今度誕生するのは「貧相総理」だ〜〜

この人は日本を暗〜い警察国家にするような気がする。

一言でいえば「悪相腐敗総理」。
森達也監督の渾身作「新聞記者――ドキュメンタリー版」をご覧になった方は、望月記者に答えるときの菅の、悪鬼よりもおぞましく底意地の悪い形相をおぼえていらっしゃるのではないか。
「当たらないと思いますよ」「個別の事案には答えられない」…まともに答える気のないスガとグルになった司会者の態度は、独裁国家の悪臭がプンプン匂ってくるものだった。

たとえば、文科省次官をされた前川氏のことをおぼえていらっしゃる方も多いと思う。
教育行政のトップでいらした前川氏がいわゆる「出会い系」バーを訪れた――そのことに対する普通の知性以上の人の反応は、教育のトップがそこに現代の教育問題の最重要課題があることを感じとって、その関心のもと実際に足を運ばれたのだろう――そう思うのがまっとうな推論だ。
トップ官僚でいらした超多忙な日々の中、お忍びで現場に足を運ばれるのは大変なことだったろう。
わたしは前川さんのこの行為は、公務員の方がなされたことの中でも最も美しい行為だと考えている。例えばプルターク英雄伝の優れた筆者なら「神々は、この地上でこれほどに美しい行為を見たことがなかった」と記したことだろう。

教育に命がけで取り組んでいらした前川氏は、文科省の幹部時代の休日にも手弁当ではるばる九州に行かれて小さな村の学校の集会に参加されたりしていたと聞く。小生は元東大総長はじめ日本を代表する大学教授の方々と仕事をしてきた編集者だが、世界のトップの学者の多くが非常に強い探究心・好奇心を持っていることをつぶさに見てきた。前川氏が出会い系に足を運ばれたのも、貧困問題への真剣な問題意識からでしかありえない……そうすぐに想像した。実際に前川氏は、そこで知り合った人に正業に就くアドヴァイスをしてやり、その人に生きがいのある人生を回復してあげたことなど、当時の「週刊文春」で報道された通りである。

ところが読売の汚らわしい記者たちはスキャンダル風に報じた。しかも新聞の一面で。これは知性ゼロの人間どもが作っているゴミ新聞である証拠と考えている。また、それを「そんなところに出入りして…」と記者クラブでさもいやらしげに発表したスガは、最低レヴェルの下劣さを持つその一面を天下にさらした、そう考えられまいか。インテリジェンスとはまったく縁のない者たちには、前川氏のような優れた方のすることをゲスの眼でしかとらえることができない、そういうことだろう。

そんな程度の頭の持ち主が日本のリーダーになる……笑うに笑えない悲劇ではないか。
いくら前任者が異次元の愚かな総理で、最長腐敗政権の末にじり貧で投げ出さざるを得なかったとしても、同じレヴェルの知性の持ち主が後を襲っていいはずがない。

国民に納得できるような公正な総理を選べなければ、「肥溜め自民党」の腐臭を拭い去ることはできまい。