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Re: 「製造拠点海外移転」・「高所得者負担増」・「キャピタルフライト」など 投稿者 あっしら 日時 2002 年 6 月 28 日 16:07:56:

(回答先: Re: 【世界経済のゆくえ】楽観的な日本経済のゆくえ 投稿者 Ddog 日時 2002 年 6 月 27 日 20:32:46)

Ddogさん、はじめまして。

先日のレスで比較されていた小室直樹氏のことは、価値観的立場は大きく異なりますが、「歩く近代主義知性」と感じているほどで、その多岐に渡る豊富な知識に加え、分析力と総合力に優れた思考力に感服しています。独自性の高い視点と考え合わせて、日本で随一の学者?だと思っています。

アップした拙文にレスをいただきありがとうございます。


まず、最初に私のスタンスを知っていただいたほうがいいと思いますので、簡単に説明します。

「近代経済システム」は否応なく崩壊する歴史限定的な経済システムで、移行を先延ばしすれば、その過程でこれまでの比ではない数の人が災厄に見舞われ続けると考えています。
経済社会は沸騰すれば蒸気になっていくというものではないので、日本人も数多く巻き込まれる災厄の期間が、50年間続くかもしれませんし、100年間続く可能性もあります。
どうあがいてもそこそこ好ましいかたちで維持できない経済システムであるのなら、その成果をベースに、「ゆったり働き、のんびり生活するなり、アグレッシブに生活するなり、各人が選択できるシステム」になったほうがいいと考えています。

昨年末頃までは、経済に関する政策提言じみたことを書かないようにしていました。

それは、情報操作の結果であれ、みんなが選択した経済システムの断末魔過程で苦しむのは仕方がないことで、その苦しみから這い上がってそれぞれが決着を付ければいいと考えていたからです。
突然のように宗旨変えしたのは、「近代経済システム」の支配層が、“自然的崩壊”で生じる災厄レベルではなく、災厄を意識的に実現しようとしていると判断したからです。

これまで考えてきたような生易しい近未来ではないと考えたことで、現状分析や将来予測や処方箋を書くようになりました。

別に、私ごときがいくら叫ぼうがそれで現実(意識)が変わるわけではないと思っています。
イメージしている災厄が、長期にわたって歴史を刻んでいくことになるのだろうと覚悟しています。
救世主とも預言者とも思っていないので、自分の生活を守りながら、見守ることにしています。

近未来の経済的災厄で貧乏人もより苦しくなるのは間違いありませんが、経済的打撃を最も受ける階層は、いわゆる中産階級です。日本の金持ちは、すべてその範疇に入ると思っています。
貧乏人から巻き上げることができる“富”は微々たるものですが、中産階級からは、ある程度まとまって巻き上げることができます。
そして、「デフレ不況」という日本の現状は、そのような“巻き上げ”を実現しやすい条件を与えています。

高額所得者の負担増も、それをできるだけ避けられる条件を持った日本にするための提案です。
国債を3兆円増発して、「低中所得者負担減策」のみを実行しても効果は同じように現れますが、財政危機はさらに深まります。その付けを支払うのも、負担能力がある階層になります。(増税だとは限りません。高いインフレが起きても、ペイオフが実行されても同じです。貧乏人はその月暮らしですが、中産階級は金融資産を保有していますから、そのような経済変動で被害を受けるのは彼らです)

企業に関しても、世界経済の枠組みから逃げるのであれば別ですが、どこに製造拠点を移そうと、どこに本社を移そうと、各国国民経済の総和である世界経済の変動から逃れることはできません。
これからじりじりと「世界同時デフレ不況」が進んでいくと考えています。
中国で生産しているものを中国で販売するのなら別ですが、それを日本や米国に輸出して貨幣に変えたいと思っているのなら、「世界同時デフレ不況」に直撃されます。
日本企業や米国企業が、それぞれの国民経済の購買力を製造拠点移転などで減少させてしまった結果として起きるのが、「世界同時デフレ不況」だからです。

「世界同時デフレ不況」が深刻化すれば、どの政府も、自国民の利益を優先した政策を採らざるを得なくなるような圧力を受けるようになり、外国人や外国籍企業が矢面に立たされる可能性が高くなります。


金持ちは金に執着するから金持ちになり、企業は増殖を運命づけられた“資本の論理”に従ったから企業として存在していると思っているので、手取りの金が減らされる政策や動きを縛られる政策を忌避すると思っています。

だからこそ、「イメージしている災厄が、長期にわたって歴史を刻んでいくことになるのだろうと覚悟してます。」

なお、「製造拠点の海外移転」は、政策で抑制するのではなく、“理を説くこと”と“首相の土下座”で抑制すべき問題だとしています。


>このサイトの基本テーマ 国家破産は、高額所得者ほど、けしてフィクションではな
>いと感じているようです。ライオンは眠れない、KPMG木村剛氏のキャピタルフラ
>イト等のベストセラーが出るなど、着々と一部金持ち層はバンクホリデイへの知識が
>啓蒙され、Xdayへ備える動きはでています。まだ主流ではございませんがネ。高
>額所得者への負担増は、イチローのように、日本から高額所得者を輸出することにな
>りませんか?高額所得者の海外移転、逃避が顕著になるだけです。

キャピタルフライトは、国債サイクルや金融システムに深刻な影響を与える問題ですが、現在の日本であれば、それで破滅するわけではありません。
日々、月々、年々の労働成果財の生産を維持すれば、しのいでいけます。

また、米英やユーロ圏に逃避したら安全というわけではありません。
自分の家族も一緒に飛んでいって、そこで事業でも行えばまだ救いがありますが、金融資産だけを逃避させて、それを日本での生活の保障にしようと思っているのなら、「世界同時デフレ不況」のなかでその願いが吹っ飛ぶ可能性もあります。
今は日本が先行して「デフレ不況」の渦中にいるだけです。たんに今の時点で、米英やユーロ圏など他の先進諸国の金融資産のほうが安全だと思えるだけです。
金融資産は将来に備えたものでしょうから、それを日本円に転換する時点の予測がきちんと行われば意味がありません。(釈迦に説法になりますが)

(近代経済の基礎的条件は、今なお、日本が世界最高だと思っています)

このような意味で、イチローのように、自身の労働成果で外国で高額を稼げる人は問題にならないでしょう。放映権料などが米国により多く流れるようになりますが、イチローのように自分の労働を外国で高く売れる人は、幸か不幸か数が限られています。
そういう自信がある人は、出稼ぎであれ、移民であれ、海外に出ていってかまわないと思っています。

バンクホリデイは、それほど現実味があるとは思っていません。ハイパーインフレで二進も三進もいかない状況であれば現実性がありますが、公的過剰債務問題はあるとはいえ、デフレです。
法的問題があるのみならず、エンサの声が上がる政策を採らずとも、“裏付けのない”日銀券の大量増刷による財政支出拡大でハイパーインフレを起こせば、しばらくはしのぐことができます。バンクホリデイが実施されるとしたら、そのあと収拾がつかなくなってからでしょうね。
(世界経済構造の組み替えという事態に至れば、その時点でバンクホリデイが実施される可能性はありますが...)


>追補 あっしら氏は失業対策として、現代日本の下放政策、都市失業者の帰農政策を
>提唱されています。他に手段がないので、そのとおりと賛同したいが、一歩間違う
>と、土建帝国を人民公社に置き換えるだけになりかねない。更なる財政赤字を生む元
>凶になるのでは?先日農業法人が確か認められましたが、まだ農地売買の規制等、農
>政のリテールでは、多くの難しい問題があるのでは?それに農業は、簡単に都市生活
>者が自活できるほど安易な職業ではないと思います。

都市失業者の帰農政策は、それがなければ支出が生じる失業保険や公的生活扶助の範囲内で行うべきだと思っています。(労働をしない(労働ができない)まま、公的支出を行うより、労働に対する報酬として公的支出をしたほうが好ましいということです)

農地取引規制に絡む問題なので、法的整備は必要になります。

食糧自給率を70%くらいまで高めていく政策を取り始めないと、10年後には手ひどいしっぺ返しを喰らうと予測しています。
食糧こそ、もっとも自国民優先政策が採られる商品ですからね。

「農業は、簡単に都市生活者が自活できるほど安易な職業ではない」という指摘についてはそう思っております。
強制的に農業に従事させるという政策は考えていません。条件を明示し、それに納得した希望者だけが“国策”の農民になるというものです。

失業していない都市勤労者が農業を志向し、失業している都市勤労者が都市勤労者にこだわるということもあるでしょう。(こういう雇用のミスマッチもあると思っています)

まずは農業に従事することが今以上に魅力あるものと感じられる政策を採ることが最優先です。


半分冗談ですが、キャリア官僚や余剰公務員には、最低賃金で職を続けるか、帰農するかの選択を突きつけてもいいと思っています。


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