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デフレとインフレは簡単に入れ替わる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1473.html
投稿者 中川隆 日時 2022 年 2 月 04 日 21:25:58: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 量的緩和はデフレの原因 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 23 日 12:37:06)

デフレとインフレは簡単に入れ替わる

好調な2021年第4四半期米国GDPはインフレと経済過熱に依存している
2022年2月4日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19492


2021年第4四半期(10月-12月)のアメリカGDP統計が発表されているのでそちらも解説しておこう。

GDP統計は数字だけ見て上がった下がったを考えてもあまり意味がない。中身を見なければアメリカ経済の実体は見えてこないのである。

好調だった第4四半期の数字

まずは全体の数字からである。今回の実質GDP成長率は5.5%(前年同期比、以下同じ)となり、前回の4.9%から加速した。

チャートは成長率ではなくGDPの数字自体のものだが、これを見ればかなりの好調であることが分かるだろう。


だが重要なのは中身である。内訳を見てゆこう。

コロナに左右される個人消費

まずは個人消費である。実質個人消費は7.1%の成長となり、前回の7.1%と同じ数字で横ばいである。


個人消費だけは四半期ごとではなく月次の数字があるので実情がよく分かる。10月、11月は好調なのだが12月はオミクロン株の蔓延で減速している。

筆者はこのチャートを見て、金融引き締めで先に衰えるのはインフレではなく消費だと確信した。覚えている読者も居るだろうが、同じく12月のインフレ率はコロナで鈍化したものの減速はしていなかった。

コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%
明らかに消費の方が物価よりも弱い。これは投資家にとって非常に重要である。金融引き締めが起これば、物価よりも先に実体経済が死ぬだろう。

マイナード氏: 中央銀行は株価暴落以外に利上げの行き過ぎを知る方法がない


高騰する投資の意味

次は投資で、今回これが一番重要なのではないか。

実質国内民間総投資は8.6%の成長となり、前回の7.1%から加速した。前年2020年との比較ではあまり差が出ていないが、チャートを見れば第4四半期の伸びは驚異的である。


これは勿論、供給不足を意味するインフレ(物価上昇)に対応するために企業が供給を増やそうとして、設備投資を行なっているのである。

つまり今回のGDP統計は消費も投資もインフレと不可分であることが分かる。物価が上昇する分だけ景気も向上すれば良いのだが、このままインフレが進むと厳しい金融引き締めが待っているということを忘れてはならない。

アメリカ、2018年の株価暴落を引き起こした量的引き締めを発表


そうなれば株価の暴落が実体経済にも悪影響を及ぼし、インフレが原因でデフレが発生するだろう。

思い出してほしいのだが、以下の記事で筆者は現在のアメリカの物価高騰がこれまでのデフレが転換したものだと説明した。

資本主義者ドラッケンミラー氏、アメリカの金融緩和終了を歓迎


そしてそれはインフレからデフレへの転換も起こり得るということである。これほど急に生産能力を増加させた後に金融引き締めによって株価が暴落し、デフレに逆戻りしたらどうなるだろうか? 過剰な生産能力が過剰な商品を生み、株安と供給過剰で酷いデフレが発生するだろう。

このようにデフレとインフレは簡単に入れ替わる。しかし変わらないのは、デフレでもインフレでも経済は酷い状態になるということである。ジェフリー・ガンドラック氏が去年から指摘していたではないか。

ガンドラック氏: インフレが後退するなら景気も後退 金価格高騰へ (2021/6/14)


これが緩和バブルの終わりである。これまで40年も政治家が緩和に依存して好き勝手に散財してきたツケは、それを支持した国民がどうしても払わなければならない。

存在感薄い政府支出

次は政府支出である。実質政府支出および総投資は0.0%の成長となり、前回の0.6%から減速してゼロ成長となっている。


チャートの通り頭打ちしている。バイデン氏が選挙で約束した公共投資が弾切れになったということである。

今年は11月に中間選挙があるため、それに向けてバイデン政権が何か新しい支出増加を約束するかもしれないが、これからのアメリカ経済の主役はやはり消費と投資だろう。そもそも11月まで株式市場が持つ可能性はかなり低い。

アメリカ、2018年の株価暴落を引き起こした量的引き締めを発表


貿易赤字が示すアメリカからの資金流出

さて、経済成長とは別の意味で深刻なのが輸出入である。今回の実質純輸出はマイナス幅が18.1%拡大し、前回の28.9%からは減少したものの、アメリカの貿易赤字は底なしのグラフとなっている。


何故これがまずいかと言えば、この貿易赤字のチャートがアメリカからの怒涛の資金流出を意味しているからであり、それはドル相場への下落圧力になるからである。

世界最大のヘッジファンド: ドルとユーロと円は暴落する
何故ドルがまだ下落していないのかということについてはガンドラック氏が説明している。ドル下落のタイミングについても書いているので、参考にしてもらいたい。

ガンドラック氏: ドルが下落しないのは向こう見ずな日欧の投資家がドル資産を為替ヘッジなしで買っているから


結論

このように、今回のアメリカGDP統計は物価高騰の影響を色濃く残したものとなっている。

纏めると、まずインフレが収まる前に消費が死ぬだろうこと、投資はインフレに反応して増えているが、株価暴落が起きるとデフレを悪化させること、そして貿易赤字増大によるドル暴落へのカウントダウンが進んでいるということである。

5.5%という数字だけ見れば絶好調に見えるのに、何と悲観的な結論だろうか。しかしいずれにしても、株価が暴落すれば実体経済も沈む。やはりここから先は株式市場がすべてを決めるのである。

2022年2月、株式市場は下落相場から反発したのか?


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19492  

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コメント
1. 中川隆[-13644] koaQ7Jey 2022年2月24日 10:57:13 : fCdzHcj1RA : eHVuQXh4bXYxNUE=[4] 報告
12月のアメリカの住宅価格は18.8%上昇、サブプライムバブルを大きく上回る
2022年2月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20231


これまでは逐次報じることはしていなかったが、インフレの世界で気にしなければならない経済データといえば住宅価格だろう。12月分のケース・シラー米国住宅価格指数が発表され、前年同月比で18.8%の上昇となった。

アメリカの住宅バブル

ほとんど20%に達している。それがどれくらいのインフレかを実感するために少し長めの期間でチャートを見てみよう。


これを見て気付く読者は気付くと思うのだが、リーマン・ショックを引き起こした2007年までの住宅バブル以上のバブルが今アメリカで起こっているのである。

現在の物価高騰全般の原因は現金給付と低金利だが、住宅価格については低金利の影響が大きいだろう。インフレを警戒して去年末に利上げを始めたイギリスと違い、アメリカではまだ利上げを行なっておらず、したがって7.5%のインフレが起こっている状況で政策金利はゼロである。

イギリスがいち早く利上げ実行 早期インフレ撃退なるか (2021/12/19)
一方で住宅市場に影響を与えるのは長期金利である。長期金利をもとに住宅ローン金利が決定され、住宅ローン金利が低ければ購入者がローンを組みやすくなる。

ローンを組むということは、お金を持っていなくとも住宅を買えるということである。しかしコストがかかる。コストとは住宅ローンの金利である。

だがこの金利がコストにならない場合がある。購入した住宅の価値が金利を上回るペースで上がる場合である。

現在、アメリカの住宅価格は年間18.8%のペースで上がっており、住宅だけでなく食料品やガソリン代なども上がってる中、アメリカ国民はこれからインフレになることを実感しつつある。

こうした住宅価格の高騰がこれからも続くならば、仮にローン金利が10%でも買った住宅の価値が年に18.8%上昇すれば元が取れてしまう。しかもローンとはお金を借りることだから、お金を持っていなくても買えてしまうのである。

ではローン金利の基盤となる長期金利が今どの水準かと言うと、次のような水準で推移している。


年間18.8%価格上昇するものを手に入れるためのコストは年間2%である。あるいは逆に住宅を買わずに賃貸で住み続ければ、家賃が18.8%上昇することになる。

アメリカに住んでいて住宅を買わない理由があるだろうか?

結論

一部の人はいまだに時間が経てばインフレが落ち着くと何の根拠もなく主張しているが、そんな訳がないということが分かってもらえたと思う。

インフレとは自然に悪化するものである。これからものの値段が上がるなら、先に買えるものは先に買っておこうとするだろう。食料品は難しいが、先に買ってそのまま持っておける現物資産といえばまず不動産である。

だからインフレが更なるインフレの原因になり、状況はどんどん悪化してゆく。

資本主義経済は金利上昇という自制機能を備えているが、金利がマクロ経済について何も知らない役人に操作されている間はインフレは悪化し続けるだろう。だからジェフリー・ガンドラック氏は政策金利を撤廃して市場に短期金利を決めさせろと言っているのである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
筆者は実際のところそれが将来起きると予想している。だが物価高騰が本当に1970年代のレベルに達するまでそれは起きないだろう。手遅れにならなければ何もしないのが役人と政治家だからである。彼らの存在意義は何なのだろうか。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20231

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