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【吉田繁治】金融危機とデフレ経済を解く(4)【新円キ切り替えに言及】
投稿者 jimmy 日時 2002 年 11 月 19 日 11:33:39:

2002年11月18日号:Vol125<決定版:金融危機とデフレ経済を解く(4)>死滅した銀行の融資機能

こんにちは、吉田繁治です。先週の土曜日、知人の好意で、京都は下鴨泉川町の「石村亭(せきそんてい)」で談論・会食でした。晩秋の京都は紅葉が美しい。鴨川べりに広大な敷地をもつ下鴨神社が待ち合わせ場所でした。京都の北東部、出町柳の駅の近くです。

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 <Vol 125 決定版:金融危機とデフレ経済を解く(4)>
       死滅した銀行の融資機能
  本号はシリーズではありますが、それぞれを独立させて理解することもできます。
【目次】
 1.晩秋の京都で思ったこと
 2.金融の非常時
 3.何が問題だったか
 4.90年代の資金循環
 6.第二次金融危機
 7.個人金融資産が狙われる
 8.2004年4月の、「新円切り替え」への、うがった見方
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■1.晩秋の京都で思ったこと

3時の待ち合わせだったので、向かう前に先斗町(ぽんとちょう)で遅い昼食をとった。加薬(かやく)ご飯のお弁当です。ぶりの照り焼きとぜんまいの煮物、それに甘い白味噌仕立ての汁がついていた。街路を歩くと寒かった。熱燗の酒を1本頼み、身体を温めた。

右隣の席に60年配の主婦がいた。椀を啜りながらカウンターに両肘をつき、当方の顔を横目でじろじろ見る。悪い席に座ったと思った。その更に隣に座っていた会社の上司と女性事務員風の一組が立つと、上品な風体の老夫婦が入ってきた。二人は席に座って何が不満か、小声でぶつぶつ言っていた。

左隣では、近所のお旦那風の二人連れが酒を酌み交わし、釣りの話をしていた。観光地では、最近、どこでも退職世代が目立つ。こうした狭い料理屋でも日本の今の気分がある。タクシーの運転手は、今日と日曜日は最高の人出になると言っていた。いたるところ、渋滞していた。通りは観光客で溢れていた。

下鴨神社は鬱蒼とした森です。お社の前の広場で、白無垢の衣装の花嫁が、ラフな恰好の観光客に混り、歌舞伎役者のように白く化粧を施した顔で、唇に紅を刷き記念写真を撮っていた。30代に見えた。花嫁が胸に挿(さ)した短刀(今は装飾)は貞淑への決意を示す。

神社の木々と空気には不思議な「気」を感じます。独特の「気」はおそらく外国人には感得できない。日本の感性はこれを古来感じ取り大切にしてきた。

「石村亭」には谷崎潤一郎が昭和22年から10年間住み、『墨東綺譚(ぼくとうきたん)』、『鍵』の代表作を書き、源氏物語の現代語訳も行った。谷崎の世界にはなじめなかった記憶があります。今読めば、違う感覚を受けとることができるだろうか。

<この邸は建坪はさほどでもないけれども、庭が広くて林泉の美があり、門の前は鬱蒼とした糺(ただす)の森に面していた。私はこの邸を「せきくわんてい」と名付け、当時日本に滞在していた銭痩鐵(せんそうてつ)に揮毫(きごう)してもらった扁額(へんがく)を掲げてこの庭を限りなく愛し、毎年は春と秋には欠かさずここに戻って過ごす習慣になっていた・・・(『夢の浮橋』)>

谷崎が愛した庭と住宅は、丁寧に手入れされ、過去を現前させる。畳はやわらかく、窓ガラスはかすかに歪み、庭を映す。確かな手触りのある資産です。

庭の、苔むして白い根が走る土に、紅葉が静かに落ち、黒味がかった緑に赤の点描の文様を描いていた。こうした美意識を持つことができる限り、日本を世界の人々が認める。21世紀の商品価値は、美と洗練(sophistication)です。

量産の規格品の醜悪さから、芸と個品の美に回帰すること、これが21世紀の商品価値です。小国であるイタリア人や、本来は小国に住む日本人にとって得意領域であるはずです。あらゆるものが巨大な米国モデルは、日本人には不得意なことではないか?

日本人は、小さく囲い込めば美と洗練をつくることができる。茶室の狭さは日本的美意識を閉じ込める。それとは180度逆の、70年代からの公共事業での日本列島改造の醜悪さは、現在の日本経済の停滞の象徴でしょう。

▼21世紀:画一からの脱出

一個一個に、生産者の名前を書いたラベルを貼った芋を売る農村の共同商店をテレビは映していた。

農産物では生産者は無名になっていた。農協の規格が、生産者に代わっていた。誰が作っても同じ価格、同じ品質とされた。近代産業は、いたるところで生産者の名前を消した。工業化だった。

規格の価値>生産者の価値と、評価されていた。技量に雲泥の差がある医術も、保険の点数制になった。画一的医療になった。個人的な施術の芸は、保険評価の対象外とされている。国家試験で、工場労働者に似た定型作業者を作った。

[生産者]→[規格]→[画一な商品とサービス]→「大規模店舗」 →[匿名の大衆:消費者]だった。

それが流通組織だった。ブランド価値はメーカー名や店舗名だった。社員の名前は消えていた。発明者の名すら企業は消した。企業名はロゴであり、キャッチコピーであり、商品価値の記号だった。

21世紀の流通は、[名前を持つ生産者]←→[名前を持つ消費者]の、直結の仕組みに向かう。デジタル化は、20世紀量産が経済の外に追いやった個と小規模の価値を、いたるところで復権させる。当世風の用語で、それをCRM(Customer Relationship Management:「個客」との良好な関係の維持)と呼んでいる。

消費者を匿名のマスと見る量販は、世界で、軒並み成績が悪い。中国の生産は、量産コモディティの世界を、今後も数分の1に低価格化させる。中国は量産に向かい、OECDは個産に向かう。

▼量販の典型企業も個対個

28兆円4400店、従業員130万人のウォルマートはどうか? 個人のショッピングバスケット分析という知識作業のデジタル化で、「個客」の動線にホットな売り場を作っている。従業員は10フィート(3メートル)以内に「個客」が近づけば、微笑んで挨拶を交わす。「10フィートルール」と呼んでいる。

10フィートルールは、創業者サム・ウォルトンの処世術にも組み込まれていた。彼は挨拶の価値を知っていた。挨拶は人と人をつなぎ、「結ぶ」ものだった。コミュニティは、挨拶を起点にしか生まれない。今都市で、挨拶が消えている。あるのは「ありがとうございます」という工業的に定型の空疎なコトバ。

[How May I Help You!!(どう、お手伝いしましょうか?)]と白抜きの文字で大きく書かかれた赤いハッピを、全従業員が着ている。売り場の社員数は、同業のKマートより30%は多い。

量販であることにまちがいはないが、限りなく「地域のウォルマートコミュニティ」として人々につながりを作ろうとする姿勢と、サム・ウォルトンが持っていた「小=個」売りの精神が生きている。

入り口に立つ、ことごとくが老年のグリーター(挨拶係り)は、一人一人に声をかける。時には、自分のCDプレーヤーを持ちこみ、古いジャズナンバーをカラオケのように歌うグリーターもいる。ウォルマートはコストをかけ、個人的なつながりを大切にしている。挨拶は価値であるから、コストをかける。

経済を計算する尺度になったGDPってなんだろうとふと思った。中国人は今、先進国並みのモノの豊かさへの羨望を、労働の動機にしている。

日本人は、モノの豊かさへのあこがれを労働の動機にできるのか? 先進国の30代以下の世代に、違った価値観が、共通に生まれようとしているのではないか。そう感じることが次第に増えてきた。

■2.金融の非常時

会食をしながらの談論のテーマは、金融問題でした。12月から3月にかけ、金融は遅れた非常時を迎えることが確定した。

▼帰結

金融の非常時の最終結果は何か。資産の所有者の「大」移転です。資産の評価(簿価≒取得価格)を、時価に変え、払えない負債を帳消しにし、資産の所有者を変える。物的な資産は変わらない。それは、価格を下げ残る。しかし、所有者は変わる。

▼銀行

金融機関は、1991年から2000年までの10年間に土地価格下落で80兆円、持ち株の下落で50兆円、不良債権処理で90兆円、合計で220兆円を失っています。(『2002年経済財政白書』より)

そうした損失を90年代の10年間に蒙った後、更に現在の民間銀行の490兆円の貸付残のうち、今、最大で230兆円、約5割の不良債権の残額が噂(うわさ)されています。おそらく真の内容はそれに近いのですが隠されています。まさに不良債権列島になった。

銀行が信用を守るには、どうあがいても国有化の方法しかない。

▼最後は日銀に集まる

国有化の資金は、政府が発行する国債からくる。国債を引き受けるのは、日銀です。

[過剰債務企業の債務超過の確定]→[銀行の自己資本の破壊]→[政府資金の投入]→[日銀による国債買い取り額の増加]へとめぐる。とどのつまりは日銀によるマネー発行(=債券買い取り)に結果する。

このサイクルは人為的には、いくらでも続けることが可能です。日銀がマネーを刷っても国富である有形資産は増えも減りもしない。日銀は有形の商品を生むことはできない。信用という商品を売る。その信用を買うのは国民です。

▼信用乗数の低下

今インフレが起きていない理由はなにか?「日銀信用」を増加させても国債の引き受けにしかならず、「民間信用」は1994年以降急速に縮小しているからです。

マネーを発行できるのは日銀だけではない。企業は、手形発行や債券の売却でマネー発行ができる。銀行は、貸付や債券買い取りでマネー発行ができる。

1993年は民間信用の増加で計算される「信用乗数」(=(現金+銀行預金+CDの総額)÷(日銀のマネー発行額+日銀当座預金)は13.1倍だった。

この意味は、日銀が100万円のマネーを増発すると、それを起点に民間信用の連鎖(乗数)で、合計1310万円の民間信用(現金+預金+CD)の総額が生み出されていた。

100万円のマネー発行が、融資になって、投資され、還流して銀行預金となり、更にそれが貸付に回る信用の連鎖です。今、信用乗数は7.1倍に低下し縮小しています。日銀が100万円のマネーを発行しても、総額で710万円の民間信用にしかならない。

企業〜企業、そして企業〜銀行間の信用乗数の低下が、信用の縮退を生んで、デフレ経済に陥っている。

▼日銀信用が崩れる臨界点はどこ?

民間の信用乗数が低下しているなら、低下分を補って引き受ける「日銀信用」の拡大はどこまで続くことができるかということが問題になる。今の日銀は、予測では「行き着くところまで」国債を買い、マネーを増加発行するでしょう。行き着いて、日銀信用が壊れると、どうなるか。

突然、皆が国債を手放し、国債価格(=債権価値)の下落が起こり、金利が上昇します。危険のない資産とされている国債が、リスク資産になる。これが国家のデフォルトです。信用を失った人や会社への貸付には、そのリスクをカバーするために高い受け取り金利が必要です。これが経済原理です。

「金利」が上昇しないなら、海外と国民が円の価値を信用し続けるなら、日銀の通貨政策が信用され続けるなら、「大波乱」は起こらない。しかし、日銀を含む国家財政の内容は、悪化を続けることは確定する。

企業への貸付金利←[国債金利+その企業のリスク分の付加]
国債金利    =政府信用(≒日銀信用)

書き換えれば、企業への貸付金利←政府信用+その企業のリスク分の付加

日銀信用と政府信用が壊れ、金利が上昇する「臨界点」は、どこにあるか。金利が上昇すれば、合計で1000兆円を超える債務を抱える政府部門(特殊法人を含む)のデフォルトが起こる。

1%の上昇でも1000兆円×1%=10兆円の金利支出の増加につながります。国債価格は下がり、国債を持つ金融機関は、更に破綻の度を深める。

デフォルト(債務不履行)を防止するため、日銀の国債引受(日銀が国家に現金を供給すること)が、無際限な額になる。こうして、国債の格付けが下がれば、国債もリスク資産になる。

国債が吸収していた円通貨が、自然の原理でキャピタルフライト(他の通貨への避難)をし、国内は、信用収縮からクレジットクランチを起こす。日銀が追加マネー(名目額)を供給すればするほど、逆に、(実質では)信用収縮する過程に入る。

国債金利=政府信用(≒日銀信用)のマイナスを埋める高金利→過去の国債と債権の価格の下落→新規発行国債の金利高騰

2002年11月から来年3月、問題の焦点は、そこです。

[債務超過企業の資産と収益力の時価評価→銀行の債務超過→日銀信用の崩壊]まで、自動連鎖している構造がある。

■3.何が問題だったか

80年代中期、米国は財政赤字、貿易赤字、企業の赤字を続けていた。

世界に商品とマネーを供給する最大の黒字国が日本だった。プラザ合意(1985年9月)を期に、米ドルは円に対し、半分の価値に向かってきり下がった。価値が下落する米ドルを日本人は買い続けた。ドルが切り下がる分、日本から米国へ所得移転が起こった。

▼米ドルの世界への散布と、米国への還流

米国は、その後もずっと貿易赤字を続けた。世界で最も多額のドルを受け取る日本が米ドルを信用し、持ち続けたから、基軸通貨のポジションは変わらなかった。

決済手段として代わる通貨がなかった。急速に工業化した中国を含め冷戦後の世界各国も、米国への輸出経済を作り、対価として米ドルを受け取ることを喜んだ。日本の金融機関は価値が下がっても米国の債権を購入し続けた。日銀は外貨準備でドル債を増やし続けた。

米国は、パーパーマネーのドルを世界に散布しながら、米国にマネー(富)が還流する仕組みを維持した。世界に散布されたドルは、米国の債権と株を買い、舞い戻ってきた。

米国内では、401Kで年金資金を株に振り向けた。米国を含む世界の余剰資金は、米国債と株へ殺到した。

[海外マネーの還流+国内の401K年金マネー]→[債券と株]

米ドルは、世界と国内のマネーを集め金融帝国を作った。世界の中央銀行は、決済手段の米ドルを貯めることを喜んだ。

米ドルの信用のもとになったのは、
(1)ダントツの軍事力を背景にした米国政府の戦略、
(2)FRBグリーンスパンの金融政策とデリバティブ、
(3)ITとニューエコノミーの米国経済だった。

3者の合計が、工業生産力では劣る米国の90年代後期繁栄を作った。1997年から米国の株は、バブルのレベルの高騰にはいった。日本のバブルは、国内の過剰信用によるものだった。米国の1997年からのバブルは、世界に散布したドルの還流と年金資金によるものです。

米国は対外では2兆3000億ドル(276兆円:00年)の純債務国です。2000年春、ナスダック株の下落を端緒に世界の株価は、下落期に入った。米・欧・アジアでは、等しく40%から50%の時価総額を失っている。

この規模の株価下落は、1929年の大恐慌に匹敵する。このことを、認識しておくことです。株価下落は「企業の将来収益力」という信用の収縮です。これが、世界的なデフレ経済の原動力になる。

■4.90年代の資金循環

大恐慌に伴う大量失業の現象がまだ起こっていない理由は、日本が、特に1998年以降、日銀信用を膨張させ、国債を引き受けて、円マネーの増加供給を続けているためです。

山一證券、長銀、北海道拓殖銀行が破綻し、都市銀行は合併に入った第一次金融危機の1998年以降、需要対策で、政府部門は国債発行が急に膨らませた。小渕首相は100兆円の借金を増やした。

日銀は金利高騰を避けるため、市場の国債を吸い上げた。日銀が国債を吸い上げる(=名目金利は低い)という予想のもとに、銀行は、リスク資産の企業融資を回収し、ノンリスク資産の国債に振り替えています。

1993年までは、日本では、個人金融資産の毎年の増加を、銀行を通じ、企業と海外部門(米ドル)が吸収していた。

1994年から、個人金融資産の最大の融資先は、国債になった。1998年から、民間企業からの融資回収と個人金融資産の増加分のほとんどは、政府部門が吸収している。

【マクロの資金循環まとめ】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(1990年〜1993年の4年間)
 200兆円の増加資金の供給元=家計の金融資産増加
       増加資金の使途=企業への貸付+海外部門

(1994年〜1997年の4年間)
 160兆円の増加資金の供給元=家計の金融資産増加
       増加資金の使途=国債購入+海外部門

(1998年〜2001年の4年間)   
 200兆円の増加資金の供給元=家計+民間企業からの融資回収
       増加資金の使途=国債購入+海外部門
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  (『2002年財政経済白書エコノミスト版』 p222より計算)

以上をを見れば以下のことが分かる。

(1)1993年までは、企業の赤字補填の「追い貸し」が続いていた。ここで、不良債権が拡大した。

(2)1994年から97年になると追い貸しは止み、公共事業のための国債へ流れた。そして97年は、第一次金融危機が起こった。

(3)1998年から01年は、銀行は企業から融資を回収し、増発された国債を買うことになる。政府部門のバブル的拡張が、98年以降の名目GDPを支えた。そして、2001年末から第二次金融危機へ突入した。

■5.第二次金融危機

2002年春は、金融危機が起こる寸前までいった。政府は、空売りの規制を行った。空売りでは、株の先安を予想するとき、現物を借りて売り、代わりに先物を買う契約をする。空売り規制で、売り圧力が減り、株価は上昇した。金融庁は安堵し「金融危機は去った」と発表した。

米国は、9.11以降の需要縮小を金利を低下させた上に、「テロリズムに負けるな」という愛国的消費喚起の掛け声で、需要を駆り立てた。米国の輸入は増加し、日本を含むアジアは一時的な安心を得た。

2002年5月以降、米国の消費にかげりが出た。世界の株価が同時安を呈した。日本では空売り規制の逆効果が出始めた。

空売りは、現物の売りで株価を下げるが、先物の買いの時期には逆に買い支えになる。2002年5月以降、空売り規制の逆効果が、株価に反映し買いがなくなって7月、8月、9月、10月と下げ一方になった。8500円を割ったとき最優良金融機関の持ち株の株含み益もゼロになった。

4大銀行(融資額約250兆円)のみで不良債権(=銀行の資産)の時価評価を行えば、100兆円の債務超過になることがほぼ明らかになっています。民間銀行の全体では、230兆円、融資総額の約5割は不良債権であると言われる。銀行と政府のアナウンスメントはひどい状況を隠します。政府と銀行は、信用を失っている。

【国内では】
日本のデフレ経済の原因は、民間信用の、企業〜企業間、及び企業〜銀行間の信用縮小です。クレジットクランチ、信用の縮小が起こっている。

【対外では】
日本政府は、世界に向かって「日本発の世界恐慌」を起こさないことを公約にしています。世界は、日本が米国への資金還流を続けなければ、ドルの価値が崩落することを知っている。

ところがブッシュ政権は、日本に早期不良債権処理を求めた。

理由は、ブッシュ政権に、
(1)日本の不良債権の総額への認識がないこと、
(2)海外に依存する米国金融の脆弱さの認識がないためです。

1997年〜2000年までの米国の株価高騰は、日本の地価上昇に似て、米国内での民間信用を(バブル的に)増加させた。好調な企業収益での納税のため、米国の財政も黒字化した。

米国の当局の認識は、米国は自律的な信用での経済であり、海外資金依存ではないという方向に次第に変わってきた。

ところが米国の企業収益の増加の何割かは、人件費の費用化を先伸ばしにしする「オプション株」での役員報酬、費用の飛ばし、デリバティブを使った損失隠蔽であったことが明らかになっています。つまり、米国企業の利益に空洞があった。

にもかかわらず、米国政府は、日本の不良債権処理が米国への資金還流を逆流させ、米国債の価格下落、株価の下落、金利高騰、ドルの崩落をまで生むことまでを想定していない。

米国民には、米国が2兆3000億ドル(276兆円)の純債務国であるという認識はほとんどない。ブッシュ政権にもない。

米国の認識不足こそ、世界恐慌(=米国と日本の信用の同時縮小:両国で世界のGDPの40%)の引き金になる。イラクの攻撃は、全イスラム圏を敵に回し、資本主義を敵とするテロリズムを世界に拡散させ、不安心理から恐慌を確定させるかも知れない。一体何が目的で、米国の保守派は、イラク攻撃にいきり立つのか。

日本国内では、政府・金融庁は、銀行を(倫理的な)悪者にし、国有化を進めることを確定させています。倫理はこうしたときは求めてはいけないものです。江戸代的な清貧の「享保の改革」になる。

現代の世界経済は、ほうっておけば信用収縮で崩壊する金融バブルの上に築かれている。崩壊を急がせる必要はないように思えるのですが。

■6.個人金融資産が狙われる

家計の黒字(可処分所得−消費)の累積額が、個人金融資産です。消費を節約し長年かかって貯めたものです。合計額は1480兆円です。

世界で最も健全な内容を持つのが、日本の家計であり、とりわけ65歳以上の高齢者世帯です。50歳以下の世帯は、住宅価格の(おおそ半分への)値下がりのため、預金は少しあっても住宅ローンで債務超過か、資産ゼロ世帯も多い。(推計1000万世帯)

▼個人金融資産の内訳
  現金・銀行預金・郵貯 (55%:810兆円)
  保険・年金      (30%:450兆円)
  債権・株・投資信託  (15%:220兆円)

【個人負債の内訳】
他方、個人向けローンの合計は、250兆円(ドイツ証券調べ)です。
  住宅ローン      (72%:180兆円)
  その他消費者ローン  (28%: 70兆円)

1480兆円−250兆円=1230兆円が、家計の純金融資産です。その50%を持つのが、(世帯主が65歳以上の)高齢者世帯です。

金融資産は銀行や郵便局の金庫に眠っているわけではない。企業融資、財投資金、公共投資として既に使われています。融資回収や利払いができなければ、家計の金融資産は次第に蒸発します。

■7.2004年4月の、「新円切り替え」への、うがった見方

2004年の4月から1万円、5000円、1000円の紙幣切り替えが行われます。以下はうがった見方ですが・・・  なぜこの時期、紙幣切り替え行うか? とても、不思議に思えるのです。

日銀や財務省に、国家財政に忠実な戦略家がいれば、以下の構図を描くように思えます。

(1)不良債権処理で政府は100兆円規模の資金を使うことになる。

結果は銀行の国有化です。国有化は、銀行の人事と懐に[金融庁−財務省]が手をいれることができる金融支配の復権という意味。

(2)この100兆円の資金をどうやって補填するか。

増加国債の発行では、金利高騰を招く恐れがあり、(1000兆円の債務がある)国家財政を破綻させます。行政機関の給与遅配、行政サービスの縮小、福祉の縮小、公共事業の停止が起こる。

(3)国債の増発以外なら増税ですが、国民の合意が取れない。

そこで、戦略家は「金融非常時の」救国内閣を組織する。救国内閣は以下を政策にする。極秘裏に勧めなければならない。情報が漏れるなら、その前にキャピタルフライト(=円の海外逃避=円の暴落)が起こるからです。

・旧1万円札の、新1万円札への交換比率を、90%にする。(1万円を2004年に新円に交換するとき、9000円にする。)
・1000万円の預金も、新円で900万円に減価する。

現金、全預金、保険・年金を含む金融資産の額面に対し、10%の金融税を徴収するのと同じです。年金も保険も、10%減価されます。政府はこの誘惑には勝てない。

これは、マイナスの金利を課す方法です。タンス預金にも10%のマイナス金利がかかることになるから、旧1万円札が1万円として流通する間に、現金と預金を集めモノを購入しようという「うねり」が起こる。その間、円から外貨への、外貨から円への交換は、今の中国のように貿易の実需分に制限します。(米国との政策協定が必要です)

政策の名目は「日本国民が世界最高額の金融資産を使わないことが、デフレの原因であり、世界恐慌を引き起こす原因である」となるでしょう。恐慌による失業の増加か、金融税かという選択を国民に迫る。政府が受け取るのは、家計の純金融資産1280兆円×10%=128兆円になる。

同時に、円の減価期限の前にはでモノの購入が活発化し、一夜でデフレ経済脱却のきっかけになる可能性がある。最も打撃を受けるのは、個人金融資産で600兆円をもつ高齢者世代です。

価格デフレとは、預金者への所得移転でした。→実質金利=銀行の名目金利+価格下落率

1万円のものが、来年9500円の価格に下落すれば、5%が実質金利になります。1994年以降、物価下落で実質金利の高騰が起こっている。債務者(政府と企業)の実質負担がどんどん大きくなったのが、94年以降の8年間です。

新円切り替えでの(例えば10%の)現金と預金へ課すマイナス金利は、過去8年間の物価下落で、債務者から預金者へ移転していた過去の所得を、取り戻す方法です。

以上の方法は、インフレターゲットの裏の方法です。インフレも金融資産(円通貨)と負債の(物価に対する)実質価値を減価させる方法ですから、結果は同じになります。マイルドインフレを起こすより容易で、確実な奥の手です。

以上はうがった見方です。あくまで参考のために。政策の手段は、いろいろあることを知っていただきたいために、解説しました。初冬の夜の夢で終われば幸い(笑)

政府・日銀が狙っている気配は、今は見えません。選択肢としては、温存しているように思えますね。国家機関は、太古の歴史から、民から収奪する権力の別名でもある。民主国家が、家計の金融資産を収奪する方法がインフレでしたね。

国民は、以上のような「新通貨への切り替え策」をも、「恐慌=20%以上の失業」を回避するためとなれば、受け入れる可能性があります。国家の枠組みと憲法にまで手をつける、強い国民的人気をもつ保守的なリーダシップが必要でしょう。次のリーダーは新保守派でしょう。

石原都知事は、本人が意図せずとも歴史からそうした課題を与えられているのかもしれません。その後のアジア通貨圏構想や、核武装も彼の政策課題になる。日本が米国の傘から離れれば、米ドルは機軸通貨の価値を失います。

その時、新たな機軸通貨のアンカーは何か? ゴールドも浮上するかもしれない。30年に渡り、密かに、安価な世界のゴールドを集めているのは米国ですね。兌換の新ドル発行が、米国の対外債務2兆3000億ドルを帳消しにする唯一の方法に思えるからです。

30年の変動相場制は、次々にバブル経済を生んだ。そうした反省が、恐慌を経て生じる可能性があります。小泉構造改革路線は、既に、破綻しています。政局にしか興味がないと彼は最近言っている。

金融のことを書くのは憂鬱になります。しかし、伝える必要があると感じます。知ることは、乗り越えることです。
予測がはずれればそれは幸いです・・・ はずれることを祈りましょう(笑)

see you next week!!

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