★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
Re: 諦観と見られない事を希望しつつ 投稿者 如往 日時 2002 年 8 月 24 日 02:51:23:

(回答先: 諦観と見られない事を希望しつつ 投稿者 匿名希望 日時 2002 年 8 月 22 日 05:51:52)

 「匿名希望」氏さんへ


 唐突な投稿にも拘わらず、早速のレスポンスに謝意を表したいと思います。

 先ず、「匿名希望」氏が、その教化に癖癖した西部邁のように大衆から相当な距離を置いてしまっているのではないことは、これまでの紙背に見え隠れしていると感じています。同時に、おそらくそれは所謂職業意識の一端において露わにでき得ないことなのでしょうが、しかし氏の苛立ちが幾許か、時折突き放すように賛意の表明をされる様子に見て取れるというのは深慮に過ぎるでありましょうか。何れにしても、内心はポピュリズムとの隔絶を分別に、氏にとってはグランド・デザイン提示までの周辺部の確認作業に類するものでしかないのでしょう。

 ところで、我々の先達と私達は、60年時の問題の当事者としては余りに政治的に未熟であったこと、さらに70年時の問題を政治問題に転化できずにローカルな社会問題に矮小化させてしまったことの咎、未だにそれらの総括をできずに今日に至っています。勿論、とりわけ40年代の問題はなん人も総括し得ずにその当事者の数多は疾うに鬼籍に入ってしまっています。しかし、そんなこととは無縁に日本の行政力は淡々と業務を遂行していたのです。古のnoblesse obligeのnoblenessではないNoblenessを打ち立てることも儘ならぬままよくやって来たと思います。さらに、プロテスタンティズムのような堡塁を有することもなく、嘗てマックス・ウエーバーが説いた官僚統治がここ日本の地で比較的よく機能して来たものです。その要因を日本人の民族特性によるものだと断じ、無批判に依拠するのは浅慮に過ぎるでありましょう。私は何人かの政府官僚の知己を得ておりましたが、今より自由闊達な世情の中において左右両翼の思想に造詣が深く清濁混交を含みよく弁別し、確かにテクノクラートとして優秀な連中でした。人間的資質を十分条件とすれば言語操作能力がその必要条件であることを否定はしません。リアル・ポリティクスの実際において人間的資質が暫し埒外に置かれるのは仕方がないことですが、必要以上の言語操作重視はそれこそ現実との乖離を招来し兼ねぬ故、厳に慎むべきでありましょう。

 機会均等の枠組み整備のあり方全般について大変危いものと認識しているとの由、私も同感です。とくに昨今の教育改革はその悪しき典型で、機会均等の枠組みとは似て非なるものだと思います。かのスキームでは機会均等どころかそもそも機会を捉える能力自体を人々から奪ってしまうことになり兼ねないでしょう。それよりも、私が自立のシミュレーションの開発を強調するのは、受け手の様子や成長を窺がっているのではなく、受け手にたいし受けるに足るだけの素養を醸成することが重要で、やがてそれが広汎に問題解決の活力となると信じてやまないからです。企業経営において強い組織の要諦は学ぶ態勢にあると言っても過言ではありません。個々(構成員)の学びを組織に活かすのは日本人の最も得意とするところでしょう。しかし、現状は学ぶ技術それ自体に限界を来しているのです。

 さて、「匿名希望」氏のグランド・デザインのコンセプトのようなものは諒解しました。けれども、決して陳腐であると思いませんが、既存のものも含めて余りに多くの階梯が想定されるために却ってその相貌が見え難くなっていると感じます。氏が加えていく個々の論評の中から表題の背後の目次にどんな項目があるか穿とうする当為はなかなかしんどいものです。
 ハイエクの見識の明晰さ確かさとケインズにたいする批判は時代限定的には非常に的を射たものでしたが、それに反比例するかのようにそのポリティクスとコンテンツと云えば全く見るべきものがありませんでした。よもや、氏に限ってはそのような様態ではあるまいと願うばかりです。尤も、氏の用心深さが概要の披瀝すら引き止める限り、そのcriteriaに拙い知識を傾けることも叶わぬのでありますが。

 前回のmailの末尾で思想化のサイクルについて触れました。氏は、ASYURAの別の稿でも現代人の事物を相対化するskillの拙さ、あるいはskillらしきもの全くを持たないことを慨嘆されていると見受けられました。氏が、完全に充足的でないまでも外化を試行していく状況に置かれていることは、名誉でもあり相当な責任を伴うものでもありましょう。なればこそ、自己撞着的で安易な内化へと短絡せぬよう努められますよう胆に銘じて欲しく思います。Noblenessの今日的意味は、noblesse obligeのそれではなく、「能力ある者には果たすべき責任がある」とは周知の如くです。

 この辺で失礼いたします。

 次へ  前へ



フォローアップ:



 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。