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木より森 北朝鮮
投稿者 日時 2002 年 11 月 21 日 14:50:05:

(回答先: オウム帝国の正体 投稿者 日時 2002 年 11 月 21 日 14:49:00)


木より森を見て欲しい

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、どのような手を打ってくるだろうか。韓国政府高官たちと話し始めると、きまってそこに向かう。

 北朝鮮が米朝枠組み合意に違反して、ウラン濃縮核兵器開発を秘密に進めていた。それに対して、日米韓などでつくる朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)は、米国が北朝鮮に供給する重油を12月から凍結するとともに北朝鮮がウラン濃縮計画を放棄しない限りKEDO事業も見直されるだろう、と北朝鮮に通告した。

 それを北朝鮮がただ黙って見ていることはないだろう。例えば、次のような報復策が考えられる、と彼らは言う。

 * 凍結された寧辺の原子炉を監視している国際原子力機関(IAEA)の常駐査察官を国外に追放する。

 * 核不拡散条約(NPT)脱退を表明する。

 * 枠組み合意で北朝鮮にあきらめさせた2基の原発の建設を再開する。

 * ミサイルを発射する。

 * 寧辺のコンテナ内に封印されている燃料棒を取り出す。(それによってプルトニウムを製造する姿勢を示す)

 あくまでシナリオの話であるが、北朝鮮がこのような報復策に訴えた場合、対立がエスカレーションへと向かう危険がある。燃料棒取り出しなどに至ればことはきわめて深刻だ。

 金大中政権はそれを心底恐れている。そうなれば太陽政策は完全に破綻(はたん)し、これまでの南北雪解けの成果は水泡に帰す。

 KEDO理事会決定の前に、ソウルでこんなことがあった。

 青瓦台(大統領府)はホワイトハウスから、ブッシュ大統領から金大中大統領に電話が入るかもしれないという事前通知を受けた。これに対して青瓦台は「電話を入れないでほしい」と押し返そうとしたというのだ。大統領の電話はその前の閣僚会議で内定した11月分の重油凍結との内容をそのまま伝えるという話だったからだ。それだと「賛同しかねる、再考をお願いしたい」と言わざるを得ない。そうなれば米韓関係はさらに険しくなる、と恐れてのことだったという。同じような事前通知の電話は実は日本にもかかった。

 結局、ブッシュ大統領からの電話は来なかった。11月供給は継続となった。日韓の要路は「日韓そろって11月分凍結に抵抗したことが功を奏した」と説明している。この間明らかになったことはブッシュ政権の対北朝鮮政策が強硬派と穏健派に分裂しているということだった。米国も現時点では北朝鮮の核問題には「外交的解決で臨む」との方針を明らかにしている。ただ、ブッシュ政権の北朝鮮政策は関与より封じ込めの色彩を強めつつある。

 金大中政権は北朝鮮よりむしろ米国のエスカレーションの方を心配しているように見える。「米国は木の枝や木の葉でなく、森を見て欲しい」と韓国政府高官は訴えるように言った。「森」とは、「休戦協定はあるが、平和協定はまだないという朝鮮半島の冷戦構造の解体と平和と安定の構築」(同高官)である。つまり「戦争と平和」のテーマにほかならない。

 変われば変わるものである。

 94年、クリントン前米政権がKEDOによる北朝鮮での軽水炉建設への日本の協力を要請した。日本政府担当者がその前年の北朝鮮によるノドン・ミサイルの発射に触れつつ「日本の納税者はこんな構想をとても支持しないだろう」と言ったところ、米側は「無責任とは言わないが、異なことを承る」と批判した。98年、北朝鮮がテポドン・ミサイルを発射したのに対し日本が抗議のためKEDOへの資金供与の一時停止措置を取った時、米側は日本政府担当者に「幻滅、幻滅、幻滅」と三度も同じせりふを繰り返した。その米政府が今度は、KEDO廃棄を口にする。だが、KEDOは米朝の「政治的連関」でもあるとともに、日米韓の「安全保障的連関」でもある。それをそう簡単に放り出すべきではない。

 ブッシュ政権はイラク戦争のゲームプランは何回も練り直しているのに、北朝鮮核危機に対するゲームプランはまだ書き始めてもいないようだ。政権内が割れていてそれがままならないというのが実情だろう。

 そうであるとするならば、日本が果たしうる役割はさらに大きい。日朝サミットと日朝正常化交渉をいいタイミングで起動させながら、北朝鮮との安全保障協議を交渉テーブルに載せられないのではもったいない。

 日本の死活的な安全保障と国益がかかっている。北朝鮮に核開発を放棄させる方程式をもう一度編み出すときだ。日本も「森」を見る必要がある。

(2002.11.21)


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