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サムイル・フェインベルク(Samuil Evgenyevich Feinberg, 1890 - 1962)
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投稿者 中川隆 日時 2021 年 10 月 02 日 06:56:23: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: アンリ・デュティユー ヴァイオリン協奏曲 『夢の樹』 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 30 日 08:59:33)

サムイル・フェインベルク(Samuil Evgenyevich Feinberg, 1890 - 1962)

彼のピアノソナタはスクリャービンのようなドロドロ感を持ちつつも、洗練感も失っていない気がする。ラフマノニフやスクリャービンにおいて技術的に限界に達したピアノ書法を駆使して、ピアノ音楽の限界点で書かれた作品群という点で、ピアノ音楽ファンなら必聴だと思う。

ピアノソナタ1番
3.5点
20世紀の名作ピアノ曲のひとつ。後年の作品と違い、この曲は非常に純度が高い感動的な美しさを持っている。高音でゆらめく宝石のようにキラキラと輝くような美しいフレーズの連続に聞きほれているうちに、最後まであっという間に聞き終わるような曲。ドビュッシーのような音の使い方でイメージ重視の曲であり、スクリャービン初期の端正さも兼ね備えている。メロディーは明確でなく構成も頭について入らないにも関わらず、忘れがたい強い印象を与えられる。また大ピアニストの作品らしい洗練されたピアニズムも見事。

ピアノソナタ2番
3.0点
1番の路線であるが、キラキラした美しさが減少して魅力が落ちた。そして、そこはかとないグロテスクさが追加されてしまった。メロディーがはっきりしない、ピアニスティックさ、8分の単一楽章など1番に似ていて、1番という短い曲のボリューム的な物足りなさを補完してくれるが、それ以上の価値はない。

ピアノソナタ3番
2.8点
3楽章制。しかし、音の詰め込みぶりがどの楽章もあまりかわらないため、あまり変化がない。ただ、3楽章のスケール感ではかなり恩恵を受けているかも。2番と雰囲気は近い。長い分だけ、テクニカルな音数重視ピアノ曲マニアの心を強く捉えてくれていると感じる。一方で作曲家としては完全にマイナーな幅の狭い人になってしまった。

ピアノソナタ4番
3.3点
単一楽章。連発さらる低音の和音が禍々しさを演出し、さらにドロドロしてきて後期スクリャービンに近付いてきた。むしろ影響を強く感じて近付きすぎの感もある。所々、まだまだ過去のキラキラ世界の残り香も感じられる。後半が演出的に盛り上がるし、短い曲なのに非常に長く感じられる。スクリャービン後期以上に聴き映えがする。

ピアノソナタ5番
3.3点
単一楽章。スクリャービン後期を彷彿とさせるドロドロとした音楽世界が、それまでと似たような音使いながらも独自の新境地到達を感じさせてなかなか良い。極端に煮詰めたスープのような粘着とドロドロ感と神秘性や超越性は、好きな人には強くツボにはまるだろう。演出が少ないせいか、2番からの方向性が一つの壁を越えた世界に到達した感じ。

ピアノソナタ6番
3.0点
単一楽章だが14分とやや長い。そして後半は静寂の世界が長く続くというのが、それまでにはない。新しい雰囲気であり、その後も神秘的な人類滅亡後のような世界観。このような世界が非常にツボる人もいるだろう。音の鳴らし方のセンスはなかなか良いと思う。自分の好みとしては、わりと好き、という程度だが。

ピアノソナタ7番
2.5点
もともとフェチ系音楽ではあるが、もはや完全に別世界に行ってしまった。暗黒世界。世界の終わりのような終末の音楽。楽章が3つに分かれていて、副題もあるので構成のガイドがあるのは分かりやすい。

ピアノソナタ8番
3.0点
それまでのドロドロした作風から変わり、明るさが支配する部分が増える。1楽章は曖昧な雰囲気のままだが、2楽章はかなり調性が明確であり、静寂感がある。とはいえ、古臭い感じは全くないので良い。後半は地鳴りのような暗黒世界に降りていくが、それでも短い時間のため、染まりきらない領域で終わる。楽章構成が価値のあるものになっている。作風の転換を感じる。

ピアノソナタ9番
2.5点
前半は驚くほど平明になってしまった。これではあまり価値がない。彼らしさは残っているとはいえ。中間で激しい音数になり、収まってからは曖昧模糊としたいつもの雰囲気になる。前半はカモフラージュか?とも思ってしまったが、いずれにせよ大半の場面では調性が明確になってしまい、最後は堂々と和音で終わるという古典回帰。残念感がある。

ピアノソナタ10番
2.8点
轟音が響き渡る、重戦車系の曲。今までと雰囲気が違う。調性の観点ではわりと平明なのだが、音楽の方向性が違うので気にならない。これはこれで、メジャー作曲者がやらない極端を突き詰めた曲としての価値があると思う。楽想の変化のさせ方など、作曲技術の高さを感じた。

ピアノソナタ11番
2.5点
前半はかなりロマン派に近い調性の非常に明確な音楽。意志的でなく、構築的な方向感がないので、かろうじて現代的なだけ。途中に高速なパッセージで爆発してから、一度収まりまた締めに入る構成は分かりやすいし、よく出来ている。9番からの社会主義リアリズム的平明さをさらに進めた曲。9番からそうなのだがこの曲は特に、穏やかな平明さの中に新奇さを混ぜ込む手法にプロコフィエフを連想する。

ピアノソナタ12番
3.3点
驚くべき平明な透明感と叙情的の世界。このようなセンスのある人はその気になれば美しい曲が書けるという例である。他では必ずあった爆発はごく控えめになっている。一番ロマン派に近く、ショパンあたりを連想する瞬間すらある。公平にみてフェインベルクのソナタの中で高く評価してよいかは分からないが、12曲順番に聴いていった場合に最後のこの曲想で格別の感慨を抱かせられたのは確かだ。

https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%281890%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E9%99%8D%29

サムイル・エヴゲニエヴィチ・フェインベルク(ロシア語: Самуи́л Евге́ньевич Фе́йнберг ; Samuil Evgenyevich Feinberg, 1890年5月26日 - 1962年10月22日)はソビエト連邦のユダヤ系ピアニスト・作曲家。1938年にイザイ国際コンクールの審査員に選出された。


略歴
ウクライナに生まれるが、4歳でモスクワに移る。パーヴェル・パプストの高弟アレクサンドル・ゴリジェンヴェイゼルに師事。恩師ゴリジェンヴェイゼルは、同世代のアレクサンドル・ジロティやセルゲイ・ラフマニノフらと同じく、19世紀末のロシア・ピアノ楽派の伝統に連なるピアニストであり、演奏技巧と美音、広い知識に加えて普遍的で温かな表現で知られた。

フェインベルクの演奏様式は、鋭敏さや繊細さ、青年時代のグレン・グールドに通じる大胆な解釈に加えて、同時代のエドヴィン・フィッシャーに通じるロマンティックな表現が特徴的である。

フェインベルクがとりわけ熱心な取り組みを見せたのがヨハン・ゼバスティアン・バッハである。バッハの《平均律クラヴィーア曲集》を全曲演奏し、またバッハのオルガン曲(分けてもコラール)をピアノ用に編曲しただけでなく、録音にも残した。

バッハ以外のレパートリーでは、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、シューマン、リスト、チャイコフスキーを得意とし、録音にも残したが、フェインベルクがとりわけ得意としたのがスクリャービンであった。

作品
フェインベルクの作品は、3つのピアノ協奏曲、12のピアノ・ソナタならびに数多くのピアノ曲がある。また民謡やチャイコフスキーの交響曲の編曲も残されている。

初期のフェインベルクはスクリャービンに影響され、拡張された曖昧な調性感、大胆な転調、複雑なリズム書法、ピアノ・ソナタにおける単一楽章制といった特徴を示している。一方でスクリャービンと違って調性音楽の枠組みから離れることをよしとせず、又バッハの影響から、対位法的な構想も好んでおり、結果的にスタンチンスキーにも似通った作風となった。

やがてスターリン主義の時代が訪れると、かつてのような急進的な楽想は鳴りを潜め、代わって社会主義リアリズムに同調したかのような、叙事的で懐古的な、大時代的な表現に落ち着いたが、それでも旋律や転調の思いがけない進行に、初期の面影がまだ残っていると見る向きもある一方、同時代のプロコフィエフを参考にしたのではないかとする見方もある。

ピアノ・ソナタ全集はBISから、バッハ作品の編曲はハイペリオン・レーベルから音源が出ている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF  

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