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メディア的世間知を超えて米国政権の狙いを推察しましょう 投稿者 あっしら 日時 2002 年 9 月 16 日 14:39:44:

(回答先: 対アラブ戦争ではありません 投稿者 匿名希望 日時 2002 年 9 月 16 日 04:54:13)

レスありがとうございます。

別に、私自身が自分の見通しを絶対なものだと思っていませんし、リードする気もありません。(こういう見方もできるという提示であり叩き台です)
しかし、メディア的世間知レベルで語られている内容で今次のイラク攻撃を捉えることには同意できません。

米英支配層は、私以上に「近代経済システム」の行き詰まりを認識しているだろうし、私とは違って、権益基盤である「近代経済システム」を一段階上のレベルに“発展”させてなんとか維持したいと考えているはずです。


>>米国政権は、中東にイスラム教徒が一人でも生きている限り勝利したとは判断でき
>>ない軍事行動に乗り出そうとしているのです。

>これはあっしら氏にしてはミスリーディングな議論だと思います。米国側にそのよう
>な意向がないことは勿論、アラブ諸国にもフセイン大統領と心中するようなバカな結
>論は出しません。どこも皆、もっと現実的です。アラブ諸国は米国によるイラク攻撃
>を黙認する、米国はフセインのクビを取るか、それに近いところで終結宣言を出す、
>その後の新秩序作りでゴタゴタが続くのは目に見えていますが、決してアラブVS.米
>国にはなりません。

アラブ諸国が「米国によるイラク攻撃を黙認する」ことは、対米開戦を決定した戦前の日本統治者と違って、現実的判断ができますから間違いありません。

ですから、「アラブVS.米国」の戦いになるとしても、紆余曲折を経ながら、主権国家の政府ではないアラブの“イスラム防衛派”VS.米国になります。

米国と戦端を開く気などさらさらないサウド王家が恐れているのも、米国ではなく、サウジアラビア国民とりわけ敬虔なムスリムがイラク攻撃を機にどういう行動をとるかということです。自身も米国の標的であるいう認識もさることながら、米国との対決を避けても国内反米勢力の台頭を防ぎ切れないと考えているからこそ、米国のイラク攻撃に反対しています。

フセインの首にどれほどの価値があるとお思いですか?

宗派混合・民族混合のイラクをそこそこうまく統治できる主体は、近代社会主義的価値観を基礎とし、スンニ派・シーア派という宗派からも距離を保ち、クルド人の民族意識をも包摂できる“国民国家”的政策が遂行できるバース党しかありません。

フセイン政権を倒すということは、次にどのような親米政権を樹立するにしろ、イラクのみならず、中東全域を不安定化させるものです。(フセインがバース党や軍事機構から“浮いて”いれば、フセインの首をとることでうまくいきますが...)

フセイン政権のイラクは、ソ連崩壊後のロシアと変わらないほど、米英とはうまくやっていける価値観的親和性があるのです。(それは、イラン−イラク戦争時の米国とイラクの関係を顧みるだけでもわかることです)

米国政権が湾岸戦争でフセインの首をとらなかったのは、今日のためです。

イラクの“大量破壊兵器開発製造策動”が世界の平和を脅かすという理由付けは茶番以外の何ものでもありません。(経済封鎖と98年まで行われていた査察が、茶番だということになります)

フセインの首は、アラブ諸国の政治状況を根底から変えるために利用できることに価値があるだけです。

なぜ、アフガニスタンで拘束したムスリムをグアンタモナ基地の“犬小屋OR鳥小屋”に押し込めているとお考えですか?
なぜ、米国内でオーバーステイという軽微な罪の容疑で2千名ものイスラム教徒を長期に拘束したとお思いですか?

米国内の非法拘束は「対テロ治安対策」として認めることもできます。
しかし、グアンタモナ基地での仕打ちは、たんなる世界のムスリムへの挑発でしかありません。
(私もですが、欧米的フィルターを通じてでしかイスラムを知らず、国際条約や人権がどういうものかについて疎く、他の価値観を持っている人々が抱く思いへの感受性が欠落した人のみが、「グアンタモナの暴虐」を看過できるのです)


フセイン政権が倒れ米国主導の政権ができたとしても、それは多数派の基盤を持つものでありません。
危ういバランスの上とは言え、アフガニスタンのカルザイ政権のほうがまだ多数派の基盤があります。
米英の軍事力がなければ新政権はもたず、米英の軍事力に支えられた新政権である限りそれを倒そうとする武装闘争や反政府勢力内での対立が続きます。

米英は、代理戦争が可能になるそのような状況の現出を待っていると言えます。

レバノンや一時のエジプトを除けば、イラクや中東諸国は、強権的統治であることも含めた政治条件から、顕在化している反政府武装組織はありません。
フセイン政権を倒すことで、それらが一気に顕在化することになります。

アフガニスタンの場合は、侵攻以前からタリバン政権といわゆる北部同盟政権の対立があり、その対立をうまく利用することで、効率よく支配領域を拡大することができました。
米英支配層はそれなりに知性がありますから、顕在化した対立武装組織を巧妙に利用することを通じて、サウジアラビアやイランなどに混乱を拡大していくはずです。
えぐいことに、イスラム過激派(復古派)同士を戦わせて、その勢力を弱体化する戦術を採ります。
それが、米英支配層が内に持っているフセイン政権打倒の狙いです。

米英支配層の最終的目標は、中東全域が“安定した近代法国家”で覆われることです。

(日本や先進諸国の多数派?なら、「それはいいことじゃないか」という話になるのでしょうが、敬虔なイスラム教徒にとっては許し難いことです)

放置していればそこそこ“安定した近代法国家”であったはずのイラクを混乱に引きずり込み(イラン−イラク戦争から)、混乱を拡大させるなかで、米英的価値観を強めた“安定した近代法国家”で中東を埋め尽くそうと考えているのです。


百歩譲って、米国政権に泥沼化する意図がないとしても、フセイン政権を倒し親米政権を樹立するということは、否応なく泥沼にはまることを意味します。

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