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超一級の経済認識力をお持ちのケイちゃんに
投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 13 日 18:18:54:

(回答先: 供給が需要を作るのか、需要が供給を作るのか。 投稿者 ケイちゃん 日時 2002 年 11 月 13 日 05:40:37)

ケイちゃん、レスありがとうございます。

「供給が需要を作るのか、需要が供給を作るのか。」という“混迷”を避けるために、「【補足】供給と需要」を追加投稿したのに元の木阿弥になったことを残念に思っています。

ケイちゃんは、投稿内容から察するに、経済学的見識も豊富で優れた現状分析力を持たれている方だと判断しています。
「構造改革論者」や「インフレターゲット論者」で満ちている現状の経済問題論調に照らせば、ほとんどの経済学者や経済評論家を超えた経済認識力と政策立案力を持っている方です。
(このサイトでも多くの経済学者の論説が紹介されていますが、経済事象に対する認識力や政策提言力はそのすべてを上回っていると勝手に評価させてもらっています)

そうでありながら「供給=需要」をご理解いただけないことに、自身の説明力の無能さと日本経済の先行きに暗澹たる思いを抱いています。


「構造改革論」:現今の経済状況における「構造改革」は自国破壊行為であり、愚昧でなければ、隠れた意図もしくは個人的利得のもとに主張されているものです。

「インフレターゲット論」:現状を打破して国民生活を改善したいという善意は重要なので評価していますが、デフレ・スパイラルでは実効性のない政策では思いが空回りするだけです。

「政府紙幣発行論」:私自身、国際圧力を跳ね返して実現できるのなら、これしかないのかなとも思っています。しかし、「供給=需要」という経済論理を曖昧にしたまま市場原理的自由主義価値観のもとでの「政府紙幣」発行は、これまで書いてきたようにやがてハイパーインフレになると考えています。


「政府紙幣」をとりあえず脇に置くと、供給=需要が原理であり、通貨の退蔵や金融取引に使われることから通常は供給>需要となり、供給を上回る需要を実現する究極の手段は輸出だけです。(赤字財政支出は、貯蓄の別人による取り崩しであり、貯蓄の源泉は供給活動です。貯蓄は供給・需要に投じられた通貨の一部です)


「政府紙幣」を発行するにしても、普遍化した貨幣経済(国民経済)における供給=需要という原理をきちんと認識していなければ合理的な経済政策運営はできないというのが論旨です。


>供給が増えるのは、需要が高まると予測できる環境にあり、新規投資がペイすると企
>業部門が考える時のみである。海外国内市場ともにそんな状況にはないことは明らか
>だ。

これは、市場原理的自由主義価値観において通用する経済論理であり、近代経済システムに適合する経済論理ではありません。

内外で需要が高まると予測できないときは、物理的な供給量が増加しないかたちでの供給の増加でしか苦境を脱することはできません。

「政府紙幣」発行がその制約を打破する力を持っていることを認め、それが使われることも認めても、この論理の共有を広げることはきわめて重要だと考えています。


>需要が先か供給が先かというのは鶏と卵の議論みたいなものだが、少なくともデフレ
>下においては需要を刺激することが正しいのは間違いない。供給を無理矢理増やして
>も売れない在庫が積みあがるだけだし、優良企業の社員の給料を増やしてそれをもっ
>て供給増と定義したところで、定義しただけの話で誰もそんなことは実行しない。

「供給=需要」と言っているのに、“鶏と卵の議論”という論証的かつ時間軸的先行論理を持ち出されることに唖然としてします。

供給と需要は、国民経済的“論理”としてイコール(同時)です。(放置すれば、供給>需要になりますが)

時間軸的観念を持ち込めば、「供給が需要をつくる」という意味で供給が先です。

供給活動が終わらなければ需要は満たされません。(機械設備や建設などの受注生産は先払いもあるので微妙な扱いになりますが、需要を満たすのは完成したときです)

供給活動のある期間が終わらなければ給与は支払われず需要が顕在化しません。

「供給を無理矢理増やしても売れない在庫が積みあがる」という説明も、物理的な供給量を増加させないかたちでの供給増加(給与引き上げ)と主張しているのですから、難癖に近い反論です。

「優良企業の社員の給料を増やしてそれをもって供給増と定義したところで、定義しただけの話で誰もそんなことは実行しない」というのは、現在の価値観状況ではそうだろうと思っています。
しかし、金持ちの取り分を貧乏人に少し分け与えよというものではなく、そうでなければ、やがて、金持ちも少しずつ貧乏人に転落し、営々として築いた企業も徐々に破綻していくことになるという“価値観”の提示と、給与として支払ったもののほとんどは需要を通じて供給主体の懐に戻ってくるものであるという“経済論理”をきちんと説明すれば、実行されない考えではないと考えています。

国民生活全般のことを考えれば居直ることはできませんが、このような理屈が理解されないのであれば、「政府紙幣」を発行する必要はないと言いたくなります。(これは価値観の問題ですから、論理としては受け止めないでください)


>政府紙幣を発行しても、生産拠点が海外へシフトすればその分、国内で上げられたで
>あろうGDPと雇用が小さくなるのは事実である。
>しかし、なぜ海外生産シフトが進んでいるかというと、デフレによる低価格化競争激
>化の面が相当ある。日本の経営者は、そこそこの経営が成り立つのなら国内でクビき
>りもしたくないし、文化の異なる外国で余計なリスクなど抱え込みたくない、と考え
>ているのである。
>海外移転を行い、社員のクビを切るには莫大なコストがかかる。それでもやるのは、
>これがいわばラスト・リゾートだからである。後がないわけだ。
>そういう状況に追いこまれる企業が過半を占める前に政府は即座にこの政策を決断す
>る必要がある。今ならまだ大したことにはならない。
>政府紙幣により景気刺激を十分に行えたなら、海外生産シフトが加速度的に高まるよ
>うなことは考えられない。要は、デフレを直ちに止め、需要を増大させることが喫緊
>の課題なのである。構造改革だの、不振企業の整理統合だのを進めると、これまで良
>かった企業までがどんどん悪くなってゆく。

企業経営者の思いは、かつては大勢がそうであったし、現在でも少なからずはそうだろうと思っています。
製造拠点の海外移転も「デフレ不況」が加速化させているというのは私の持論でもあります。

ケイちゃんのこの部分は、内閣・国会議員・官僚・メディアに是非とも読んでいただきたい内容です。

しかし、海外生産シフトが加速度的に高まらないとはいえ、市場原理的自由主義経済価値観が横溢している現状で「政府紙幣」の発行による需要拡大が行われたら、より多くの利益を獲得しようと動きを制することはできません。

同一産業のすべてがそういう動きをしないとしても、1社でもがそうすれば、価格競争力の関係で多くの企業がその方向に動く可能性を否定できません。

より多く利益を上げる手法があるのにそうしないのはバカだというのが、市場原理的自由主義経済価値観の言説です。

「政府紙幣発行」と「あっしら流供給増加策」のどちらも、現実化したり、スムーズに運営するためには経済価値観の転換が必要です。


>許容範囲のインフレなり円安なりが進行するまで政府は紙幣を刷るべきだ。全てを需
>要増に使う必要はない。一部は累積財政赤字の穴埋めや銀行の不良債権問題解消に
>使っても良かろう。「政府紙幣の活用」をキーワードに正統派デフレ経済学を早急に
>打ち立てるべきではあるまいか。

国民生活の安寧が第一義だと思っていますので、「政府紙幣」がたとえハイパーインフレを招来することになるとしても、「政府紙幣」のほうが受け入れやすい政策であればそれを支持します。

ハイパーインフレ(スタグフレーション)は抑えようと思えば、生産性の上昇と通貨流通量の制御で国民経済の低落なしで抑えることができます。

(貨幣)ストックは利用すべきものでそれから利得を得るものではないと考えているので、フローの改善に貢献するインフレには賛成です。


「供給=需要」原理を持ち出しているのが、どうあがいても行き詰まる近代経済システムを乗り越えるキーワードだと考えているからだということをご理解いただければ幸いです。


※ ケイちゃんへの質問

前回、「しかし、こんなに便利な打ち出の小槌があることがわかれば、これまで無分別に赤字財政支出を行ってきた政治家たちがそれをどのように使おうとするかは想像できる。この意味でも、需要拡大のために「政府紙幣」を発行することは、ハイパーインフレへの道になる可能性が高い」ということを書きましたが、この問題についてはどうお考えでしょうか?

財政危機は80年代初頭から大蔵省によって声高に叫ばれながら、バブル形成期を含むその後も赤字財政支出が拡大し、90年代には飛躍的に増加し現在の破滅危機に至っています。

「政府紙幣」発行は、債務履行の負担がないがゆえに政治の力によって制御を失い、ハイパーインフレ(スタグフレーション)に至るのではという危惧を強く持っています。


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