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軍が劣勢に ミャンマー情勢の行方は/飯沼智・nhk
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投稿者 仁王像 日時 2023 年 12 月 01 日 06:59:24: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

軍が劣勢に ミャンマー情勢の行方は/飯沼智・nhk
2023年11月29日 (水)
飯沼 智 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/489995.html

クーデターで実権を握り圧倒的な武力で民主派の抵抗を抑えつけてきたミャンマー軍がいま、国内各地の戦闘で劣勢に立たされ事態はより混沌としてきています。戦況が一変した原因を探り、先行きの見えないミャンマー情勢について考えます。

【軍は武力で圧倒してきた】
ミャンマー軍は2年前の2月にクーデターを起こして、アウン・サン・スー・チー氏ら民主派が率いる政権から実権を奪いました。国民は反発し各地で大規模なデモを行いました。これに対して軍は実弾を発砲して徹底的に弾圧しました。その後、民主派の一部は武器を取り抵抗を続けていますが、軍はこれも圧倒的な武力で抑え込んでいました。

【軍はいま劣勢に】

ところが、この1か月で状況は様変わりしています。活動を鎮静化させていた3つの少数民族の武装勢力が急に攻勢を強めたことがきっかけです。東部のシャン州で軍に対する攻撃を一斉に開始し、基地や検問所など大小200を超える軍の拠点を奪い取ったと主張しています。3つの勢力のうちの1つは西部でも作戦を始め、軍に打撃を与えています。これに呼応して民主派勢力も各地で攻勢に転じ、ほかの少数民族勢力も活動を活発化させ、全土に広がっています。軍は多方面に同時に対処することを余儀なくされ、思うように反撃できていないようです。地元の独立系メディアは、前線では軍の兵士の投降が相次いでいると伝えています。

民主派勢力が、劣勢となった軍の兵士が投降してくる様子を撮影したものだとして公開した映像では、みな疲れ切った様子で、けがをして抱えられている兵士の姿も見られます。軍が任命する暫定の大統領は軍幹部が集まった緊急の会議で「事態に対処できなければミャンマーは分裂する」と述べ、危機感をあらわにしました。

【戦況を変えた3つの勢力とは】

これほど状況を変えた3つの勢力とは何か。
ミャンマーは135もの民族からなる多民族国家です。このうち最も人口の多いビルマ民族は全体の7割を占めます。残り3割は言葉や宗教もさまざまな少数民族です。少数民族の中にはビルマ民族中心の中央政府に不満を持ち、自治権の拡大を目指して武装闘争を続けているグループが数多くあります。この少数民族武装勢力のうち、東部のシャン州と西部のラカイン州を拠点にする勢力が今回のきっかけをつくりました。「ミャンマー民族民主同盟軍」「タアン民族解放軍」「アラカン軍」という3つの勢力です。この3勢力はクーデター前から互いに「兄弟同盟」と呼んで連携した作戦を行い、軍は手を焼いていました。攻撃を始めたのは10月27日で、この日付にちなんで「1027作戦」と名付けています。クーデター後の混乱が続くなかで、自治権の奪還や拡大を図るには、いまが好機ととらえたようです。

【戦闘の行方は】

軍は今後、どこまで追い詰められる可能性があるのでしょうか。
ミャンマー情勢に詳しい専門家たちはおおむね、軍が権力を手放すまで追いつめられる可能性は低いとみています。抵抗勢力の側は兵力・兵たんに限りがあり、首都ネピドーや最大都市のヤンゴンなど国の中心まで展開するのは難しいというのがその理由です。
また、民主派と少数民族の連携には限界があるという指摘もあります。両者は軍という共通の敵に向き合っていますが、根本の目的は民主主義なのか自治なのかという点で異なります。少数民族の武装勢力が自分たちの利益や関心のある土地を出て、軍が中枢をおく地域にまで兵を進めることは考えにくいというわけです。
国際的なシンクタンク「ICG=国際危機グループ」は今後の行方について、軍の支配領域は現状より狭まるものの、いずれ膠着状態に陥るという見通しを示しています。軍は今後もしばらく、一定の力を維持し続けるだろうという予測です。
ただ一方で、軍に対する国民の抵抗心はいまだ広く根強いものがあります。これが戦況に影響し不測の事態が起こる可能性も排除できないと指摘する専門家もいます。
ミャンマーに隣接する大国・中国も、事態の推移に重大な関心を寄せているとみられます。ミャンマー国内の戦闘は中国の国境に近い場所で特に激しくなっていて、中国側でも飛来してきた砲弾で死者が出るまでになっています。中国政府は国境付近での戦闘について双方に強く自制を求めています。

激しい戦闘は今後も続くと予想され、市民の犠牲も増えることが懸念されています。戦闘の範囲は広がり人口の多い街にまで拡大するところが出てきています。軍は地上での苦戦を受けて空爆に頼る動きを強めていて、市民も巻き込まれるケースが相次いでいます。
国連が11月23日にまとめた報告書によりますと、10月に戦闘が激しくなって以降、女性や子どもを含む市民およそ200人が死亡しました。さらに33万人以上が家からの避難を余儀なくされ、それ以前からの人数を加えると避難民は全土で200万人を超えています。

【国際社会に求められるものは】

ミャンマー問題もほかの問題と同様に、欧米と中国・ロシアなどの足並みがそろわず、軍の暴力に歯止めをかける有効な対策を取ることができていません。そればかりか、国民への弾圧を続けるミャンマー軍との向き合い方をめぐっては、民主主義を重視する国と権威主義的な体制の国とで意見が異なり、両者の分断を深める要因にもなっています。国際的にも影響が広がりつつあります。
そうしたなかで国際社会に緊急に求められているのが人道支援です。国連によりますと避難民が急増するなか支援活動の資金は必要額の3割にも達していません。また、現地で活動する赤十字やNGOは激しい戦闘や軍の妨害で支援物資を必要な人々に届けることも非常に難しくなっています。資金面に加えて物資の搬入を可能にする環境づくりにおいても国際社会の取り組みが必要です。
対話を促す努力を続けることも求められています。軍も民主派もともに相手に勝利するまで徹底的に戦う構えで、対話を拒否しています。しかし問題解決には当事者どうしの話し合いが不可欠です。ミャンマーも加盟するASEAN東南アジア諸国連合は地道な仲介を続けています。ことしの議長国のインドネシアは当事者たちとの個別の接触を180回以上重ね、先週には首都ジャカルタに軍、民主派、それに少数民族の代表や関係者を集めました。結局は同じテーブルにつくことはなかったようですが、来年の議長国ラオスの担当者も呼んで仲介努力を続ける体制づくりも進めています。日本は来月、ASEANとの首脳会議を予定しています。ミャンマーが民主化を進めていたかつての道筋にいち早く戻れるようにするための施策を一致して打ち出すことが求められます。

国際社会はウクライナ侵攻やガザ情勢への対応に追われミャンマー問題はますます置き去りにされています。情勢がいま新たな局面を迎えていることを受けて、国際社会はいま一度関心を寄せ、関与を強めることが必要です。  

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