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相場にとって戦争は大した意味を持たない
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1517.html
投稿者 中川隆 日時 2022 年 3 月 03 日 02:18:14: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 株式投資の方法 投稿者 中川隆 日時 2020 年 12 月 12 日 10:52:08)

相場にとって戦争は大した意味を持たない


戦争で株価は下落するのか? 歴史上の株価チャートを振り返る
2022年3月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20648

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、金融市場が荒れている。世間ではこれはロシアのウクライナ侵攻が原因だと思われているが、そもそも戦争で株価は下落するのだろうか。

そこでこれまでの戦争とその時の株価チャートを振り返ってみたい。

現在の状況と一番近いのは2014年のロシアによるクリミア併合だが、この時の株式市場の値動きについては以下の記事で報じたのでそちらに譲りたい。

世界同時株安の原因はロシアとウクライナではない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20260

そこでまずはアメリカにとって近年最大の戦争であるアフガニスタン戦争を取り上げてみたい。

2001年アフガニスタン戦争

2001年のアフガニスタン戦争は9月11日にハイジャックされた旅客機が世界貿易センタービルに飛び込んだアメリカへの同時多発攻撃をきっかけに起こったアメリカとアフガニスタンの戦争である。

アメリカは同時多発攻撃の後、ターリバーンが率いていたアフガニスタン政府にアル・カイーダのビン・ラディン氏の引き渡しを要求した。アフガニスタンはビン・ラディン氏の関与の証拠を提出するようアメリカ政府に求めたが、アメリカはこれを拒否しアフガニスタンを攻撃した。

アフガニスタンに対する軍事作戦は10月7日に開始されている。当時の米国株のチャートは次のようになっている。


相場の大底は9月21日である。つまり、世界貿易センタービルへの同時多発攻撃が話題になって市場が荒れてから、実際に戦争が開始されるまでの間に相場は平穏を取り戻しているということになる。重要なのは、株価は反発しているということである。

ちなみにこの時株式市場は2000年のドットコムバブル崩壊後の下落相場の終盤にあり、チャートは全体として下げ相場になっている。

このアフガニスタン戦争は公式には2021年のバイデン大統領によるアフガン撤退でターリバーン政権がアフガニスタンに復帰する形で終了するという長い戦争となった。

圧倒的な戦力を誇るアメリカに対し、アフガニスタンは20年もゲリラ戦で抵抗し続けたのである。一方アメリカに据えられた親米の前アフガニスタン政権はターリバーンが攻めてくると数日で逃げ出した。彼らの目的はアメリカの補助金を貰うことであり、自国を守ることではなかったからである。

タリバンのアフガニスタン早期制圧に見るアメリカの帝国主義 (2021/8/17)
2003年イラク戦争

2003年のイラク戦争はアメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領がイラクが保有するとされた架空の「大量破壊兵器」を理由にイラクに攻め込んだ戦争である。

プーチン大統領の架空の「アメリカ口座」も含め、アメリカは創作活動を趣味としているらしい。

西側が制裁で海外資産を凍結したプーチン氏とラブロフ氏、海外口座を持っていない模様
さて、ブッシュ大統領はイラクに対して3月17日に最後通牒を行い、3月20日に戦闘が開始された。

当時の米国株は次のように推移している。


ちなみにこのタイミングは2000年のドットコムバブル崩壊の下落局面が終わり、2008年のリーマンショックまで続く上昇相場の始まりの局面である。

1965年ベトナム戦争

最後に更に古い戦争を振り返ってみよう。1965年に始まったベトナム戦争である。北ベトナムと南ベトナムをそれぞれ東側(ソ連と中国など)、西側(アメリカや韓国など)が支援した戦争で、実質的にはNATO対ロシアの戦争である現在のウクライナの状況と比べるにもふさわしい。

ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
ベトナム戦争は長い戦争だが、アメリカ軍は1965年3月8日に南ベトナムのダナンに空軍基地を築き、北ベトナムとの戦闘に備えてゆく。7月にはアメリカに次ぐ戦力を投入した韓国が参戦(戦争による特需、つまりおこぼれに釣られていた)、そして11月14日にアメリカと北ベトナムとの初交戦となり、その後10年も続くベトナム戦争が始まった。

だが米国株のチャートはそもそも戦争に反応したようには見えない。当時のチャートを掲載しよう。


1965年は5月に大きな下落がある。しかしこれは3月あたりから加速し始めたインフレを懸念したものであり、アメリカ経済は1970年代に物価高騰時代を迎えるが、そのインフレの初動がこの時期だったのである。

1969年の米国で6%のインフレを抑えるためにどれだけの利上げが必要だったか
つまり、やはりベトナム戦争においても株式市場にはほとんど影響しなかったということになる。

結論

よく考えれば分かることだが、戦争そのものは株式市場に大した影響を与えるものではない。むしろチャートを見て分かるように、経験的には戦争による短期的下落は買いである。これは金融関係者には常識である。

だから現在の米国株下落はウクライナ情勢とは一切関係がないし、もっと言えば当事者であるロシアの株価下落でさえも戦争状態そのものとは何の関係もない。

ロシア株の下落はSWIFTからの一部銀行の排除と金利が20%に引き上げられたことに由来しているが、この2つの要因が下落幅と釣り合っているのかということがロシア株を考える上でポイントとなる。

今暴落中のロシア株を買えない人は株式投資に向いていない
まずSWIFTはロシアの全銀行を対象としなければ抜け穴を埋めることが出来ない。ズベルバンクから国際送金が出来なければ、他の銀行でやれば良いからである。

これはロシアの原油や天然ガスの輸出に関しても言えることで、ロシアの資源が仮に欧米に売れなくなったとしても、代わりに中国が買い取ればロシア経済への影響は限られるだろう。しかもロシアの主要輸出品であるエネルギー資源の価格はウクライナ情勢のために高騰しており、この状況でロシア経済が消えてなくなること(それを現在のロシア株の価格は織り込んでいる)は有り得そうにない。

結局、SWIFTからの全排除が行われていないのは、ヨーロッパがロシアの天然ガスを買いたいからである。しかし奇妙なことに、金融市場はロシアがヨーロッパに天然ガスを売れなくなって破産すると織り込んでいるにもかかわらず、ヨーロッパが天然ガス不足で物価高騰に見舞われるとは織り込んでいない。

後者が織り込まれれば、ユーロの下落はこの程度では済まないはずである。ここでは筆者が前より空売りしているユーロスイスフランのチャートを掲載しよう。


しかし片方が起こって片方が起こらないというのは無理である。ロシア経済が死ぬというシナリオは、ヨーロッパが物価高騰に見舞われるというシナリオと分けることは出来ない。

だからこうした不合理は遠からず修正される。このような荒れた相場は、投資家にとっては不合理を見つけその修正に賭けるチャンスとなる。この他にも金融市場はいくつかの不合理を織り込んでいる。読者も各自見つけてもらいたい。

金融関係者は相場にとって戦争が大した意味を持たないことを経験と歴史から学んでいるが、一般にはあまり知られていないようなので説明してみたということである。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20648  

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コメント
1. 2022年3月03日 02:54:24 : duKCvj3ppk : bC9aVUVXSGZSbW8=[7] 報告
今暴落中のロシア株を買えない人は株式投資に向いていない
2022年3月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20534


ロシアによるウクライナ侵攻への対抗措置として、欧米諸国はロシアの主要銀行を国際決済システムであるSWIFTから排除する経済制裁を発表した。これを受けてロシア株は暴落している。そして株価が暴落していると聞けば、投資家として興味を示すのは当然である。株は安く買うものだからである。

ロシア株とルーブル暴落

まず暴落しているものの暴落の程度を確認しよう。何よりも先に暴落したのはロシアの通貨ルーブルである。ドルルーブルのチャート(上方向がドル高ルーブル安)は次のようになっている。


一時30%以上下落した計算になる。

このルーブルの暴落はロシアによるウクライナ侵攻の時点で始まっていたが、欧米諸国がロシアの主要銀行5行をSWIFTから排除した時点で更に加速した。

一方で株式市場はどうなっているだろうか。ロシアの株式市場は金融市場の混乱を受けて閉鎖された。だがロシア株がどの程度暴落しているかは確認することが出来、ニュースにも流れている。

何故か? アメリカに上場しているロシア株ETFは生きているからである。よってこの状況でのロシア株の値動きに興味を持っている金融関係者はそちらの値動きに注目している。例えばiShares MSCI Russia ETF (NYSEARCA:ERUS)である。


これは米国株なので価格はドル建てで、下落幅にはルーブルの暴落と株価の暴落の両方が含まれている。

さて、この状況の株価チャート見て、「危ない」「近寄りたくない」と思うか「買いのチャンスがあるのではないか」と思うかが、あなたが株式投資をすべきかどうかの試金石になる。どちらかが良いと言っているのではない。しかし前者の人々は少なくとも株には向いていない。他の投資対象を検討すべきである。

ロシア株の現状

その理由も含めて説明しよう。まずロシア株をとりまく状況はどうだろうか。ウクライナ情勢自体についてはここでも連日報じていたが、株式市場については米国株への影響を述べるに留めていた。

世界同時株安の原因はロシアとウクライナではない
ロシア株が下落しているのは知っていたが、これまでは言及してこなかった。暴落がまだ序盤だと考えていたからである。

しかしここに来て西洋諸国はロシアの主要銀行をSWIFTから排除し、ようやく少なくとも実効性を検討する余地のありそうな経済制裁に踏み切った。

「少なくとも実効性を検討する余地のありそうな」というのは、例えばアメリカはアメリカに銀行口座など持っているはずのないプーチン大統領の「アメリカの銀行口座」を凍結したと言って誇らしげにしているからである。

西側が制裁で海外資産を凍結したプーチン氏とラブロフ氏、海外口座を持っていない模様
政治家はこういう意味のない制裁表明でも自分たちが何かしているという印象を国民に与えられると信じている。つまり政治家は完全に国民を舐めているのであり、そして私見によればその評価はまったく正しい。多くの人がそのまま騙されているからである。

SWIFTからの排除

だがSWIFTからの排除は少なくとも一考の余地がある。一方で、奇妙なことに大手メディアではあまり報じられていないことだが、SWIFTから排除されたのはズベルバンクなどの主要5行だけであり、他の銀行は含まれていない。

にもかかわらず報道ではあたかもロシア全体を国際決済システムから追い出したかのような口ぶりである。大手メディアの報道を見ていては何も真実が見えて来ない。

だがSWIFTからたった5行を排除するだけでも特にEUは大いに躊躇った。決済が出来なくなることは貿易に支障が出るということであり、ロシア産の天然ガスに日常生活を大いに依存しているEUとしては自殺行為になりかねないからである。

それで妥協案として出されたのがこの限定的排除である。また、EU側はこの後もエネルギー資源に関する決済は可能だと主張している。何とも片手落ちな制裁である。

だが少なくとも為替相場には効いたようであり、多くのロシア国民が自国通貨暴落を恐れてルーブルを売ったこともあり、ルーブルは30%以上暴落した。


この状況を受けてルーブル防衛のためにロシアの中央銀行は政策金利を9.5%から20%に引き上げた。高金利にすれば金利を求めてルーブルを買おうとする人が増えるので、通貨暴落時にはよくやる手である。

しかし一方で高金利は株式市場にダメージを与えるので、今度は株式市場が大いに下落している。


ここまでが現状である。

いまは「最悪」の状態か

ロシアの主要銀行はSWIFTから閉め出され、20%の金利は株式市場を苦しめている。ロシア株には最悪の状態である。

この話を聞いて「ロシア株を買えそうだ」と思った人は投資の才能がある。何故ならば、最悪の状況とはすなわち底値のことだからである。

だから筆者は「最悪の状況」をずっと探していた。ロシアがウクライナに攻めた段階ではまだロシア株にとって最悪ではないと思った。

問いは常にこうである。「状況は更に悪くなるだろうか?」。状況が更に悪くなるならば、株価は更に下がるということである。状況が本当に「最悪」まで行き着いたならば、そこが底値である。

現状はどうだろうか? 厳密には完全な「最悪」ではないかもしれない。SWIFT制裁はまだ5行しか含まれていないので、強化することは理論上可能である。

だが存在しない「プーチン氏のアメリカ口座」凍結を制裁だと言い張る辺り、アメリカやEUは制裁の実効性よりも自国民を騙せるかどうかに興味を持っている。5行限定という事実を喧伝せずに「ロシア締め出し」を主張したのだから、追加のSWIFT制裁は彼らにとって逆効果になるか、やるとしてもこっそりやるだろう。

一方でロシア株の買い手が注意すべきはEUが身を切ってロシア産の原油や天然ガスの購入を止めるケースである。この場合EU内にエネルギー資源が足りなくなり、既に悪化しているEU内の物価高騰がかなり酷いことになる。

フランス、インフレ対策で現金給付へ
だが何事も安全側に考えるのが良い。プーチン氏とウクライナの交渉が纏まらなくなればEUが交渉カードとして使ってくる可能性はあると思っておいた方が良いだろう。つまり、ロシア株にはもう1段階の下げが有り得ることを前提とした買いを行う必要がある。

金利20%の功罪

では金利はどうだろうか? ロシアの政策金利は元々9.5%で、それが20%に上げられた。

そもそも何故政策金利が9.5%と高かったかと言えば、ロシア国内のインフレの影響である。ロシアの1月のインフレ率は8.7%であり、アメリカの7.5%よりやや高い。

1月の米国CPIは7.5%に加速、コロナが全力でインフレを支援
アメリカでは政策金利がまだゼロである一方でロシアは9.5%だったのだが、ルーブル暴落を受けてこれを20%に上げた。

当然ながらこれは株式市場には強烈な逆風だが、株価はその強烈な逆風を既に織り込んでいるから下がっているのではないのか。


ここで米国株のチャートと比べてみたい。


ロシア株は金利が既に20%まで引き上げられ、それを織り込んで株価は暴落している。

米国株はこれから利上げが行われ、しかも金融市場は現在のアメリカの物価高騰を抑制できる量の利上げをまだまだ全然織り込んでいない。

1969年の米国で6%のインフレを抑えるためにどれだけの利上げが必要だったか
つまりロシア株は、金利に関してだけ言うならば、アメリカが物価高騰に耐えられず大幅な利上げを強いられ、株価が暴落した後の状態に既に至っているということである。

言い換えればこれは利上げで暴落する前の株式が良いか、利上げで暴落した後の株式が良いかの問題なのである。この2つのチャートを見てどちらが良いと思うかは、あなたが株式投資をするべき人間かどうかを完全に物語っている。ついでに言っておくが米国株は完全にもう無理である。

アメリカ、2018年の株価暴落を引き起こした量的引き締めを発表
結論

金利に関して言えばロシア株は完全に買いである。だが制裁やウクライナの戦争状況は目まぐるしく、読めない要素も多い。上記に述べたように更なる制裁を覚悟しなければならない余地もある。米国上場のETFが今後の制裁に引っかかる可能性もゼロではなく、再開したロシア株現物に乗り換えればまた取引停止になるリスクもある。

だがSWIFTからの排除という伝家の宝刀を抜き、利上げも既に行なったことで、ロシア株は明らかに買いを考えて良い段階に来ている。少なくとも考えられるリスクを覚悟すれば、足を踏み入れるべきリスク・リワード比である。

買い方には色々あるだろう。ドルコスト平均法などはいつでも使える便利な買い方である。

だがこの記事で本当に言いたいのは、ロシア株を買うべきだということではない。強烈な金融引き締めが避けられない2022年の状況で暴落前の米国株を余裕で持っているのに、既に暴落したロシア株を見て「危ない」「買えない」と思う人は株に手を出してはいけないということである。

「株価が高いから買いたい」と思う人間が株式投資で成功することは絶対にない。その人が米国株や日本株に手を出したタイミングはほぼ間違いなく間違っている。そういう人は債券か現金か何か別のものを考えるべきだろう。

2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18367

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20534

2. 中川隆[-13599] koaQ7Jey 2022年3月04日 03:28:53 : Gs6Zlr43fk : N3BUTVh1S042QVU=[3] 報告
パウエル議長、ウクライナ危機でも3月の利上げ方針を改めて表明
2022年3月3日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20733


アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)のパウエル議長は3月2日の議会証言で、ウクライナ情勢に懸念を示したものの、今月のFOMC会合における利上げ方針を改めて表明した。当たり前だが、ロシアのウクライナ侵攻でも利上げと量的引き締めはするということである。

ウクライナは株式市場に影響与えず

ウクライナ情勢を受け、アメリカや日本の株式市場は多少動揺している。米国株のチャートは次のように推移している。


だが最初に述べたように、ロシアのウクライナ侵攻が米国株に与える影響はほとんどなく、下げ幅も限定的となっている。

世界同時株安の原因はロシアとウクライナではない
結局2022年の株式市場を決めるのはアメリカの物価高騰とそれに伴う中央銀行の金融引き締めだということである。

パウエル議長の議会証言

そうした最中、パウエル議長は議会証言を行なった。Fedのメンバーの何人かはウクライナ情勢の中で今後の利上げについて語っていたが、ロシアによる侵攻後にパウエル議長本人が公の場で話したのは初めてで、その内容が市場に注目されていた。

ウクライナ情勢で利上げの手が緩まるのではないかという意見が一部で言われていた。経済学者のラリー・サマーズ氏はウクライナ情勢による原油高に注目し、インフレはウクライナの一時的影響として中央銀行が利上げを控える可能性を指摘していた。

サマーズ氏: ウクライナ問題で 「インフレは一時的」が「インフレは原油のせい」に進化する可能性
パウエル氏はどう発言しただろうか? 結果はと言えば、ウクライナ問題にかかわらず利上げ続行である。パウエル氏は次のように述べている。

インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場が強い現状では、今月の会合で政策金利を上げることが適切であると考えている。

これだけを見ればサマーズ氏の懸念は杞憂だったように見える。だが金融市場ではここ数日で利上げ観測の減退が見られる。

そもそも金融市場では今月の会合で2回分(0.50%)の利上げが一気に行われる可能性をある程度織り込んでいたのだが、ウクライナ情勢を受けて現在は1回分(0.25%)の利上げの確率が99.3%という織り込みとなり、市場が利上げ予想を減退させたことが分かる。

また、今後2年の利上げ幅を織り込んで推移する2年物国債の金利はこれまで止まることのない上昇トレンドを描いていたが、ウクライナ情勢を受けて一時大きな後退をしている。


現状では元の高値に戻りつつあるが、2年物国債の金利がこれまで見られなかった動きを見せたのは注目に値する。

量的引き締めも実行

また、Fedは量的緩和で拡大したバランスシートを逆に縮小する量的引き締めを開始するプランを1月に発表していた。この量的引き締めは2018年に株式市場を暴落させ、パウエル議長は当時撤回を余儀なくされている。しかし今回は物価高騰が差し迫っているため撤回出来ない。

アメリカ、2018年の株価暴落を引き起こした量的引き締めを発表
ウクライナ情勢を受けて量的引き締めにも影響があるかどうかが注目されていたが、パウエル氏は今回の議会証言で次のように再確認している。

緩和政策を取り除くプロセスでは、政策金利の上昇とバランスシートの縮小の両方が行われる。

量的引き締め開始の時期については「利上げプロセスが開始された後」という従来の発表を踏襲しており、いつなのかが不明確である。ただ、サンフランシスコ連銀総裁のデイリー氏がバランスシート縮小は段階的で予測可能なやり方で行われるとしているので、開始前にはもう1段アナウンスがあるのだろう。

結論

やはりウクライナ情勢は株式市場には影響はないし、金融政策に影響を与えることはない。ただ、今月の利上げは0.25%になりそうである。

しかしそれも結局、株式市場が下がったからであり、ある程度持ち直した今は2年物の金利も持ち直している。利上げのペースについては戦争ではなく株式市場がそれに耐えられるかどうかによる。

以下の記事で見たように、戦争に対する株式市場の反応は、その時の市場がもともと上げ相場だったか下げ相場だったかに大きく左右され、反応する時もあればしない時もある。つまり、短期的な値動きを見れば一見戦争に反応したように見えても、戦争を口実に元々のトレンドが顕在化しているだけなのである。

戦争で株価は下落するのか? 歴史上の株価チャートを振り返る
こうして結局、2022年の相場は「株価はこれからの強烈な金融引き締めに耐えられるのか」という元々のテーマに戻ってくることになる。

そして繰り返しになるが、結論は次のようになる。今の7.5%のインフレを抑えるのに十分な引き締めの量は、2018年に市場を暴落させた引き締めの規模を軽く上回ってしまう。

1969年の米国で6%のインフレを抑えるためにどれだけの利上げが必要だったか
一方で十分な引き締めを行わず、インフレ率が7.5%である状況で金利を1%だか2%だかに保ち続ければ、アメリカのインフレ率は今年中に2桁になってゆくだろう。その場合ドル暴落は避けられない。

だから米国株は(特にドルの値下げを考慮しなければならない日本の投資家にとっては)既に詰んでいるのである。

これは年始の株価下落前から言い続けていることで、この意見を変える理由は何も存在していないし、今後現れることもないだろう。この状況で利益を出すトレードについては以下の2つの記事で説明しているので、そちらを参考にしてもらいたい。

2022年のスタグフレーションに投資する方法
急速にスタグフレーションを織り込む金融市場


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20733

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