★阿修羅♪ > 近代史5 > 1387.html
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ ★阿修羅♪
イギリスの先見性 _ 物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1387.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 12 月 19 日 22:15:01: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 結局どういう革命? イギリス産業革命 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 29 日 10:15:41)

イギリスの先見性 _ 物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行


物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行
2021年3月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763


コロナ禍による景気後退で先進国のほとんどは野放図に量的緩和と現金給付を行なっている。アメリカでは既に物価高騰の初期症状が出ているが、気に留めている政治家は見られない。一方でインフレの危険性に気付いてインフレ主義から逃げ出そうとしている国がある。イギリスである。

米国がインフレが2%を超えて推移しても直ちに金融引き締めはしないと主張していることは以下の記事で報じておいた。

パウエル議長、根拠不明の2%インフレ目標に固執、物価高騰は不可避


そしてアメリカでのインフレ懸念による金利高騰につられて金利が上がっているユーロ圏では、金利高騰を抑えようとECB(ヨーロッパ中央銀行)のパネッタ専務理事は債券買い入れの増額をほのめかしている。

パンデミック緊急買い入れプログラムの買い入れ枠すべて、あるいは必要ならばそれ以上の買い入れを行うことを躊躇するべきではない。

そんな中でひとり違う方向を見ている中央銀行がある。イングランド銀行である。

わが道を行くイギリス

日米欧がインフレを考慮せず緩和を続けるなか、イングランド銀行の主席エコノミストであるアンディ・ハルデーン氏は先月末の公演でインフレへの懸念を表明した。氏は公演のなかで次のように述べている。

フリードリヒ・フォン・ハイエクはかつてインフレ制御は虎の尾を掴もうとすることに似ていると言った。

ハルデーン氏が持ち出すのはここの読者にお馴染みの経済学者ハイエク氏である。財政出動を正当化したケインズ氏と論陣を張り合ったハイエク氏は、政府が財政出動にともなう利権を増やすために科学的根拠のないインフレ主義を隠れ蓑にしていると主張していた。

ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
世界最大のヘッジファンド運用者レイ・ダリオ氏の最近の主張もどうもハイエク氏の経済学を基盤にしているような論調であり、優れた論客は自然とハイエク経済学に集まるようである。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
20世紀最大の経済学者(ケインズ氏ではない)に敬意を払うハルデーン氏は、コロナ禍による景気刺激によってインフレの虎が覚醒しつつあると主張する。

過去12ヶ月における未曾有の出来事と政策による対応で、虎はいまや興奮状態にある。

特に世界的にコロナの新規感染者数が減り、しかもアメリカでも日本でも更なる財政出動が予定されている今、インフレ率はどうなってゆくだろうか。ハルデーン氏は次のように続ける。

これから需要が回復し、供給に制約があるとすれば、予想よりも鋭くかつ持続的な物価の上昇がイギリスに起こり、インフレ目標をオーバーシュートする可能性があると判断している。

世界の金融市場はこの可能性を織り込み始めている。期待インフレ率は米国で上昇しており、ユーロ圏でも米国ほどではないが上昇している。

ハルデーン氏は中央銀行家というよりはヘッジファンドマネージャーのように経済を見る人物である。これまでの記事を既読の読者もそう思ったのではないか。彼は金融市場の動きを理解している。

ドラッケンミラー氏が物価高騰を予想、米国債を空売り、コモディティを爆買い
ジム・ロジャーズ氏: 日本は買い、コモディティはほぼ全部上がる


イングランド銀行の先見性

Fed(連邦準備制度)や日銀が無視しているリスクをイングランド銀行は見つめている。個人的に面白く思うのはこのインフレゲームはイギリスが始めたものだという事実である。

中央銀行によるマネーゲームはイギリスによって発明された。イングランド銀行は世界初の中央銀行だからである。イングランド銀行が財政ファイナンスのために設立されたことは以下の記事で説明した通りである。

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
その後、中央銀行というシステムは政治家にとって便利だということが判明したため各国も追随した。

そして今、イギリスが始めたマネーゲームからイギリスだけが逃げ出そうとしている。非常にイギリスらしいことである。グローバリズムもいわば大英帝国によって広められたものではなかったか。そこから最初に逃げ出したのもイギリスであった。

国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力
イギリス人は危険を察知する嗅覚に長けている。中国主導のアジアインフラ投資銀行も欧州勢が参加を躊躇している中でまっさきに手を挙げ、欧州勢の出資を促して中国に恩を売ったかと思うと実際の資金はドイツに任せて自分の金はほとんど出さなかった。世界大戦でも元々中核に居たはずなのだがいつの間にか戦争は日本とドイツのせいだということになっていた。

そのイギリスがインフレ政策から手を引こうとしている。優れたファンドマネージャー並みのエコノミストを有していたことがイングランド銀行にとっての幸運だろう。そして筆者が懸念しているのが、最後まで沈みゆく船に乗り続けるのがまたもや日本になるのではないかということである。

第2次世界大戦でも西欧諸国が始めた植民地政策の後始末を何故か担当することになったのが引き際を理解しなかった日本とドイツである。世界大戦は日本とドイツの責任ということになっている。始めたのはスペイン、ポルトガル、イギリス、フランスである。

中央銀行というイギリスが始めたマネーゲームに最後まで乗っているのも恐らく日本になるだろう。中央銀行などそもそも必要ないのである。日本人がそれに気付く日はいつ来るだろうか。多分来ないだろう。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12763

イギリスがいち早く利上げ実行 早期インフレ撃退なるか
2021年12月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18194


世界的にインフレが大きな懸念となる中、各国の中央銀行は物価高騰を抑えるための金融引き締めを渋っている。アメリカはいまだ量的緩和を終了できておらず、ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁は金融緩和を続ける構えで「マダム・インフレーション」と揶揄されている。誰もみずから株価を下落させたくないのである。

そうした中で痛みを伴ってでも早く行動し早く傷口を塞ぐために利上げを開始した国がある。イギリスである。

イングランド銀行、予想外の利上げ

イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は12月16日、予告なしに政策金利を0.1%から0.25%へ利上げした。ベイリー総裁は中央銀行にとって事前にガイダンスを出すことは有害だと考えている中央銀行家だから、Fed(連邦準備制度)のように事前に予告しなかったことに驚きはないだろう。

イギリスの現在のインフレ率は5.1%(前年同月比、以下同じ)であり、莫大な現金給付を行なったアメリカの6%よりも多少ましである。グラフは最新月の分を含んでいないが次のようになっている。


それでもイングランド銀行は先に動いた。内部でいち早くインフレの危険性を指摘したのは以下の記事で報じたようにハルデーン氏だった。3月の時点でインフレの危険性を指摘できた中央銀行家が他に居ただろうか。

物価高騰を恐れない日米欧、インフレ政策から逃げ始めたイングランド銀行 (2021/3/4)
そして最終的にはベイリー総裁もそれに同意したということである。今回の利上げは8対1の多数によって支持されている。

開始された利上げ

イングランド銀行は今後、イギリスのインフレ率は冬のあいだ5%前後、春には6%まで上がると予想している。ちなみにこの予想は11月の予想に比べて上方修正を余儀なくされている。

しかしそれでもイングランド銀行は他よりも早く動いた。アメリカは量的緩和を3月頃までに終了、その後利上げを行うと考えられている。アメリカが金利を上げない間、つまりインフレ率が6%であるにもかかわらずゼロ金利をいまだに維持している間に、インフレは更に加速するだろう。

利上げは当然経済と株式市場にとってマイナスとなる。ただ、イギリスの株式市場は今のところ過剰反応はしていないようだ。


歴史的には、1回目の利上げですぐに株価暴落となることは少ない。以下の記事を参考にしてもらいたい。

世界的インフレで株価暴落が起きるのはいつか
マイナード氏: 利上げの初期には株を買え


しかしそれでもコロナで疲弊した現在の実体経済は何処の国も脆弱であり、株式市場もそれほど長くは耐えられないだろう。

結論

それでもイギリスはいち早く利上げを開始した。個人的にはこれが正しい選択だと思う。火は小さい内に消火するに限るからである。そうすれば消費者に及ぶ物価高騰の被害もアメリカやユーロ圏、そして日本よりも小さくなるだろう。

筆者はどの国が先にインフレに向き合うか興味を持って見ていたが、やはりイギリスだった。中東人をヨーロッパに甘言でおびき寄せて地中海で溺れさせる移民政策から一番最初に手を引いたのもイギリスだった。

国民投票でEU離脱を選んだイギリス人の凄まじい精神力
そしてもっと言えば、2度の世界大戦で2度とも勝っているのもイギリスなのである。それは偶然でもイギリスが軍事的に強かったためでもない。イギリス人は沈みゆく船を嗅ぎ分けることに関して天賦の才を持っている。インフレ政策は沈みゆく船だということである。

ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18194  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲上へ      ★阿修羅♪ > 近代史5掲示板 次へ  前へ

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
最新投稿・コメント全文リスト  コメント投稿はメルマガで即時配信  スレ建て依頼スレ

▲上へ      ★阿修羅♪ > 近代史5掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
近代史5掲示板  
次へ