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天皇からの、自立へ
投稿者 如往 日時 2002 年 11 月 19 日 18:29:38:

(回答先: 如往さんへのレス 投稿者 たこです 日時 2002 年 11 月 18 日 15:38:52)

 「たこです」さん、こんにちは。
 早速のレスポンス有難うございます。


>私も似たような行為で似たような結論に至った事があります。しかし、今は別の感慨を抱いています。

 先ずは、「たこです」さんが別の感慨を抱くことになられた原因とその周縁についてご開示いただければ幸いに存じます。
 さて、私が天皇制の起源に関する議論に敢えて与しようとしないのは(しかし非常に興味を持っています)、過去の日本の支配層やその周辺に及ぶ事柄が、自身の出自を鑑みて余りにも無縁であると観切っているからに外なりません。西欧やアラブ世界ほどではないにしても歴史的に限りなく混交した民族を日本民族と一括りにして、また民族統合の上部構造の系譜を辿ることによって自身の出自に絡め取ろうとすることが、現に市井に棲む者にとって一体何の意味があるのでしょう。人の心にそうした割り切れぬナイーブな側面があることを全く否定するものではありませんが、内外の峻厳なる他者と対座していくためには余りにも心許なく現実性を欠いた心象風景であると思います。しかも日本人の大部分が国家を意識したと云えるのは、政府による大々的なプロパガンダが効を奏し、かつ近代国家成立のエポックともなり得た日露戦争以降で、極最近のことです。それを以って日本人の本源的な意識の湧出であるとし、世界に問おうとするならば相当な困難を覚悟しなければならなかったはずです。片や今日、自身(家系を含めて)と天皇(制)や日本の伝説的支配層との歴史的・現実的な接点を辿ることを除いたまま、日本の美徳を云々するのは空疎に響くのみで、たとえ特例的に外国人から称賛を得る事象があったとしても、それは誤認に過ぎず却って当人はその空虚さの自覚を深めるだけに終るでありましょう。仮に「たこです」さんが伝説的支配層の末裔ならば宜なるかなと、またそれはそれで詮無きことと思いますが。


>戦争責任というのは政治次元の話です。人々は日本における天皇の存在を政治次元と賢明にも(と私は思いますが) 切り離す決断をしたのです。

 本人の心情の所在にかかわらず、戦間期政治次元の要に君臨していたのが紛れもなく天皇である事実を動かすことはできません。戦後それを切り離すことができたのは唯一天皇ご自身だったのです。もし、国民の決断によって戦争責任が回避されたとするならば、それは非常に無惨な顛末であると言わざるを得ません。何故私がご自身で退位すべきであったと申し上げたかお分かり戴けたと思います。加えて、おそらくサンフランシスコ条約の締結・発効をもって、当時の日本国民が天皇の戦争責任回避の承認を決断したとする「たこです」さんの見解では、明らかに直接的推理の虚偽、即ち否定なきを肯定と看なすという判断の誤謬を犯されていると考えます。

 「戦後もまた戦争を生き長らえた官僚の先導があればこそ、国民に大した混乱を生じることなく早期に復興が成し遂げられた。」と、同様に、「戦禍を乗り越えて引き続き天皇への思慕を抱懐できたからこそ、人心が惑うことなく復興への営為の支えにもなった。」とは、類似するものがよく見聞されるパラグラフです。戦後の日本において官僚及び天皇の存在(状況)が齎した時限的な有効性を否定するものではありません。そして、その時限は官僚制が高度経済成長期の直前まで、天皇(制)が1951年までの時点に区切られると捉えています。私が一貫して問題提起しているのは、決して容易なことではありませんが、それ以後の官僚制からの現実的な自立と天皇(制)からの精神的な自立です。当時既に日本人はそれらを成し遂げるために諸国民を凌ぐほどの十全な能力を携えていたと考えています。

 (多分)心ならずも突き放すかのようにアジェンダを提出されるデスラー総統氏、日本人の主体性に関して優しく粘り強く問題意識を表出されている「するめいか」氏、皆それぞれにアプローチの方法や表現方法は違いますが、日本人の自立の道を探求しているものと理解しています。守備範囲の広さに加え、好んで反語的な表現を用いられることも手伝い、あっしら氏のStudiesの読解にはつい神経を使うことになってしまいますが、氏については一言では申し上げることができずにおります。


>デカルトを生み出した国にはそれ相応の伝統と精神的土壌があったと解釈すべきです。日本はそうではありません。そうでない日本に同じ定規を当てようとすることが、現代日本の精神分裂的状況を生み出しているのだと考えます。

 ご存知の通り、日本においても知識人を自認する人達の間では、既に30年ほど前にもフランス革命に対する評価に因んでなされた議論があります。さすれば、私がロマン・ロランのTheseを牽いて、今更に同じ様にフランスの定規を日本の事情に当てようとしたものではないとご諒解していただけると期待します。


 また寄せさせていただきます。

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