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直言・デフレ脱出(1)植草 一秀
投稿者   日時 2003 年 2 月 03 日 19:39:58:

☆ちと古いが、こんなのもあったな 


直言・デフレ脱出(1)
野村総研主席エコノミスト 植草 一秀(うえくさ かずひで)氏


主張ポイント
◎年2―3%の成長を
◎大胆な補正予算必要

◆政策転換に踏み切れ

 株価下落の背後には、小泉内閣の緊縮財政路線がある。今年度の国の予算は、歳出から税収を差し引いた財政収支の赤字が昨年度決算より約3兆円も縮小している。赤字削減を優先した結果、過去20年間で最大級の緊縮予算となった。

 京大助教授や米スタンフォード大フーバー研究所客員フェローなどを歴任。専門は金融論、経済政策論。主な著書に「日本の総決算」「現代日本経済政策論」など。41歳。 日本経済が苦境に陥っているにもかかわらず、小泉首相は大胆な補正予算の早期編成に後ろ向きだ。緊急時なのに、補正予算を今月の臨時国会ではなく、来年の通常国会に提出する方向だという。

 しかも、竹中経済財政・金融相は不良債権処理の加速を打ち出している。市場関係者の間では、大銀行も整理・淘汰(とうた)の対象になりうるとの観測が飛び交っている。これでは、弱っている患者に対して、麻酔も点滴もなしに大手術を施すようなものだ。こうした竹中路線に対して市場は強烈な拒否反応を示している。

 小泉首相は「改革には痛みが伴う」と繰り返し述べている。これは、不況に陥っても国民に我慢を強いるだけの“不況容認宣言”を発しているのと同じである。それが、投資家や消費者の心理を極度に委縮させている。

 首相は「改革なくして景気回復なし」と構造改革を最優先にし、景気回復を後回しにしてきた。この方針を改め、政策を大転換して、景気回復を目指す方針を大胆に打ち出すべきだ。年2―3%の実質成長を達成することを目標に、今年度は少なくとも3兆円規模の補正予算が必要だ。日本経済がかなり衰弱していることを踏まえると、カンフル剤としては3兆円以上へ上積みすることも必要かもしれない。

 2003年度予算編成でも、歳出を現在の政府方針よりも数兆円程度拡大させ、緊縮色を薄めなければならない。

 公共事業の内容を見直し、ムダを省くことが大前提となる。新しい需要を創造するため、環状道路、地震対策をはじめとする都市再生などに大胆に配分することが求められる。不良債権処理の加速で破たんする企業が出ることに備え、セーフティーネット(安全網)の整備も急務だ。特に、雇用危機に直面している団塊世代への目配りが重要で、時限措置として雇用保険の給付拡大など失業補償の強化を検討すべきだ。

 「経済対策は、もはや景気を浮揚させる効果がない」との指摘がある。だが、その認識は間違っている。

 90年代に株価が急落した主な局面は、92年8月、93年11月、95年7月、98年10月の4回だ。いずれも当時の内閣が大型の景気対策を打ち出し、流れが変わった。日経平均株価は5000円から8000円も値上がりした。96年は、前年の景気対策の効果で3・5%の実質経済成長率を達成できた。

 ところが、残念なことに、対策の成果が軌道に乗る前に、財政再建路線に転換して過度の緊縮政策が実施され、景気回復の芽が摘み取られてしまった。橋本内閣の財政構造改革路線は代表例だ。小泉首相は、その二の舞いを演じようとしている。

◆需要刺激する減税を

 補正予算の編成など景気回復を最優先させた大胆なマクロ政策を着実に実行すれば、日本経済は再生しうる。日経平均株価(225種)を2万円台に回復させることも不可能ではないだろう。

 日経平均の推移を見ると、96年の年初から97年にかけてと、2001年の年初以降の動きが酷似している。97年11月には北海道拓殖銀行や山一証券など大型の金融破たんが相次ぎ、金融パニックに陥った。96年から97年にかけての同じ時間軸を今回に当てはめれば、今年11月に大きな問題が表面化する懸念すらある。

 バブル崩壊後に日本経済が最も動揺したのは、あの97年秋からの1年間だった。今回も有効な手を打たなければ、今年秋以降、日本経済は本当の修羅場に突入するかもしれない。

 現在、経済再生策の柱として、先行減税が議論されている。ところが、政府は、一定期間内の減税額と増税額を同じにする「多年度税収中立」に固執している。これでは経済の活性化につながらない。

 期間内の前半は減税の恩恵を受けられるが、後半は増税色が強まる。減税は時限措置、増税は恒久措置になる可能性が大きく、将来を見通すと明らかに増税になる。これでは消費者心理が冷え込むだけだ。来年度は2兆円程度の減税を実施すべきだ。増税措置は景気回復を実現した後にまとめたらいい。

 減税の柱としては、企業の設備投資を促すための政策減税を重視すべきだ。米レーガン政権が1980年代初めに採用した加速度償却制度が検討課題になる。企業が設備を購入した場合、その費用を従来の方法よりも前倒しで損金に計上し、税金を軽減できる制度で、委縮している設備投資へのカンフル剤となる。

 減税は需要を刺激する内容にすることが重要だ。個人消費を刺激する狙いから、サラリーマンの経費を広範に認め、パソコンの購入や英語の習得などに税制上の恩典を与えることを検討したらいい。

 土地の流動化を促すためには、土地の保有や取引にかかわる税金を5年間ぐらいの時限措置で課税停止するような思い切った取り組みが必要だ。

 仕組みが複雑で不評な新しい証券税制も大幅に見直すことが欠かせない。株式譲渡益課税は、これまで大半の投資家が確定申告の不要な源泉分離課税を選択していた。投資家にとって使い勝手のいい源泉分離課税を残すことが求められる。

 不良債権の処理に当たっては、透明、公正、厳正を3原則に据える。その際、金融システムを守るため、公的資金の活用をためらうべきではない。

 本来ならば、日本経済の体力を十分に回復させてから、不良債権問題という病巣の摘出手術に取りかかるべきだと思う。政策の優先順位を間違えてはいけない。(聞き手 経済部 新保 裕介)

(2002年10月17日)

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