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“国策”「法人事業税外形標準課税」をどう評価するか 投稿者 あっしら 日時 2002 年 6 月 15 日 15:34:56:

政府税調が志向している税制変更は、総合的に評価すると、「デフレ不況」をさらに悪化させ税収も減らす愚策だが、それだけを言っても実りがないので、少し個別の問題にスポットライトを当ててみたい。

東京都や大阪府が銀行業に限定した外形標準課税を志向したが、司法の判断もあり尻すぼみになっている。
政府税調が今回打ち出したのは、限定業種ではなく、すべての法人を対象とした「法人事業税外形標準課税」である。

この実施が経済活動にどのような影響を与えるかを簡単に考えてみる。

法人税は、最終的な利益に課税されるものだから、「税金は、個々の経済主体にとってコストである」という論理からいちばん遠い税であり、コスト意識が希薄な税である。
利益が出ていない企業は法人税を納税する必要はなく、法人税を意識するのは、利益が出たときに手元に残せる金額はいくらになるかや株主への配当金をどうするかというときである。

「外形標準課税」は、利益とは無関係に売上(収入)などに対して課税するものである。
この意味で、消費税と同じく“コスト意識”が持たれるものである。


[「外形標準課税」のデメリット]

● 仕入れ及び販売で価格支配力を持つ大企業は、税金というコストを販売で転嫁したり仕入れで吸収できるので直接のデメリットはないが、価格支配力を持っていない中小零細企業であれば、「外形標準課税」がストレートにコストとなり、ある場合は、大企業の「外形標準課税」コスト低減の動きによりさらにプラスアルファのコスト上乗せとなる。


● 企業はできるだけコストアップを商品(サービス)価格に転嫁しようとするので、消費者は、同じ商品やサービスを購入するのに、それだけ余分の支出を強いられることになる。


● 価格競争力がない企業は、「外形標準課税」に伴うコストアップで、利益を減らしたり、ぎりぎりでしのいでいたのなら撤退(倒産)に追い込まれる。


● 個人需要の総和が増大しないのであれば、「外形標準課税」の導入で、実際に購入される商品やサービスの量が減少し、不況をさらに悪化させる。


● 部品や装置など最終製品ではないものを製造する企業の場合、「外形標準課税」が売上高に対して行われるのであれば、日本に本社を残すとしても、製造拠点を海外に移し、そこから納入企業に直接輸出するかたちで“コスト削減”をはかる可能性がある。本社は、企画・仲介営業・財務・海外からの受け取り利益のためだけの存在になってしまう。
 そういうことに規制がかかれば、本社ごと海外に移転する。


● このようなことから、「外形標準課税」の導入が地方税の増収にどれだけ貢献するかきちんと予測する必要がある。(地方税のみで考えれば、増収になる可能性が高いが、国税ベースでは大きな落ち込みになると予測する)


[「外形標準課税」のメリット]

● 商品・サービス価格の上昇要因となるので、所得税制変更とうまく組み合わせれば、デフレ解消に貢献する可能性がある。
  「外形標準課税」で予測される物価上昇以上の所得税軽減を低中所得者向けに実施すれば、GDPを低下させないで、物価上昇を実現することができる。

《結論》

「低中所得者減税(公的負担減)」を同時に実施したときのみ、「デフレ不況」の解消に貢献する可能性があるが、それでなければ、「デフレ不況」をさらに悪化させ、「産業空洞化」も進展させるだけである。
そうであっても、中小零細企業の倒産による失業者の増大と製造拠点の海外移転による失業者の増大を招くので、「デフレ不況」では好ましい税の導入と言えない。

GDPの低下を誘発せず、税収も増やしつつ物価上昇を実現するためには、「外形標準課税」の導入ではなく、「低中所得者減税(公的負担減)」の先行実施と緩やかな金利上昇による手法のほうがずっと合理的である。

「外形標準課税」は、「デフレ不況」下で導入すべき税制ではない。
今は何よりも、「デフレ不況」を少しでも解消できる税制変更を優先すべきである。


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