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【経済学理論の虚妄】「金利引き下げ」や「金融緩和」で“デフレ”を阻止することはできない 投稿者 あっしら 日時 2002 年 10 月 29 日 00:17:03:

(回答先: 米国は真性デフレに突入の危険性が高い。10月28日号 投稿者 Ddog 日時 2002 年 10 月 28 日 23:13:40)

“デフレ”対策として「金利引き下げ」や「金融緩和」といった金融政策の必要性が唱えられるが、金融政策でデフレ傾向を阻止することはできない。

経済学は、「高金利は物価上昇を抑制し、低金利は物価を上昇させる」という理論があたかも普遍的真理であるかのように教えているが、物価変動は、基本的に、通貨流通量変動と生産性変動の関数で決まることであり、金利変動とは無関係である。

さらに言えば、デフレ状況で金利を引き下げると、さらに物価を下落させる方向に作用する。


● デフレ状況下での金利引き下げ政策

経済主体にとって金利負担の減少はコストの下落そのものなので、これまでよりも低い金利で通貨を借り入れた経済主体は、従来と同じ利益を確保するためであれば、財の価格を引き下げてもいい条件を手に入れる。

「デフレ不況」であれば、価格競争力を上げて販売量を増加させようと考える経済主体が多いため、財の価格は現実にも下落する可能性が高い。

金利低下効果で財の輸出が増加すれば、国民経済内に供給される財の量が減少するので、財の価格は下がりにくくなり、あるレベルを超えて輸出が増加すれば、財の価格は上昇に転じる。

輸入の増加は、輸入された財が国内の経済主体と競争関係にあるものならば、供給=需要の減少が生じさせるため、財価格の下落をいっそう促し、経済主体の利益を減少させる。
経済主体が寡占的で競争緩和的であれば物価は下落しにくく、それは特定の経済主体の利益増加に貢献するが、デフレ不況では利益までが再資本化されることは稀なので、不況の解消にはつながらない。


デフレ対策としての金利引き下げは、輸出の増加がない限り、デフレ率をより高めさらに不況を悪化させる結果になる。


● 金融緩和政策

物価変動は、基本的に、通貨流通量変動と生産性変動の関数で決まるから、通貨流通量を増加させる政策である「金融緩和」は、デフレを阻止する政策だと言える。

しかし、通貨の流通量は、中央銀行→商業銀行→一般経済主体という“貸し出し”過程を通じて増加するものであり、商業銀行や一般経済主体が借り入れ意欲を持っているとともに、貸し出しをあるレベルの安全率で回収できるという見通しを銀行が持っていなければならない。

過剰な生産設備を抱えている企業が借り入れ意欲を持つことはなく、デフレは時間経過とともに財や用役の価格が下落していくことだから、借り入れを行って資本活動を行うことは過大な負担になる。(1億円借り入れして生産活動を行い、生産した財を販売したら、9千800万円しか回収できないという可能性が高いのがデフレである)

米国のように既に個人レベルの借り入れ額が大きい経済社会では、失業者増加や資産価格下落という経済状況で借り入れが増加することは考えにくい。
逆に、失業や保有資産価格下落により、それまでに借り入れしているお金を返済できない人が増加すると考えるほうが合理的である。

銀行は愚かではないから、経済主体や個人(家計)の行く末を見通し、担保物件の価格も下落すると考えているので、貸し出しを絞るようになる。

「デフレ不況」下で中央銀行が金融緩和政策をいくら採っても、商業銀行や経済主体(個人)への貸し出しが増加しないため、通貨流通量が増加することはないのである。


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