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産油国の「近代化」には失敗し、ブッシュ政権には“悪の烙印”が押され、「近代」は終焉に向かいます
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/375.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 21 日 18:04:54:

(回答先: 産油国の近代化を達成するのはいつ頃の予定? 投稿者 てんさい(い) 日時 2003 年 2 月 21 日 02:10:57)


てんさい(い)さん、こんにちわ。

予言者めいたタイトルになりましたが、9・11で幕が開いた「対イスラム戦争」は目的(戦略)を達成できずに終わります。

まず、

>聖書の予言を実現させようとする人たちがいるという話も聞いたことがありますが、
>それも関係すると思いますか?

これは、イスラエルや「対イスラエル戦争」への支持を確保するための方便であって、計画者がそれを意図しているわけではないと考えています。


米英(世界経済支配層)が失敗を認める時期がいつになるかは、予言者ではないのでわかりません。
危惧されているように30年戦争になるかもしれませんし、3年ほどで決着がつくかもしれないと思っています。

● イラク攻撃の行方

イラク攻撃が占領に至るまでにそれほどの期間を要さないとしても、占領は、イラクの「近代化」を意味するわけではなく、その端緒でしかありません。

今次の「対イスラム戦争」のグランド・デザインをまとめた人たちは、イラク攻撃をたんに突破口としているだけであり、イラクの当座の政体や経済システムがどうなるかは気にしていないはずです。とにかく、かたちだけの「親米政権」を樹立するか、占領統治を確立すればいいと思っているでしょう。

イラクはイスラム基盤国家としては近代化=世俗化が進んでおり、イランやサウジアラビアに較べれば“話し合う”余地が大きい相手です。
この意味では、イラクを「近代化」するために、国際世論を敵に回してまで大規模な軍事作戦を行うことに意義はありません。

すみちゃんも書かれていますが、イラクを突破口にしたのは、イラクが地理的に中東のハートランドだからです。イラクを、クウェートと同じように侵攻拠点に利用したいという考えです。
狙いは、厳格なイスラム法を施行しつつ、最大の産油国であり最大の原油埋蔵量を誇るサウジアラビアとそれらが第3位とされるイランです。(イラクは第2位)
(クウェート・UAE・カタールなどの産油国は英米の飼い犬が支配していますから、サウジやイランが「近代化」されれば労せずしてなびく存在です。シリアやヨルダンなどの非産油国は成り行きで対処するつもりでしょう)


「対イスラム戦争」のグランド・デザインをまとめた人たちはシャッポ(ブッシュ氏)とは違ってバカではありませんから、米国のエゴやごり押しという認識が持たれないようにするとともに、米軍兵士の犠牲もできるだけ少ないかたちで目的を達成したいと考えています。
(米国のエゴやごり押しという認識が持たれれば、国際社会の反米意識が怒涛のように沸き起こり、米軍兵士の犠牲は米国民に厭戦気分が生じそれが反戦につながります)

端的に言えば、「対イスラム戦争」の幕開けとして利用した9・11と同じ手法であるテロを名目に使って、サウジアラビアやイランの「近代化」をめざすことになります。

軍事侵攻時でもそうですが、米軍がイラクを直接でも間接でも統治すれば、正規軍は解体できたとしても、抵抗活動が市民レベルで起きます。
また、スンニ派・シーア派・クルド人といった諸勢力(それらの内部対立も含む)間での軋轢も生じます。
米国(傀儡政権)への抵抗活動や諸勢力間の戦いには、政府レベルはなくても周辺諸国の人々(組織)が支援したり義勇兵として関わってくるはずです。

米国政権は、そのような状況を利用するために、事実と捏造を織り交ぜながら、サウジアラビアが「テロ活動」を支援している、イランが「テロ活動」に人を送り込んでいるといった非難を声高に叫ぶでしょう。

ブッシュ氏かどうかわかりませんが、その時点の米国大統領は、「イラクの安定と平和を脅かしている外国勢力が存在する。イラク国民の安全のためにテロリスクが潜む地域を掃討する」といった大義名分を掲げ、サウジやイランに侵攻すると思われます。

それにサウジやイランが政府レベルで対抗すれば一気に全面戦争になりますが、そんな無謀な賭けは実行されないはずです。
米国は、混乱したサウジやイランでの親米=近代派の政権樹立を画策するでしょう。
サウジアラビアではサウド王室の一部が、イランでは改革派に潜んでいる親米派がその役割を担うと見ています。

ひ弱な親米政権を樹立したからと言って、さらには強力な親米政権を樹立したからと言って、目的とする「近代化」が達成できるわけではありません。

「近代化」とは政治体制のことではなく経済システムのことです。
そして、経済システムの「近代化」とは、欧米や日本が採用している銀行システムの実現がコアです。
これは、利息の取得を禁じるイスラム及びそれを基礎とするシャーリア(イスラム法)を廃棄し、利息の取得ができる貸し出しを行う中央銀行と商業銀行を経済のコアとして確立することを意味します。

これが中東全域で確立できたときに、目的である「近代化」が達成できたことになります。
しかし、強力な親米政権ができたとしても、それに着手しようとすることでさえ困難です。(イスラムを捨て去ることを意味する制度変更だからです)


● 「近代化」が達成できない根拠

まず、米国による自国への侵攻や占領に敵意を燃やす人は、イラクでもサウジでもイランでも多数派です。
イランは政府もそうですが、そられの国民の多数は、米国を“悪魔の手先”だと認識しています。
(コーランを読めばわかりますが、悪魔という言葉は頻出し、悪魔は、現世の一時的な欲得のために神(アラー)に背くよう人を唆す存在とされています。別のおどろおどろしいものではありません)

圧倒的な国民は敵意を抱きつつも自分と家族が日々生き抜くことで精一杯になるので、米国に対する軍事的対抗活動を行う人は少数でしかありません。

しかし、現在のアフガニスタンと同じで、そのような戦いを行う人たちを国民多数が支持はしているので、米軍は有効な鎮圧・掃討活動を行うことができません。

わずか1万人の抵抗者でしかないとしても、国民の支持を得ていれば、20万人どころか100万人の米軍兵士でも勝利することはできないのです。
銃火器がなくても、生活用具や石さらには身体だけだけでも戦えます。幸い、陸続きの周辺諸国の国民も、イスラム教徒としての連帯意識と共通の対米国観で抵抗運動を支えてくれるので、武器の確保も可能です。
難民として周辺諸国に逃げ出した人々も、その地を反米出撃拠点とするはずです。

(日本人とは違って、ムスリムは、個人レベルで強い価値観や規範意識を持ち、それを守るためには戦争や死を厭わない人たちが多いのです)

中東に武器を持って土足で踏み込むということは、まわりのほぼすべての人が敵という状況に身を置くということを意味します。

アフガニスタンでも見られることですが、昼間は米軍に雇われている人が夜になるとゲリラ的な攻撃を米軍に仕掛ける人になるということが起きます。

米国ブッシュ政権は、その地域で生活している人を皆殺しにでもしない限り、安定的支配が実現できない戦いに足を踏み入れようとしているのです。

ブッシュ政権が喧伝している短期決着はイラクだけに限ってもありえないのです。

そのような状況であっても、米国が軍事的に敗北するわけではありません。

米国は、巧くいかない支配・犠牲者のじりじり増加・駐留経費の増大にどこまで耐えられるかという状況に置かれることになります。
(同時進行のアフガニスタンも、イラク侵攻とその後の情勢によって大きく変わる可能性があります。マスード氏の謀略暗殺で北部同盟を騙して自陣営に付けましたが、それが崩れ、北部同盟のある割合が反米抵抗派に変わると見ています)

敗北はしない戦争ですから、選択肢は、居続けるか撤退するかです。
撤退が実質的な敗北だと言ってもいいでしょう。

これについては、開戦前から高まっている反戦運動とりわけ米国での反戦運動が様々なできごとを契機にどこまで大きくなるかが重要な鍵を握っています。

それに大きく関わってくるのは、戦況もさることながら、米欧そして日本といった先進国の経済状況だと考えています。

ベトナム戦争は米国軍需産業やアジア諸国経済にはプラス効果をもたらしましたが、米国経済そのものは長期的衰退のレールに乗ることになりました。
それでも、米国が経済的破綻状態になったわけではありません。日本やドイツは、その後も経済成長を続け、それらが貿易を通じて得たドルを米国に還流させることで米国経済も維持され、90年代中盤から後半にかけては「米国の繁栄」という倒錯的状況まで迎えることになりました。

しかし、米欧そして日本は、今や、同時的な「デフレ不況」に陥ろうとしています。

日本を見ればわかるように、金融主義や自由主義を基礎とした経済価値観で経済政策を考える限り、先進国の「同時デフレ不況」は解消されることなくずるずると悪化していくことになります。
日本の国民生活は相対的に恵まれていますが、欧州諸国は従来より10%前後の失業率であり、米英も求職活動さえ断念して社会保障に依存する膨大な人数がカウントされないが故に失業率が低く見えているだけです。
(米英に較べれば、欧州諸国のほうが社会福祉が充実しており、社会の安定が確保されています)


9・11で幕が開けられた「対イスラム戦争」は、米国を含む先進国が戦後世界では経験したことがない「同時デフレ不況」という未曾有の経済的災厄のなかで進められていくのです。

国民生活が困窮化していくなかで、勝利の見通しが立たない戦争に膨大な国費を投入することの是非も問われることになります。
日本も膨大な資金協力を強いられ、湾岸戦争のときのような1回だけの負担ではなく継続的な負担となります。
(欧州がイラク攻撃に反対していますから、3年間で5兆円を超える資金協力になるのではないかと予測しています)

第一次世界大戦や第二次世界大戦のような先進国間の国家総力戦であれば、それが国民経済活動の活発化をもたらしますが、開戦初期を除けば対ゲリラ戦や治安維持活動だけになる「対イスラム戦争」は、お金の流出だけになり経済活動の活発化はもたらしません。

(駐留部隊の維持費や占領支配費用で膨大な国費を投入することになります。イラクの原油を駐留部隊の維持費や占領支配費用に回そうとすれば、国際非難を浴びるとともに積み出しさえ妨害されることになります)


このようなことから、ブッシュ政権が愚かにも始めた「対イスラム近代化戦争」は挫折すると予測しています。
そして、始めた戦争が失敗に終わったのですから、その責任者が探し出されることになります。
もちろん、グランド・デザインを書いた人たちが矢面に立つことはありません。
他でもなく、最高司令官でもある大統領が責任者として矢面に立つことになります。
現在は、ブッシュ大統領を持ち上げているメディアが、手のひらを返してブッシュ叩きを行うようになります。
大産油国が揃っているイスラム世界との修復は、米国も含めた先進諸国にとって緊要な課題になりますから、そのためにも、ブッシュ政権を悪とする論調が満ちると予測しています。
敗戦後のドイツがナチスを悪とし、同じく日本が軍部を悪としたように...

米英(世界経済支配層)はえぐいので、ブッシュ政権を血祭りに上げることでイスラム世界との関係修復に走ります。

しかし、米国支持に動いている日本はどうでしょう。小泉政権を血祭りに上げてきちんと謝罪ができるか心もとないと思っています。
日本が口をつぐんで責任をはっきりさせなければ、イスラム世界の非難の矛先が米英ではなく日本に向かう可能性もあります。
そうなれば、戦後60年近くもたった今なお中国・韓国・北朝鮮との関係がぎくしゃくしているという状況がイスラム世界にまで広がることになります。

今度、日本が主体的に責任を明らかにすることなく自分には責任がないかのような対応をすれば、世界の孤児になってしまう恐れもあります。

なお、イスラム世界とりわけ中東地域も、「対イスラム戦争」を経て大きく変わると予測しています。端的には、米英が嫌うイスラム復興が大きなうねりになり、現在の支配者の多くが倒れると思っています。(自己保身に走って、米英のイラク攻撃を止める活動をおろそかにしたのですからね)
この意味でも、ブッシュ政権の「対イスラム戦争」は愚かなものです。


「近代」の終焉は、直接的には「世界同時デフレ不況」がもたらしますが、「対イスラム戦争」の挫折がもたらす価値観的変容が大きな影響を及ぼすと考えています。


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