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ヨーゼフ・ヨアヒム・ラフ(Joseph Joachim Raff, 1822 - 1882)
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投稿者 中川隆 日時 2021 年 10 月 06 日 23:30:19: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: マイナーな作曲家が書いた名曲 投稿者 中川隆 日時 2021 年 9 月 27 日 23:33:40)

ヨーゼフ・ヨアヒム・ラフ(Joseph Joachim Raff, 1822 - 1882)

交響曲

大交響曲 イ短調 WoO.18 (1854)

第1番 ニ長調 Op.96, "祖国に寄せる An das Vaterland" (1859-61)
2.8点
前半の楽章群は音の作りがシンプルすぎて、何を想っているのか伝わらないし、全然面白くない。習作レベルだろう。全然ダメかとおもったが、後半はワーグナー的もしくはブルックナー的な広がり感とドラマ性を持った享楽的な音楽になる。後半だけならばそれなりに聴いて愉しむことが出来る曲になる。全部で1時間以上の5楽章は実力と比較して無駄に頑張りすぎだろう。他では聴けない独自の天才性も弱いため、努力して書いたように聴こえてしまう。

第2番 ハ長調 Op.140 (1869)
3.5点
1番とは全く違う巨匠的な響きに満たされたベートーヴェン交響曲に似た交響曲らしい愉しみに満たされた音楽である。有名作曲家ほどの強烈な確立された個性の輝きこそ弱いものの、一流の音楽であることは一聴すれば分かる。堂々とした力強さと4つの楽章のバランスと音に込められた力感と音を豊かになり響かせる感じは、中期のベートーヴェンを彷彿とさせる。生命感の漲る感じがとにかく素敵だ。

-第3番 ヘ長調 Op.153 "森にて Im Walde" (1869)
3.3点
1楽章は曖昧な雰囲気であり好みが分かれるところであり、個人的にはあまり良くないと思った。後半はチャイコフスキーやドヴォルザークを彷彿とさせる躍動感の強い音楽であり面白い。2番とはかなり違う音楽であり、芸の広さを感じさせる。個人的には2番の方が好みだが、3番の後半の特に巨大な最終楽章のスリリングさはまさかスイスの作曲家で聴けると思わなかったものであり、なかなかゾクゾクするものだ。

-第4番 ト短調 Op.167 (1871)
3.3点
この曲は再びベートーヴェンのようなシンプルでロマン派のネチっこさを抑えた曲である。約30分と短く、冗長さがないのはよい。最終楽章では対位法を取り入れて素敵な高揚感を演出している。過去の大作に似ないようにしつつ、巨匠的な品位を保ったオリジナルな作品を作ろうとする努力が見える。はっとするよい場面も多くあるのだが、マイナー曲らしいパッとしない地味さも残念ながら全体としては多い。個人的には好感度は高いのだが名作とまでは言えない。

第5番 ホ長調 Op.177 "レノーレ Lenore" (1872)
3.8点
この曲はラフの代表作とされていて、交響曲5番らしい力のある入った作品である。1時間近い巨大さであり、ワーグナーにも匹敵するようなロマン派の壮大なスケール感を持った世界の広がりの世界のとたっぷりと、夢のような豪華な時間をロマンに浸って過ごす楽しみを味わえる。しかし、肥大化してバランスを崩した感じではなく、あくまでドイツ系交響曲の正統派の範囲内で音楽世界を拡張しているのが素晴らしい。類例が少ない非常に存在感と希少価値のある作品である。劇的な展開を備えており、最後の場面はニーベルングの指環にも匹敵するほど圧倒的に作者の力の限りを尽くして世界を構築しきって限界にたどり着いた充実した作品という満足感を与えられる。あえて言えば、さすがに作者の底や限界も同時に見えてしまうのが逆に欠点かもしれない。

-第6番 ニ短調 Op.189 (1873)
3.5点
リズムや音の使い方が単調で素朴すぎる。あと短調の響かせ方が平凡と感じるのは欠点。素朴さについては、もしかしたらロマンの限りを尽くした5番のあとなので古典派の交響曲の世界で意図的に勝負してみた曲なのではと想像する。5番のあとに聴いた時はひどく劣るように聴こえてしまったが、聴き直すと独自の明朗な良さや快活さがありなかなか愉しめる曲であることが分かった。ただ勝負の結果はラフが音感やリズムのセンスのようなもので微妙にトップレベルの天才からは落ちるのが如実になるものになった気がする。どこかに滲む地味さにそれが現れている。

第7番 変ロ短調 Op.201 "アルプスにて In den Alpen" (1875)
3.3点
副題も似ているが、実際リヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲を連想した。なめらかな音の流れと、自然の巨大さを連想する開放感と、自然の持つ底知れないパワーを力強く表現している。描写的ではない。後期ロマン派のようち端的さを失った感じが個人的にはラフの良さをスポイルしている気がするのと、後期ロマン派と比較すると過渡期のような未熟さと中途半端さを感じてしまう。特色があって面白いが、全体に「いい!」といえる瞬間には乏しく物足りないのが正直なところである。快活な最終楽章はなかなかの魅力がある。

第8番 イ長調 Op.205 "春の響き Frühlingsklänge" (1876)
3.5点
自分の感性の問題かもしれないし、日本との気候の違いのためかもしれないが、それほど春らしい気分が強いとは思わなかった。曲としては相変わらずの卓越した交響曲作曲技法であり、何よりここまでの各曲の強い特色に比べてこの曲は非常に正統派でノーマルなのが特色になっている。最初は物足りなく思ったが、聴き直すと正統派の聴き応えがかなり心地よい。メンデルスゾーンやシューマンやブラームスよりも、古典派の交響曲を受け継いだ正統派を堪能できる。といいつつ2楽章は遊び心があり、3楽章は春の気分を愉しめる。残念ながら最終楽章はあまり面白くない。

第9番 ホ短調 Op.208 "夏に Im Sommer" (1878)
3.0点
8番に続く正統派。しかし、なぜか8番よりも地味に感じる。聴いていてテンションが上がらず輝くものがなく、全体的に地味な印象が強い。交響曲であるからには旋律もフレーズも、作曲者がいつでも繰り出せる以上のものがほしいのだが、それがない。ダメな曲とまでは言わないが、他の交響曲よりも価値が低いと思う。

第10番 ヘ短調 Op.213 "秋の時に Zur Herbstzeit" (1879)
3.5点
1楽章は地味。3楽章は珍しくスラブ的な憂愁を感じさせるのが心をとらえる。薄明のような雰囲気を醸しながら控えめながらも心に染み入る憂愁はかなり感動する。じわじわと気分を盛り上げていくところなど、別の作曲家のようだ。4楽章もかなりセンスの良い軽快さと運動性と味わいを兼ね備えた良い曲である。変化も面白く、珍しく天才的と呼べる楽章である。

第11番 イ短調 Op.214 "冬 Der Winter" (1876)
3.3点
どの楽章も10番に続いて、絶妙な柔らかさと芳醇さを持ち合わせている。ラフが新たな境地に到達したことを感じさせる。しかし、順番に聴いてそう感じただけであり、前提なしに単品で聴いたらどう聴こえるかは分からないが。密かに潜ませる陰影の味があって、さっぱりした正統派の交響曲との取り合わせは良い。まさに良質の佳作という感じ。この曲で終わりなのが残念で、さらに晩年風の交響曲をぜひ聴きたかった。

協奏的作品(独奏と管弦楽のための作品)

ヴァイオリン協奏曲 第1番 ロ短調 Op.161 (1870-71)

ヴァイオリン協奏曲 第2番 イ短調 Op.206 (1877)

ピアノ協奏曲 ハ短調 Op.185 (1873)
2.5点
交響曲作家が試しに書いてみた協奏曲という印象。ピアノはもちろん前面に立ってはいるが、音数の多い派手さ華やかさに欠けている。交響曲らしいわけでもなく、特に作曲者ならではの協奏曲らしい「ピアノ協奏曲でこれがやりたかった」という独自の表現の境地に達している感じがしない。自分の中で音世界を試行錯誤しながら練って十分に構築しきれたという確信のないうちに書いてしまった曲という印象である。

チェロ協奏曲 第1番 ニ短調 Op.193 (1874)

チェロ協奏曲 第2番 ト長調 WoO.45 (1876)

組曲(ヴァイオリンと管弦楽のための) Op.180 (1873)

https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2%281859%E5%B9%B4%E3%81%BE%E3%81%A7%29

ヨーゼフ・ヨアヒム・ラフ(Joseph Joachim Raff, 1822年5月27日 - 1882年6月24日/25日)は、スイスの作曲家、ピアニスト。


人物・経歴
チューリッヒ湖畔の小さな町ラッヘン(英語版、ドイツ語版)で生まれた。学校の教師をしながら、日曜コンサートなどに出演していたが、1845年、バーゼルにやってきたリストのコンサートを聞き、そのままリストの演奏旅行についてドイツへ行く。ドイツではメンデルスゾーンや生涯の友となったハンス・フォン・ビューロー等と知り合うが、一時スイスへ戻る。

1849年、ラフはヴァイマルのリストの助手として雇われドイツに移った。リストの少なからぬ作品のオーケストレーションを手がけるなどしてその力量を証明したラフは、1851年に歌劇「アルフレート王」を完成させてワイマールで発表する。しかし、この作品は一定の評価を得るも成功とまではいえない程度だった。1856年にリストの元から独立し、ヴィースバーデンに移ったラフは、1857年にピアノと管弦楽のための「春への頌歌」を完成させ、友人のビューローの独奏によって初演される。これが成功し、作曲家としての足がかりを得た。1859年ヴィースバーデンで結婚。この年発表したヴァイオリンとピアノのための6つの小品の中の「カヴァティーナ」が人気となる。

この翌年、交響曲第1番「祖国に寄す」が完成し、ウィーン楽友協会の主催するコンクールで第一位をとる。ラフ41歳の時のことである。作曲家としてはいささか遅咲きであったが、彼はこの後全部で11曲の交響曲をはじめ、室内楽、歌劇と膨大な作品を残した。

1877年にフランクフルトのホッホ音楽院の院長に招かれる。そこで彼はクララ・シューマンを招聘するなど音楽院の水準を著しく向上させたが、そのために作曲の筆はいささか鈍ることとなった。彼の注目すべき作品の多くは1857年からの20年の間に書かれたのである。著名な弟子にはエドワード・マクダウェルなどがいる。1882年に同地で死去した。

作風
代表作としては交響曲第5番「レノーレ」がまずあげられる。リストやヴォルフなど、ロマン派の作曲家たちに度々とりあげられた詩人ゴットフリート・アウグスト・ビュルガー(英語版、ドイツ語版)のバラードを交響曲にしたものである。また1873年に書いたシンフォニエッタは管楽アンサンブルのための小交響曲として書かれ、グノーやリヒャルト・シュトラウスなどに影響を与え、この分野の開拓者としても名を残した。交響曲の第8番から第11番の4部作は春、夏、秋、冬という標題が付けられている。

長い間、その全体像を知ることが難しい忘れられた作曲家であったが、近年、再評価の機運も高まり、マルコ・ポーロ、チューダー、cpo、シャンドスなどから交響曲全集がCD化され、室内楽作品のCD化も進んでいる。

主要作品

交響曲

大交響曲 ホ長調 WoO.18 (1854)
第1番 ニ長調 作品96, "祖国に寄す An das Vaterland" (1859-61)
第2番 ハ長調 作品140 (1866)
1866年に作曲され、ザクセン=コーブルク=ゴータ公エルンスト2世に献呈された。初演は1867年にヴァイマルにて行われ、2年後にマインツで出版された。その後ゲヴァントハウスにて作曲者の指揮で再演された。
第3番 ヘ長調 作品153 "森にて Im Walde" (1869)
第4番 ト短調 作品167 (1871)
第1楽章ではベートーヴェンの交響曲第5番から運命の動機が引用されている。第4楽章では交響曲第9番の第4楽章が引用されている。
第5番 ホ長調 作品177 "レノーレ Lenore" (1872)
第6番 ニ短調 作品189 (1873)
初演時には"「生きる−抗争−戦い−受難−死−再生」 Gelebt:Gestrebt,Gelitten,Gestritten-Gestorben-Umworben"という表題が与えられていたが出版時に削除された。
第7番 変ロ短調 作品201 "アルプスにて In den Alpen" (1875)
第8番 イ長調 作品205 "春の響き Frühlingsklänge" (1876)
第9番 ホ短調 作品208 "夏に Im Sommer" (1878)
第10番 ヘ短調 作品213 "秋の時に Zur Herbstzeit" (1879)
第11番 イ短調 作品214 "冬 Der Winter" (1876)
未完。作曲者の死後、マックス・エルトマンスデルファーにより補筆完成された。


協奏曲

ヴァイオリン協奏曲 第1番 ロ短調 作品161 (1870-71)
ヴァイオリン協奏曲 第2番 イ短調 作品206 (1877)
ピアノ協奏曲 ハ短調 作品185 (1873)
チェロ協奏曲 第1番 ニ短調 作品193 (1874)
チェロ協奏曲 第2番 ト長調 WoO.45 (1876)
組曲(ヴァイオリンと管弦楽のための) 作品180 (1873)
組曲(ピアノと管弦楽のための)変ホ長調 作品200 (1875)
愛の妖精(ヴァイオリンと管弦楽のための)(La Fée d'amour)作品67 (1854年)
春への頌歌(ピアノと管弦楽のための)(Ode au Printemps)作品76 (1857年)


室内楽

弦楽四重奏曲 第1番 ニ短調 作品77
弦楽四重奏曲 第2番 イ長調 作品90
弦楽四重奏曲 第3番 ホ短調 作品136
弦楽四重奏曲 第4番 イ短調 作品137
弦楽四重奏曲 第5番 ト長調 作品138
弦楽四重奏曲 第6番 ハ短調 作品192-1 "古い様式の組曲"
弦楽四重奏曲 第7番 ニ長調 作品192-2 "美しい水車小屋の娘"
弦楽四重奏曲 第8番 ハ長調 作品192-3 "カノンの形式による組曲"
ヴァイオリンとピアノのための6つの小品 作品85 (1859)
カヴァティーナ 作品85-3


ピアノ曲
フーガによるピアノソナタ 変ホ短調 作品14 (1844)
1881年に改訂し、『大ソナタ』と改題。
幻想的ソナタ 作品168
創作主題による変奏曲 作品179

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%A2%E3%83%92%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%95  

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