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http://www.asyura.com/2002/dispute4/msg/187.html
レス2:ハイパーインフレ(悪性インフレ)について
投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 14 日 19:40:00:

(回答先: まずはデフレ脱却 投稿者 ケイちゃん 日時 2002 年 11 月 14 日 07:00:24)

>(2)政府紙幣発行にあたっての政策理念

>さしあたっては、デフレ脱却、景気刺激を最優先するということで十分である。イン
>フレ率が30%とか50%になって国民が黙っているはずがない。インフレを抑えるのは金
>利調節で十分行ける。
>ハイパーインフレなど相当無茶苦茶な紙幣乱発をしなければ起こらない(南米やロシ
>アと日本の産業基盤は圧倒的に異なる)。慎重にかつ敏速に段階的増刷オペレーショ
>ンを行えば、自ずと発行額限界も見えるし、万一インフレになれば抑えこむ事もでき
>る。国民の声に流されて赤字国債と同じように垂れ流しになるのではないか、との懸
>念だが、それは杞憂である。なぜなら、政府紙幣を発行しても景気回復が十分でな
>く、インフレの恐れすら出てくるとしたら、その時点で国民はさらなるインフレか景
>気低迷のいずれかを選ばなければならなくなるからだ。どっちの害悪を好むか国民に
>問えば良い。現時点では、”避けられる”デフレを放置している段階である。避けら
>れるものはさっさと避け、次の段階へ進むべきだ。


「デフレ脱却、景気刺激を最優先する」という考えは理念ではなく欲求ないし願望でしかないという野暮なことは言いたくないが、行く末を案じざるを得ない考えである。

「デフレ不況」下でインフレの心配をして何の価値があるということを承知しながらも、「政府紙幣」というアイデアに対しては警鐘を鳴らす義務があると考えている。

流行言葉でハイパーインフレという量的な形容を付けたのが悪かったのだが、ハイパーインフレとはインフレ率の値で識別すべきものではないと考えている。
ハイパーインフレの後ろに()付きでスタグフレーションと書いたように、ハイパーインフレは、名目GDPはプラスでありながら、実質GDPがマイナスになる経済変動である。
50%のインフレ率でも実質GDPがプラスであれば、ハイパーインフレではない。
3%のインフレ率でも実質GDPがマイナスであれば、ハイパーインフレである。

ハイパーインフレこと悪性インフレはデフレほどの経済災厄ではないが、実のない上滑りの経済活動になるという意味で厄介な経済事象である。

国民は、名目所得が増えたのに購入できる財や用役は減少する。
企業は、売上も利益も増加したのに、同じ設備・原材料などを購入しようとしたら補うことができない金額でしかなった。
銀行は、実質金利で貸し出しをしていない限り、利息付きで返済された金額では貸し出し元本で購入できた財が購入できない。
得をするのは、名目金利で借金をして売上や所得を増やした主体だけになる。

「デフレ脱却、景気刺激を最優先する」という考えは、供給を需要で引っ張るというものだから、高度成長期のように生産性の上昇と供給量の拡大が一体化していなければハイパーインフレを招来する可能性を内包している。
(高度成長期が保護主義貿易を基礎に達成されたことを忘れてはならない)

「インフレ率が30%とか50%になって国民が黙っているはずがない。インフレを抑えるのは金利調節で十分行ける」というが、中南米やロシアの国民はインフレ率の昂進に悲鳴を上げて“もっとお金をくれ!”と叫び、政府がそれに応えたから悪性インフレの悪循環からなかなか抜け出せなかったのである。
確かに、中南米やロシアは、日本の産業基盤とは違うし、国内通貨はハードカレンシーでもない。
しかし、日本の生活水準が中南米やロシアとは違うことも確かである。
それぞれの国民経済は、達成した生産性レベルでそれにふさわしい国民生活レベルと国内産業構造を実現している。

これは、国内産業基盤が毀損していたり、自由な輸入増加が起きる条件であれば、日本ほどの産業基盤を持つ(持っていた)国民経済でも悪性インフレが起きるということである。

「その時点で国民はさらなるインフレか景気低迷のいずれかを選ばなければならなくなるからだ。どっちの害悪を好むか国民に問えば良い」と割り切っているが、さらなるインフレ=さらなるお金を選択する可能性が大である。
「どっちの害悪を好むか国民に問えば良い」ではなく、他により少ない害悪で済む方法があるのなら、それを強力に提示すべきである。


>(4)政府紙幣の使途について

>あっしら氏は公的債務の履行(国債などの償還?)や赤字財政支出(30兆円範囲)に使途
>を限定すべきではないかとしている。これだけでも何百兆円もある話だから決して小
>さい話ではない。だが、景気回復のための財政需要というのは数限りなくある。無限
>といっても良い。流行の銀行への公的資金投入ってやつもそうだし、破綻しかかって
>いる年金の原資だってそうだ。私は言わば公的債務の履行という過去の清算にだけで
>なく、将来のためになる財政支出にも政府紙幣を利用すべきだと思う。前にも言った
>通り、ハコモノには限定的にすべきだと思う。政府紙幣の活用で止血している間に
>様々な改革を行って経済構造を作り変えてゆけば良いと思う。

ケイちゃんの論考を読めば読むほど、「政府紙幣」は、公的債務の履行(利払い及び元本返済)と赤字財政支出(30兆円範囲)に限定して発行すべきだと主張したくなる。

銀行への公的資金投入は、30兆円から50兆円だとしても、それは再生した銀行の利益と再び民営化するのなら株式売却益で回収すべきである。

年金は、国債費20兆円がその原資に回ればお釣りが出る。

「将来のためになる財政支出にも政府紙幣を利用」するということになれば、政府紙幣は政治の力で濫発されることになるだろう。

「政府紙幣の活用で止血している間に様々な改革を行って経済構造を作り変え」るというのも、理念が「デフレ脱却、景気刺激を最優先する」であれば、誰かが割を食うことになる改革なぞ放り捨て去られることになるだろう。
(「デフレ不況」が長期化しているからこそ、「構造改革」も、藁にもすがるという気持ちで支持されているのである)

「政府紙幣」は、榊原氏風のつまらない限定とは言わないが、悪性インフレを招く恐れが大であるケイちゃん流の積極果敢な利用も避けるべきものである。(経済システムが変わった時点は別問題)

「政府紙幣」の発行で国債費20兆円と赤字財政支出30兆円が賄えることで十分としながら、後は知恵を絞りながら経済再生を行うべきだと考える。


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