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安倍政権下で進行していた「日銀の異次元緩和」の“手仕舞い”…再び急膨張する日銀資産
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/312.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 9 月 11 日 06:33:41: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 日本が米国債を買いまくった為に、1ドルが70円以下になると日本の対外純資産はマイナスになり、日本の資産はすべて外資に乗っ取… 投稿者 中川隆 日時 2020 年 6 月 08 日 14:42:53)

安倍政権下で進行していた「日銀の異次元緩和」の“手仕舞い”…再び急膨張する日銀資産(Business Journal)
http://www.asyura2.com/20/hasan134/msg/663.html

2020.09.09 05:55 文=小黒一正/法政大学教授 Business Journal


日本銀行(「Wikipedia」より)

 第2次安倍政権は、7年8カ月という歴代最長になりその幕を閉じたが、アベノミクスの功罪とは何か。その功罪に対する評価や総括はこれから行われることになろうが、異次元緩和(量的・質的金融緩和)の象徴であった日銀のバランスシートの現状については、あまり広く認識されていない。このため、今回のコラムでは、日銀のバランスシートの現状を取り上げながら、今後の財政・金融政策の課題を述べることにしたい。

 まず、日銀のバランスシートの現状だが、2013年4月から日銀は異次元緩和をスタートした。開始当初は成功したように見えたが、長期国債を年間ネットで大量に購入しているにもかかわらず,マネーストックは想定よりも伸びず、2016年頃には、数年以内での物価2%目標の達成も絶望的となった。また、日銀が購入する長期国債のボリュームが大き過ぎることから、その頃には国債市場で取引する国債が枯渇する懸念が指摘され始め、マネタリーベース目標の限界が明らかとなった。

 このような状況の中、日銀は2016年1月にマイナス金利政策を導入したが、それも早々に副作用に対する懸念が高まり、同年9月下旬、量から金利を柱とする新たな金融政策の枠組み(長短金利操作付き量的・質的金融緩和)を導入し、実質的に「異次元緩和」の転換を図った。それ以降、日銀は、「こっそり」と異次元緩和の手仕舞いを進めていた。

 それは、図表から読み取れる。図表は、2010年から2020年における日銀のバランスシートの資産規模やその増加幅などの推移を示したものである。異次元緩和スタート前の2012年では、日銀のバランスシートは年間で8.5兆円しか膨張していなかったが、異次元緩和スタート後の2013年では年間で55.7兆円も膨張している。その後、日銀バランスシートの膨張は加速していき、ピークとなったのは政策転換を行った2016年で、その時のバランスシートは91.5兆円も膨張している。

 しかしながら、政策転換を行った直後の2017年のバランスシートの膨張は58.6兆円になり、2019年は21.8兆円にまで縮小していた。これは、「こっそり」と異次元緩和の手仕舞いを進めていたことを意味する。

 この結果、日銀のバランスシートの膨張は緩やかになりつつあった。実際、日銀のバランスシートは、資産(対GDP)で2013年の30.3%から、2018年には100.5%に急膨張したものの、2019年は103.6%であり、このまま、異次元緩和の手仕舞いを進めていけば、日銀のバランスシートは対GDP比で安定化できる可能性があった。これはデータから読み取れる確かな事実であり、日銀内部でも、対GDPの資産規模を概ね100%で収束させることができると考えていたのではないか。

■新型コロナによる頓挫

 ところが、今年(2020年)2月から、新型コロナウイルスの感染拡大が日本や世界を襲った。2020年度の国の一般会計における当初予算は約102.6兆円であったが、緊急経済対策の第1次補正予算・第2次補正予算と合わせ、歳出合計は約60兆円増の約160兆円となった。このため、政府は大量の国債を発行することになったが、このような状況でも、国債発行の市中消化が可能なのは、第1次補正予算編成のとき、日銀が国債の買い入れをする「年間約80兆円」の保有残高増の目途を撤廃したからである。

 だが、この結果として、日銀のバランスシートは再び急膨張をしつつある。その象徴が、図表における2020年の110.2兆円だ。この値は、日銀のバランスシートにおける資産が、2019年から2020年の1年間で増加した規模を表すが、異次元緩和のピーク時(2016年)の91.5兆円よりも大きい値である。

 日銀が「こっそり」と異次元緩和の手仕舞いを進める戦略が、新型コロナウイルスの感染拡大によって早くも頓挫しつつあることを意味する。

 では、今後の財政・金融政策の課題は何か。まず一つは、新型コロナウイルスの感染拡大を早期に収束させる戦略の立案である。この問題の「出口」とは、「医療」か「経済」かの二項対立ではない。感染症対策の基本は検査と隔離であり、徹底した検査により、経済を回しながら、人々が安心して社会・経済活動を送れるようにする「医療も経済も守る出口戦略」である。その鍵を握るのが検査の拡充である。イギリスでは定期的な検査体制の構築を進めており、日本でも早急に検討すべき課題だ。

 もう一つは、新型コロナウイルスの感染拡大が収束した後に行うべき財政・社会保障の改革プランの策定である。いま長期金利が低位の水準に抑制できているのは、日銀が大量に長期国債を購入しているためだが、日銀がバランスシートを縮小すると、長期金利に上昇圧力がかかり、政府債務の利払い費の増加を通じて財政を直撃してしまう。この問題の回避には、財政・社会保障の改革を進め、財政赤字の拡大を抑制する必要がある。

 団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年以降、医療・介護費を中心に社会保障費が増加し、財政赤字に拡大圧力がかかる。新型コロナウイルスの感染拡大が経済を直撃している今、財政・社会保障の改革を行うのは難しいが、その準備は進めておく必要がある。

(文=小黒一正/法政大学教授)  

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コメント
1. 中川隆[-11400] koaQ7Jey 2020年9月11日 06:40:58 : GFANGIOfgs : V3hmTDR2RFFmREU=[6] 報告

日銀の貸借対照表
営業毎旬報告(令和2年3月10日現在)
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2020/ac200310.htm/

ドルは既に紙くずになっている
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10645

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10616

東京金(ゴールド)の上場以来の約38年間のロングチャート
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/commodity/lineup/gold/long_chart.html

【日本のマネタリーベース、マネーストック(左軸、兆円)、貨幣乗数(右軸、倍)】
http://mtdata.jp/data_71.html#MBMS

日経平均を金(ゴールド)グラム当たりに換算したグラフ
https://golden-tamatama.com/blog-entry-biggest-decline-gdp.html

2. 2020年9月11日 06:43:57 : GFANGIOfgs : V3hmTDR2RFFmREU=[7] 報告
日銀の貸借対照表
営業毎旬報告(8月31日現在) : 日本銀行 Bank of Japan
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2020/ac200831.htm/
3. 2020年12月18日 10:20:43 : aydw93LnQ2 : SjI2Q0VEbEJJTXc=[8] 報告
40兆円の日銀ETF、「個人に直接譲渡」案が急浮上
香港では事例あり、日本で実施するリスクは?
森岡 英樹 : 経済ジャーナリスト 2020/12/18
https://toyokeizai.net/articles/-/397007


巨額のETFを保有する日銀。黒田東彦総裁はどんな出口戦略を描いているのか(写真:風間仁一郎)

「はたして出口はあるのだろうか」

日本銀行内部で頭の痛い問題になっているのが、2010年12月の金融緩和以降、営々と買い続けてきたETF(上場投資信託)の出口戦略だ。「ETF買い入れは、主要中央銀行では日銀しか行っていない奇策。それだけに出口戦略も難題と言わざるをえない」(市場関係者)。

日銀が11月26日に発表した2020年4〜9月期決算によると、保有するETFは9月末時点(時価ベース)で40兆4733億円まで膨張している。20年3月末の31兆2203億円から約30%増加した格好だ。

GPIFを抜いて日本最大の株主になった日銀
「株高により含み益が前年度末の3081億円から半年間で5兆8469億円へ大幅に増加したことが大きく寄与した」(機関投資家)とされる。結果、最終損益に当たる当期剰余金は9288億円と、過去最高の水準を記録した。

日銀の足元の保有株式残高は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を抜き、いまや日本最大の株主だ。

「3月末時点ではGPIFの国内株式の保有残高は、日銀を約1兆円上回っていたが、GPIFは株式の持ち分が基本ポートフォリオの資産配分の上限を超えたことから10月以降、残高を落とす一方、日銀は買い入れを継続していることから時価ベースの残高は逆転している」(機関投資家)とされる。日銀のETF保有残高は東証1部時価総額の7%程度まで膨らんでいると見られている。

コロナ禍にもかかわらず株価が上昇を続けており、日経平均株価はバブル崩壊後、29年ぶりの最高値を更新した。日本最大の株主となった日銀は、自作自演の「官製相場」を演出し、その恩恵を最も受けているわけだ。

しかし、この「官製相場」は一度舞台に上がると降りるに降りられない、「ネバーエンディングストーリー」になりかねない危うさを秘めている。

2013年春に黒田東彦氏が日銀総裁に就いて、間髪を入れずに断行した量的・質的緩和、いわゆる異次元緩和は、バズーカ砲に例えられたように、デフレにあえぐ日本経済を下支えする効果は絶大だった。

消費者物価指数(CPI)はお世辞にも目標とされた2%には到達できていないが、マネタリーベースの拡大および長期国債、ETFなどの買い取りは市場に安心感を醸成した。

とりわけ株式市場は円安効果も手伝い、大きく上げに転じた。異次元緩和を契機に株式市場はリスクオフからリスクオンに転換したように思える。「買い本尊として日銀が控えていることは何よりの安心材料」(市場関係者)というわけだ。

時間とともに大きくなった副作用
しかし、時間の経過とともに異次元緩和の効果が薄れる中、日銀は順次追加の緩和策に踏み込んだ。マイナス金利の導入はその代表だ。よりカンフル剤的な施策に踏み込むにつれ、副作用も大きくなっていった。金融機関の収益圧迫はその象徴的な事象だ。そこにコロナ禍が追い討ちをかけた。

日銀は今年3月、3年半ぶりに追加緩和に踏み切った。直前にFRB(連邦準備制度理事会)が緊急の追加利下げに踏み切り、政策金利をゼロ%にすることを決めたことを受けた措置でもあったが、柱は以下のとおりだ。

@ 年間6兆円をメドに買い上げているETF(上場投資信託)を2倍の12兆円に増やす。
A REIT(不動産投資信託)の買い入れ額を年間900億円から2倍の年間1800億円に増額する。
B 企業への直接的な資金繰り対策として社債やCP(コマーシャルペーパー)の購入について、9月末までに2兆円増す。
C 民間金融機関が融資を増やすよう資金供給の枠組み(8兆円規模)を創設し、9月末までゼロ%で貸し出す。

コロナ禍を受けて日銀がETFの買い入れを増額するなど、追加緩和策に踏み出したことで、これまでマグマのようにたまり続けてきたある疑念が頭をもたげた。日銀のバランスシート悪化への懸念だ。

日銀の買い入れたETFはこの時点で30兆円を超えており、「日経平均株価が1万9500円を割り込むと含み損になる」と黒田総裁が参議院の予算委員会で発言したことも不安をあおった。

株価も下落基調で、このままで推移すれば、いずれ日銀は一般企業でいう総資産を自己資本等(資本金、引当金勘定、準備金)で割った自己資本比率がマイナスに転じ、債務超過に陥るのではないかと危惧された。

もちろん、日銀は日銀券を発行する発券銀行であり、自己資本を銀行券で割った自己資本比率は8%超を維持している。いずれにしても、こうしたリスクを冒してでも日銀が追加緩和に踏み込まざるをえないところに新型コロナウイルスの影響の深刻さが見て取れる。


さいわい、日銀をはじめとする主要国中央銀行の一斉金融緩和が効を奏し、コロナ禍にもかかわらず、金融システムは揺らぐことなく、株式市場はむしろ暴騰している。根底にあるのは、中央銀行が市中にばら撒いた過剰なマネーにほかならない。

しかし、追加緩和の副作用は日銀そのものに逆流し始めている。

3月の追加緩和に伴い日銀の資産残高は9月末で、前年同期比21.1%増の690兆0269億円に膨らんだ。内訳は国債が前年同期比10.5%増の529兆9563億円、J−REIT(不動産投資信託)が同19.9%増の6420億円、そしてETFが同24.5%増の34兆1861億円などだ。いずれの保有残高も過去最高額となっている。

残高が増えるにつれ、その出口戦略は難しくなる。「最大の保有者である日銀が売りに出れば、それだけで価格が下落し、日銀は損失を抱えるというジレンマに直面する」(市場関係者)ためだ。

とくに株式は国債のように満期まで持ち切るという対応ができない。どこかの局面で売る行為が必要になる。いったい、どうするのか。まさに日銀が頭を抱えるゆえんだ。

ETFの買い入れ決めた元幹部が戦略提案
そこで浮上している案の1つにETFを個人に直接譲渡して保有してもらうという構想がある。提案しているのは、元日銀理事で、日銀のETF買い入れ政策を決めた当時の企画局長、櫛田誠希氏(現・日本証券金融社長)だ。

個人の購入希望者を募って、日銀が保有するETFを譲渡するという案で、「一定期間、相応のインセンティブ付与を前提に売却制限を付して譲渡する」ことなどが考えられている。

つまり、ETFを割引価格で個人に譲渡する。譲渡後は一定期間保有を義務付けるというスキームである。日銀が保有するETFは株価上昇で含み益があり、相応の割引価格でも日銀に損失は生じない。かつ、売却制限を課すことで市場インパクトを減殺できるというわけだ。

同時に、この個人への譲渡案は、「貯蓄から投資(資産形成)」を推し進める金融庁にとっても渡りに船となる。「預貯金を中心に積み上がる個人金融資産を投資に振り向けたい金融庁にとって、日銀のETFを個人に割引譲渡することはまさに一石二鳥の妙案といえる」(市場関係者)。

実は1990年代後半のアジア通貨危機時に、香港政府が市場から株式を買い上げ、その出口戦略として買い上げた株式でETFを組成し、価格を割り引いて個人に譲渡したことがある。この施策はその後の個人投資家の育成に資することになったと評価されている。

だが、はたして同様のことが日銀でも可能なのか。日銀のETF保有額は香港の事例と比べようもないほど巨額であり、「割引価格で譲渡しても、その後の株価下落で個人投資家が損失を被るリスクは消えない」(市場関係者)ことは確かだ。日銀の悩みは深い。

4. 中川隆[-8571] koaQ7Jey 2021年1月05日 14:47:35 : KoPkAW14ZU : NHlneEhGcUs5OFk=[12] 報告
日銀資産の増加額、最大の129兆円 20年12月時点
2021年1月5日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF051MA0V00C21A1000000


新型コロナウイルス対応による資金供給で日銀の資産が膨らんだ

新型コロナウイルス対応による資金供給で日銀の資産が膨らんでいる。日銀の5日の発表によると2020年12月末時点で702兆円で、1年前に比べ129兆円増えた。データを開示する1998年以降で最大の増加額だ。増加率は23%で4年ぶりの高さだった。

日銀の資産のうち、最も伸び率が高かったのが銀行などへの貸出金だ。2020年末時点で111兆円と2.3倍に増えた。

日銀は新型コロナ対応で企業の資金繰り支援を最重要課題に据えた。20年3月にゼロ金利で民間銀行に貸し出しの原資を供給する制度を導入。20年4月以降は各金融機関の利用実績に応じて日銀に持つ当座預金の残高に0.1%の金利をつけるよう制度を拡充し、日銀の貸出金は急増した。

資金繰り支援ではコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い入れ枠も大幅に拡大し、日銀の持つCPと社債は約2倍に増えた。こうした支援が奏功し、企業の資金繰りは依然として厳しいものの、倒産や失業者の急増は抑えられている。

資金繰り支援とならぶコロナ対応として日銀は金融市場の安定を掲げる。コロナ禍で上場投資信託(ETF)を年12兆円まで買い入れできるようにした結果、日銀の持つETFは前年比25%増の35兆円(簿価)となった。20年の買い入れ額は約7兆円で過去最高だ。日銀の買い入れ効果もあり、日経平均株価は20年末に約30年ぶりの高値をつけた。日銀の保有するETFは時価で45兆円を超えているもようで、最大の日本株保有者になっている。

主な資産である国債の残高も増えた。535兆円で11%増だ。特に償還まで1年以下の短期国債は41兆円と4.4倍に急増した。政府が新型コロナ対応で補正予算を組むため、短期国債を大量発行して日銀がこれを吸収した形だ。

5. 中川隆[-6704] koaQ7Jey 2021年3月09日 10:30:51 : jYfMRWGpzc : dG5QRVRuR3NmRWs=[62] 報告

日本政府が破産する瞬間、大逆転が起きる
外国政府と日本政府の決定的違いとは
2018.10.14 塚崎 公義
https://limo.media/articles/-/7994


日本政府は破産しない。破産の1秒前に大逆転が起こるからだ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は説きます。

*****

筆者は、日本政府は破産しないと考えています。しかし、世界中の投資家が日本政府は破産すると考えて日本国債の売り注文を出したら、どうなるのでしょうか。日本政府は破産するのでしょうか。その瞬間に何が起きるのか、考えてみました。


国債の価格が暴落し、ドルが暴騰する

日本政府が破産すると考えた投資家は、日本国債の売り注文を出すはずです。彼らが売るものは、今ひとつあります。日本政府の子会社が発行している「日本銀行券」という紙切れです。彼らは、日本銀行券をドルに替えようとして、ドルの買い注文を出すでしょう。

金融の怖いところは、皆が倒産すると思った借り手は、皆が融資を引き揚げるので本当に倒産する、というところです。健全な銀行が取り付け騒ぎで倒産することもあるわけですから。

したがって、ひとたび売り注文が増え始めると、売りが売りを呼んで暴落が止まらなくなる可能性があります。売り一色で取引が成立しないかもしれません。


それを予想した投機家たちは、日本国債や円をカラ売りするかもしれません。先物を売却するかもしれません。売り注文の額は、発行済み国債の残高を上回るかもしれないわけです。

そんな時に、最後の買い手として登場するのが、政府と日銀です。

政府は外貨準備のドルを売って円を買い支える
政府は、1兆ドルを超える外貨準備を持っています。これを用いて暴落している円を買い支えるとします。1ドル300円くらいで取引が成立したとしましょう。市場に巨額のドルが供給され、市場から巨額の円が回収されます。


日銀は、市場から回収された分だけ市場に資金供給をしなければなりませんから、暴落した国債を大量に購入するはずです。国債の価格は額面の3割程度で取引が成立したとしましょう。

冷静になった時に、見えてきた勝者は?
夕方になって市場が閉まり、人々は酷かった1日を振り返るでしょう。国債を持っていた投資家は、額面の3割で投げ売りしたので、大損でした。

さらに悲惨なのは、外国人投資家でしょう。彼らは来日した時に10ドルを1000円に替えて額面1000円の国債を買ったはずです。それが、国債を300円で売り、それを1ドルに替えて本国に逃げ帰ったのです。

喜んでいたのは、国債と円をカラ売りしている投機家だけであったはずです。

「最も悲惨なのは、破産した日本政府だった」と読者は考えるかも知れません。しかし、そういうわけではありません。

日本政府は、1ドル100円で買って持っていた外貨準備のドルを300円で売却し、日銀は額面1000円の国債を300円で購入したわけです。しかも巨額に。

政府と日銀の連結決算で見ると、100兆円で買ったドルを300兆円で売り、その300兆円で額面1000兆円の国債を購入しているわけです。冷静に見ると、日本政府の借金はすべて綺麗に消滅しているのです。

本当に真っ青なのは、日本国債をカラ売りしている投機家でしょう。買い戻す義務があるのに、買い戻せる日本国債はすべて日銀が持っているのですから。


政府・日銀は、儲けた900兆円の一部を銀行に出資

投資は自己責任ですから、投資家が損をしても政府が救済する必要はありません。ただ、何事にも例外はあります。銀行が巨額の損失を出して倒産されると困るのです。倒産しないまでも、自己資本不足に陥って自己資本比率規制を守るために貸し渋りを始めても困ります。

そこで、政府は銀行に無議決権優先株を発行させ、それを買い取ることで、銀行の自己資本を充実させるはずです。銀行が将来儲かったら、優先株を買い戻す、という条件にしておけば良いでしょう。それにより、銀行の倒産や貸し渋りが防げて、金融市場の混乱が実体経済に波及することが防げるわけです。

政府が破産しなかったのは、負債が円建てだったから

過去、政府が借金を返済できずに破産(事実上の破産を含む)したケースでは、ドルを借りていた場合がほとんどです。政府が外国からドルを借りていると、外国から一斉に返済を要請された時に大変困ったことが起こります。

最初の1ドルを返済することは容易でも、そのためにドルを買うのでドルが値上がりし、2ドル目の返済は1ドル目の返済より厳しくなるのです。返済用のドルを買うたびにドルが値上がりしていくと、最後の1ドルを返済するために必要な自国通貨が巨額になり、倒産してしまう、ということが起きかねないわけです。

しかも、外国の貸し手はそれを知っていますから、政府が破産するかもしれないという噂を耳にした途端、他の貸し手が回収し始めるよりも先に回収しようとします。したがって、外貨を借りていると、危険なわけです。

外貨を借りている政府は、「危ない」という噂が立つと、実際に返済要請が来て本当に危なくなる可能性があります。一方で、自国通貨を借りている政府は、本稿が示すように、「危ない」という噂が広まれば広まるほど債務が減るのです(笑)。

外貨を借りている政府と自国通貨を借りている政府では、このように決定的な差があるので、「過去に倒産した外国政府よりも、日本政府の債務負担は重い(債務残高のGDP比が大きい)から、日本政府も破産するだろう」といったことにはならないのです。

本稿は以上です。なお、本稿は拙著『日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由』の内容の一部をご紹介したものです。

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