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アメリカが東アジアへ戦乱を持ち込む手助けをしているフィリピン
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202409060000/
2024.09.06 櫻井ジャーナル
フィリピン沿岸警備隊の艦船が今年4月に南沙諸島の仙賓礁(サビナ礁)へ入って停泊、その艦船へ物資を運ぶとして、フィリピンはユーロコプターEC-145を飛ばしたと伝えられている。この艦船は日本がフィリピンに供与したものだ。
この岩礁は中国、フィリピン、台湾、ベトナムが領有権を主張、行動は慎重でなければならないのだが、フィリピンは中国を挑発すような行動に出た。背後にアメリカ政府が存在していると見られている。
岸田文雄首相は4月10日にワシントンDCでジョー・バイデン米大統領と会談、軍事、バイオ、教育を含む「国家改造計画」的な取り決めを打ち出している。アメリカの支配層による日本支配のシステムを強化する内容で、軍事面では1960年代以来の大幅な増強だ。アメリカは東アジアの軍事的な緊張をこれまで以上に高めようとしはじめたと言えるだろう。
アメリカは軍事的な緊張を高めるため、台湾独立を主張してきた民主進歩党を支援、同党の蔡英文、続いて頼清徳を総統に据えたが、台湾人の多くは中国と友好的な関係を望んでいる。韓国もアメリカの好戦的な政策にしたがっているのは尹錫悦政権だけだ。新たな発火点としてフィリピンを考えているのかもしれない。
故安倍晋三は総理大臣だった2015年6月、赤坂の「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている。安倍政権下、着々と対中国戦争の準備が進められていることを明らかにしたのだ。安倍は南シナ海における中国との軍事衝突を見通していたのだろう。
アメリカの国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」は2022年4月、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を発表した。
専守防衛の建前と憲法第9条の制約がある日本の場合、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたというが、その後、そうした日本の憲法に対する配慮はなくなった。
RANDが計画を発表する前から準備は進んでいた。2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設され、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成している。
その間、韓国へも2017年4月にTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が強引に持ち込まれている。2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵は中国との関係を重要視、THAADの配備に難色を示していたが、朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていた時期に搬入された。その後、朴槿恵は失脚している。
ネオコンはソ連が消滅した直後、1992年2月に世界制覇計画を作成、軍事侵略を始めた。ソ連に勝ったアメリカは唯一の超大国になったと彼らは考え、本性を見せてしまったとも言える。
アメリカが侵略戦争を本格化するのは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された後だが、その前提はソ連が消滅、ロシアはアメリカの属国になったということだった。そこで潜在的ライバルの中国を重視すべきだということになる。
ところが、その前提が21世紀に入って間もなく崩れた。ロシアが再独立に成功したのだ。そこでロシアを再び屈服させようと考えるグループも出てきた。
アングロ・サクソン系の国々はウクライナをロシア征服の鍵を握る国だと考えてきた。ウクライナを支配し、ミサイルを配備すればロシアをいつでも破壊できる態勢が整うのだが、それだけでなく、ウクライナにはロシアからヨーロッパへ安価な天然ガスを運ぶパイプラインが通っている。
ウクライナを制圧し、天然ガスの輸送を抑えてしまえばロシアからマーケットを奪い、ヨーロッパから供給源を奪うことになり、両者を弱体化させることができるとネオコンは考えたようだが、ロシアと中国は関係を強化、同盟国になった。アメリカの政策でヨーロッパは弱体化したが、その怒りが国民の間で高まっている。
ウクライナが「独立」した当時から国民の大半はロシアとの関係を悪化させたいとは考えていなかった。中立を掲げたのはそのためだが、東部や南部の歴史的にロシアとの関係が深い地域ではウクライナからの離脱を望む声が小さくなかった。
特にクリミアはそうした傾向が強く、ソ連時代の1991年1月に実施された住民投票では94%がウクライナから離脱してロシアと統合されることを望んでいた。翌月にはクリミア自治ソビエト社会主義共和国が復活している。そして1992年5月にクリミアは独立を宣言、憲法を採択している。クリミアの住民は一貫してロシアへの復帰を望んでいたのだ。アメリカ政府がキエフでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させた際、クーデター政権に反対する運動を鎮圧しろというキエフからの命令をクリミアに駐留していたウクライナ兵2万2000名のうち2万名が拒否している。(Jacques Baud, “Operation Z,” Max Milo, 2022)
西側での「報道」とは違い、ウクライナのクーデター体制は脆弱だった。アメリカ/NATOはネオ・ナチを中心として内務省に親衛隊を組織し、自国の特殊部隊や傭兵を派遣したが、それでも反クーデター派が優勢だった。そこで8年かけ、兵器を供給、将兵を訓練、軍事訓練だけでなく思想教育も子どもに施したのだ。その時間稼ぎに使われたのがミンスク合意にほかならない。
しかし、アメリカ/NATOを後ろ盾にするウクライナの軍事作戦はロシア軍によって粉砕された。平和が訪れたなら、アメリカの国防総省、私的権力、民主党などがウクライナで行ってきた悪事、例えばマネーロンダリング、人身売買、生物兵器の研究開発などが明るみに出る可能性がある。
それだけでなく、彼らが支援しているイスラエル軍によるパレスチナ人虐殺はイスラエルの存続を危うくする状況を作り出し、西側の支配層は窮地に陥っている。そこで、欧米の支配者は東アジアを戦乱で破壊しようとしている。
バラク・オバマ政権の中でウクライナのクーデターを担当していたのは副大統領だったジョー・バイデン、国務次官補だったビクトリア・ヌランド、そして副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めていたジェイク・サリバンだ。そのサリバンが8月27日に中国を訪問した。歓迎されたとは言い難い。
アメリカはオーストラリア、インド、そして日本と「クワド」を編成、オーストラリアやイギリスとは「AUKUS」なる軍事同盟を組織した。NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。
ジョー・バイデン政権が中国敵視を明確にした2022年の12月、アメリカではNDAA 2023(2023年度国防権限法)が成立、アメリカの軍事顧問団が金門諸島と澎湖諸島に駐留し、台湾の特殊部隊を訓練していると伝えられている。
フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア(ボンボン・マルコス)を取り込んだアメリカはJAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟が築かれようとしている。フィリピン情勢は日本と深く関係している。
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