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【補遺】戦後日本における余剰労働=余剰資本の変遷過程 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 28 日 00:13:03:

(回答先: 【世界経済を認識する基礎】 “あっしら”的経済概念の説明:国民経済における余剰資本と余剰通貨 《年金問題の本質は“高齢化”にあらず》 〈その11〉 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 27 日 20:51:36)


直接的な労働成果財の生産活動に携わっていない国民に通貨=財を供給するシステムは、戦後日本を顧みれば、経済論理で自立的に確立されていったことがわかる。

2発の原爆投下を含む度重なる都市空襲で産業資産と生活資産が破壊され、朝鮮半島・台湾・樺太南部などの領土を失うと同時にそれらと満州国に築いた資産も失った日本は、そのような経済条件で、本土に戻ってきた数多くの帰還者や復員兵を含めた生活を維持するというレベルから再出発を始めた。

当然と言うかありがたいと言うべきかの米国の援助を受けながら、大きく後退した近代化への道を再び歩み始めることになったのである。


占領終結直前という1950年時点の産業別就業数は、次のようであった。


  農林水産業:1,621万人(44.6%)
  雇用勤労者:1,316万人(36.2%)
商工自営従事者:  532万人(14.7%)
 公務員その他:   89万人( 2.5%)
  完全失業者:   73万人( 2.0%)
=====================================================
     合計:3,631万人


生存のベースである農林水産業に従事している数は1,621万人で、全体の44.6%を占めていた。
02年時点の農林水産業従事者は334万人で、労働力人口6,356万人の5.3%を占めるに過ぎない。

55年から始まったとされる高度成長期を経て、産業別就業者数比率は次のように推移した。

[産業別就業者比率推移]


      75年 02年   75年  02年  構成比
       実数  実数   構成比  構成比   変動
----------------------------------------------------------------
農林水産: 882  334 16.9 5.3 −11.6
  鉱業:  16    4  0.3  0.1  −0.2
  建設: 479  607  9.2  9.6   0.4
  製造:1346 1216 25.8 19.3   6.5
電力ガス:  32   36  0.6  0.6     −
運輸通信: 332  389  6.4  6.2  −0.2
商業飲食:1127 1461 21.6 23.2   1.6
金融不動: 170  240  3.3  3.8   0.5
サービス: 855 1789 16.4 28.4  12.0
  公務: 196  217  3.8  3.4  −0.4
=================================================================
  総数:5223 6293


[産業別就業者構成推移]※上記分類の69年以前のデータが手元にないため


                     総人口に占める
      第一次  第二次  第三次  就業者比率
============================================================
60年  30.2 28.0 41.8  47.5%
70年  17.4 35.2 47.3  49.1%
80年  10.4 34.8 54.6  47.3%
90年   7.2 33.6 58.7  50.6%
00年   5.1 30.7 63.7  50.8%

第二次産業の比率がピークに達したのは、前回、ケインズの乗数理論が有効性を失った年ではないかと想定した73年で36.6%である。(鉄鋼生産量もこの年がピーク)

第二次産業の就業者が比率のみならず絶対数でも低下しながらも、製造業生産指数の推移を見ればわかるが、「労働価値」の上昇で工業的に生産される財の実質付加価値額は、90年頃まで一貫として増加した。
90年代になってからは、不況期特有の循環的上下動を示しており、ほとんど増加していない。(78年を基準にすると、90年は1.67倍、00年は1.68倍)

“物余り時代”と言われ始めたのは80年代中頃だから、第二次産業の就業者推移から言って、“財の生産に従事する就業者数と財の生産量は直接関わらないことがわかる。
(財の生産量に関わるのは、就業者数と資本活動の「労働価値」レベルである)


[工業製品輸入額推移]

       資本財  非耐久消費財  耐久消費財   輸入総額
----------------------------------------------------------------------
80年  2兆1千億円   6千億円   5千億円 31兆9千億円
90年  4兆7千億円 2兆1千億円 2兆9千億円 33兆8千億円
95年  6兆5千億円 2兆8千億円 2兆9千億円 31兆5千億円
00年 11兆3千億円 3兆3千億円 3兆3千億円 40兆9千億円


※ 輸入については、90年代に、資本財(生産設備機器)の「一般機械」及び「電気機器」が著しく増加しているのが特徴


農業生産指数も、就業者数の大幅な減少にも関わらず、「労働価値」の上昇で75年以降一定の水準を保っている。
(これは、季節を問わない野菜の供給や有機農法など農業自身の「労働価値」上昇も寄与しているが、産業の「労働価値」上昇成果の農業への分配という側面が強いと推定できる。勤労者の実収入増加が農産物財の価格を上昇させるという国民経済的サイクルである)
農産物財は、野菜や果物などの輸入増加で大幅に増加し、00年の輸入額は3兆3千億円に達し、原油輸入額を超えている。


農業よりも強く輸入財の影響を受けてきた水産業生産指数は、90年頃までは上昇したが(対78年で1.11倍)、その後は低下し、00年は74年頃の水準まで落ちている。00年の魚介類輸入額は、1兆6千億円である。


このようなことから、間接的な労働成果財(外食・理美容・クリーニング・ソフト業・人材派遣など)や非労働成果財(銀行や証券会社など)の資本活動従事者は増加してきたが、直接的な労働成果財そのものについては、資本活動従事者を減少させても、より多くの財を生産するかたちで推移してきたことがわかる。

これは、労働成果財資本活動における「労働価値」上昇の継続が輸出(貿易収支黒字)を増加に結びついたことで、労働成果財の生産に従事する人々の実収入やその経済主体の利益が増加し、彼らがより利便的・快享受的な財(サービス)への支出を増加させていったり、金融取引への支出を増加させていったことで起きた経済的変動である。

(「労働価値」の上昇が輸出増加に結びつかなければ、財の価格が低下したり、通貨に変えられない財が増加することになり、このような産業連関的需要拡大はもたらさない)

労働成果財のなかには輸入されているものも多いが(とりわけ国民経済と競合する製品輸入が増加している)、貿易収支としては黒字だから、価額ベースでは輸入を補ってなお余りある労働成果財の生産がされて輸出に回っていることになる。

そして、現在、数多くの労働成果財経済主体が、生産した財を思うように通貨に変えられないという販売不振=需要不足に喘いでいる。

このような日本で公的年金制度がおかしくなるとしたら、統治者が経済論理をきちんと認識した上で政策を立案していないと言う以外ないのである。


ある時点で労働成果財資本の活動力が極端に低落したために、その成果では国民全体が生活できなくなれば、ある割合の国民が、その資本活動力に依存して生活することができなくなる。
(スペインなどでも見られることだが田舎がある人は、そこに戻り農作業などを手伝ってなんとか生活を維持するだろうし、田舎がない人は、合法的な生存をあきらめるしかない。前述したように、公的生活保護も資本の活動力に依拠したものだから、資本の活動力が低下すれば、そのような保護を受けることはできない)

具体的に言えば、国民が1億人存在し、そのうち労働可能人口が8千万人だとする。8千万人が総出で頑張って労働成果財を生産しても、その成果である財で1億人が生活できないのなら、生活できない人は自分で身の処し方を決さなければならないということである。
(それほど極端な低落でなければ、経済主体や就業者からの徴税額を増加し、それを再配分することで、平均的所得水準=生活水準を切り下げることで、国民全体の生存を維持することはできる)

しかし、年金問題が声高に叫ばれている日本の現実は、就業希望者の内350万人ほどが失業しており、資本化されないままの通貨が銀行を中心に滞留している経済状況である。

失業者(これも非資本化)や資本化されない通貨が増加したということは、労働成果財の生産だけとは限らないが、活動する資本が通貨量に比して減少したという証である。
(間接的労働成果財や非労働成果財の資本活動も、労働成果財の資本活動が低落することで低落していく)


輸出の増加が期待できない状況で単純に効率化や生産性上昇をめざしても、国民経済を悪化させ、健全な経済主体までが弱体化していくことになる。

本文でも書いたが、日本は、供給(生産)する財を増加させないかたちで余剰通貨を資本化して、国民経済の名目GDPを大きく上昇させる政策を採る以外にないのである。
この過程で実質GDPを引き上げるためには、着実に「労働価値」を上昇させなければならない。
これが、物価の高騰を防ぐとともに、国際競争力の維持に貢献する。

端的に言えば、余剰通貨を財の供給量が増えるかたちではなく資本化することで、日本経済全体にお金が回って好ましい経済状況が生まれる。

(このような政策を採っても、実収入の上昇以上に物価が高騰するという経済事象は起きない)


なお、経常収支をもう少し減らしてもいいと考えているくらいだから、輸入を減らせという主張をしているわけではないことを申し添えておく。
発展途上国が望ましいかたちで豊かになるために輸入を受け入れたり、日本が生産している財が必要な国にそういう財を輸出することは必要なことだ考えている。

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