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中国はどのように世界の覇権を握るのか…欧米とはまったく違う「中華思想」から見える「狙い」/篠田英朗・現代ビジネス
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投稿者 仁王像 日時 2023 年 3 月 30 日 06:42:43: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

中国はどのように世界の覇権を握るのか…欧米とはまったく違う「中華思想」から見える「狙い」/篠田英朗・現代ビジネス
篠田 英朗 によるストーリー ? 1 時間前
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E8%A6%87%E6%A8%A9%E3%82%92%E6%8F%A1%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E6%AC%A7%E7%B1%B3%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%8F%E9%81%95%E3%81%86-%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%80%9D%E6%83%B3-%E3%81%8B%E3%82%89%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%82%8B-%E7%8B%99%E3%81%84/ar-AA19c3AS?ocid=hpmsn&pc=EUPP_LCTE&cvid=98d4f9a81d904af9bb273fbc7d0129b8&ei=10

現代の国際社会において最も根本的な構造的対立は、米中対立であろう。

この対立は、アメリカ側からは、民主主義諸国と権威主義諸国の間の対立としても描写される。中国側からすれば、グローバル化の名を借りた覇権主義と多元主義の対立といった描写がなされるのかもしれない。

この対立の構図は、地政学から見て、どのような意味を持っているだろうか。

(※本稿は篠田英朗『戦争の地政学』を一部再編集の上、紹介しています)

中国とはどのような国家か?
中国とは、地政学の観点から見て、どのような国家か。この問いは現代世界において決定的な重要性を持っている。

ところが意外にも簡単には答えられない。ある者は、ランド・パワーの雄だと言う。大陸系地政学の観点からは、アジアの覇権国という位置づけになるかもしれない。

だがたとえばスパイクマンの理論を参照するならば、中国は「両生類(Amphibia)」である。中国は、大陸に圧倒的な存在感を持って存在している一方で、遠大な大洋に通ずる沿岸部を持っている。中国は、歴史上、大陸中央部からの勢力による侵略と、海洋での海賊等も含めた勢力による侵食の双方に、悩まされてきた、「両生類」として生きる運命を持っている国家だとも言える。

中国とドイツの共通点
かつて二度の世界大戦を仕掛けて敗北したドイツは、ランド・パワーとシー・パワーに挟まれた国家であった。ドイツの帝国としての存在の歴史的淵源は、神聖ローマ帝国にあると言えるが、プロイセン主導でオーストリアを排除する形で19世紀に成立したドイツ帝国は、神聖ローマ帝国と比して、大きく沿岸部にその存在の比重を移動させた国家であった。

そのためやがて、ヨーロッパ大陸における覇権を求めつつ、同時に海洋におけるイギリスとの間の競争に乗り出した。その結果、ランド・パワーのロシアと、シー・パワーのイギリスに囲まれる構図で戦争に突入することになった。同じ図式は、ナチス・ドイツの第二次世界大戦にもあてはまる。

これはドイツの外交安全保障政策の失敗として描写される経緯であるかもしれないが、より構造的には、ドイツ特有の地理的位置づけによってもたらされる事態である。もっともそれはスパイクマンの英米系地政学の理論の枠組みにそって言えることである。

大陸系地政学の理論にそって圏域を重視する視座を採用すれば、ドイツはヨーロッパの覇権国となろうとしたが、拡張主義を警戒されすぎたために、隣接する圏域の覇権国と衝突することになった、という説明になるだろう。

英米系地政学にそって、中国が「両生類」であるとすると、かつてのドイツと同じ地政学上の位置づけにある、ということだ。かつて近代化に後れを取って国家としての存在が危うかった20世紀の中国は、陸上兵力を中心とした軍事力を整備していた。ところが今日の中国は、海軍力の面において目覚ましい進展を遂げている。陸でも、海でも、覇権国としての地位を固めようとしている。大陸系地政学の理論枠組みにそって言えば、中国は、東アジアに自国の生存圏/勢力圏/広域圏を確立することを狙っており、その覇権を陸上においても海上においても確立することを狙っている。

西洋とは全く違う中国の世界観
中国には中華帝国の伝統が根強く存在しているとされる。中華思想の特徴は、世界で最も進んだ文明が中国の首都にあり、それが世界の中心として観念されることである。いわゆる朝貢制度とは、中華帝国の威光を知る周辺諸国が、力の格差を確認するために朝貢品を持って中華帝国の首都に参上する制度である。

地域研究の分野で「曼荼羅国家」と呼ばれる領域性が曖昧な性格を持つ国家群が、アジアでは伝統的に存在していたと論じられる。「曼荼羅」はヒンドゥー教の宇宙論に由来する概念で、中心点とそこから同心円状に広がる空間によって政治体の存在が確かめられる場合に「曼荼羅国家」という概念が用いられる。これは一般にはインドや東南アジアの複数の政治権力が併存している場合に用いられるのだが、政治体が、明確な境界線ではなく、中心点で定義される点では、中華帝国も同じような性格を持っていたと言える。

中華帝国もまた、広大な領地を持っていることは確かだとして、ヨーロッパ近代国家のような明確な国境線を持って国家領土が定められていたわけではなかった。圧倒的な力を持つ政治権力があり、その威光が届く限り国家存在が確かめられる。大陸系地政学が生存圏/勢力圏/広域圏と観念するものが、アジアでは歴史的な国家存在の本質である。その典型例が、中華思想に裏付けられる中華帝国の伝統である。

この中華帝国の範囲は、明確な国境線によって制限されず、周辺国との力の格差によって裏付けられた威光の広がりによって確かめられるため、陸上のみならず、海上においても、広がっていく。

東シナ海や南シナ海に存在するとされるいわゆる「九段線」は、現代の国際法が認める中国の国境線とは異なるが、歴史的に中華帝国の威光が海上においても広がっていたとされる範囲を示す。

現代国際法秩序の原則を重視し、英米系地政学を標榜する「シー・パワー」連合が決して認めることはできないが、大陸系地政学の理論にしたがえば、海洋に広がっている歴史的な中華帝国の生存圏/勢力圏/広域圏がありうるのである。

このような中華思想の伝統を受け継ぐ広大な「圏域」を持つ「両生類」の中国は、ユーラシア大陸の深奥の不毛な土地から不凍港や肥沃な土地を求めて本能的に領地の拡大を求めるロシアとは、全く異なる発想方法を持つ。その点を見誤ると、中国の超大国としての存在を地政学的に把握する試みは、全て的外れに終わるだろう。

なぜアメリカも台湾に注目するのか
中国の超大国化に伴って、台湾海峡をめぐる緊張感は高まり続けている。中国の台湾侵攻の脅威は、中国共産党の支配地域の範囲の問題であり、中国の実効支配領土の範囲の問題であると考えられている。そしてそれは、もちろん正しい。

だが地政学の視点から見れば、台湾問題は、より大きな問題を内包している。つまり、大陸系地政学理論にしたがって中国が海洋にまで広がる勢力圏を確立するのか、英米系地政学理論にしたがってシー・パワー連合が中国のリムランドの覇権を阻止するのか、という問いと直結している。中国のみならず、アメリカおよび日本が、台湾問題の帰趨を、死活的な国益のかかる問題だと認識している理由である。21世紀の米中対立が象徴する大陸系地政学と英米系地政学の世界観の相克は、台湾問題をめぐって最も劇的に展開していくことになるだろう。

中華帝国としての中国の存在を地政学的に見てみると、決定的に重要な分析上の問いに辿り着く。中国の地政学上の位置づけを把握するために重要なのは、英米系地政学にそって「両生類」とみなしていくか、大陸系地政学にそって広大な生存圏/勢力圏/広域圏を持つアジア・西太平洋地域の覇権国とみなしていくか、という問いを検討することである。この問いは、大きな分析の視点の分かれ道を示している。

恐らくは、急速な国力の拡充を果たした中国は、まだ地政学上の問いに完全に明晰に答えることができる存在になっていない。中国の指導者たちは、そもそも中華帝国の伝統にそって国力を充実させる中国は、必ずしも欧米主導の地政学の視点による分析にはなじまない存在であると考えているかもしれない。

中国人のみならず、周辺諸国の人々、あるいは中国の影響を受けている世界中の人々が、これから長期にわたって考え続けていかなければならない問いである。しかしそれだけに、二つの異なる地政学の視点で、中国がどう捉えられるかが、21世紀の国際政治における大問題である。  

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