうとしていることは興味深いことだ。

Fedが最後に行なった金融引き締めは、2018年の世界同時株安を引き起こした。以下は当時の株価チャートである。


当時の議長も今と同じパウエル氏であり、今回インフレが一時的なものではないと長らく認めなかったのと全く同じように、当時彼は株安が自分の金融引き締めのせいだということを認めようとはしなかった。

12月FOMC会合結果は空売り派への満額回答 (2018/12/20)
これは当時も書いたことだが、そもそも量的緩和で投資家がどれだけ株を買ってきたかということを考えれば当たり前のことである。

量的緩和で株価が大いに上がったのだから、量的引き締めでは株価が大いに下がらなければ理屈が合わない。2018年の相場では筆者だけがこの当たり前の理屈を暴落前から主張し続けたが、株価の高騰にのぼせ上がった周囲のファンドマネージャーやバンカーは誰も耳を貸さなかった。バブルとはそういうものである。

世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)


インフレが量的緩和バブルにとどめを刺す

だが今回の相場では2018年と違う点が1つある。インフレになっているということである。

2018年の世界同時株安は最終的にパウエル氏が間違いを認め、金融引き締めを撤回したことで収束した。

しかし今回は金融引き締めを撤回すると物価高騰がそのまま継続してしまう。株価が暴落してもインフレは金融引き締めを強いるだろう。金融引き締めが止められないとなれば、株価は何処まで下がってゆくだろうか。

特に根拠もなくリフレ派に騙されてインフレを賛美していた人々は、インフレになってようやく物価は安い方が良いという当たり前の事実に気付くようになる。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信


12才児でも分かるような事実に誰も気付かなくなる現象のことをバブルと呼ぶのである。あるいは人間は元々12才児よりも頭が悪いのかもしれない。筆者はもうこれはどうしようもないと思っている。人はあまりに簡単に騙されてしまう。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない


マイナード氏は次のように言う。

明らかに金融市場は投機家の天国となった。ミーム株、ジャンク債、アート、住宅市場、ほとんどすべてのものが青天井に上がっている。

この状況にどう収拾を付けられるだろうか。金融引き締めは緩和によって引き起こされたバブルに終止符を打ち、インフレを抑制できるだろうか。

マイナード氏の答えは、バブルに終止符を打つことは出来るがインフレは抑制できないという何とも悲観的なものである。

もし市場に予想外のショックが与えられれば、それはインフレには即座に影響を与えはしないが、既に過大評価されている資産価格には即座に影響を与え、消費者心理を冷やし経済を不安定化させるだろう。

だが予想外のショックを与えないならば、つまりインフレ率が7.1%の状況で市場の織り込み通り政策金利を1%程度までにしか上げないならば、間違いなく物価高騰は継続するだろう。

結論

現状の問題は明らかである。金融引き締めを行えばインフレよりも先に株式市場が死んでしまう。しかし行わなければ物価が高騰し、後でより大きな金融引き締めを強いられる。アメリカ経済はもう詰んでいるのである。

2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する


投資家に出来ることはいくつかある。まず前回金融引き締めが行われた2018年の世界同時株安を勉強することである。

2018年の世界同時株安では何から順番に暴落したかを振り返る


そしてその上でどういう投資が出来るのか考えてみるべきだろう。繰り返しになるが2022年はかなり難しい相場になる。読者の幸運を祈りたい。

2022年のスタグフレーションに投資する方法


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19117

20. 中川隆[-14027] koaQ7Jey 2022年1月28日 10:29:58 : 8BXFZ7d3Hw : blVPV25wWkNUY3M=[3] 報告
アメリカ、2018年の株価暴落を引き起こした量的引き締めを発表
2022年1月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19181


やってしまったと言うか、他にどうしようもなかったと言うか、どうだろうか。アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合の結果を米国時間1月26日に発表し、政策金利の維持を決定した。

しかし問題は同時に発表された量的引き締めである。

「バランスシート縮小の原則」

まず、ゼロ金利が今回の会合で維持されることは事前に説明したように織り込み済みである。市場では利上げ1回目は3月と織り込まれており、今回発表された声明文でも以下のようにアナウンスして3月の利上げを確認している。

雇用の最大化と2%のインフレ目標達成のため、政策金利を上げることがもうすぐ適切になると予想している。

だが今回のFOMC会合ではいつもの声明文および記者会見とは別に「バランスシート縮小の減速」と銘打たれた文書が公開された。この文章の最初にはこう書かれている。

FOMCはバランスシートの規模を大きく縮小する計画的なやり方についての情報を今回の会合で公開することが適切であるとの合意に達した。

ここの読者には説明不要かもしれないが、量的緩和とは中央銀行が債券などを買い入れて市場に現金を供給する金融緩和であった。中央銀行が保有する証券の量が膨らむので、量的緩和はバランスシート拡大とも言われた。

今回発表されたのはそれを逆回しにする「バランスシート縮小」である。つまり中央銀行が保有する債券の量を減らすことで市場から資金を吸い上げる量的引き締め政策なのである。

量的引き締めと株価暴落

量的引き締めが最後に行われたのは2017年の秋で、これは結局2018年終盤の世界同時株安を引き起こすまで続いた。2018年の株価暴落のチャートをもう一度掲載しておこう。


当時の株式市場は量的引き締めが開始されてから4ヶ月後の2018年1月末に一度下落し、そこから再上昇してから2018年終盤に大きく下落した。

だがこれから起こる今回2022年の暴落に比べれば当時の20%の下落などほとんど下落していないに等しいだろう。当時は結局Fedのパウエル議長が金融引き締めを撤回したから株価は戻ったのだが、今回は金融引き締めを撤回できない理由がある。インフレである。

インフレと金融引き締め

日本の3倍以上の規模で行われた現金給付と化石燃料の供給を無理に減らす脱炭素政策によって、アメリカのインフレ率は7.1%に達している。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%


経済の中に資金が多すぎ、脱炭素やコロナのお陰でものの供給は少なすぎるのである。物価高騰を抑制するためには資金を吸い上げなければならない。パウエル氏はまず今年3回の利上げを宣言し、そして今回量的引き締めを発表した。

前回の量的引き締めでは開始から4ヶ月で株価の下落が始まった。では今回の量的引き締めはいつから始まるのだろうか? 例の「バランスシート縮小の原則」には次のように書かれている。

バランスシートの縮小は政策金利を上げるプロセスが開始された後に始まると予想している。

上記のように利上げは3月に始まるから、量的引き締めは早ければ春には開始されるというシグナルをFedは送っているわけである。

金融引き締めと株価の今後

前回の量的引き締めがトランプ政権の強力な経済政策でかなり強かった市場経済を4ヶ月で屈服させ始めたことを考えれば、コロナで弱体化している今の経済では株価は今年の半ばまでも持たないということはほぼ間違いがないだろう。それが春の量的引き締め開始が意味することである。

また、パウエル議長は記者会見でかなり無責任なことを言っている。

バランスシート縮小の詳細は最大雇用と物価安定の目標に応じて決められることになる。

縮小の具体的なタイミングやペースやその他の詳細については何も決めていない。

実際には何も決めていないのではなく、決められないのである。

パウエル氏の心中

今回の会合はどちらかと言えばタカ派側に振れたと思う。そしてその理由を考えれば、金融引き締めが今後どのように決められるかが分かる。

パウエル氏は金融引き締めをずっと躊躇っていた。物価がどんどん高騰していたにもかかわらず、特に根拠もなく「インフレは一時的」だと言い張っていた。

ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ


だが物価高騰がアメリカで社会問題となり、バイデン大統領がインフレ抑制を要請して初めて金融引き締めに取り掛かり、そして今度は動揺する株式市場を無視して量的引き締めを行おうとしている。

このパウエル氏の変わり身をどう解釈すべきだろうか? 筆者が思い出したのは、ジム・ロジャーズ氏の以下のコメントである。

ジム・ロジャーズ氏: 金融市場でまだ安いのはコモディティだけ


長らく相場にいた結果、こういう人々の言うことには耳を貸しても仕方がないということを学んだ。彼らが気にしているのは自分の職を維持することで、あなたやわたしや子供たちのこと考えているわけではない。彼らは自分の職のことしか考えていない。

つまり、パウエル氏は人々が「インフレはまだ大丈夫」と思っている間から早期にインフレ対処のために金融引き締めを行い、市場を暴落させて自分の責任になることを嫌って緩和を続けていたが、人々がインフレを気にし始めたならば、金融引き締めを行なって株価が暴落しても「そうしなければインフレが酷くなった」との言い訳が成り立つ。

パウエル氏が自分の職と責任のことしか考えていないということは投資家にとって非常に重要である。筆者はこの推論から、今のパウエル氏は株価をある程度犠牲にしてもインフレが収まるまで金融引き締めを続けると予想している。

いや、ある程度どころか、仮に株価が暴落してもインフレが高止まりしていた場合、金融引き締めをそれでも継続するかもしれない。そうなれば、株式市場の下げ幅は2018年の20%ではなく、以前アメリカが物価高騰で金融引き締めを止められなかった1970年代の60%下落になりかねない。


ちなみにこの場合ドル円も下落するので、米国株を為替ヘッジなしで買っている日本の投資家は株安とドル安で本当に死ぬことになる。この点についてはここでは何度も警告してきたので、ここの読者にそういう人は流石にいないだろう。

今後の見通し

2022年前半の市場と経済はどうなるだろうか。Fedが3月に利上げをしてもインフレ率7.1%に対して政策金利0.25%である。インフレが止まるはずがない。

Fedのタカ派的なスタンスにもかかわらず、4月にかけてインフレはますます酷くなり、Fedが何もしなくても市場では金利が上がってゆき、株価にはかなりの重しになってゆくだろう。以下の記事で説明した通り、結局金利を決めているのは市場であってパウエル氏ではないのである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない


パウエル氏が何も気付かないとしても、4月頃には現在織り込まれているような4回程度の利上げ(つまり1%程度の政策金利)では7%のインフレは止まらないということに市場は気づき始めるだろう。そして金利は株式市場が耐えられる水準を越えて上がってゆく。中央銀行が何もしなくともそうなるだろう。

著名投資家の中には株価の天井はまだだと踏んでチキンレースを繰り広げている人々もいるが、筆者は今回の量的引き締め発表で株価は遅くとも今年半ばまでの命だということを確信した。

仮にここから株価が短期的に反発したとしても、それに乗ることは本当にお勧めできない。仮に株高基調に戻ったとしても数ヶ月の命だからである。

そもそも何故この状況で株高に賭けなければならないのだろうか? 以下の記事で書いた通り、この相場で儲ける方法ならいくらでもあるのである。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想
2022年のスタグフレーションに投資する方法


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19181

21. 中川隆[-14025] koaQ7Jey 2022年1月28日 18:45:44 : 6oimzvqJ1E : eWhINHdRc1pwYk0=[3] 報告
#384 MMTとリフレの違いは一言「パクリ」&私の名前が映画に?!
2022/01/28

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