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ステパン・バンデラを信奉するウクライナのネオ・ナチを動かしている優生学の発祥地は英国であり、米国で育った
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投稿者 中川隆 日時 2022 年 12 月 31 日 13:05:17: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

ステパン・バンデラを信奉するウクライナのネオ・ナチを動かしている優生学の発祥地は英国であり、米国で育った
 アメリカの支配層がウクライナにロシアと友好的な関係を築きそうな政権ができることを許せないのは、彼らの対ロシア戦略と深く関係している。ロシアを征服し、抵抗できないように分割したいのだ。
 バンデラは第2次世界大戦当時に活動、ナチスと手を組み、ロシア人やユダヤ人を殺しているが、その根底には北欧神話がある。ネオ・ナチにとってスラブ民族は劣等種であり、除去すべき対象だ。こうした考えに「科学」の衣をまとわせたものが優生学。その思想をドイツのナチスも信仰していた。

 優生学の創始者とされているフランシス・ゴールトンは『種の起源』で知られているチャールズ・ダーウィンの従兄弟にあたる。ダーウィンはトーマス・マルサスの『人口論』から影響を受け、「自然淘汰」を主張していた。ちなみに、最近ではダーウィンの仮説に否定的な研究が発表されている。せいぜい進化の一部を説明しているだけだということだ。

 当時、この考え方はイギリスの支配階級に広まっていたようだが、その中にはセシル・ローズも含まれていた。彼は1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に『信仰告白』を書いている。

 その中で彼はアングロ・サクソンを最も優秀な人種だと位置づけ、その領土が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張している。大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務であり、領土の拡大はアングロ・サクソンが増えることを意味するとしている。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877)

 こうした考えをローズは彼のスポンサーだったナサニエル・ド・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、アルフレッド・ミルナー、ロバート・ガスコン-セシル、アーチボルド・プリムローズたちへ説明したとされている。その後、プリムローズの甥にあたるアーサー・バルフォアもローズのグループへ入った。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013)

 このグループに入っていたとみられる地理学者のハルフォード・マッキンダーは1904年に「歴史における地理的要件」という論文を発表したが、その中でユーラシア大陸の海岸線を支配して内陸部を締め上げ、ロシアを征服するという長期戦略を示している。この戦略を可能にしたのがスエズ運河の完成だ。その近くにシオニズムの信奉者がイスラエルを建国することになるが、このシオニズムは19世紀にイギリスで誕生した。

 その戦略はアメリカへ引き継がれ、今でも生きているようだ。「封じ込め政策」のジョージ・ケナン、「グランド・チェスボード」を書いたズビグネフ・ブレジンスキーのマッキンダーの影響を受けている。

 ローズはロスチャイルドの支援を受けて南部アフリカを侵略し、巨万の富を築いた。その遺産を利用して1903年に作られた奨学制度では、奨学生に選ばれると学費を生活費が提供され、オックスフォード大学の大学院で学ぶことができる。

 このオックスフォード大学にある学生結社「ブリングドン・クラブ」が現在の好戦的な政策に関係している。例えばボリス・ジョンソン、デイビッド・キャメロン、ジョージ・オズボーン、トニー・ブレアといった後の政治家、そして金融界に君臨しているナット・ロスチャイルド、あるいはポーランドのラデク・シコルスキー元外務大臣などが結社のメンバーだった。

 イギリスの支配層がターゲットにしてきたロシアにもこのクラブの出身者はいる。例えば、ロシアを第1次世界戦争へ引き込む上で重要な役割を果たしたフェリックス・ユスポフや第2次世界大戦でアメリカの情報機関OSSに入っていたセルジュ・オボレンスキーなどだ。

 ローズ後、この人脈はアルフレッド・ミルナーを中心に活動し、 ミルナーはシンクタンクのRIIA(王立国際問題研究所)を組織した。この組織は形式上、1919年5月にパリのホテルで開かれたイギリスとアメリカの専門家が集まった会議で創設されとされているが、その会議へイギリスから出席した人はミルナー・グループが大半で、アメリカ側はJPモルガン系の人たち。カーネギー財団もミルナー・グループと緊密な関係にある。

 優生学はイギリスからアメリカへ伝わり、イギリス以上に社会へ大きな影響を与えることになる。アメリカにおける支援者の中心はカーネギー財団、ロックフェラー財団、そしてハリマン財閥のマリー・ハリマンで、優生学に基づく法律も作られた。

 優生学の信奉者はアングロ・サクソンだけでなく、ドイツ系や北方系の人種が優秀だと主張、スラブ民族や有色人種など劣等な種を「淘汰」するべきだと考える。そうした考えに引き寄せられたひとりがアドルフ・ヒトラーだ。ウクライナのネオ・ナチも北方神話を信奉、その考えを体に入れ墨しているメンバーが少なくない。

 これがクーデター後のウクライナでロシア語系住民を「浄化」しようとした背景であり、ウクライナのネオ・ナチがナチス時代のドイツと同じように障害者を虐待するのは必然だ。ネオ・ナチは米英の優生学と深く結びついている。「全体主義」なるタグを持ち出すことは間違いであり、アメリカやイギリスを支配する人びとの本性を隠す行為だと言えるだろう。  

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