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責任の取れる決断を税制論議に求めるのは無理?(MSNマネー) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 20 日 12:01:52:

糖尿病と戦いながら酒と歌を選び続け、先日亡くなった村田英雄さん。彼の決断は賛否両論分かれる所だが、彼なりの美学で責任ある人生を選んだとも言える。これ、税制論議の参考にしてみては?

先週13日に演歌歌手の村田英雄さんがお亡くなりになった。「吹けば飛ぶような将棋の駒に〜」のフレーズで有名な「王将」をはじめ、「人生劇場」「姿三四郎」「皆の衆」など男の世界を歌う第一人者だった。これに加え彼がすごいのは、糖尿病を患いながらも酒を止めずに歌手として生き続けたところ。知人のテレビプロデューサーによると、彼は医者から何度となく酒と歌を止めて静養するよう注意されていたそうだ。しかし、人生において酒と歌は不可欠と、彼は両者を決して止めようとしなかった。しかも酒と歌のために悪化する糖尿病の苦しみを人に漏らすことはなかったという。糖尿病という責任を抱えながらも自らの人生(酒と歌)を選び続ける姿勢は、まさに男の人生と言っていいだろう。心よりご冥福をお祈りする。
村田さんがお亡くなりになった翌日に、政府税制調査会(政府税調)は中長期的な税制改革の基本方針を小泉首相に答申した。個人所得課税については各種控除の段階的な縮小・廃止などを、法人課税については外形標準課税の早期導入などを、そして消費税については税率の引き上げなどを、それぞれ示した。答申の内容は増税色が強いものであり、経済財政諮問会議などで要望が強かった減税による経済活性化を明確に否定している。
答申の翌日、ある経済系新聞は、1面でサッカー・ワールドカップでの日本の決勝トーナメント進出を喜び、社説で政府税調の姿勢を「減税なくして経済活性化なし」と批判した。彼らの主張を簡単にまとめれば「減税で経済を活性化しなくてはいけないのに、増税するとはけしからん」といったところ。彼らはまず日本経済の回復が最優先と主張している。
さてここで同じ新聞の6月1日の社説をみてみよう。タイトルには「国債の格下げを警鐘と受け止めよ」とある。5月31日に米国格付け会社ムーディーズは日本国債の格付けを二段階引き下げた。彼らの社説では、日本政府はムーディーズの格下げを警鐘と受け止め、財政赤字などの問題に正面から取り組むべきだとしている。先ほどと異なり、ここでは財政再建に取り組めとある。いったいどちらが彼らの主張なのだろうか?
日本の国・地方の長期債務残高は約700兆円程度(GDP比で約1.4倍)と巨大であり、これに毎年30兆円の債務が新しく付け加わっている。公的債務残高の拡大は、年金等の社会保障制度の存続を危うくするほか、金利上昇を通じて民間活動の抑制(クラウディングアウト)を引き起こす。公的債務残高を減らすことは、日本の財政を健全化するだけでなく、日本経済の中長期的な将来リスクを減らすことにもつながる。日本政府や財務省だけでなく、日本企業、そして日本国民にとっても公的債務残高の圧縮は望ましいことだろう。しかし悲しいかな、現在の日本の財政事情を考えれば、債務残高の圧縮には歳出カットだけでなく、歳入の増加つまり増税が不可欠であるのも事実である。
増税をすれば公的債務残高の圧縮は進み、財政事情も改善することだろう。しかし増税は個人消費、設備投資の減少につながりかねない。一方、減税をすれば個人消費、設備投資の増加が期待できるが、景気が長続きしなかった場合、財政事情はさらに悪化し、公的債務残高は今まで以上のペースで拡大する。こうした二者択一の状況では、(二つともほしい気持ちはあったとしても)どちらか一方を選び、もう片方を諦めなくてはならない。ここには、どちらを選ぶか考え、実行に移す「決断」が必要であり、選択しなかったものを諦めたために生ずるデメリットを甘受する「責任」も必要だ。「財政再建+景気回復」といった都合の良い方法などないことを我々は十分に知っている。今はまさに二者択一の状況だと割り切って考えなくてはならない。
ただ残念ながら、今の日本政府そして小泉首相は、財政再建もしくは景気回復、どちらを選ぶか明確な決断ができていない。また政府に意見する日本の新聞も、首尾一貫した主張をせず「増税はイヤだし、景気が悪くなるのもイヤ」的な主張を繰り返すのみだ。痛い思いを何もせず、ただ「二つともほしい」と叫ぶ姿勢は、玩具売り場で泣き叫ぶ子供の姿と重なってみえる。我々投資家は、こんな子供じみた姿勢なぞ気にせず、村田英雄さんを手本としながら、決断と責任ある人生を歩みつづけていけたいものだ。

マーケットエコノミスト 秋新作
提供:株式会社FP総研

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