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給与引き上げと輸出価格及び為替レートの関係 投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 02 日 21:12:54:

(回答先: 補講をお願い致します。 投稿者 baka 日時 2002 年 11 月 02 日 17:46:14)

bakaさん、こんばんわ。

>「輸出優良企業が財の物理的な増加には結びつかない供給の増加を行えば、デフレ解
>消に向かうことができます。
>このような供給の増加は、給与の引き上げを意味します。」

>とありますが、これを実施するためには、輸出商品の価格上昇を行なうことになるの
>でしょうか? そして、それに伴い円高に誘導する必要がある、ということでしょう
>か? あるいは逆に、円安に誘導し、安く多く輸出するべきでしょうか?


ダンピングという批判は浴びることになりますが、輸出商品の価格をことさら引き上げる必要はありません。
輸出で従来通りの利益を得たいと考えれば、輸出商品の価格を引き上げる必要がありますが、それによって国際競争力を失ってかえって利益を減少することになると判断するのなら、価格を据え置けばいいということになります。
輸出数量が給与の上昇率以上に減少すると国内の財価格が下落するので、それを勘案した輸出価格政策が求められます。

輸出分を含む財の供給活動に必要なお金は国内に投じられていますから、そのお金が国内できちんと使われれば、利益は得られないとしても、収支とんとんで回収することが出来ます。

輸出は、コストの回収源ではなく純粋な利益源だと考えればいいと思います。(論理的には、輸出のみが利益源です)
コストの回収を考える必要はないわけですから、タダではなく輸出すれば利益を手に入れることができます。(国民経済的には、輸入額に相当する輸出額は必要です)


円ドルレートを考えれば、同一商品で日本の輸出価格が上昇すれば、円安誘導要因になります。
外国為替レートは、短期はともかく、中長期的には相互に競争関係にある国際取引財の価格変動に規定されます。
例えば、同一性能の自動車が日本:120万円で米国:1万ドルだとすると1ドル=120円になります。それが、日本:130万円で米国:1万ドルに変動すると、1ドル=130円になる方向に為替レートは動きます。
そして、日本の自動車産業が生産性を上昇させる力を持っていれば、再び、1ドル=120円の方向に戻ります。

論理的には、日本自動車産業の給与上昇を日米の生産性上昇格差の範囲内にとどめれば、円ドルルートはそのまま維持されることになります。

現実の外国為替レートは、資本移動や投機によっても変動しますが、中長期的には競争的国際取引財の価格変動に規定されるものです。(投機を除けば、経常収支の黒字と資本収支の赤字の差額が、財を基準とした為替レートから現実の為替レートが乖離する要因になります)

さらに言えば、財の価格が基準ですから、通貨流通量の変動が日米で同じであれば、日米の労働生産性(「労働価値」)の変動差異で為替レートは規定されます。

戦後の円ドルレートは、米国で生産された価格が日本以上に上昇した過程を反映して「円高ドル安」という長期的傾向になっています。
米国は国際金融活動のメリットを考えドル高を志向しているので、「円高ドル安」には歯止めがかかっています。
米国産業はドル安になっても生産性の上昇力で日本産業に劣っていたため、ずるずるとドル安になりました。

円安にすれば輸出が伸びるというのは、70年以降「円高ドル安」が基調なのですから、一時的には妥当性があっても中長期的には適用できない考えです。

輸出を伸ばす力は、為替レートではなく、1台の自動車を生産するのに必要な人的活動力を減少する労働生産性(「労働価値」)の上昇です。
為替レートの変動は、労働生産性の変動がもたらすものです。

また、アジア諸国との水平分業が進んでいる現段階では、円安が国際競争力を高めるわけではありません。かつてのように、原材料を輸入に頼り、それ以降は最終消費財まで日本で生産するというのであれば円安が輸出競争力を高めることになりますが、生産財から最終消費財まで輸入している現状では、それらの輸入価格が高くなる円安は輸出競争力を低下させる可能性もあります。

円高がイヤなら、日米の労働生産性上昇率の差だけ(日本が上だとして)、給与を引き上げればいいことになります。
日本の場合は、円高になれば、給与は抑制してさらにいっそう労働生産性の上昇に励むという行動をとったために、さらなる円高を招いたとも言えます。

円安は輸出企業の利益を拡大させることは確かですが、それを円高に跳ね返らせないためには、その増加分を資本流出させなければなりません。

輸出数量を増やし利益も拡大しながら円安を維持するという都合のいい交易条件は、短期では実現が可能だとしても長続きはしないという理解が必要です。

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