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↑これの続きです ☆ノ−ム・チョムスキ− VS 辺見庸☆ (月刊PLAY BOY6月号p.36〜p.43) 投稿者 dembo 日時 2002 年 4 月 26 日 09:30:58:

(回答先: ☆ノ−ム・チョムスキ− VS 辺見庸☆ (月刊PLAY BOY6月号p.36〜p.43) 投稿者 dembo 日時 2002 年 4 月 26 日 09:28:26)

辺:宇宙の軍事化。それについてもっと説明していただけますか。

チョム:ここ数年の、国連総会を見てみましょう。1999年以来毎年、総会で外宇宙条約が再確認されています。これは1967年に結ばれた条約で、宇宙の軍備を禁止しています。なぜ国連がこの条約を再確認することになったのか? それは、世界中の人が、アメリカが条約を侵そうとしているのを知っているからです。だから毎年投票が行われ、満場一致で可決されるのですが、アメリカとイスラエルだけは棄権しています。アメリカが棄権するということは、条約はおしまいだということです。アメリカ国内はもとより、他の国でも報道されていないかもしれないが、アメリカ合衆国は宇宙の軍備を計画していて、それは極めて危険なことです。
 迎撃ミサイルを備えるというのは、ほんの手始めに過ぎません。政府が思い描いていること‥‥ちなみにこの情報は完全に公開されています。クリントン政権時代の文書があるのです‥‥それは破壊能力が高く、攻撃的な兵器を宇宙に配備することです。例えば大量殺傷力のあるレーザー兵器で、おそらく小型原子炉を載せている。そして精密な警報装置、つまり自動操縦で発射されることもある。制御は自動です。人間が行う必要はありません。すべてにおいて相当な迅速さが要求されるからです。地球的規模の破壊を保障したも同じです。工学の文献には、「標準事故」という用語がある。「標準事故」にはうまく対処しなければならない。複雑系のなかでは必ず起こる類の事故です。いつ起こるかはわからない。しかし起こります。コンピューターを持っていたらそのうち必ず標準事故が起こります。突然何も動かなくなる。複雑系とはそういうものです。
 宇宙の軍備も極めて複雑なシステムなので、標準事故は起こります。標準事故が人類を破滅させる。しかし、これは非常に重要な計画で、スペースコマンドという公開されている文書を読めば、計画の理由が書かれています。「アメリカ産業の利益と投資を守るために、宇宙という新たな場へ向かわなければならない」と。かつて海軍が創設されたのと同じ理由です。海軍は産業の利益と投資を守るために作られた。そしていま、我々はまたしても開拓しなければならない。宇宙を。
 ところがことは同じようにはいきません。イギリスが海軍を創設したときは、ドイツや日本が反撃することができた。しかしアメリカが宇宙を占有すると、これに反撃するところがないのです。宇宙開発にかけてはアメリカが独走しているからです。ということは、圧倒的な力をもって、利益と投資を守ることができるのです。極めて危険です。いろいろな問題はあるが、とにかくまず第一に、とても危険です。
 もともとはクリントン時代の計画だったのが、ブッシュによってエスカレートしました。とても危険です。これは秘密でも何でもない。最初にも言ったように、アメリカはすこぶる自由な国です。政府の活動に関する文書はインターネットで見ることができる。しかし、一般の人びとの関心が集まらなければ、誰も何もしようがないし、誰にも知られることがない。
 ボストンの道端で、あるいはハーヴァードの学生ラウンジで、インタビューしてごらんなさい。誰ひとりこのことを知りませんよ。公表されているにもかかわらず。どこかで書かれたことはあるにちがいないが、非常に反政府的な文芸のなかだけです。だから、あなたの質問に戻りますが、この国には言論統制はない。しかし、情報が表に出てこないということです。ただし、これは選択の結果です。統制ではありません。

辺:なるほど。今後の問題なのですけれども、イラクに対してアメリカが戦術核を使用する可能性についてはいかがお考えですか?

チョム:率直に言って、疑問です。彼らは戦術核まで必要だとは思っていないでしょうから。アメリカは通常兵器も圧倒的な量です。核兵器の使用はどちらかといえばプロパガンダなのです。アフガニスタンでは、戦っている相手が見えず、中世に舞い戻ったような戦況で、実質的に核兵器クラスの兵器を使っています。「デイジーカッター」といわれるタリバン兵を殺戮するために使われているものもそうです。あるいは「サ−モバック爆弾」というのも核兵器に極めて近い。それに、アメリカ兵が戦っている相手をごらんなさい。靴も履いていない農民です。技術レベルは12世紀ですよ。
 力の差はあまりにも圧倒的ですし、核兵器の使用と言う伝家の宝刀を抜くのは誤りです。頭のおかしい連中が何をするか、わかったものではないけれども...。
 イラクについては、兵器の問題ではないでしょう。イラクの軍隊を全滅させたあとに何をするかです。いま直面している問題は、民主主義の問題、適切な軍事指導者を見つけ、西側に従順な国家をいかに維持するか、ということです。それにもちろん、ほかのイスラム社会を起こらせないようにやらなければなりません。これが現実の問題で、核兵器では解決しないのです。

辺:私の目には、アメリカはいま、戦線をどんどん世界中に拡大しているようにも見えます。アフガニスタンから事実上パレスチナへ、そして今度はイラクへと。テロ撲滅を口実に、いろんな国に対して軍事顧問団を送っていますし、さきほどの「悪の枢軸」発言のように他国を故意に挑発もしています。オーバーに言えば、戦線を無限に拡大し戦争をグローバル化しているような気もするのですが。

チョム:思うに、いま起こっていることで重大なのはそういう問題ではありません。アフガニスタンでの戦争がもたらしたのは、中央アジアにおいて、アメリカが軍事力を発揮したという事実、そしておそらくはそこに恒久的な軍事基地を築いた、ということでしょう。アメリカは世界中に軍事施設を展開しています。大平洋から大西洋まで、どこにでも巨大な米軍施設がある。沖縄にもあります。そして今、中央アジアに新しい拠点ができた。
 これ以前、アメリカは中央アジアで軍事力を発揮する機会があまりなかった。いまはウズベキスタンやトルクメニスタンなど新しい同盟国ができたと言うことです。両国とも、タリバンととてもよく似た性格の政府なのですがね。だからいままで、殺人者でかつギャングだった両国が突如として聖者になった。発展して、民主化が進んでいくだろう、と新聞には書かれていますが、いまや、アメリカ軍の基地を容認するギャングになったのです。だからタリバンのように振る舞おうと、それは自由なのです。
 しかしこれは軍事力の行使だから、やはりさまざまな問題を引き起こす。ロシアや中国、イランなど、中央アジアに利害をもっている国々もあります。
 したがって、必然的に衝突の要因を内包しているのです。しかしこれは大きな変化だ。ほかの場所での、例えばフィリピンでの出来事はサイドショーにすぎません。現実に、重大な問題の起こっている場所の一つが、おそらくインドネシアでしょう。アメリカは最悪の圧制の時代にも、インドネシアを支援してきました。言っておきますが、日本の行いはアメリカの行いよりさらに悪いですよ。

辺:それは私も聞いております。日本のインドネシア支援にはこれからも暴かれなければならない暗部が多くあります。

チョム:いささか個人的な話しになりますが、私が東ティモール問題について初めて国連で証言したのは25年前、1978年のことでした。証言は裏で妨害されましたが、妨害しようとしていたのは日本の大使館だということがあとでわかりました。

辺:えっ、そんなことがあったのですか。

チョム:インドネシアの友人たちが行った大量虐殺が告発されるのを防ぎたかったのです。だから日本の行いも、決してほめられたものではない。アメリカだけではないのです。
 とはいえインドネシアの東ティモ−ル政策の主な支援者はイギリスとアメリカだった。最後まで支援しつづけたのです。一度たりともやめなかった。最後には、ありとあらゆる圧制が行われていたことなど気付かなかったふりです。世論の圧力に負けて、クリントン政権は最終的にはインドネシア軍との公的な関係を断たざるをえなくなった。けれども政府は関係の再構築を欲していた。そこでいわゆる対テロ戦争を利用して、血に飢えたインドネシア軍の将軍たちと再び手を結ぼうとしているのです。彼らは主に日本とアメリカによって、虐殺の責任に関して西側の操作の手が及ばないよう、守られています。
 ですから、これももう一つ非常に重要な問題なのです。ただし簡単にはいかないでしょう。例えばオーストラリアでは大きな反対が起きています。そして名前はわかりませんが、オーストラリアの情報部の人がとても重要な文書をリークしました。ついこの数日の間に出てきた文書もあります。それによると、オーストラリアは1998年から99年の残虐行為を承知していた。

辺:国連管理下の住民投票のころですね。独立派が圧勝したけれども、いわゆる併合派民兵が発砲、放火、略奪を繰り返し、多国籍軍「東ティモ−ル国際軍」が展開を開始した。

チョム:オーストラリアのマスコミによって明らかになった話は、極めてショッキングです。オーストラリアの情報部が承知しているなら、アメリカの情報部も認識していたはずです。アメリカはオーストラリアに大規模な情報収集センターをもっているんですから。ここはあらゆる出来事を把握していたでしょう。つまりビル・クリントンは東ティモールで途方もない大量虐殺が行われているのを知りながら、コソボよりひどい状況であるのを知りながら、軍隊を送り、訓練も行っていたのです。
 トニー・ブレアはこれに輪をかけて悪質です。オーストラリアの平和維持軍が駐留を始めたあとも、戦闘機を派遣しているのですから。それが「倫理的外交政策」だというのです。これもまた、知識人にとっては大きな難問です。知識人は「我々の指導者」を、トニー・ブレアでもロビン・クックでもビル・クリントンでも誰でもいいが、とにかく聖人に見せなければなりません。大量殺戮者の手に、完全に意識的に武器を渡すような類の聖人です。それを25年やってきたのです。
 メディアが取り上げてもいい、恰好の材料ですよ、これは。イギリスの新聞を読んで、どのように書かれているのか見てみるといい。いや、見るまでもないでしょう。まったく、触れられていないのだから。
 しかし和解は成立するでしょう。そういうことは大切だ。世界の形勢を少しばかりは変えることになる。しかし大きく変えはしません。
 中央アジアはおそれく最も重要な場所ですよ。19世紀の「グレートゲーム」の再現です。19世紀イギリスとロシアは中央アジアまで拡張していき。そこで衝突した。アフガニスタン周辺でイギリスとロシアが覇権を争って随分戦いました。それが「グレートゲーム」と呼ばれたのです。
 これは新しいグレートゲームです。当事国の顔ぶれも違う。イギリスはいまや片隅に追いやられて志摩しました。今度の主役はアメリカとロシアと中国です。利害も当時とは異なる。中央アジアの豊富なエネルギー資源をどこが支配下におくか、ということが争点なのです。湾岸地域ほどではないが、豊富です。日本も関わってきています。

辺:最近、アフガニスタン復興国際会議が東京で行われました。私の考えでは、アフガニスタンの経済的、社会的な復興はたしかに大事なんですけれども、非常に残念だったのは、アメリカによる一方的な軍事攻撃に対しての非難の声、それを問題にする声がなかったことです。逆に言えば、アメリカの一方的な攻撃が、紛争解決のための一つの定式として、国際社会に受け入れられつつある。私はこの定式に反対です。

チョム:一方的な軍事攻撃は新しい方法などではまるでありません。実に古臭い方法です。イギリスが世界を支配していた頃のことを考えてみましょう。イギリスは何をしたか。例えば、第一次世界大戦後、イギリスは弱体化しました。大英帝国全域を直接の兵力で支配することはもはや適わなくなった。そこでやり方を変えねばならなかった。どのように? ウィンストン・チャーチルが音頭をとったんですよ。彼は戦争省の大臣でした。彼はアフガニスタンとクルドに毒ガスを使うことを推奨しました。なぜならそれが、「生々しい恐怖」を駆り立てるからです。そうやって、完全に制圧できない未開の人びと、アフガン人やクルド人を、支配下におこうとしたのです。 
 インド総督からは反対がありました。毒ガスを使うのは立派なことではないと。チャーチルは激怒しました。「未開人たちに毒ガスを浴びせるのは気分がよくないという心境は理解できん。それが多くのイギリス人の命を救うのだぞ。これは優れた科学の成果なのだ。」第一次世界大戦後の話です。毒ガスは残虐の極みデスガ、クルド人やアフガン人相手ならそうではなかった。当時、空軍力はようやく出はじめたところでした。そこでイギリス軍は空軍力を一般市民に投入することにした。中央アジアの一帯、アフガニスタンやイラクなどを爆撃しはじめたのです。
 当時も軍縮会議はありました。軍縮会議のたびイギリスが心を砕いたのは、空軍力を市民に行使することに対して、いかなる障害も持ち上がらないようにすることでした。首尾良くやり遂げたとき、イギリスの偉大な政治家ロイド・ジョージは政府代表を称えて日記に書いた。「ニガーに爆弾を落とす権利は守られなければならない」と。これがロイド・ジョージの姿です。有名な政治家の。そしてウィンストン・チャーチルです。偉大な指導者の。ふたりとも大英帝国のヒーローです。どこか違いがあるでしょうか? 実際のところ、もし時間が許せばフランスのこと、日本のこと、ドイツのことも話したい。大国はいつもこうやって人の顔を正面から蹴飛ばしてきた。何も目新しいことではないんです。だから誰ひとり驚かない。
 (アフガンへの)空爆を始めたのはたしかにアメリカです。ジョン・F・ケネディの話に戻りましょう。ハ−ヴァ−ド大学にはケネディ・スクールがある。ここが政府の頭脳です。この大学院は『インターナショナル・セキュリティ(国際安全保障)』という機関誌を出しています。今月号を見ると、アフガニスタン専門家が記事を書いている。この文章が書かれたのは空爆が始まって一ヵ月後ぐらいで、戦闘はそのころにはほとんど終わっていたはずです。この作戦は、数百万のアフガン人を飢餓に追い込むであろうとう見積もりの上に行われた、と筆者は書いています。数百万の人びとが餓死する可能性があると、前もってわかっていたんです。
 彼らが今どうなっているか、わかっているでしょうか。いいえ。自分達の犯罪を調べていないからです。誰ひとり知りませんヴェトナムで何人が殺されたか、数百万の単位でなら知っています。我々は自らの罪を操作することはしません。負けた国だけが「悪いことをした」と言わされる。第二次世界大戦後の東京裁判が行われたのは、日本が負けたからです。ワシントン裁判などというものは開かれませんでした。毒ガスを使ったチャーチルに対する戦争裁判もありませんでした。敗れたときにだけ、自らの罪を見つめる。そのように仕向けられるのです。
 しかしいったい何人の人が死んだのか、正確なところを見い出すことは誰にもできないでしょう。ただ推定はできます。アメリカ軍は、数百万の人びとを死なせることになるという推定のもと、空爆を行った。それをうんと高いところで話し合ったのでしょう。誰か気にかけたか? いいえ、それが当たり前だから。ヨーロッパとその分家は、何世紀にもわたって、常にそうやって世界を扱ってきました。そして日本もこの半世紀、できる限りそうしてきたのです。
 例えばフランスを例にとってみましょう。アルジェリア独立戦争の際、フランスの国防相は「我々はいま原住民を撲滅している」と言った。これが当たり前でした。ベルギーはおびただしい数の人を殺している。これはことさら驚くような数字ではありません。
 だから富めるアメリカが空爆するのも驚くにはあたらない。いたって普通のことなのですから。弱い人たちをそうやってあしらってきたのです。何もいまさら驚くことではありません。
 アフガン復興の東京会議は資金援助を約束しました。金は現地に届けられましたか? 届いていません。約束はされたけれども届けられてはいない。届けられない理由はいくらでも並べられるでしょう。ただ援助のポーズだケでも、先進国の我々はなんてすばらしいんだろうとたいそうな宣伝になる。あきれた話です。ロシアとアメリカはアフガニスタンに賠償すべきです。1980年代、この二つの国がアフガニスタンをめちゃくちゃにしました。よってたかって国土を破壊した。アメリカはイスラム過激派テロリストの組織化を援助した。アフガニスタンの利益のためではありません。支援を通して国土を荒廃させ、狂信的な宗教指導者の手に委ねてしまった。こういう場合援助ではなく補償を支払うべきです。ほんの少しでも誠実さのかけらがあるのなら、援助などと口走らないほうがいい。自分達がしたことに対して、巨額の賠償金を支払うべきなのです。しかしそれは協議項目にはなかった。
 実際のところ、アメリカが1ドルでも支払うとしたら驚きです。今アフガニスタンは群雄割拠のころに逆戻りしようとしています。ロシアとアメリカが掃討したあとに、いくつかの軍事勢力が国土を分断したように、そういうふうになりつつある。
 9月11日のことで人びとが何よりショックを受けたのは‥‥あの行為は大変に残虐でした。しかし衝撃的なことはあれだけではない。残虐非道な行為はほかにもたくさんあります。ただ西側で起こったのはあれが初めてというだけのことです。世界の他の人びとに対して、我々がやってきたことなのです。他の人びとはこれまで、我々にあんなことをしなかった。だからショックだったのです。他の国の新聞を見ると、必ずしも驚いていません。パナマでは、メディアが残虐行為を批判している例があり、そこでは父親のほうのジョージ・ブッシュの名前が出てきます。1989年、パナマに侵攻したとき、ブッシュはパナマのスラムを空爆させています。2000人あまりの人が犠牲になった。そういうことをよく知っているので、「自分達がこれまでずっとわれわれにしてきたことをよく見てみなさい」となる。だからといって残虐さが薄れるというものではないけれども、衝撃は小さくなりますね。世界のどこにでも同様の戦争の話があるんです。

辺:最後の質問です。いまの日本の首相は、ブッシュ政権を、前のクリントン政権より好きらしく、ほとんど運命をともにするようなことを言っています。同時に、日本がずっと大事にしてきた平和憲法を変えようともしています。アメリカのアフガンに対する報復攻撃の際には、インド洋に自衛艦を出したり、憲法に真っ向から反する法律をつくったりして、アメリカの意のままに平和的政策を変えようとしています。日本はいま重大な変化が生じていますが、この点、あなたはどうお考えですか?

チョム:日本はこれまでもアメリカ軍国主義に全面的に協力してきました。戦後期の日本の経済復興は、徹頭徹尾、アジア諸国に対する戦争に加担したことによっています。朝鮮戦争までは、日本の経済は回復しませんでした。朝鮮に対するアメリカの戦争で、日本は供給国になった。それが日本の経済に大いに活を入れたのです。ヴェトナム戦争もまたしかり。アメリカ兵の遺体を収容する袋から武器まで、日本はありとあらゆるものを製造して提供した。そしてインドシナ半島の破壊行為に加担することで国を肥やしていったのです。
 そして沖縄は相変わらず、米軍の一大軍事基地のままです。50年間、アメリカのアジア地域における戦争に、全面的に関わってきたのです。日本の経済発展の多くは、まず、その上に積み上げられたのです。 
 50年前に遡ってみましょう。サンフランシスコで講和条約が調印されました。50周年を祝ったばかりですね。

辺:昨年9月ですね。サンフランシスコのオペラハウスで50周年記念式典が開かれ、日本からは田中外相(当時)が出席しました。これには、戦争責任を回避してりうというアジアからの非難の声もありました。

チョム:その条約にどこの国が参加して、どこがしなかったか、ご存じですか? アジアの国は軒並み出ませんでした。コリアは出なかった。中国も出なかった。インドも出なかった。フィリピンも出なかった。出席したのはフランスの植民地と、当時イギリスの植民地だったセイロンとパキスタンだけでした。植民地だけが出席した。なぜか? それは講和条約が、日本がアジアで犯した犯罪の責任をとるようにはつくられていなかったからです。日本がすることになった賠償は、アジアに物を送ること。日本にとっては万々歳です。資金は結局アメリカが賄ってくれるからです。しかしもちろん、アメリカには支払いをしなければなりませんでした。占領経費やその他の犯罪のつけをアメリカに支払う。アジアの人びとには支払わない。アジアに対しては何も提案されませんでした。それは日本が、誰もが知るところの真の戦争犯罪人である天皇のもと、以前のファシズム体制を復活させて国家を再建しようとしていたからです。それも、アメリカの枠組みの中で。

辺:同時に締結された日米安保条約とともにサンフランシスコ体制という、日本との対米盲従構造をつくりました。これが今日続いている。

チョム:日本はその状態にいたく満足していました。それで富を蓄積することができたからです。日本の戦後復興はこのようにして成された。日本はそこを見つめる必要があります。だがもしも憲法を変えるというのならあ、たしかに由々しいことではあります。しかし、50年にわたってアジア地域での戦争に貢献してきたことに比べたら、ささいな問題です。

辺:おっしゃている意味はわかりますが、我々にとってはささいではありません。

チョム:この50年を含む前の世紀には、日本が記憶に留めておくべきことが数多くあります。何度も言うようですが、他人の犯罪に目をつけるのはたやすい。東京にいて「アメリカ人はなんてひどいことをするんだ」と言っているのは簡単です。日本の人たちがいましなければならないのは、東京を見ること、鏡を覗いてみることです。そうなるとそれほど安閑としてはいられないのではないですか。

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