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米で牙むく西ナイル熱 治療法なく死者150人以上〔朝日新聞〕 投稿者 柘植行人 日時 2002 年 10 月 27 日 00:20:34:

 米国で西ナイル熱が猛威をふるっている。「バイオテロじゃないのか」と連邦議員が過剰反応するほどだ。原因となるウイルスを蚊が媒介するため、流行地域の住民は庭でのバーベキューを控え、外出時は虫よけスプレーを吹き付ける。アフリカの風土病が上陸して3年。牙をむいた病気は、一筋縄ではいかない不気味な素顔を見せつつある。米疾病対策センター(CDC)によると21日現在、陽性者は3231人、死者176人。(ワシントン=村山知博)

 ◆発症 「不運なクジ」 働き盛りに突然ポリオ類似症状も

 「一般的な症状とほぼ同時に、この症状も出ます。だれが不運なクジを引くのかは、出てからでないと分かりません」
 CDCのジェームズ・セブジャー博士が当惑ぎみに言う「この症状」とはポリオ(脊髄(せきずい)性小児まひ)のような症状のことだ。
 頭痛や発熱といった典型的な初期症状とともに手足がまひ。寝たままになったり、人工呼吸器がないと息ができなくなったりする人もいる。
 セブジャー博士は「治療法はありません。感染を防ぐ以外に、予防法がないのです」と話す。
 普通の西ナイル熱で重症になるのは、たいてい高齢者や体力の落ちた人だ。しかし、ポリオ類似症状を示す患者は働き盛りが目立つうえ、発病前は健康だった人がほとんどという。
 「ポリオウイルスと同じように、西ナイルウイルスも脊髄の神経細胞を壊すようです」とセブジャー博士はみている。

  ◆議員 「国家の重大脅威だ」 母乳や輸血も感染ルートの疑い

 感染ルートでも意外な問題が――。
 「このままでは、輸血をためらう医師も出てくるでしょう。自分の血液を使いたいと望む患者も増えるかもしれません」
 こう話すのは、バンダービルト大のウィリアム・シャフナー医師だ。シャフナー医師は、輸血による感染も決して見逃せないと考えている。
 「輸血直後に発病した人が何人か確認されましたし、血液中からウイルスの遺伝子も検出されました。これで証拠は十分でしょう」
 全米で年間450万人が輸血か、血液製剤の点滴を受ける。米食品医薬品局(FDA)生物製剤評価研究所のジェシー・グッドマン副所長は先月24日、連邦議会上院の委員会でこう証言した。
 「提供血液のスクリーニングを始めなければならないほど、危険な状況にあるのは確かです。来年の夏までには検査体制を整えたい」

 母乳を介した感染も疑われている。
 99年に米国で初めて西ナイル熱が確認されて以来、1歳未満の乳児の患者はいなかった。ところが、今年は少なくとも4人が確認された。
 「赤ん坊は室内ですごす時間が長いので蚊に刺される危険があまりありません。しかも、4人の乳児の母親はみんな感染者。母乳で感染した可能性が強い」とCDCのライル・ピーターセン博士は言う。
 実際、感染者の母乳からウイルス遺伝子が見つかっている。
 米国民は血液や母乳を介した感染を冷静に受け止めている。
 だが、流行地域の南部諸州の議員たちは口をそろえる。
 「西ナイル熱は限られた地域の問題ではなく、国家に対する重大な脅威だ。いま何とかしておかないと、国の公衆衛生行政は破綻(はたん)する」

     ◇

 遺伝子変異発見、治療薬開発に光

 西ナイルウイルスの感染にかかわる遺伝子変異がマウスで見つかった、と米科学アカデミー紀要(8月)に報告された。仏パスツール研究所のゲネ教授と真下知士研究員らの研究で、治療薬やワクチン開発につながると期待されている。
 ウイルスに感染しても重症になる場合と、そうでない場合がある。真下研究員らは、マウスを使って実験。ある酵素の遺伝子の一部が欠けている実験用マウスは感染しやすかったのに対し、遺伝子の欠損のない野生マウスはウイルスにかかりにくかった。

     ◇

 日本も厳戒態勢へ

 厚生労働省など5省庁は「いつ上陸してもおかしくない」と対策会議を設置した。
 厚労省は西ナイルウイルスを感染症予防法の指定感染症にして監視を強める方針だ。診断・治療指針を急きょ作って医師会員に配布。旅行者にも注意を呼びかける。
 日赤も帰国して発熱などの症状が出た人からは献血を受けない措置をとり始めた。
 厚労省研究班はカラスの検査を始めた。ウイルスは野鳥の体内で増える。ニューヨークではカラスやスズメが大量死。野鳥の数十%でウイルス抗体が陽性との報告もある。日本に入ったならまずカラスで検出される可能性が高い。
 米国で昨年、多数のウマが感染したこともあり、農水省はニワトリやウマの輸入検疫を強化。輸出元の牧場の半径50キロ以内で過去60日間に発生がないか確認を求める。
 旧厚生省研究班長として診断・治療指針案を作成した五十嵐章・長崎大名誉教授(ウイルス学)は「ニワトリより感染しやすいペット用野鳥が無検疫で大量に輸入されており、検疫の見直しが必要だ。カラスなどの大量死が見つかれば、通報してもらう体制も不可欠」と指摘する。(2002/10/25)

http://www.asahi.com/science/today/021025a.html

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