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安倍元首相を銃殺したのは山上被告なのか…犯人が別にいるのであれば、世紀の滑稽譚に 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/321504
2023/04/13 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
銃撃された安倍元首相について説明する奈良県立医大病院の福島英賢教授(C)共同通信社
ジョン・F・ケネディ米大統領の暗殺事件が起きたのは1963年11月22日である。当初、リー・ハーヴェイ・オズワルドの単独犯行とされたが、今日、多くの米国人は単独犯行とは考えていない。映画監督のオリバー・ストーンは91年、この事件を調査した地方検事の姿を主に描いた「JFK」を作製し、アカデミー賞で撮影賞と編集賞を受賞した。
ケネディ暗殺事件を踏まえた上で、昨夏の参院選の応援演説中に銃撃され亡くなった安倍元首相の事件の展開は今後どうなるのだろうか。
私はこれまで、東大名誉教授や自民党関係者、評論家、米国人などから直接あるいは仄聞で、安倍氏の殺害事件は山上徹也被告の銃ではない可能性がある──と聞き、彼以外の人物による犯行の有無を考察してきた。
近年、こうした作業でありがたいのは、疑念を持ってツイッターに呟くと、不思議にすぐ関連情報が集まることだろう。
極めて重要だと思われる情報は、銃撃当日の治療に従事した奈良県立医大付属病院での福島英賢教授の説明である。
彼は「頚部前の付け根付近で真ん中より少し右に2つの銃創があり、一つは左の肩から貫通して出たとみられる」と説明していた。これを安倍氏と当時の山上被告の位置関係で考えてみる。
極めて単純な論である。
1発目は安倍氏が前を向いて演説しているから、当たっても後ろである。安倍氏は時計の反対回りで後ろを振り返っている。頚部前方の回転は90度以内である。山上被告の銃弾は角度からして安倍氏の頚部前の付け根付近には当たらない。
福島教授が説明した時の関心は、安倍氏の治療がどうだったか、いつ死亡したかであり、誰も犯行と結び付けて考えてはいない。
少なくとも福島教授の説明と銃撃事件の映像と併せ考えれば、銃弾は前方ないし、右から撃たれている。つまり、山上被告が安倍氏を銃撃するのは難しいと言わざるを得ない。では仮に安倍氏を銃撃した人物が山上被告ではないとすれば、誰が殺害したのだろうか。
我が国は安倍氏の国葬まで行った。そして多くの人は山上被告を殺害犯と思っている。だが、万が一にも犯人が別にいるのであれば、世紀の滑稽譚となるであろう。
山上被告以外に犯人がいる可能性があるにもかかわらず、なぜ当局は解明する努力をしなかったのだろうか。私はいろいろと推測しているが、ここでは事実を記述することに徹したい。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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