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宗教に深入りしないという宗教 投稿者 あっしら 日時 2002 年 10 月 08 日 16:43:45:

(回答先: Re: 商人の宗教は変容を余儀なくされる 投稿者 アッバース 日時 2002 年 10 月 08 日 04:24:37)

アッバース、こんにちわ。

>聖書やコーランを読んでもユダヤをはじめとするセム系宗教が商人の宗教であること
>を未だに掴めないのですが、どういう側面から商人的性質を見出されているのでしょ
>うか.マホメッドは商人でしたが…

一神崇拝と契約観念が、ユダヤ教・イスラムを商人の宗教と捉える根拠です。

「一神崇拝」は、様々な価値ある財から一等地飛び抜けた価値物である貨幣への意識の反映だと考えています。
「契約観念」は、商取引の基本であり、協業ではなく個人性を基礎としたものです。

農耕共同体では、農耕を支えてくれる様々な自然(物・現象)に対する畏敬の念が培われ、個人よりも協業的主体としての共同体が存立意識の基礎になりやすいものです。

中国のように周辺地域からの圧力に晒されている農耕共同体連合では、儒教のように、内部の安定と外部からの防衛力を高めるための智恵である「中央集権的統治論」が尊重されることになります。

ユダヤ教は、バビロニアから“解放”された勢力が故地で政治的支配を確立するために持ち込んだ宗教だと見ています。(とりわけ「モーセ五書」は、モーセ&アーロンが属するレビ族の支配権を正当化し権威付けるためのものだと考えています)


>古来のイスラムはもはや戻ってこないのですね…
>ということは今現在のようないわゆるイスラム原理主義の”テロ”は終末まで続くの
>ですね.
>サウジは今のままイスラム法を維持するとは思いますが,西洋の旅行者も多いイラン
>などはせっかくのイスラム革命の成果もむなしく、また、イラクとの戦争の際にアメ
>リカにしてやられた事実を若者はすっかり忘れているのか、近い未来にアフガンやイ
>ラクのように、かなしいかな、民主化される結末を迎えそうですね.

苛烈で強大な“近代”との遭遇を経験した歴史段階で、古来のイスラムがそのまま復古するとは思えません。

しかし、イスラム復古派は、間もなく始めると予測できる米英の攻撃のなかで勢力を拡大すると考えています。
(「今現在のようないわゆるイスラム原理主義の”テロ”」という見方は採っていません。9・11も、米国権力機構の一部が関与した国家テロだと考えています。パレスチナのハマスやイスラム聖戦の“テロ”についてはそう言えます)

アラブという地域で見れば、アラブ社会主義やイスラム王制は、好ましい統治形態だと絶対的に受け止められているわけではありませんが、西欧にたいする対抗力としての必要性や西欧的統治形態よりはましだという判断で受け入れられています。
(オマーン、カタール、クウェート、UAEなどの米英庇護首長国は別として...)

イランのイスラム共和制は、シーア派にとっては好ましいものでしょうが、スンニ派とは肌が合わないものです。(宗教指導者が政治指導者という構造はシーア派的です)

イスラム復古派が統治権力を握っている国はアフガニスタン・タリバン政権の崩壊によりなくりました。
しかし、米英が、アラブ社会主義=イラク・イスラム王制=サウジアラビア・イスラム共和制=イランを倒そうと軍事行動を起こすことで、“最後の拠り所”としてイスラム復古派が急速に勢力を拡大することになると思っています。

イランは、国家としてはできるだけ牙が自分のところに向けられないように動きますが、非国家レベルで米英と戦うことになると予測しています。
敬虔なムスリムが、軍事力を背景とした米英的価値観&統治理論による支配を受け入れるとは到底思えません。

スンニ派・シーア派でそれぞれ“拠り所”が異なりますが、アラブ社会主義・イスラム王制・イスラム共和制が瓦解することで、イスラム本来の姿である非国家組織が、西欧への対抗力として浮上してくるはずです。

米英の軍事介入は、中東の従来的国家形態を崩壊させることはできますが、イスラムの非国家組織との戦いに勝利することはできないと予測しています。


米英の軍事介入目的は、イラクの政権云々ではなく、イスラム法国家の消滅であり、それを要求する敬虔なムスリムやイスラム復古派の排撃です。

アラブの多数派は家族の生存を維持することに汲々とするでしょうが、少数派は、イスラムに殉じる行動をとります。多数派の多くも、そのような少数派を売ることはありません。
アフガニスタンで反米闘争に殉じている人々も少数派です。それでも、米国は排撃できずに泥沼にはまっています。

イスラムの反米英闘争は、中東のみならず、北アフリカ諸国・パキスタン・インドネシア(・マレーシア)というムスリム多数派国家に飛び火し、米英のムスリムにも大きな影響を与えることになります。

>>{ユダヤ教を乗り越えた“世界”商人の宗教であるイスラムが現実の変化のなかでど
>>のような変容を遂げていくかは、世界の今後に大きな影響を与えるはずです。}

>同じようにユダヤ,キリスト教も変容しないのですか.

ユダヤ教は西欧の近代化に触発されたシオニズムという近代的思想によって変容し、キリスト教も、米欧ではたんなる“心の問題”というものに変容しています。

イスラムも、植民地支配の過程で政経分離が実現されたり、西欧近代思想の一つである社会主義を採り入れたアラブ社会主義で政経分離が進んだり、西欧勢力と利権で結びついた王制(首長制)という歪んだかたちになっています。

米英が軍事力でイスラム法国家を消滅させるという最後の一線を超える政策を採ることで、イスラムが何かということが強く意識される世界が訪れると考えています。

それは、ムスリムだけではなく、ユダヤ教徒・キリスト教徒・アジア的価値観保有者にも精神的影響を与えることになります。

そこから、新しい価値観が醸成されていくことを期待しています。


>>{宗教を価値観&共同体形態論の体系として考えたとき、宗教がなくなる世界は考え
>>られません。
>>民主主義・自由主義経済・人権意識・共産主義・儒教なども形態が異なるだけで本
>>質宗教だと規定しています)}

>人権は各個人生まれ持った権利と考えます.権利が宗教になりえるのですか.

権利は、国家及び他者に対する権益の主張であり、国家によって実現がはかられるものです。
各個人が生まれもって人権を持っているという意識は(近代的)宗教です。

宗教のなかには仏教のように統治論を含まないものもありますが、権利と義務を細かく規定した法体系も価値観=宗教に基づいて確立されるものから、宗教と言うことができます。(笑い話ですが、無神論も、そのような価値観であることから宗教ということができます)

近代において宗教と政治(統治論)が分離されたといっても過言ではなく、それまでは一体のものであったと考えるほうが素直です。


>>{ユダヤ教(キリスト教)→イスラムという発展を見せたバビロニア起源の商人=貨
>>幣崇拝=超越神宗教は、別種のものに変容していくと予測しています。}

>別種のものとは具体的に何でしょうか.

それは、各宗教を信仰されている人々が変容させていくものなので、無信仰者としては推論を差し控えさせていただきます。


>若い世代は特にそうですが,日本はじめアメリカ,ヨーロッパなど,かなりの宗教離
>れが見られ,神を信じない人も多い.しかし、これはどうもこれらの宗教と対立す
>る,もしくは神を信じる宗教を侮辱する思想といえなくもない.(輪廻転生の思想を
>話したら、激怒して失望されてしまった)こんな神経質?敬虔?なこれらの宗教信者
>に対置できる価値観とは何でしょうか.

宗教は、個人がベースであれ、家族がベースであれ、共同体がベースであれ、多くの人々が関係性を持ちながら生存していくことを安定的にかつスムーズにするための“考え方”体系です。

神の実在・不在や輪廻転生の有無は基本的な問題ではありません。

「近代化の嵐」が地球を覆ってしまった現在において、その現実を無視したかたちで問題を解消することはできません。

神の実在・不在や輪廻転生の有無などをちゃちで打ち消すのではなくきちんと“棚上げ”した「共生の智恵」が求められていると考えています。


>>{米英の「中東軍事介入政策」が、ユダヤ教(キリスト教)・イスラムに変容をもた
>>らすことになるのではないかと勝手に推察しています。}

>具体的にどのような?

このレスでこれまで書いてきたことで置き換えさせてもらいます。


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