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Re: イランそして本題の対中国策動に関する捕捉 投稿者 あっしら 日時 2002 年 4 月 26 日 16:31:53:

(回答先: Re: 日本もですが中国とロシアはイスラム圏の次の大きな標的 投稿者 I-MAC 日時 2002 年 4 月 26 日 02:34:49)

I-MACさん、こんにちわ。


イランについては、歴史的にも個人の自存意識が強く、戦後も数度の大きな政治変革を行ってきていますが、西欧的近代価値観とは一線を画しています。
西欧的価値観世界との共存は志向しても、西欧的金融支配を受け入れることは拒絶すると思います。
現在の策動を進めている勢力がイスラム圏で目標にしている「イスラムを精神的な拠り所にするだけで国家統治は“近代法”に基づくもの」は、建前は民主主義政治体制であっても、本音は金融=経済支配です。
イランがそれを受け入れない限り、パーレビ国王を使った53年のような政権転覆が画策されると思っています。


>どちらかというとアメリカや石油メジャーはアハメド・ラシッドの『タリバン』にも
>ありますが、中央アジアの天然資源をわざわざ長距離輸送しなくても海まで持ってい
>くことができ、しかもすでに敷設されているから輸送料も安価ですむ、イランのパイ
>プラインの方が怖いんじゃないでしょうか。
>そういえばカスピ海サミットは次回テヘランで開催されるそうですが、パイプライン
>の話とかも出てくるのでしょうか。いや、ロシアやアメリカがそんなこと許さないで
>すね。

パイプラインについては、カスピ海周辺及び中央アジアの天然資源をどこの需要地こ向けて輸送するかという問題になります。

大きな需要地である欧州については、英米資本及びロシアの手ですでにパイプラインの敷設が始まり部分的な開通まで進んでいます。
中国は、シンチアンウイグル自治区のタリム盆地で開発を進め、沿岸部まで3千Kmのパイプラインを引こうとしています。
もう一つの大きな需要地は、インド及びパキスタンです。パキスタンについては、国家としての存続自体が論議の的になりますが、南アジア地域ということで考えたいと思っています。
アフガニスタンルートは、南アジア地域への輸送という観点で見れば非常に重要なもので、船積みが必要になるイランルートでは置き換え難いものと考えているでしょう。
主要需要地の港(パキスタンやインド)から、例えば、東南アジアなどに船積みするのは合理的ですが、イランをスルーして船積みし、そしてインドへというのは不合理です。

幸か不幸か、米国資本主導でアフガニスタンにパイプラインを敷設するという“夢”は消えてしまいましたが...


>ハンチントンはそう見ないようですが、ぼくは、東南アジアは中国に十分すぎるほど
>警戒心を持っていると見ています。日本、韓国もアメリカに付くでしょう。

東南アジアが中国を警戒しているのは歴史的な経緯からも事実ですが、東南アジアがすべてと言っていいほど華人に経済を支配されている現実は、今後を考える上で重要なことだと思っています。
また、華人の経済支配という現実が、東南アジア諸国に対中国警戒感をもたらしている一つの要因でもあります。

戦後というかここ150年にわたって、中国そのものの経済力と政治力は衰えていました。
華人国家であるシンガポールを見てもわかるように、共産中国とは対抗的な関係を続けていました。それは、中国との経済関係を強化するよりも、米国を基軸とする「文明諸国」との経済関係を強化するほうがメリットがあると判断したからです。そのシンガポールも、90年代に入ってからは積極的な対中投資を継続しています。
台湾も、中国なくしては経済が成り立たない状況になっています。

中国の経済的発展は、アジアで経済を握っている華人ネットワークの中国を基軸とした糾合につながっていくと考えています。
これは、東南アジアの外交政策にも大きな影響を与えることになります。

米中間で問題が生じた場合、日本は米国に付くと思いますが、韓国は微妙だと考えています。現在進行している大統領選(現段階は予備選)の結果も大きく左右しますが、北朝鮮の動向を睨まなければなりませんから、日本ほど単純には米国に付かないと考えています。

日本の政府や主要メディアは“北朝鮮叩き”になんらためらいがないようですが、否応なく最大の火の粉を浴びることになる金大中政権は、米朝関係の改善に尽力しているように、北朝鮮との軍事的衝突を避けることに必死です。
(金大中氏の次の大統領が誰になるかは、このような意味でも注視しています)


>中国はわざわざ”挙動不審”をあげつらわなくても、常に”挙動不審”な国ですから。
歴史的な中華思想をベースにした中国の尊大さは実に鼻につくものですが、“挙動不審”という面では、米国や日本のほうが数多く目につきます。

排他的経済水域(通行権上は公海と同じ)で「不審船」を追いかけ、外国の排他的経済水域まで追い詰めて撃沈した事実は、諸外国にとって、“挙動不審”どころか“国際法違反行為”や“海賊行為”として目に映るものです。
また、撃沈後漂流している15名を見殺しにしたことに対しては、驚きを通り越して唖然としたと思います。戦時中でも、撃沈艦船から漂流した兵士を救助するのが“お約束”ですからね。
(私は、あの「不審船」は常識化しているような北朝鮮の船舶だとは思っていません。無登録かもしれない中国人所有の船舶だと推測しています)


日本国が憲法で「戦力の不保持」や「交戦権の放棄」を明文化しているのに、軍事力を強化しているのも“異様な姿”に見えるでしょう。
(私は、法的にすっきり軍事力が保有でき、必要であれば宣戦布告もできる内容への改憲が必要だと考えています)

対外的に韓国併合の非を認めていながら、既に150ヶ国以上が国交を持っている北朝鮮との国交樹立に熱心ではない態度も“挙動不審”でしょう。

竹島を固有の領土を主張していながら、韓国が占有している現実をあまり問題視せず、日本・中国・台湾がそれぞれ領土として主張している“係争地”尖閣列島をとりたたて問題視する対応も“挙動不審”です。

日本の政府や主要メディアは、物事をもっと冷静に客体的に見る必要があると思います。
米国の後ろ盾があるあいだは構いませんが、米国の後ろ盾が長期的に続くわけでもないことや米国の後ろ盾がなくなったときの諸外国の対日政策がどうなるかを、現時点から考えておくことは無駄なことではないでしょう。

喰ってうまくない魚(=経済権益が少ない国)は餌を使って釣りたくはないし、“釣った魚”(=経済支配を完了した日本)に餌を与える人はいないし、餌は新しい魚を釣るために使うものだということを考えておいたほうがいいと思います。


>経済的に支配を求めようとするなら、わざわざ国民の中国に対する敵意をかきたて
>て、それにより中国の警戒心をあおるようなことをする必要はないんじゃないか、も
>しぼくが指導者なら、深く静かに中国の経済に潜り込んで、気付いたときにはもう手
>遅れっていう風にするのになって思うのです。

前回も書きましたが、中国に対する挑発は、政治的揺さぶりが第一義で、第二義的には米国自身を含む「文明諸国民」に中国敵視意識を持たせることが第二義的な役割だと思います。
「政治的揺さぶり」というのは、「文明国として振る舞うべき基準」を示すということです。ことあるごとにそれを示すことで、中国の政治的態度を修正しようとしているのです。
中国共産革命から文化大革命を経た中国が経済発展を至上の目的にするようになった過程の政策的変化を振り返れば、そのような「政治的揺さぶり」が効果があることがわかると思います。

「中国の警戒心をあおるようなことをする必要」は、自国の軍事力強化=軍事産業(金融)活性化です。
戦後の米国が、ソ連及び共産主義の脅威への対抗を旗印にして軍備増強を推し進めてきたように、多額の税金を使う軍備増強にはそれなりの名目がなければ継続できません。

ロシアがほぼ軍門に下った現在、米国や日本などが軍事力を強化する名目にできる国家は、中国くらいになりました。

「深く静かに中国の経済に潜り込んで、気付いたときにはもう手遅れっていう風にする」というお考えですが、19世紀の清と英国の関係を見てもわかるように、交易を巡ってでさえ激しい対立が生じるものです。
今目指しているのは、中国の金融支配という全面的な経済支配です。言うならば、価値観の全面的な衝突を招く恐れがあるものです。

現在の日本人は(明治維新以後と言ってもいいのですが)、金融的経済支配に対して疑義さえ抱かなくなっていますが、現在のイスラム圏・中国・ロシアの人々は、金融的経済支配に対して強い抵抗を示すでしょう。
(日本では、だらしない日本の銀行よりも、きちんとしてビジネスにも長けた米国の銀行が進出してきたほうがいいという考えさえ見受けられます)

ですから、国民に中国に対する敵意をかきたてておいて、必要であれば行う政治的介入や部分的な軍事介入の正当化ができる土壌も整えておかなければならないのです。


>>「反テロ」作戦への協力要請
>個別事例ではアメリカのメリットも、中国のメリットも分かるのです。
>でも総合して考えると、なにをやりたいのかよく分からないものですから。

現段階の「反テロ」はイスラムが標的ですから、中国を味方につけるほうが有利ですし、中国政府や中国国民の価値観が自分たちのものに近づける契機にもなります。

現在の世界で強い影響を及ぼしている価値観を上げると、西欧的近代価値観・イスラム的価値観・共産主義的価値観・東方教会的価値観になります。
共産主義的価値観は、ソ連及び東欧の崩壊や中国の市場主義への傾斜で“目標”としての存在意義を失い、経済的平等主義や弱者救済という考え方で残滓として残っているだけとも言えるでしょう。
東方教会的価値観は、ロシアなどで民衆的価値観として息づいているものですが、外に対して強い影響力があるとは思えません。発祥の地であるギリシアは、長いイスラム帝国の支配で弱体化しEUにも加盟しています。
環境保護的価値観もありますが、西欧的近代価値観の派生物だと捉えています。


日本ではイスラムに対する意識が希薄なのでなかなかそうはなりませんが、そうなると、“自然に”西欧的近代価値観とイスラム的価値観の対決という構図が浮かび上がってくることになります。
そうであれば、「反イスラム」を推し進めることで、非イスラム世界を西欧的近代価値観により傾斜させることができると言えるでしょう。

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