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米大統領選の闇と中国民主化運動のヒーローの正体 怪物、郭文貴の謎/上(論座 清義明)
http://www.asyura2.com/20/senkyo277/msg/236.html
投稿者 AN 日時 2020 年 11 月 10 日 01:32:47: /YP.3B0UurBCM gmCCbQ
 

(転載者の言い訳
 どちらかというと、国際板または医療板に関連する内容で、直接日本の政治に関する記事ではありませんので、どの板に投稿するか迷ったのですが、いま日本国内でも一番騒がれているフェイクニュースがどのように作られているかを示唆する記事ですので、政治板に投稿します。
 なお、長文ですので順次アップロードします。)

米大統領選の闇と中国民主化運動のヒーローの正体 怪物、郭文貴の謎/上
アメリカの選挙を泥沼に変えていくフェイクニュースの核心地帯には誰がいるのか
論座 清義明 2020年11月08日

 前代未聞の混乱をひきおこした2020年のアメリカ大統領選挙に決着がつこうとしている。

 この選挙では様々なフェイクニュースとデマが飛び交った。大統領の報道官や側近となっている近親者はおろか、本人までもが開票結果に陰謀があったとして真偽定かならぬ情報をネットで流してはばからない。

 トランプと書かれた投票用紙が燃やされたり捨てられたりしているとの写真や動画がネットに飛び交い、州兵が開票作業に介入したというようなデマが、大手保守系メディアにまで掲載される。その都度、選挙管理委員会や州政府が否定するものの、いちど広がったデマは事態を収拾するのに、その何倍もの時間がかかる。そして、日本でも不正選挙があったかのような論調がまかりとおってしまう。

 選挙の終盤にアメリカで騒ぎとなった、様々なバリエーションを変奏させながら、次々とあらわれる民主党の候補者のジョー・バイデンの息子の「疑惑」は、代表的なものだ。虚実が判別つかないまま、バイデンに対するトランプ支持者はこれを拡散する。

 ここからが本題である。

 この疑惑のかなりの部分が、郭文貴という中国民主化運動のヒーローとみなされたことのある男と、そしてかつてのトランプ大統領の生みの親ともいえる選挙対策本部長、のちの大統領首席戦略官だったスティーブ・バノンとその一派から発信されたことに日本で気づいている人は、どれくらいいるだろうか。

 次々と現れては、アメリカの選挙を泥沼に変えていくフェイクニュースの核心地帯には何があって誰がいるのか。そしてこれが郭文貴という男といかなる関係があるのか。

 まずは日本で起きた不思議な出来事からたどっていこう。

|郭文貴とは何者なのか

 10月某日の昼下がり、兵庫県川西市役所前は少し異様な光景だった。

 青いポロシャツを着た女性たちが、数人の黒いサングラスの男性とともに正面玄関にむかって居並んでいる。手にはおのおのプラカードをもっている。

 その姿をビデオで撮影するものが2名いて、そのうちに市役所にむかってシュプレヒコールを開始した。

 「中国共産党の潜伏者を関西から叩き出せ!日本から叩き出せ!」
 「中国共産党のスパイの支持者を締め出せ」

 この団体は右翼団体ではない。さらには最近では力を失いつつある在特会のような差別排外主義団体でもない。

 よくよくシュプレヒコールを聞いてみると、その言葉が日本人のものではないことがわかる。注意しないと聞き取りにくい単語もある。

 この抗議運動は中国人によって行われているのだ。

 中国人が中国共産党批判? スパイ? そうすると、中国から亡命してきた反中国共産党の民主活動家の団体と思われる人もいるだろう。

 しかし彼らが「中国共産党のスパイとその支持者」として攻撃しているのは、日本でも右派界隈ではそれなりに知られている反中国共産党の民主化運動を進める右派の市会議員の女性である。そのため市役所がターゲットになったのである。

 彼女は中国共産党を敵対視し、ウイグルやチベットの人権運動をすすめる右派政治団体のメンバーのひとりである。それが「中国共産党のスパイ」と中国人とおぼしき人たちから抗議運動をされているのである。

 「私も本当の理由はわからないですし、説明が難しいんですよ・・・」

 市役所前で抗議活動された中曽ちづ子市会議員(N国党所属)は困惑気味に答えた。

 「ご存じのとおり、私はウイグルやチベットの民主化問題から政治運動に関わるようになってます。もちろん反中国共産党なわけです。市役所の人にどういうことかと説明を求められますが『つまり同じ考えの人たちの仲間割れみたいなものですか?』と内輪もめのように言われてしまう。しかも私がスパイとか・・・。だからといって、説明しようとしても、郭文貴と言っても日本では誰も知らないのでなんともなんです」

 この郭文貴とは何者なのか。

 中曽ちづ子が体験したような抗議運動がアメリカで次々と行われている。ターゲットはアメリカの亡命中国人や反中国共産党の中国民主活動家である。これが実はこの郭文貴によって扇動されたものとされている。中曽への攻撃は、⽇本⼈に向けられたものとしては確認された最初の事例である。そして、中曽に先立ち日本の中国人民主活動家も同じような攻撃にあっている。

 しかし話はここに収まらない。

 ではここから登場人物とその関係のアウトラインをたどりながら話を進めていく。  

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コメント
1. AN[1446] gmCCbQ 2020年11月10日 01:34:26 : hGwbgWsB16 : cWpmejF6Z0ZBbFk=[107] 報告
(2ページ)
|反中国共産党の海外在住中国人のヒーローに

 郭文貴はアメリカに事実上亡命状態である中国の富豪である。

 中国の高度成長の時代に裸一貫で成り上がった不動産業者として富をなした。彼の話を総合すると、この時代の中国で幅をきかせている、いわゆる政商のようなものだったらしい。ところが、彼が頼っていた政府高官が習近平による汚職一掃運動に巻き込まれて失脚した。郭はこれに連座させられそうになったのだろう。アメリカに2015年に事実上の亡命。その高官は収賄罪で無期懲役。さらには郭自身もこれに関する様々な嫌疑により、やはり収賄などの罪に問われて国際指名手配になった。

 郭はアメリカで優雅な暮らしを始めた。財産をどうやって海外に持ち出したかはわからない。ニューヨークの彼の自宅として知られていたマンションは、セントラルパークに面した超一等地。豪華絢爛で知られる「トランプタワー」のワンブロック先でもある。そのマンションの価格が約87億円と本人はインタビューできっぱりと言い切る。他にもプライベートジェット機とヨットを持つという。どこまで信じていいかわからないが、郭自身はアラブ首長国連邦をはじめとする11カ国の国籍をもつとも語っている。

 そしてこの郭がどういうことか中国共産党批判を開始した。中国政府内の汚職、とりわけ江沢民の海外蓄財やセックススキャンダルなどを赤裸々に「暴露」したのだ。これがどこまで本当のことかはわからない。江沢民の息子のために臓器の売買が行われ、そのために5人が命を落としたというようなものから、マレーシア航空の墜落は中国の陰謀で臓器売買に関係した医者を暗殺するためだったといようなものまで真偽定かならぬ情報を、郭は自分で開設したYOUTUBEチャンネルで語り、これが全世界の海外在住の中国人で話題を呼んだ。

 やがて、この中国共産党スキャンダルで郭は人気を得る。海外在住の反中国共産党の中国人のヒーローのような存在になっていった。

 例えば2018年のニューズウィーク日本版に、『歌舞伎町案内人』の作者で知られ、日本国籍を取得し、新宿区議会議員選挙に立候補した李小牧が、郭について書いている。

 まずは郭が「いかがわしい人物かもしれない」と前置きしながらも、「真面目すぎる民主化運動とは一線を画し、下世話な世界から中国の体制転換を目指す」中国民主化運動の希望の星として李は絶賛している。「きれいごとだけでは勝てない」と李氏は言う。現に海外の中国民主運動は派閥争いに明け暮れているだけで、なんの成果もなかったではないか、と。

 反中国共産党の主張で知られる中国専門のジャーナリストも「うまく味方につければ、中国共産党と対抗する上で(日本にも)頼もしい味方にもなりうる」と、最近でも右派的な主張を開陳しているくらいだ。

 郭に注目したのは、このような世界各地に散らばる華人のネットワークだけではなかった。そのなかの一人がスティーブ・バノンだ。

2. AN[1447] gmCCbQ 2020年11月10日 01:35:49 : hGwbgWsB16 : cWpmejF6Z0ZBbFk=[108] 報告
(3ページ)
|バノンの戦略にピタリとはまった郭文貴

 2016年のトランプムーブメントの拠点であり、アメリカのインターネットの白人至上主義者の極右が蝟集し、陰謀論者Qアノンの陰謀論のハブとなっているウェブサイト「ブライトバート・ニュース」は、バノンが大きく育て上げたメディアだ。

 労働者階級の家に育ちながら、アメリカ海軍の情報士官とゴールドマンサックス出身の投資家という風変わりな経歴を持ち、古今の哲学書を読みこなすこの風変わりなインテリは、香港で『ワールド・オブ・ウォークラフト』という多人数参加ゲーム内のコインを売買する、仮想通貨の取引を始める。バノン自身はゲームを全くやらないと言っているが、そこで彼は学んだという。

 人間はインターネットのなかでもうひとつの人格をつくる。ゲームのなかで人は自分がつくったゲームのキャラクターになりきる。むしろそれが本当の自分自身だということすらできる。匿名の人格はむしろ本人そのものよりも影響力を持つことすらある。そこでは虚実などというものは関係がない、と。

 そして、まだビジネスサイトとしては成立していなかったブライトバート・ニュースを、極右のブロガーの管理人から引き継ぐと、右派の資産家から資金を集めてサイトのリニューアルと編集者とライターの雇用をはじめた。日本にもよくあるニュースをまとめた右派系のキューレーションサイトだったのが、これで一変した。

 バノンは言う。ブライトバート・ニュースのコアコンピタンスは、ニュースではない。そのニュースに共感して集まるコメント欄にいる匿名のアカウントのコミュニティこそが強みなのだ、と。そこには真偽など二の次である。

 「メディアの成功の秘訣はクソだらけの場所をつくることだ」と、かつてバノンは言い放った。ブライトバートニュースは、フェイクニュースと陰謀論にあふれつづけ、それが「8kun」のような匿名掲示板とともに、やがて政治的な台風の目となりだした。当時のターゲットはヒラリー・クリントンである。

 そのダーティーでスキャンダラスな情報戦の能力を買ったのが2016年の大統領選に苦戦していたトランプだ。自身の舌禍により、民主党のヒラリー・クリントンとの差が広がる一方の世論対策のために、バノンを選挙対策本部長に抜擢した。

 「バノンにとって真実であること、正確であることは最優先事項ではなかった」とブライトバートニュースの元記者はいう。

 そして虐げられた白人労働者とエスタブリッシュメントとの戦いというコンセプトをもとに、ヒラリーのスキャンダルや中傷、さらには民主党と幼児売春との関係などのフェイクニュースが次々とネットに投下されていった。陰謀論者は自分たちの主張が大統領によってツイートされることに歓喜した。こうして第45代アメリカ大統領がフェイクと陰謀論に後押しされながら誕生した。

 バノンはこの功績により政権入りするが、ほどなくして解任される。現実路線を進めるトランプの娘婿のジャレッド・クシュナー上級顧問との対立が原因とされる。しかしトランプ支持は続いている。

 そのバノンがトランプの次に見出したのが、郭文貴だった。ともにタフでダーティーな不動産ビジネスの世界を渡り歩いてきた成功者でありながら、反エリートで反体制の反逆者だ。巧みな交渉術と話術があり、真偽定かではない情報を武器に世を渡り歩くことができる。ともにナショナリストである。

 クシュナーとの対立は、バノンの対中国戦略にあまりにも過激で強硬だったことが原因と言われている。反中国共産党がバノンの次の戦略であったのだ。そして、そこにピタリとはまったピースが郭文貴だった。

3. AN[1448] gmCCbQ 2020年11月10日 01:37:06 : hGwbgWsB16 : cWpmejF6Z0ZBbFk=[109] 報告
(4ページ)
|ネットで始まった泥沼のような情報戦

 この二人が手掛けたのは、まずはブライトバート・ニュースの代わりとなるアメリカと中華圏に同時に発信するためのプラットフォームだ。

 「GNEWS」と名づけられたウェブサイトがそれだ。「G」とは郭文貴(Guo Wengui)の名前からとられている。トランプが自分の名前を自己顕示欲むき出しで己のビジネスや不動産につけていたのを彷彿させる。ここから様々な虚実定かならぬ、泥沼のような情報戦が始まった。

 中国の反体制運動側から発信される情報には注意が必要だ。日本でもネットでよく政治情報がシェアされる中国情報サイトも、中国国内で弾圧された宗教団体によって運営されているものだが、かなり怪しい情報が多い。ここをなんの留保もなく情報ソースとしている話には、まずはワンクッション置いたほうがいいだろう。海外メディアではまずはそのニュースソースがどんな政治的・思想的立場にあるのかを確認することが必要だが、もちろん一般の人々はそんなことは問わない。

 GNEWSもそういうサイトである。しかもディープでもっと露骨だ。

 新型コロナウイルスは中国のバイオ兵器だ、という主張の科学論文が注目を浴びたのは9月のことだった。閻麗夢(イェン・リームン)という女性の研究者が、中国当局の秘密を暴露するという主張をして、一時アメリカのFOXニュースのような保守系サイトでも話題になった。日本でもネットではずいぶん話題になったのでご存じの方も多いだろう。この説を流し続けたのがGNEWS系のメディアである。そしてこれはアメリカの右派の識者もネットでシェアされることになった。もちろんその影響は多大である。そうして中国から亡命してきた科学者による主張の新型コロナウイルスのバイオ兵器説はそれなりにネットで「真実」として扱う人が続出した。

 しかし、この主張は科学的な裏づけがほとんどないということで、世界の科学者からはほとんど無視された。そのためにイェン女史がこの主張を論文の体裁をとって発表したのが9月の科学論文だ。

 しかしやはり世界中の研究者からは、論文の体裁をとっているものの、とても論証に耐えうるものではないと一蹴されてしまった。そしてそれらの科学者が一様に首をかしげるのは、この論文が医学組織ではなく、政治団体と思しきところから提出されていることであった。その団体とは郭文貴とスティーブ・バノンがつくった団体「法治財団」であった。

4. AN[1449] gmCCbQ 2020年11月10日 01:39:37 : hGwbgWsB16 : cWpmejF6Z0ZBbFk=[110] 報告
(5ページ)
|バイデン「疑惑」の背後にバノンの影

 アメリカ大統領選の投票日があと約1週間と近づいた10月、民主党大統領候補のジョー・バイデンの次男の実業家のノートパソコンが見つかったと、タブロイド紙のニューヨーク・ポストが伝えた。バイデンの地元であるデラウェアのパソコン修理店から見つかったというパソコンのハードディスクのなかには、バイデン息子がウクライナの企業と父の地位を利用してビジネスをしている証拠とされるメールの他、少女虐待や拷問やレイプの動画まであるという。

 これは大変なスクープということだったが、大手の報道機関はこれをとりあげるのをためらった。情報が本当のものか証拠がないからである。TwitterやFacebookといった大手SNSは記事の投稿を制限した。異例のことだ。

 ニューヨーク・ポストは、メディア王でトランプ支援者でも知られるルパート・マードックのメディアカルテルの、ニューズコーポレーショングループ傘下の企業だが、同じグループの世界最大の経済専門紙であるウォールストリート・ジャーナルは、SNSの投稿制限は言論の自由に関わるとして批判した。この企業を議会で「保守的な言論を検閲している」証人喚問をすべしとの主張まであらわれた。

 SNS各社の判断には理由がある。これが情報ソースが極めて怪しいばかりではなく、陰謀論をとりあげるいつものメンバーから発信されたこととであり、その内容が4年前のヒラリー・クリントンの「ピザゲート」陰謀論とそっくりだったからである。ただでさえロシアによるSNSを通じた選挙介入疑惑があった。大手SNS各社の判断にはやはりある程度の正当性はあるだろう。

 「どこかで爆発や火事がおきたら、近くにはたぶんスティーブンがマッチをもって立っているかも」と言うのは、かつてブライトバート・ニュースにいたスタッフだ。

 この「ノートパソコンゲート」の情報の背後にはどうやらスティーブ・バノンがいる。そしてそのパートナーとなった郭文貴もだ。もともとこのバイデンのハードディスクの情報とされているものは、最初に郭文貴の一派の路徳という中国人ユーチューバーによってGNEWSで流されたものだからだ。おまけにQアノン信者が過敏に反応する幼女誘拐という部分も話が出来すぎていて強い作為を感じざるを得ない。

 いずれにしても、データを持っているという人が揃いもそろって言い訳をしながら情報を開示できないというのだから、これ以上まともにとりあげることもできない。しかし、ネットはこれで十分だ。ネットでの「真実」に証拠などいらないのだ。

 同じバイデン息子の中国ビジネスの実態を明らかにしたレポートというものも、選挙戦たけなわの9月からアメリカのネットで拡散されていた。裏ではバイデン一家は中国とカネでつながっているということを言いたいわけである。

 ところが、このレポートの筆者とされる人物が架空の存在であったということをNBCがすっぱ抜いた。

 NBCによると、著者とされている、スイスのアナリストのマーティン・アスペンという人物の顔写真がAIでつくられた合成のものと、オーストラリアの研究者がたまたまた見つけたのがきっかけだ。ちなみにAI合成で顔写真をつくり、それでSNSのアカウントを大量につくるのは、前述にもある中国の反中国共産党の宗教系のニュースサイトがよくやる手口である。

 このレポートは、フルブライト大学ベトナム校の元教授クリストファー・ボールディンが9月にネットに投稿したもので、その後に彼は郭文貴とバノンのGNEWSにたびたび出演している。これも拡散したのは、一派の路徳というユーチューバーだ。

 ボールディンは架空の人物にしたのは、著者に身の危険が及ばないようにしたためと言っているが、それも怪しさ満点である。なお、このボールディンに対する資金が、香港の反体制派新聞でトランプ支持を公言する、アップルデイリー社のジミー・ライの個人会社の口座から支出されているというオマケまでついている。

 ガーディアン紙は、ノートパソコン疑惑をはじめとするこれらのフェイク情報を「汚いトリック」と断じて、選挙の終盤にまだ出てくるのではないかと予測していた。

 そして、ガーディアンの予測通りに出てきたのが、バイデンの息子の「薬物セックスビデオ」である。郭文貴とバノンのGNEWSがその出所である。バイデンの息子とされている人物がクスリでハイになりながら中国女性といかがわしい行為に及んでいるとされる怪しげな動画は、選挙終盤にGNEWSで繰り返し繰り返し動画付きの記事になっていて、見ているこちらまで辟易とさせられた。

 もちろんこれをまともに取り上げるメディアは、さすがになかった。そしていつものパターンであるが、メディアが取り上げないセンセーショナルな情報はネットでかえって流通する。

 次々と現れては消えていくネットの疑惑と噂。これが政治に絡むとなると検証は必要だ。

 しかし、「ノートパソコンゲート」なども、どれもこれも事実が明らかになるまでの足がつくのが早そうなものばかりである。ウソを流している側からすれば、真偽がバレるのはどうでもよく、大統領選の直前に投下して検証が終わるよりまえに投票が終わり、あとは逃げ切るというパターンなのだろう。ウソをつくのとそれを検証するのは非対称な時間とコストがかかるのを利用した確信犯のダーティーな手口である。(文中敬称略・続く)

(「下」へ続く)

5. AN[1450] gmCCbQ 2020年11月10日 01:42:00 : hGwbgWsB16 : cWpmejF6Z0ZBbFk=[111] 報告
米大統領選の闇と中国民主化運動のヒーローの正体 怪物、郭文貴の謎 /下
魑魅魍魎の世界で続けられる綱渡りの行方
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020110600004.html

(「下」1ページ)

 米大統領選で取りざたされたバイデン氏の「疑惑」は、ほとんどが郭文貴とスティーブ・バノンの一派から発信されたものだった。さて、この二人の沼のような汚れ仕事の舞台となっているGNEWSについては、少し違う角度からの情報も流れている。

|とどめはスティーブ・バノンの逮捕

 ウォールストリート・ジャーナルによると、このサイトビジネスに多額の投資が集められたという。しかし、これがどうにも様子がおかしいということが指摘されはじめた。同紙はFBIがこの件について捜査中と伝えている。

 この資金が、「GAFA」(Google、Apple、Facebook、Amazonの独占ウェブ企業のこと)のようなネットビジネスをつくるというような宣伝がなされたらしい。またサイト内で流通する通貨のビジネスについても、なんらかの謳い文句があったらしい。

 ところが、このGNEWSのサイトといえば、ニュースサイトといってもブログに毛がはえた程度のものでしかない。コンテンツも、もっぱら郭本人が自撮りに近い手作り感あふれる動画が掲載されているだけだ。さらには郭一派のユーチューバーや、前述した中国から亡命したという科学者女史などのお仲間が動画であらわれ、そして正体のわからぬスキャンダル情報が続く。もちろんこれでは広告もつかないだろうし、実際に営利サイトとしては異例の広告なしの運営だ。これのどこがビジネスになるのか、私には皆目見当がつかない。

 この時期に、郭のマンションの名義となっていた会社が経営破綻し、マンションが売りに出たという話も出てきた。ヨットも同じように売りに出ているという情報も伝えられた。そしてとどめとなったのが、スティーブ・バノンの逮捕である。メキシコ国境に不法移民を流入させない壁をつくると称して集めたファンドが、バノンらによって私的に流用されていたということで、詐欺とマネーロンダリングに関する罪での逮捕だった。

 そしてこの頃から、郭文貴の同じ在米の中国人民主活動家に対する攻撃が始まった。なぜかはわからないが、名指しで彼らは中国の民主化運動の化けの皮をかぶった中国のスパイだとビデオで唐突に公言しだした。

6. AN[1451] gmCCbQ 2020年11月10日 01:43:48 : hGwbgWsB16 : cWpmejF6Z0ZBbFk=[112] 報告
(「下」2ページ)

|「裏切り者を殺せ」とビデオで呼びかけ
 長く中国で民主化運動を繰り広げている福音派の宣教師、ボブ・フー(傅希秋)が最初のターゲットだった。中国の人権問題の支援で政治難民を受け入れてきたこともある非政府組織の「チャイナエイド」の主催者である。

 郭文貴はバットを持ってGNEWSのビデオに登場し、フーが中国共産党のスパイで、人権を騙るニセの牧師だと言った。さらには人身誘拐の組織(蛇頭)にも関与しているという。

 「裏切り者を殺せ」と郭はビデオで呼びかけた。「まずはこいつらから片付けないで、どうして中国共産党を殲滅することができるだろうか」と郭はビデオのなかで凄み、郭の支持者に行動を訴えた。

 ある日、バスに乗った数十人の人たちが、テキサス州ミッドランドの閑静な住宅街にあるボブ・フーの自宅の前で手にプラカードをもって車を降りた。そして、ここから1カ月にもわたる抗議のピケがフーの自宅前で続いた。プラカードには「フーは中国共産党のスパイだ」と書かれている。その間、抗議の参加者はメディアの取材には名前も団体名も、さらにはどこから来たかというような質問にも答えることがなかったという。

 地元のミッドランドの住民は突然のこの抗議活動に驚いた。そして何よりも意味が分からなかった。ボブ・フーは地元では牧師として人権活動に取り組む、いわば名士である。共和党との関係も深い。

 ミッドランドの共和党系の市長はこれを批判。マルコ・ルビオやテッド・クルーズといった共和党の大物議員までもがフー牧師を守る必要があると声明を発した。また福音派の人たちによるフー牧師を擁護する集会も行われた。近所の人には「私たちはフー牧師だ」とのプラカードで対抗するものもいたという。

 抗議は大きな混乱はおきず、不法侵入と路上での不法な横断で逮捕者が何名か出ただけだった。しかし大統領選投票日の11月2日まで続いたこの運動は、テキサスの郊外の町に困惑をもたらし、さらにこれを仕掛けた郭文貴に対する疑念が深まることになった。

 しかし、これだけではなかった。ボブ・フーと同じように裏切り者だとGNEWSに名指しされたものは何十人にものぼる。そして、その裏切り者を狙うキャンペーンが組まれ、その名前がリスト化された。

 郭とバノンは、今年の6月に「新中国連邦」という政治組織も立ち上げていた。ある日ニューヨークの上空に一機のプロペラ機が飛んできた。それがけん引する横断幕には「新中国連邦国家おめでとう!」と書かれていた。マンハッタンの青空の下にかかげられたその横断幕は、全く意味が分からない謎として話題になったが、やがて郭とバノンの仕業ということがメディアによって明らかになった。青に黄色の星を散りばめた新中国連邦の「国旗」はそれから世界各地の至る所で活動を開始する。

 日本でも東京や大阪で、新中国連邦のデモが行われた。そろって青のポロシャツを着て、「中国共産党を倒せ」と連呼して歩くデモ隊に通行人は奇異なものを感じただろう。全く唐突だからだ。このデモはアメリカと日本だけではなく、イギリスやカナダやオーストラリア、韓国やニュージーランドなどでも行われた。どれもそれなりの規模である。日本ではデモの集合場所の公園にステージが組まれ、中国共産党を批判するメッセージがかかれたプロモーション用の巨大トレーラーまであらわれている。

 どうやってこのような世界規模の同時多発運動が組織できたのかも謎だ。

7. AN[1452] gmCCbQ 2020年11月10日 01:45:43 : hGwbgWsB16 : cWpmejF6Z0ZBbFk=[113] 報告
(「下」3ページ)

|元支持者たちが攻撃のターゲットに

 そして、これに続いたのがボブ・フー宣教師をはじめとする中国民主活動家に対する、嫌がらせにひとしい個人攻撃だった。攻撃対象とされたのは、民主活動家だけではない。郭を投資詐欺として訴えた中国人、郭を批判したユーチューバーやジャーナリスト等々。驚くのは、それが世界各地にわたって行われていることだ。ドイツやカナダ、オーストラリアやニュージーランド、さらに台湾。すでに青い新中国連邦の旗をかかげた集団に攻撃された数は十数名にのぼり、しかもそれが世界同時多発しているわけだ。

 ところで、これらの郭の一派の世界同時多発攻撃のターゲットになった人たちには共通点もある。もともとは郭の支持者だった人がほとんどだということだ。

 オーストラリアでやはり攻撃のターゲットになったひとりは、オーストラリアABCニュースの取材に答え、もともとは郭文貴の活動に参加していたひとりだったと打ち明けている。真実であろうと嘘であろうと関係なく情報を流し、数百万人にのぼる人たちに影響を与える郭とバノンのやり方に不信感を抱いて、彼は関係を断った。そのあとに攻撃が始まったという。ブリスベンの自宅前に押しかけた人たちは、青の新中国連邦の旗とオーストラリア国旗をかかげて、抗議運動を繰り広げた。「オーストラリアから中国共産党のスパイを追い出せ」と連呼が続いた。

 日本も例外ではない。まずは前回記事でも触れた、中曽に先立って攻撃された在日中国人民主活動家は、日本の右派言論人や活動家のなかでもそれなりに名前の知られた存在である。家にも押しかけられたという。

 そして中曽が次のターゲットとなった。中曽は語る。

 「2016年くらいに郭文貴は在日の中国人民主活動家の間でたいへんな話題になったんです。古い天安門事件時代からの亡命組も郭を評価していました。中国共産党批判のスタイルが斬新でしたから。『郭は新しいヒーローだ』みたいな感じで。それで郭文貴を支援する『郭文貴日本後援会』というのが立ち上がったんです。その代表の方が今回の攻撃されている人です」
 「私はその代表の人とはチベット・ウイグル問題を通じて懇意でしたし、郭文貴の中国共産党批判の暴露もすごいと思っていたので、同じく後援会にはいっていました。けれど、そのうち何かおかしいな、と」

 「その人は郭文貴からベンツをあげると言われたそうです。それでもらったあとに、香港か何かの活動家にあげてしまったらしいのですが、いずれしても怪しすぎると。それで距離を置いていたらしいのですが、それが突然こういうことになりました。家とかにもおしかけられているそうで、たいへんらしいです。デモ隊は中国共産党のスパイだと言っているらしいのですが、それとあわせて『ベンツを返せ』とも言っているのは滑稽でしたけど(笑)」

 要するに郭文貴から直接指示があったということだろう。

 「市役所にデモをされた他に、電話も相当かかってきたらしいです。みな非通知の電話でした。市の担当者に私の携帯の電話番号を教えて、ここにかけるように伝えてもらったのですが、そちらには電話はかかってこない。ようするに嫌がらせなんですね。とてもじゃないですが『人権』とか言っている人とは思えないです。最近では、郭文貴のネットをみるとバイデンの息子だと言って本当かどうかわからない、いかがわしい動画みたいなのをずっと流し続けている。とても本当の民主活動家とは思えない。新中国連邦といっていますが、チベットやウイグル問題にはほとんど触れていません」

 この反応は香港の民主活動家の若者の間でも同じだったらしい。郭とバノンが立ち上げた新中国連邦のことは話題になった。しかし、独立志向が強く、中国人とは私たちは違うという強烈なプライドがある香港の若者には、これは要するに現在の中国のボスを入れ替えただけということではないかと批判的に理解され、結局冷たくあしらわれることになった。これについて中曽曰く「漢民族、そして漢民族である自分の思いのままになる中国をつくりたいということだけなんじゃないかと思います。それ以外に興味はないのでは」とのことだ。

8. AN[1453] gmCCbQ 2020年11月10日 01:48:06 : hGwbgWsB16 : cWpmejF6Z0ZBbFk=[114] 報告
(「下」4ページ、最終)

|中国共産党のスパイだと互いに言いあうシュールな光景

 日本では、郭の一派は「日本桜花団」と名乗りネットで活動を繰り広げている。そして、もちろんトランプ支持のネットでの書き込みも続いている。彼らは「全世界の正義と文明を代表して」いるとのことだ。日本での「裏切り者」の攻撃を高らかに宣言し、「バイデンはアメリカの国賊だ。では、日本の国賊は?」とスローガンをかかげている。

 郭に攻撃されている、フー牧師の支援者たちは郭こそが中国共産党のスパイだと批判している。もともとこのダブル(二重スパイ)説は、アメリカでは根強くささやかれていたものだが、互いに中国共産党のスパイだと言いあっている姿はシュールな光景ともいえる。
 中国の反体制運動は党派性が強く、分裂と敵対を水面下で繰り返している。だから、これもそのうちのひとつとして理解することもできる。しかし、それにしてもスケールが大きいし、センセーショナルだ。少しでもこの内情を知るものであればこの事態に困惑させられずにはいない。フェイクニュースでおなじみの反中国共産党の宗教団体やその他の様々な登場人物も含めて、この世界には魑魅魍魎がみちあふれていると言ってしまえばそれまでだが。

 ひとつだけ、はっきりいえるのは、郭とバノンの一派の主張はたとえ民主化運動の体裁をしていようと、額面通りに受け取ってはいけないというものだ。

 郭を最初支援していたが徐々に不信の念を募らせて距離を置く人がいる一方、「敵の敵は味方」の論理で、うまくそういう人を利用するのもプラグマティックであるとする日本の右派もいる。しかし、おそらくそれでは彼らの沼にはまってしまう人も出てくるはずだ。私は全くおすすめすることはできない。

 郭文貴の綱渡りはどこまで続くかわからない。私たちはそれを理解しながら、彼らの暴走から離れながら、アメリカの大統領選にまで絡んでいく壮大な魑魅魍魎の世界をまずはウォッチしていくのが賢明だ。

9. 2020年11月10日 06:09:04 : q9unPUh5SQ : TXVUdkRXWlN4M00=[74] 報告
長いがおもしろかった。

自分の感想としてマスコミにしてもネットにしても
不自然な拡散の仕方をするものに感じる「なんか変だな」
という感覚は大事にしないといけないな。

偽情報が「本物らしさ」「もっともらしさ」を装うことが
いとも簡単に出来る現在では「リテラシー」とか言う
こ難しい物よりも逆にこの原始的にも見える
感覚直感こそが物を言うような感じだ。

人間には論理型、直感型いろいろ型があるようだから
一概には言えないが上記は直感型の俺の感想。

10. AN[1455] gmCCbQ 2020年11月10日 14:12:07 : hGwbgWsB16 : cWpmejF6Z0ZBbFk=[116] 報告
大変申し訳ありません。元記事にURLを貼るのを忘れました。

米大統領選の闇と中国民主化運動のヒーローの正体 怪物、郭文貴の謎/上
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020110600003.html

です。 今後気を付けますm(..)m
 指摘くださった赤かぶさん、ありがとうございました。
11. 2020年11月10日 20:00:35 : wdfmpxj8Bo : bnFJdXguT1g5U1k=[1] 報告
トランプ陣営が民主党的手法の使い手を引き抜いて世論誘導をしていたという話。しかしその話は即ち論座・朝日・バイデン陣営の話が真実でトランプ陣営は嘘だということにはならない。朝日系なのにか、だからなのか、日米における9.11同時多発テロ及び3.11東日本大震災・福島原発事故のインパクトについて言及されてないように思える。日本の敗戦について反省するのが朝日系で、オバマ・菅直人政権下で中国・沖縄がうまくいったのかという疑問が残る。様々な問題はあれどトランプ政権下で米中・沖縄の心理的関係は悪化したのだろうか? ホワイトハウスをスルーして勝手に勝利宣言して政権準備始めちゃって、おまけにメラニアとトランプを勝手に分断しちゃって何なんだよw こういう流れに無批判に追随してバイデン正義、トランプ悪とは笑わせる。政治工作のウソ・ホントにましてバイデンやトランプが日米世界を何処に導くのかという視点なしには論座にネットを批判する資格はない。トカナを読め。
12. 2020年11月10日 20:53:32 : wdfmpxj8Bo : bnFJdXguT1g5U1k=[2] 報告
https://tocana.jp/2020/09/post_171460_entry.html

勿論上記がすべてガセ、これはある。しかし、何故WHO御用達の研究員がバノンや郭の下へ走らねばならないのだ? ネットでしか言えない秘密を知ってしまったから、この場合はコロナの出所に関わってしまったから、というのが普通であろう。結局バイデン陣営はネットで批判されるような後暗い要素を抱えているということをマスコミがフェイクを以て示しているに過ぎない。

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