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2024.04.08
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202404080000/
イスラエル軍は4月2日、ガザで支援活動に従事していたWCK(ワールド・セントラル・キッチン)のメンバー7名を乗せた自動車の車列をドローンで攻撃、全員を殺害した。そのうち3名はセキュリティーを担当していたイギリスの元軍人で、イギリスのメディアは少なくともふたりは特殊部隊員だったと伝えている。その元軍人はWCKを隠れ蓑にして情報を収集、それを知ったイスラエル軍が殺したと考える人もいる。
イスラエルはイギリスの支配層がシオニストを利用して作り上げた国である。当初の目的は戦略上重要なスエズ運河を守るためだったのだろうが、その後、中東では石油が見つかり、その価値は高まった。イスラエルはシティを拠点にする帝国主義者たちが中東を支配するための拠点だ。そこにウォール街を拠点とするアメリカの帝国主義者が乗り込んでくるが、シティとウォール街は緊密な関係にある。
現在、イスラエルで首相を務めるベンヤミン・ネタニヤフの父親であるベンシオン・ネタニヤフはアメリカでウラジミール・ヤボチンスキーの秘書だった人物。後に「修正主義シオニスト世界連合」を結成するヤボチンスキーはオデッサで生まれ、ウクライナで独立運動を率いていたシモン・ペトリューラと連携することになる。ペトリューラはロシアでボルシェビキ体制が樹立された直後の1918年から21年にかけて大統領を名乗るが、その時期に3万5000人から10万人のユダヤ人を虐殺したと言われている。(Israel Shahak, “Jewish History, Jewish Religion,” Pluto Press, 1994)
シオニズムはエルサレムの南東にあるシオンの丘へ戻ろうという運動で、シオニストはその信奉者。ユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域はユダヤ人の所有物だと考えている。その地域を実際に支配しようとしてきた。いわゆる「大イスラエル構想」だ。ユダヤ教の宗教書であるトーラー(キリスト教徒が言う旧約聖書のうちモーセ5書)がその根拠だとされている。
シオニズムという用語はウィーン生まれのナータン・ビルンバウムが1864年に初めて使ったという。そして1896年にはセオドール・ヘルツルが『ユダヤ人国家』という本を出版した。
しかし、トーラーによると、土地を所有しているのは神であり、ユダヤ教徒はトーラーを守るという条件の下でその土地に住むことを許されたにすぎないという。大イスラエル構想はプロテスタントが言い始めたのだとも言われている。シオニストが行っていることはトーラーの記述とは合致しないと指摘する人もいる。
1917年11月2日、イギリス外相だったアーサー・バルフォアはウォルター・ロスチャイルドへ書簡を送り、その後、先住のアラブ系住民(パレスチナ人)を弾圧する一方でユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発が強まってくる。
そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。
ヤボチンスキー直系とも言えるベンヤミン・ネタニヤフはリクードを率いているが、この政党が台頭してくるのは1970年代。キリスト教シオニストと言われているアメリカの福音派の後押しが大きい。彼らが「神の軍隊」だと信じていたアメリカ軍がベトナム戦争で敗北、イライラが募っていた1967年の第3次中東戦争で圧勝したイスラエル軍へ乗り換えたのだ。そこからリクードが台頭、アメリカではリチャード・ニクソン大統領が失脚してジェラルド・フォード政権が登場、そこでシオニストのネオコンが実権を握った。
エドワード・マカティアやジェリー・フォルウエルなどが率いるキリスト教シオニストの教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行い、人類の歴史は幕を閉じる。その際、再臨するキリストによって自分たちは救われるのだという。彼らは核戦争を望んでいる。フォルウエルを政治の世界へと導き、ロナルド・レーガン、ジェシー・ヘルムズ、ジョン・アシュクロフトらに引き合わせたのはマカティアだ。(Ken Silverstein & Michael Scherer, "Born-Aain Zionist", Mother Jones, September/October, 2002)
こうした流れは今も消えていない。昨年10月7日にハマスなどの戦闘部隊がイスラエルへ攻め込んだ直後、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、パレスチナ人虐殺を正当化した。
彼は聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を引用、この「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねて見せたのだ。「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神に命じられたという。
そしてサムエル記上15章3節の話を彼は持ち出す。そこには「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだというのだ。
ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民だ」としたうえで、イザヤの預言を理解しなければならないと主張する。「われわれ」とはイスラエル人、「彼ら」とはパレスチナ人、イスラム教徒、あるいはイスラエル以外の人びとを指しているのだろう。
また、ギラド・エルダン国連大使は10月8日に安全保障理事会で「これはイスラエルの9/11だ」と演説、ヨアブ・ギャラント国防相はパレスチナ人を「獣」だと表現した。
インターネットには、95歳になるイスラエル陸軍の退役兵、エズラ・ヤチンがユダヤ人に対してパレスチナ人を殺して彼らの記憶を消し去れと呼びかけている映像が流れている。
ガザでの虐殺は予定通りだった。
アメリカで下院議員を務めるティム・ウォルバーグは今年3月25日、ガザに対して人道支援するうべきでなく、早く戦闘を終わらせるため、長崎や広島のようにすべきだと発言した。核兵器を使えと聞こえる。ちなみにウォルバーグは1973年から77年にかけてインディアナ州で福音派の牧師を務めている。
しかし、アメリカを核戦争へと導いているのは彼らだけではない。帝国主義者の流れをくんでいる「リベラル派」も同じだ。彼らはウクライナでロシアに戦争を仕掛け、ガザでの虐殺を後押し、東アジアの軍事的な緊張と高めている。
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