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疑念と質問に回答させていただきます 投稿者 あっしら 日時 2002 年 2 月 28 日 22:48:50:

(回答先: 私はこう思うのですが 投稿者 書記長 日時 2002 年 2 月 28 日 19:57:44)

「書記長」さん、レスありがとうございます。

>デフレやインフレという事象の基になる物価は、雑ぱくに、
>「通貨供給量×回転数」/「国内販売商品の総量」もしくはまったく同値である
>「国内販売商品の価格総和」/「国内販売商品の総量」だと考えたほうがわかり
>やすいだろう。(別の投稿から)


> 要するにあっしらさんは国内総売買額(GDP)と社会が生産し
>た商品額の関係によってインフレかデフレかの傾向がほぼ決定
>されると言いたいのでしょう。

違います。
ある期間の平均物価は、中央銀行が供給した通貨量がどれほどの頻度で使われたかという「通貨流通量」(「通貨供給量×回転数」)/「国内で販売された商品の総量」で決まり、インフレかデフレかは、期間の経過とともに物価が上がったのか下がったのかによって決定されると考えたほうがわかりやすいと説明してきました。

“国内総売買額”と“生産した商品額”では、在庫と輸入を0とすれば、ともに金額の問題ですから自家撞着に陥ります。“総売買額”は“生産した商品額”で決まるものではないか、そして、“生産した商品額”は“総売買額”で決まるものではないかという問題になります。


> 私は需給関係の問題と景気の問題と商品に対する貨幣価値の
>問題とは一応きちんと分けて考えたほうがいいと思います。
> 現実には相互に密接な関係があることが多いのですが、ある
>現象について考えるときには「抽象」が役に立ちます。

貨幣価値すなわちデフレかインフレかは、現在の経済システムでは景気にとってとても重要な意義を持っています。


> たとえばここでは「需要」を「消費」と同じ意味とするとし
>て、需要と供給(生産)が仮に一致したとしても社会総売買量
>が社会規模や以前の状態に比べて少なければ不景気です。失業
>者もたくさんいるかもしれません。

社会総売買量をGDPだと考えれば、不景気で失業者も増えます。

これもいつかは説明しようと思っていたのですが、需要と供給は経済論理的には常に一致しているものです。
お金がなかったために「現実の需要」とならなかった「欲望としての需要」は、経済論理的には需要としてなかったものになります。
それ故に、経済事象をあたかも自然事象のように扱うこともできるのです。

この間利用させてもらっている物価算定式も、結果論的な説明でしかないのです。
それなりに役に立つし、言葉よりもわかりやすい場合もあるので説明の便宜として使っているとお考えください。


> また貨幣の商品に対する価値の増減は、純論理的には貨幣に
>対する市民の要求や信頼によって最終的には決定されます。

現在の貨幣供給量と供給は、中央銀行がその供給量と利率を決めた上で貸し出しを行うことで実現されます。そして、生産や輸入などを通じた商品供給の量と「通貨供給量」を重要なファクターとする「通貨流通量」の関係で物価変動(=貨幣価値変動)が生じます。
このことから、経済学的な意味での「貨幣に対する市民の要求や信頼」は、中央銀行の行動によって最終的には決定されると言えます。

市民が要求しても、自己の利益を基準に考える中央銀行であれば、それが自己の利益に反することであれば、通貨を増やしても減らしてもくれないでしょう。

日銀は必ずしもそういう基準で動いているわけではないので、市民の代表である政府の要求で増やしたり減らしたりすることもあります。
ロシアや中南米諸国も同じですが、”過剰に”増やして(増やさざるを得なくて)苦境に陥ることもあります。


> だから景気が良くて消費や投資が盛んな時は皆が貨幣を欲す
>るのでその価値が上がることが多いのですが、理論的にはそう
>ならなくてもかまわないし実際に政策が成功すればインフレな
>き好景気は実現できます。

貨幣の価値が上がれば物価が下がるはずですが、景気がいいときは一般的に物価が上がって(貨幣価値が下がって)います...(このへんは2番目のアップ内容を参照してください)

「理論的にはそうならなくてもかまわないし実際に政策が成功すればインフレなき好景気は実現できます」は、どう解釈していいのかちょっとわからないのですが、“政策”は“理論”的にこうなるだろうと考えて決定されるものだと思っていますから、政策が成功するということは、“理論”に合っていたということだと思います。

逆に、“理論”的にこうなるだろうと考えて決定した“政策”を実行したがそうならなかったということであれば、“理論”が間違っていたか“理論”の利用の仕方が間違っていたかを疑わなければなりません。

現実(神)を恨んでも仕方がありませんからね。


> またインフレをともなう不景気、すなわちスタグフレーショ
>ンも実際に起こることがあります。

スタグフレーションの問題は3番目にアップするつもりだったテーマですが、簡単に説明すると、「通貨流通量」の増大に比して「国内販売商品総量」の増大が不足していることに起因するものです。ソ連崩壊後のロシアや中南米諸国の“異常インフレ”と同じでことです。(ただ、日本は米国などのスタグフレーションは、中南米諸国の”異常インフレ”よりは修復しやすい問題です)


> 貨幣価値というのは国内に対しても国外に向けても(為替相
>場)その社会の安定性・信頼性によって根本的には支えられて
>います。典型的にはロシアのルーブルの歴史に現れていると思
>います。

貨幣価値が「その社会の安定性・信頼性によって根本的には支えられている」ことは社会学的には言えますが、経済学的には、貨幣価値が安定性・信頼性を確保されていないと社会の安定性と信頼性は実現できないものです。

旧ソ連及びロシアのルーブルについては、厳密には国際取引されていない通貨なので考察するのは難しいのですが、ソ連時代は為替相場を高く設定しすぎたと思っているし、現在は弱くなりすぎていると見ています。
ロシア経済とロシアルーブルは、プーチン政権の政策により力を取り戻していくと考えています。


> あっしらさんの言う「通貨供給量×回転数」というのは社会
>総売買額(GDPに近い概念)のことですね。私はそれと社会が実
>際に生産した総商品量との関係では、貨幣価値の問題も景気の
>問題もあまり有意義な説明はできないのではないかと思います。
> 社会総売買額とは景気のことですから、それ自体が景気を決
>定するというのは変な話です。流れた貨幣量としての総売買額
>は単に景気の反映であって、それが在庫や売れ残りを含めた商
>品総生産量との関係で貨幣価値(物価)を規定するというのも
>論理的に飛躍があると思います。

「社会総売買額とは景気のこと」ではありません。景気は、規模ではなく変化動向なのです。規模は小さくても、経済活動がより活発化していけば、景気が良いと判断されます。そして、現在のシステムでは、経済活動をより活発化する手段として、インフレが大きく貢献します。

そして、「通貨供給量」は中央銀行によってコントロールされているということが、最も重要なポイントです。

「流れた貨幣量としての総売買額は単に景気の反映であって、それが在庫や売れ残りを含めた商品総生産量との関係で貨幣価値(物価)を規定するというのも論理的に飛躍があると思います。」

“バブル崩壊”の引き金になったように、中央銀行は、貨幣供給量を絞り込むことができます。そのとき、ある程度(官僚は誰もがと言っていますが)の人は、景気は抜群に良いと判断していました。そして、“バブル崩壊”が起きました。
まさに、貨幣量が景気をぶち壊した(もっと早くそうすべきだったと思っています)のであり、回転数はともかく貨幣供給量は景気の反映で決まるものではではありません。
景気が抜群に良かったのですから、回転数はそのときの経済状況でぎりぎりまで上がっていたはずで、供給量が一気に減ったことを回転数では補えなかったと見ています。


「回転数」は、「書記長」さんもご指摘の通り、“祭り”が終わったあとでそうだったんだと見れる値です。
「回転数」は、GDPが算出された後で、確定されている「通貨供給量」を基に算出されたものでしかありません。
しかし、だからと言って重要ではないということではありません。
「回転数」の値が増えたのか減ったのかは、経済活動が活発化する方向にあるのか、それとも、沈静化する方向にあるのかを知る大きな手がかりとなります。


> 売れ残りがたくさん出れば、それは今後の社会縮小再生産の
>傾向要因となりますが、それを貨幣価値の問題と直結させる理
>由は何ですか?

販売チャンスを逃さないよう商品を円滑に物流させるための適正在庫水準を超えた売れ残りは、経済活動を制御する重要な要素です。

個々の経済主体(企業)の過剰在庫ではなく、ある経済社会“全体”が適正水準を超えた在庫を保有しているということは、生産者や輸入者という経済主体総体が想定した「国内販売商品の総量」に、現実の「国内販売商品の総量」が達しなかったことです。
その原因としては、残った商品に対する社会の欲望を満たしてしまったのか、欲望はあるのに経済学的な需要がなかったかということになります。

「生活必需品」ではよくあることですが、過剰在庫の原因が社会の欲望充足であれば、輸出を増やすか、生産を減らすか、人口が増やすかしかして解決を計ることになります。
(農業生産物は工業生産物のようには生産調整ができないという根源的な問題もあり、農民は、現在の経済システムで安定的な利益を上げるのはたいへんです)

欲望はあるのに需要がないために過剰在庫になったのなら、「通貨流通量」がそれに追いつかなかったことを示唆しています。
「通貨流通量」が追いつかなかったということは、「通貨供給量」が追いつかなかったか、「回転数」が追いつかなかったです。

どちらとも言えませんが、「回転数」は制御しにくいものですから、過剰在庫を本気で是正しようと考えるのなら、制御できる「通貨供給量」を増やすべきだったということになります。
好況期に需要不足で過剰在庫が生じたのなら、「回転数」を原因として考えるよりも、「通貨供給量」を原因としてみたほうが妥当だと思います。

そして、過剰在庫に気づいた経済主体がそれをなんとか売ろうとして頑張って販売量を増やしたのなら、物価を押し下げるすなわち通貨価値が上昇する方向に動かしたことになります。

物価=「通貨供給量×回転数」/「国内で販売された商品の総量」

という関数式を前提に、

『「通貨供給量×回転数」の増分』<『「国内で販売された商品の総量」の増分』


ですから、平均物価は下がります。

この意味で、過剰在庫は、デフレ圧力要因となります。


> 私はあっしらさん提起したの「回転数」に対する政策的処方
>箋の問題にも同様の疑問を持ちます。
> この「回転数」というのは景気(総売買額)によって事後的
>に決定されるものですから、通貨量に大きな変化がない状態で
>景気が良くなれば上昇するし景気が悪くなれば下降します。回
>転数は景気と通貨政策によって決定される結果としての経済様
>相に過ぎません。
> わざわざ回転数を実体的に扱ってそれを政策の重要な対象と
>考える理由が私にはよく分かりません。

これについては、すみませんと謝ります。
「回転数」というより、経済活動を沈静化させるという表現を使ったほうが良かったと反省しています。


最後に、関数式などを使い、通常の経済学が用いている概念も使っているかと言えば、この間の書き込みの目的が、日本の経済政策担当キャリア官僚や経済学者の主張が誤っていることを理論的に説明し、それを是正させたいことにあるからです。

歴史的な説明で行ったように違った切り口でも説明できますが、それだと噛み合わず、政策論議にならないと考えています。


レスをいただくと自分が考えていないことを示唆されますのでたいへん参考になります。二つ目のアップ内容にも、レスをいただければ幸いです。

(それから、比ヤングさんのレスにも感情を害されることはありませんから、何を言っていただいても、どういう表現を使われても大丈夫ですよ。私の表現に対する言い訳になるのかもしれませんが。比ヤングさん、お読みであれば、引き合いに出して失礼しました)

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