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ストックとフローそして経済政策 投稿者 あっしら 日時 2002 年 8 月 12 日 15:46:42:

(回答先: 資本化されない“余剰通貨”Re: 『中央公論』7月号掲載の榊原論文を評す [現状認識編] 〈「匿名希望」氏のレス期待〉 投稿者 たにん 日時 2002 年 8 月 10 日 21:28:02)

たにんさん、こんにちわ。

レスありがとうございます。


>消費税など過去の増税が日本の消費を低下させ日本経済に与えたマイナス影響(せい
>ぜい数十兆程度?)は、現在のデフレの発生にとって円高(収益悪化)と産業の空洞
>化(売上悪化)、バブル崩壊(含み資産減)による投資減退効果(数百兆?)に比べ
>て、それほど本質的であったのでしょうか?

経済事象におけるフローとストックの関係をどう捉えるかという問題だと思います。

私は、フローを重視し、ストックはフローによって規定されるものだと考えています。

89年の消費税導入及び98年の消費税アップ+公的負担増加という“低中所得者増税”は、GDPというフロー評価の経済指標に決定的(本質的)で深刻な悪影響を与えました。(名目GDP及び消費者物価指数ベースまでマイナスという「本格的デフレ不況」は98年以降です)

80年代後半の円高局面と対米貿易摩擦のなか、日本企業は、東南アジア及び北米に製造拠点を移動していきました。また、「バブル形成景気」のなかで、借り入れを基礎に店舗投資を中心とした設備投資を拡大しました。(これ自体がバブル形成要素でもありました)

輸出分を中心とした供給=資本の減少(増加がない)とそれ自体の価格は財の供給力に貢献しない土地(不動産)や株式の高騰という経済状況のなかで、「バブル崩壊」を迎えたのです。
(バブルはそう遠くないうちに崩壊するものですが、89年末でバブルが崩壊を始めたのは、89年の消費税導入による企業収益の増加抑制が契機だと考えています。高騰した金融資産をさらに上昇させるためには、より多くの余剰通貨が金融資産市場に流れ込んでくる必要があります)

不動産の取得が借り入れなしで行われていれば、バブルが崩壊しても、愚かな見通しのない投資のツケとしての使用総資本利益率の低下で済みますが、借り入れを伴っていれば、債務返済の困難性と担保価値の劣化という事態に陥ります。
(政府が資産価格下支え政策を採ったのも、債務返済の困難性と担保価値の劣化を問題視したからだと判断しています)

ストック取得の償却やそのための借り入れ返済は、フローである収入(売上&利益)で行われるものです。
これは、ストック価格が下落しても、フロー(名目GDP)が上昇すれば、目減りした資産を償却したり、目減りしない負債を返済することが可能だということを意味します。
そして、名目GDPの上昇は、ある時点では極端に割高であった資産価格を“通常”の水準にしてしまう効果ももっていますから、資産価格の目減りも解消され、目減りしない負債も過大なものとは感じられなくなります。

消費税のフローに対する影響は、89年時点で増減税差し引きで4兆円ほどではないかと見ています。4兆円といっても、それは、企業利益部分を直撃したはずです。仮に企業全体の利益が20兆円だとすると、20%の減益になります。損益のスレッシュホールド付近の売上額であった企業は、赤字に転落します。

90年以降は、消費税の影響と「バブル反動消費不況」が、フロー(名目GDP)下押し、とりわけ、企業収益伸び悩みをもたらしたと分析しています。
98年の中低所得者の公的負担増加は、長期化していた不況意識と金融不安のなかで行われたものですから、正味の影響と考える2.5兆円を超えて4兆円ほどのフロー下押しと企業収益の悪化をもたらしたと分析しています。(97年度の財政緊縮の影響もあります)

「現在のデフレの発生にとって円高(収益悪化)と産業の空洞化(売上悪化)、バブル崩壊(含み資産減)による投資減退効果(数百兆?)に比べて、それほど本質的であったのでしょうか?」という問いかけに対しては、

● 96年以降は円安傾向にあったなかの98年から本格的な「デフレ不況」に陥った

● 産業空洞化は国民経済のフローパフォーマンスの悪化を補うかたちで加速化したもの
 (売上というより利益を確保するために加速化した)


● 含み資産減による投資減退効果については、これまで書いてきたことともダブリますが、フローの拡大なくしては投資の拡大はあり得ないことから、原因はフローの低落にあること
 (フローの拡大なくしては、実質ベースは別として、資産価格の回復も債務の軽減も実現できません)


とまとめさせていただきます。

公共投資の拡大についても、フローの拡大という側面もありましたが、ストック価格の下支えのために動員されたという側面が強く、フローについても、新規投資を拡大するものではなく、建設業の過剰人員や債務返済をサポートするという色合いが強いものでした。


※ オリジナルの書き込みで、90年代の国家政策の誤りとして、「資産価格反騰への根拠のない期待意識」・「資産デフレに対する国策による下支え」・「赤字国債発行急増による公共投資拡大」・「98年の消費税アップや公的負担の増大」・「銀行の機能不全放置」だと指摘しています。


>「資本化されない余剰通貨(つまりバブルとそれ以降の膨大な公共投資により富裕層
>へ蓄積した資産が金融機関の預貯金として停滞し新規に投資されない状況?)」が発
>生した主要な原因は、やはりバブル期以降の国内での技術革新の停滞(投資不足)
>と、市場の成熟、円高による国際競争力の低下(為替リスクによる海外投資への恐
>怖)によって国内外、特に国内に有望な投資先が無くなってしまったからではないで
>しょうか?

「資本化されない余剰通貨」→(つまりバブルとそれ以降の膨大な公共投資により富裕層へ蓄積した資産が金融機関の預貯金として停滞し新規に投資されない状況?)に、対米証券投資を中心にした対外投資増加分からそれによる輸出増加分を差し引いて加えてもらえれば、私が考えている“余剰通貨”の概念にほぼ近いものです。(金融資産市場に“滞留する”通貨も余剰通貨です)

外国に対しては日本の政策は及びませんので、国内に有望な投資先が無くなってしまったという判断については、そう思っています。

有望な投資先が無くなってしまった原因は、前述したものに加え、銀行の機能不全状態を放置してきたことにあると考えています。

日本に有望な投資先がないということは、短期的には中国などアジア諸国がその代わりを果たせる可能性があるとしても、世界中に有望な投資先がないということを意味します。
(中国をはじめとするアジア諸国の経済的成長は、欧米及び日本への輸出増加に支えられているという国際的循環構造を基礎にしていますから、短期的という評価になります)


世界レベルで余剰通貨の逃げ場(どんなかたちでの投資であっても)がない状況が生まれています。


>国内の投資環境(賃金体系、科学技術投資優遇政策、規制撤廃、法人税制。。)の改
>善無しに日銀や政府が何をしても、新規産業への投資ではなく、国債購入や、インフ
>レを恐れて負動産や1次産品(貴金属など)、海外への逃避ばかりしか生じないとい
>う可能性はどう思われますか?

現在の経済状況で新規産業への投資を促進しようとしても、その達成は困難だと思っています。
これまでも書いてきましたが、規制撤廃ではなく、労働成果財の資本=供給増加が、他の産業への投資拡大を支えるものです。(財の量を増加させることを主眼としたものではなく、供給=資本の額を増加させることを主眼にしたものです)

戦後日本経済史を顧みれば、この論理は明瞭です。


賃金体系については、余力のある企業から順次上昇させて行くべきだと考えています。これが、供給=資本=投資の増加を意味します。

指摘されている人々の経済行動については、その可能性が高いと思っています。
逆に、このまま進めばそうなり、日本経済がより酷い災厄にみまわれると考えているからこそ、これまでのような書き込みを行ってきました。


現在の日本経済、そして、今後の世界経済の苦境については、従来の経済学パラダイムでの解消策はないと考えています。


※ 私ごときの叫び声なぞ藻屑と同じですから、残念ながら、日本経済はそうなってしまうと思っています。
救いは、「世界同時デフレ不況」に近々陥り、新しい現実のなかで経済問題を考えなければならない状況を迎えることです。
それでも、地獄を見るまで解決策は見出されないと思っています。

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