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「【吉田繁治】金融危機とデフレ経済を解く(4)」批判
投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 19 日 21:32:10:

(回答先: 【吉田繁治】金融危機とデフレ経済を解く(4)【新円キ切り替えに言及】 投稿者 jimmy 日時 2002 年 11 月 19 日 11:33:39)

前回の流れを引き継いだ近代産業の弊害やそれからの脱却という吉田氏の考えは理解できるが、「21世紀の流通は、[名前を持つ生産者]←→[名前を持つ消費者]の、直結の仕組みに向かう。デジタル化は、20世紀量産が経済の外に追いやった個と小規模の価値を、いたるところで復権させる」とし、「消費者を匿名のマスと見る量販は、世界で、軒並み成績が悪い。中国の生産は、量産コモディティの世界を、今後も数分の1に低価格化させる。中国は量産に向かい、OECDは個産に向かう」と語られると、現実を無視した夢物語と言わざるを得ない。

インターネットが[名前を持つ生産者]←→[名前を持つ消費者]の直結の仕組みをサポートすることは認めるが、それは、限定的なすきま商売でしかない。
厳しく言えば、[名前を持つ生産者]の財を買い求める[名前を持つ消費者]はそれなりの余裕がある人たちである。

吉田氏は、近代経済社会が100人がかりで生産していたものを20人で生産できるようにしたことで、財的豊かさを実現したという認識が不足している。

現在の経済システムのまま[名前を持つ生産者]←→[名前を持つ消費者]を推し進めれば、江戸時代レベルの財的豊かさにならざるを得ないのでる。
それが悪いというのではなく、現在の経済システムのままそうなることがどういうことを意味するかという問題である。端的に言えば、農地や生産手段を保有していて生産者になり得る人は限られているのだから、[名前を持つ消費者]が極端に少なくなる。

根本的な問題は、わずかばかりの貯蓄をしながら生活している人が大多数であり、高価な[名前を持つ生産者]が供給する財より、[記号化された生産者]が安価に供給する財をより多く購入する選択をするということである。

「中国は量産に向かい、OECDは個産に向かう」ことになれば、OECDの一員である日本は、その多くの国民が財的豊かさのレベルを大きく下げることになる。


例示しているウォルマートは、あくまでも量販の競争力強化策であり、[名前を持つ生産者]←→[名前を持つ消費者]とは異次元のものである。


「日本人は、モノの豊かさへのあこがれを労働の動機にできるのか? 先進国の30代以下の世代に、違った価値観が、共通に生まれようとしているのではないか。そう感じることが次第に増えてきた」とまとめているが、モノに対する充足感が高まってきたことが、モノ以外への価値性を高めてきたのであり、モノに対する非充足が広がれば、モノに対する執着心が戻ってくることになる。
失業者の増加や賃金の切り下げは、そのような回帰を促すものである。

>■2.金融の非常時

>12月から3月にかけ、金融は遅れた非常時を迎えることが確定した。

>▼日銀信用が崩れる臨界点はどこ?

吉田氏は、通貨に対する信頼が日銀の信用力に依存しているという錯覚をしている。
日銀券の信用の基礎は、日銀ではなく、日本の産業力にある。日銀券で何をどれだけ交換できるかということが問題なのである。

だからこそ、財務的信用がない「政府紙幣」でも経済は動くし、それによって経済は回復する。

日銀が赤字国債を直接引き受けしても、それによる歳出の結果悪性インフレにならない限り、日銀券の信用は揺らがない。

日銀券の信用が揺らぐのは悪性インフレによってであり、金融システムが危機に陥るのは、それがもたらす金利上昇である。

金利上昇が金融システムの危機につながらるのを防ぐためには、そうなる前に、銀行が保有している低金利国債を日銀が購入していればいい。

そうであれば、銀行は、貸し出し金利>預金金利の原則でうまく立ち回ることができる。

>民間の信用乗数が低下しているなら、低下分を補って引き受ける「日銀信用」の拡大
>はどこまで続くことができるかということが問題になる。

低下分を補えないから国民経済の収縮が起きており、日銀は、国債サイクルだけを維持しているのである。


>今の日銀は、予測では「行き着くところまで」国債を買い、マネーを増加発行するで
>しょう。行き着いて、日銀信用が壊れると、どうなるか。
>突然、皆が国債を手放し、国債価格(=債権価値)の下落が起こり、金利が上昇しま
>す。危険のない資産とされている国債が、リスク資産になる。これが国家のデフォル
>トです。信用を失った人や会社への貸付には、そのリスクをカバーするために高い受
>け取り金利が必要です。これが経済原理です。

「行き着いて、日銀信用が壊れる」と安易に書くのはやめて欲しい。
「行き着いて、日銀信用が壊れる」過程や論理を説明すべきである。

「皆が国債を手放し」と言っても、個人ではなく金融機関や生保が保有しているのだから、日銀が買えば、国債価格の下落も、金利の上昇も起きない。


>デフォルト(債務不履行)を防止するため、日銀の国債引受(日銀が国家に現金を供
>給すること)が、無際限な額になる。こうして、国債の格付けが下がれば、国債もリ
>スク資産になる。

「無際限な額」になるわけではない。400兆円余り+利息(10兆円)+年間30数兆円である。
400兆円余り+利息(10兆円)を引き受ければ、あとは年間30数兆円である。

そして大事なことは、400兆円余り+利息(10兆円)が需要として溢れ出るわけではなく、預金という負債に対応した現金資産になるだけということである。

困るのは、利息が付く国債が利息の付かない現金になったことである。
それも、預金利子がゼロであれば、不良債権処理の原資が出ないという問題だけになる。
なんなら、年間30数兆円の国債は銀行が引き受ければいい。
国債がリスク資産になって自己資本比率規制に引っかかるのならやめればいい。

>ところがブッシュ政権は、日本に早期不良債権処理を求めた。

>理由は、ブッシュ政権に、
>(1)日本の不良債権の総額への認識がないこと、
>(2)海外に依存する米国金融の脆弱さの認識がないためです。

ブッシュ本人は知らないだろうが、ブッシュ政権は知っている。
だからこそ、日本の金融資産に直接手を突っ込もうとしているのである。


>米国民には、米国が2兆3000億ドル(276兆円)の純債務国であるという認識はほとん
>どない。ブッシュ政権にもない。

いざとなったら、デフォルトすればいいと考えているから、純債務国であるという認識がないのである。

>イラクの攻撃は、全イスラム圏を敵に回し、資本主義を敵とするテロリズムを世界に
>拡散させ、不安心理から恐慌を確定させるかも知れない。一体何が目的で、米国の保
>守派は、イラク攻撃にいきり立つのか。

全イスラム圏を新たな国債金融秩序に組み入れるためのである。


>■7.2004年4月の、「新円切り替え」への、うがった見方

>日銀や財務省に、国家財政に忠実な戦略家がいれば、以下の構図を描くように思えます。

>(1)不良債権処理で政府は100兆円規模の資金を使うことになる。

>結果は銀行の国有化です。国有化は、銀行の人事と懐に[金融庁−財務省]が手をい
>れることができる金融支配の復権という意味。

>(2)この100兆円の資金をどうやって補填するか。

>増加国債の発行では、金利高騰を招く恐れがあり、(1000兆円の債務がある)国家財
>政を破綻させます。行政機関の給与遅配、行政サービスの縮小、福祉の縮小、公共事
>業の停止が起こる。

>(3)国債の増発以外なら増税ですが、国民の合意が取れない。

>そこで、戦略家は「金融非常時の」救国内閣を組織する。救国内閣は以下を政策にす
>る。極秘裏に勧めなければならない。情報が漏れるなら、その前にキャピタルフライ
>ト(=円の海外逃避=円の暴落)が起こるからです。

>・旧1万円札の、新1万円札への交換比率を、90%にする。(1万円を2004年に新円
>に交換するとき、9000円にする。)
>・1000万円の預金も、新円で900万円に減価する。

>現金、全預金、保険・年金を含む金融資産の額面に対し、10%の金融税を徴収する
>のと同じです。年金も保険も、10%減価されます。政府はこの誘惑には勝てない。


「政府はこの誘惑には勝てない」と結論づけているが、こんな誘惑に負ける政府はバカ集団である。
100兆円で銀行を国有化したとしても、それで経済がまともになるのなら、国有化された銀行は、年間10兆円ほどの業務純益を上げるだろう。
国債は60年で償還すればいいものである。

金融資産課税という際物を実施しなくても、100兆円の回収は10年ほどできる。そして、その後で、NTTのように株式を徐々に放出していけば、その分が銀行国有化に伴う利益である。経済状況がまともであれば、50兆円を超える売却金額になるだろう。

ただ建築するだけで収益を生まない建物を建てたり、通行料収入が思うように上がらない橋や高速道路を建設するわけではないのである。


>これは、マイナスの金利を課す方法です。タンス預金にも10%のマイナス金利がかか
>ることになるから、旧1万円札が1万円として流通する間に、現金と預金を集めモノを
>購入しようという「うねり」が起こる。その間、円から外貨への、外貨から円への交
>換は、今の中国のように貿易の実需分に制限します。(米国との政策協定が必要です)
>同時に、円の減価期限の前にはでモノの購入が活発化し、一夜でデフレ経済脱却の
>きっかけになる可能性がある。最も打撃を受けるのは、個人金融資産で600兆円をも
>つ高齢者世代です。

愚かな国民が多いなら、モノへの動きが加速化するだろう。
しかし、冷静で合理的な国民が多いのなら、金融資産が目減りする政策だから、生活必需品には殺到するが、耐久消費財や贅沢品はじっと我慢することになる。

そして、生活必需品需要の急拡大は需要の前倒しだから、新1万円になった途端に急縮小することになる。

さらに、愚かな国民も、金融資産が目減りしたことを現実として認識することになるから、急激な消費縮小が起きて「反動デフレ」になる。


>以上の方法は、インフレターゲットの裏の方法です。インフレも金融資産(円通貨)
>と負債の(物価に対する)実質価値を減価させる方法ですから、結果は同じになりま
>す。マイルドインフレを起こすより容易で、確実な奥の手です。

インフレは起きずに、さらにデフレが悪化することになる。
吉田氏は、経済を語らずに、思想を語るだけにしたほうがいいと思う。

「インフレも金融資産(円通貨)と負債の(物価に対する)実質価値を減価させる方法
ですから、結果は同じになります」と説明しているが、政府が金融資産を吸い上げることが、どうして実質価値を減価させることになると言うのだ。

民間金融資産の絶対額が減少するだけである。

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