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借金帝国アメリカは、崩壊の道を辿っている(寺島メソッド翻訳NEWS)
http://www.asyura2.com/23/kokusai33/msg/214.html
投稿者 HIMAZIN 日時 2023 年 7 月 07 日 09:26:57: OVGN3lMPHO62U SElNQVpJTg
 

http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-1740.html

借金帝国アメリカは、崩壊の道を辿っている

<記事原文 寺島先生推薦>

US Empire of Debt Headed for Collapse
https://libya360.wordpress.com/2023/05/15/us-empire-of-debt-headed-for-collapse/

筆者:ペペ・エスコバール(Pepe Escobar)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年5月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月7日


 マイケル・ハドソン教授の新刊『古代文明の崩壊:ギリシャ・ローマ文明のオリガルヒ的転換点』は、グラムシを引用するならば、古い地政学的および地経済的秩序が息絶え、新しい秩序が目まぐるしい速度で生まれている、「The Year of Living Dangerously」*という映画のような影響力の大きい出来事だ。
*1982年にピーター・ウィアーが監督し、ウィアーとデイビッド・ウィリアムソンが共同執筆したロマンティックドラマ映画。この映画は、クリストファー・コックの1978年の小説「The Year of Living Dangerously」を映画化したもの。物語は、1965年のインドネシアでのスカルノ大統領の転覆の間に展開される恋愛を描いている。1965年9月30日運動によるクーデターの前夜、ジャカルタの外国特派員たちのグループを追う。

 ハドソン教授の主要な論題はまさに破天荒だ:彼が証明に乗り出したのは、古代ギリシャとローマの経済・金融慣行(西洋文明の礎となるもの)が、今日私たちの目の前で起こっていることの土台となっている点だ。すなわち、帝国というのは金利生活経済に落ち込み、内部から崩壊する。

 そして、これがすべての西洋金融システムに共通する特徴につながる:それが債務の本質であり、それは必然的に複利で膨らんでゆく。

 そう、次のことをどう考える?:ギリシャとローマ以前、西アジア全域にわたって、まったく逆の方法をとる文明が約3,000年存在していた。

 これらの王国は、債務の帳消しの重要性を知っていた。そうしなければ、臣民たちは奴隷に落ちることになり、土地を差し押さえる債権者の集団に奪われ、そうなると、通常、彼らは支配権を転覆させようとする。

 アリストテレスは要点を次のように簡潔にまとめた:

    「民主政下では、債権者が貸し付けを開始し、債務者が返済できず、債権者はますますお金を手に入れ、結果として民主政を寡頭(オリガルヒ)政治に変え、そして寡頭政治は世襲制を確立し、貴族政治が成立する」。

 ハドソン教授は、債権者が支配権を握り、「経済の残りの部分を奴隷状態にする」と、何が起こるかの鋭い説明をしている:これは今日では「緊縮財政」または「債務デフレーション」と呼ばれているものだ。

 そこで「現在の銀行危機で起こっているのは、債務が経済の返済能力を上回る速度で膨らんでいることだ。そして、連邦準備制度が最終的に利上げを開始したことによって、銀行危機が起きた」。

 ハドソン教授はさらに拡大した定式化も打ち出している:

    「金融と土地所有の寡頭支配の出現により、債務による奴隷化と束縛が恒久化された。それは債権者に有利な法的・社会的哲学に支えられている。これは西洋文明以前にはなかったものだ。今日ではそれはネオ・リベラリズムと呼ばれるものだろう」。

 そして彼は、この状況が古代の5世紀以上にわたっていかに固定化されたかを、微に入り細を穿って説明している。現代では「大衆の反乱への激しい弾圧」とか、債務の帳消しと大土地所有者に土地を奪われた小農に土地を再分配することを目指す「指導者を標的とした暗殺」という言葉で耳にすることができる。

 ハドソンの下した判断は非情なものだ:

     「ローマ帝国の人々を貧困に陥れたもの」は、「債権者に基礎を置く法原則を現代世界に」残した。


弱肉強食オリガルヒと「東洋専制主義」

 ハドソン教授は、「社会ダーウィニスト的な経済決定論の哲学」に対して破天荒な批判を展開する:
「自己満足的な見方」が、現代の個人主義の制度や信用および財産契約の保証(つまり、債権者の債務者への言い分を優先させる、家主の権利を借家人の権利に優先させること)へと連なってきた。それを遡れば、「東洋専制主義から文明が進展してきたことを意味するプラスの進化的な発展」とする古典的な古代観となる。

 それはすべて神話だ。現実はまったく異なる。ローマの極端に弱肉強食的な寡頭政治が、「5世紀にわたる戦争を通じて人々の自由を奪い、債権者に有利な法律や土地のラティフンディウム*への独占を阻止しようとする広範な人々の反対を抑え込んだ」。
*私有地の非常に広大な区画。ローマの歴史のラティフンディアは、穀物、オリーブ オイル、ワインなどの輸出向けの農業に特化した偉大な地所だった。それらは、マグナ・グラエキア、シチリア、エジプト、北西アフリカ、ヒスパニア バエティカで特徴的だった。(ウィキペディア)

 だから、実際、ローマの振る舞いはまさに「破綻国家」のそれだった。「将軍、知事、税徴収人、金貸し、そして軍需商人」が「小アジア、ギリシャ、そしてエジプトから、軍事的な略奪品、貢納金、高利貸しの形」で銀と金を搾取していたのだ。しかも、このローマの荒廃地への接近は、現代の西洋社会では、フランス式文明化の使命を野蛮人にもたらした、とこれ見よがしに描かれてきた。同時にそれは、有名な白人の負担も負っていた。

 ハドソン教授は、ギリシャとローマの経済は、実際は「信用と土地が金利生活オリガルヒによって私有化された後、最終的に緊縮財政になり、崩壊した」様子を一点の曇りもなく明らかにしている。これは(現代に)警鐘を鳴らすものではないだろうか?

 おそらく彼の論点の中心的な核心は次にある:

      「ローマの契約法は、債務者の財産に債権者の要求を優先させるという西洋法哲学の基本原則を確立した。現代では『財産権の保障』と美化されている。公的な福祉支出は最小限に抑えられた。今日の政治的イデオロギー(思考様式)では、これを『市場の手に委ねる』と言う。ローマとその帝国の市民は、基本的な必需品を裕福な後援者や金貸しに依存し、パンと見世物*については公的給付金と政治家候補によって支払われる獲物に頼っていた。この政治候補はしばしば裕福なオリガルヒから借り入れ、自分の運動資金にしていた」。
*古代ローマの権力者は、市民にパンを無料で配給し、コロシアム(円形競技場)で見世物(戦車競技など)を無料で楽しめるようにして、政治に対する不満や反発が起こらないようにした。(英辞郎)

 覇権国(アメリカ)によって主導される現行のシステムとの類似性は単なる偶然ではない。

ハドソン:「これらの賃貸地主に有利な考え方、政策、そして原則は、現代の西洋化された世界がその後を追っているものだ。それが、似たような経済的、政治的試練に苦しむ今日の社会にとってローマの歴史が重要である所以だ」。

 ハドソン教授は、リウィウス、サルスティウス、アッピアヌス、プルタルコス、ディオニュシウス・ハリカルナッソスなどのローマの歴史家が、「市民の債務奴隷化を強調していた」ことを私たちに思い起こさせてくれる。ギリシャ・デルポイの神託も、詩人や哲学者たちも、債権者の貪欲さを警告していた。ソクラテスやストア派の哲学者たちは、「富中毒と金への執着が社会の調和、そして社会そのものにとって最大の脅威である」と警告していた。

 そして、結局は西洋の歴史学からこの警告は完全に排除された。ハドソン教授によれば、「古典学者のごく少数者」しか、ローマ時代の歴史家の文献を読んでいない。こういった負債問題や土地の略奪が「共和国の衰退と崩壊の主な原因である」と説明しているローマ時代の歴史家の文献を、だ。

 ハドソン教授が、また、我々に注意を促しているのは、この野蛮人たち(オリガルヒ)は常に帝国の門前に迫っていた、ことだ:

ローマは、実際には、「内部から弱体化」し、「数世紀にわたって、溢れるほどのオリガルヒたち」によって衰退した。

 したがって、ギリシャとローマから私たち全員が学ぶべき教訓は次のとおり:

オリガルヒ債権者たちは、「弱肉強食的なやり方で所得と土地を独占し、繁栄と成長を停滞させることを求めている」。

プルタルコスもそれを指摘している:

「債権者の強欲さは、彼らにとっても楽しみも利益ももたらさず、自分たちが虐待する人々を破滅させる。彼らは債務者から取り上げた土地を耕すこともなく、立ち退かせた後もその家には住まない」。


「プレオネクシア(富中毒)」に注意

 (ハドソンの)中心的な言説を常に豊かにしている、これほどまでに多くのヒスイのように貴重な情報を完全に目を通すことなど不可能だろう。以下はほんのさわりだけだ(そしてこれからもっと出てくるという:ハドソン教授は私に語った。「私は現在、続編に取り組んでおり、十字軍がテーマです」と。)

 ハドソン教授は、お金の重要性、債務と利子が紀元前8世紀頃にシリアとレバントからエーゲ海と地中海にもたらされたことを私たちに思い出させてくれる。しかし、「債務の帳消しや土地再分配の伝統がなく、個人の富の追求を抑制するものがなかったため、ギリシャとイタリアの族長たち、軍事指導者、そして一部の古典学者がマフィアと呼んだもの(ちなみに、イタリア人ではなく北ヨーロッパの学者)が、不在地主に従属労働を課した」と指摘している。

 この経済的な分極は絶えず悪化し続けた。ソロンは紀元前6世紀後半にアテネで債務を帳消しにしたが、土地再分配は行わなかった。アテネの貨幣準備は主に銀鉱から得られており、それによってサラミスでペルシャ人を破った海軍が建設された。ペリクレスは民主主義を推進したかもしれないが、ペロポネソス戦争(紀元前431年-紀元前404年)でのスパルタに対する悲劇的な敗北は、重度の債務中毒オリガルヒに門戸を開く結果となった。

 大学でプラトンやアリストテレスを学んだ人間ならだれでも、プラトンもアリストテレスも、この問題をプレオネクシア(「富中毒」)という枠で括ったことを想い出すかもしれない。これは必然的に弱肉強食的で「社会的に有害な」行為につながるのだ。プラトンの『国家』では、ソクラテスは社会を統治するためには富を持たない為政者のみが任命されるべきだと提案している。そうすれば、彼らは傲慢さや貪欲さの人質にならない。

 ローマに関して問題なのは、文書が何ひとつ残っていないことだ。標準的な物語は、共和国が崩壊した後に書かれた。カルタゴに対する第二次ポエニ戦争(紀元前218年-紀元前201年)は特に興味深いものだが、それは現代のペンタゴンにも似た要素を持っている。ハドソン教授は、軍事請負業者が大規模な詐欺行為に関与し、上院が彼らを告発することを激しく阻止したことを私たちに思い起こさせる。

 ハドソン教授は、次のことを提示する:それが「最富裕家族に公共の土地を与える機会となった。ローマ国家は、戦争遂行の支援として彼らの見かけ上愛国的な寄付(宝飾品やお金)を、遡及的に公的な債務として扱い、返済の対象とした」。

 ローマがカルタゴを打ち破った後、このけばけばしい集団は金を取り返したかった。しかし、国家に残された唯一の資産は、ローマ南部のカンパニアの土地だけだった。この裕福な家族たちは元老院にロビー活動を行い、その全ての土地を自分たちのものにしてしまった。
 
 シーザーが、労働者階級が公正な扱いを受ける最後のチャンスだった。紀元前1世紀前半、彼は破産法を支持し、債務の帳消しを行った。しかし、広範な債務の帳消しは行わなかった。大きく中道的な立場を取ったシーザーは、元老院寡頭政治家たちが彼を攻撃することを止めなかった。元老院寡頭政治家たちは「彼が市民の人気を利用して『皇帝の地位を求める』可能性がある」と懸念」し、より市民に人気のある改革に乗り出すことを「恐れていたのだ」。

 紀元前27年、オクタヴィアヌスの勝利とこの元老(オクタヴィアヌス)がプリンケプスおよびアウグストゥスの称号を受けた後、元老院は単なる儀式的なエリート組織になった。ハドソン教授は次のようにまとめている。「西の帝国は、獲得するための土地も略奪するための貨幣ももはや存在しなくなったときに崩壊した」。繰り返しになるが、現在の覇権国家(アメリカ)の苦境との類似点を見いだす制約は何もないだろう。



「すべての労働者を向上させる」時が来た

 私たちの非常に魅力的なメールのやり取りのひとつの中で、ハドソン教授は、1848年の類似点について「すぐに思いついた」と述べた。私はロシアのビジネス新聞『ヴェドモスチ』に次のように書いた:

「結局、それは限られたブルジョワ革命であることが判明した。それは家賃収入のある地主階級と銀行家に対するものだったが、労働者支持とはほど遠いものだった。産業資本主義の偉大な革命的行為は、確かに不在の地主制度と略奪的な銀行業から経済を解放したものだった。しかし、再び家賃収入階級が金融資本主義の下で復活したため、それもまた後退することになった」。

 そして、それは彼が「今日の分断にとっての大きな試練」と考えるものにつながる:

      「それは、単に、各国が自国の自然資源やインフラが米国/ NATOに支配されていることから自国を解放するだけなのかどうか―これするだけなら自然資源の地代を課税することによってできる(そうすることで、自分たちの国の自然資源を私有化した外国投資家の資本逃避に課税することになる)。大きな試練は、新たなグローバル多数派の国々が、中国の社会主義が目指しているように、すべての労働者を向上させることを求めるかどうかだ」。

 「中国特色の社会主義」が、覇権国(アメリカ)の債権者オリガルキを恐怖させているため、彼らが「熱戦争」さえ冒しそうとするのも不思議ではない。

 確かなことは、グローバルサウスを横断する主権への道は革命的にならざるを得ないだろう、ということだ:

    「アメリカの支配からの独立は、1648年のウェストファリアの改革であり、それによって他国の内政への干渉を行わないという原則が確立された。地代税―1848年の税制改革―は独立の重要な要素だ。現代版の1917年(ロシア・プロレタリア革命)はいつ起こるのだろうか?」

 プラトンとアリストテレスに発言してもらおう:人間的なやり方で可能な限り早く、だ。  

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コメント
1. AN[2538] gmCCbQ 2023年7月07日 22:43:24 : 2SSUB5dSho : SHpJb2s1VnRNR3c=[4] 報告
>大学でプラトンやアリストテレスを学んだ人間ならだれでも、プラトンもアリストテレスも、この問題をプレオネクシア(「富中毒」)という枠で括ったことを想い出すかもしれない。

 小生は理系でしたので、プラトンもアリストテレスも大学では学んでいませんが、一応世界哲学全集?かなんかで、プラトンの国家論くらいは読んだはずなんですけど、プレオネクシア「富中毒」は全く覚えがありません……ウィキにも書かれてませんし。
 しかし、
> アリストテレスは要点を次のように簡潔にまとめた:
> 「民主政下では、債権者が貸し付けを開始し、債務者が返済できず、債権者はますますお金を手に入れ、結果として民主政を寡頭(オリガルヒ)政治に変え、そして寡頭政治は世襲制を確立し、貴族政治が成立する」。
と、
>プラトンの『国家』では、ソクラテスは社会を統治するためには富を持たない為政者のみが任命されるべきだと提案している。
の2つは、いつの時代にも通用する至言ですね。

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