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底知れぬエジプトの「可能性」を日本が引き出す理由──両国を結ぶ、才と優しさの物語は新章へ/ニューズウィーク日本版
http://www.asyura2.com/24/gaikokujin3/msg/627.html
投稿者 仁王像 日時 2025 年 10 月 09 日 05:00:50: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

底知れぬエジプトの「可能性」を日本が引き出す理由──両国を結ぶ、才と優しさの物語は新章へ/ニューズウィーク日本版
アルモーメン・アブドーラ(東海大学国際学部教授)
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E5%BA%95%E7%9F%A5%E3%82%8C%E3%81%AC%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88%E3%81%AE-%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7-%E3%82%92%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8C%E5%BC%95%E3%81%8D%E5%87%BA%E3%81%99%E7%90%86%E7%94%B1-%E4%B8%A1%E5%9B%BD%E3%82%92%E7%B5%90%E3%81%B6-%E6%89%8D%E3%81%A8%E5%84%AA%E3%81%97%E3%81%95%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AF%E6%96%B0%E7%AB%A0%E3%81%B8/ar-AA1O46BP?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=68e6bdcee5be4c58ac0a9cfbc33c8911&ei=11

正式開館が待たれる大エジプト博物館を訪れる人々(6月2日、ギザ) Amr Abdallah Dalsh-REUTERS
<時代を超えて新たな文明を生み出し続けてきた原動力、エジプト人が持つ二つの性質とは? そして日本の貢献とは?>
古代の記憶が再び息づこうとしている。ナイルの風がささやくように、時間の砂を超えて現れたのは、偉大なる王たちの夢の欠片だ。
カイロの西、ピラミッドを見渡す丘にそびえる大エジプト博物館。その扉が今、ゆっくりと開かれ、永遠の都が再び光を取り戻しつつある。王の黄金のマスク、神々を象った彫像、淡い砂色に焼けた石碑──それらは数千年の眠りから目覚め、人々に自らの物語を語りかけている。

一方、はるか東の島国・日本でも、ラムセス大王の足跡が静かに熱を帯びている。ラムセス大王展(豊洲のCREVIA BASE Tokyoで2026年1月4日まで開催)の展示会場に並ぶ壮麗な遺物は、ただの展示品ではない。そこには、ファラオが夢見た永遠の王国への祈りが宿っている。訪れる人々は、時空を超えて同じ光景を見つめ、かつてナイルの流れを照らした黄金の太陽を心の中に感じるのだ。
大地を越え、時を越え、古代と現代が出会う──いま、世界は再びエジプトという"記憶の王国"に耳を傾けている。
エジプト、その社会は古代から現在に至るまで進化を遂げてきた。極めて複雑な文化、文明の発展過程を歩み、古代人が築いた文明が失われた後も、時代を超えて新たな文明を生み出し続けてきた。その進化の源となっているのは、私が思うにエジプト人自身が持つ二つの性質によるだろう。

一つ目は「柔軟性」。エジプトが辿ってきた長い歴史を振り返ってみると、この国の人々は自身を取り巻くあらゆる出来事に柔軟に対応し、必死に生き続けてきた。状況に応じて「成す術」を臨機応変に変えていくのはエジプト人が得としていることであろう。
ナーセル大統領やムハンマド・アリの時代のように時には「力」を使うこともあれば、オスマントルコが支配していた時代のように嵐に直接立ち向かわず、現実的なやり方で妥協する道を選んだこともある。大きな時代のうねりの中で、エジプト人という民族はいかなる状況でも柔軟に対応することによって生き続けてきたのだ。

そして二つ目の性質は「利他性」と言えようか。長い歴史で国を生かしたのも、また滅ぼしたのも、この「利他性」だったと私は思う。
かつてエジプトがオスマントルコに支配されていた時代には、多くの優秀なエジプトの職人たちが帝国の首都イスタンブールに派遣され、職人技の伝授に大きな貢献を果たしてきたという歴史がある。現代においても、多くのエジプト人専門家たちがアラブ地域の湾岸諸国でそれらの国々の近代化や国造りに貢献し活躍している。
母国ということでややひいき目に見ている自覚はあるが、それでも周りの人たちのため、あるいは世界の誰かのために貢献するという利他性こそ、エジプト人の大きな力であると思うのだ。

もっとも、エジプト社会には弱点もある。それは「信奉」の有無によって、力が発揮されるか否かが大きく左右されることである。つまり、信念とその土台となる倫理がぶれると、たちまち脆弱になってしまうのだ。エジプト国民の力を引き出すための様々な要素の中で、一番重要なのは「信奉」ではないかと私は感じている。
古代エジプトではファラオを神の代理人と信じて文明を築き上げ、イスラーム文明の時代にはイスラーム教を信じ、受け入れ、その文明の中心的存在になるほどに栄えた。「信奉」さえあれば、エジプト人の力は計り知れないものとなる。

批判・否定に終始する今のエジプト人
では今、何をすべきか。
数週間前、エジプト人の仲間と会う機会があった。「古代エジプトの時代はすごい。あれほどエジプトが発展していたことに本当にいつも驚く。しかし、あれだけ進んでいたのに、一体どうしてこんなにだめになってしまったのか」と話が盛り上がった。

この問題に対して一般のエジプト人は問題意識を持っているはずなのに、なぜ状況はちっとも良くならないのだろうか。
どこが問題かと自分なりに考えることが多いが、とにかく国の問題や将来の話題となると大抵のエジプト人が熱く議論はするものの、皆が皆を厳しく批判・否定することに終始する場合が多い。エジプトに限った話ではないかもしれないが、自らを省みるよりも、他人を評価し、正そうとする傾向が強いのだ。

「周りの現実を変えたいのなら、まず自分を変えることから始めるべきである」
これは3000年以上も前に、古代エジプトの優れた哲学者アーニ師が自分の息子に宛てた「手紙」の中で残した言葉である。私はこれを何度も読み、今のエジプト経済の混沌とした状況を考えにはいられなかった。今こそ私たちは、アーニ師の教えから学ぶべきではないだろうか。

エジプト革命はもうすぐ15周年を迎える。今やエジプト人は、体制を変えるには、大統領や旧体制を排除するだけで十分でないことを理解した。新生エジプトが誕生するには、新しい「エジプト人」の誕生が必要不可欠だと悟ったのではないだろうか。大統領や旧体制を排除する「最初の革命」は終わった。そして「次の革命」は、国民が自分自身と向き合っていくことにほかならない。私も一人のエジプト人として賢人アーニ師の言葉をもう一度反芻し、「次の革命」へ向かいたい。

ナイルの流れが静かに未来を映すころ、日本とエジプトの絆は新たな章を開こうとしている。日本は、エジプトの地に「学び」という種をまき、希望の芽を育てている。日本式教育の導入や教師の研修、若き研修生たちの往来は、単なる技術移転ではなく、心の在り方を交わし合う文化の旅だ。それは教育を通じて社会を変革し、人と人との間に信頼の橋を築こうとする物語でもある。

エジプトの子供たちは、教室の中で「学び」と「まごころ」が出会う瞬間を目にしている。礼儀、協働、思いやり──日本が長く育んできた知恵が、ナイルの風を受けて新たな形に芽吹いていく。

今、エジプトは過去の栄光を懐かしむのではなく、それを礎として未来を紡ごうとしている。日本の知恵を鏡として映し出しながら、エジプト人自身の持つしなやかな柔軟さと、互いを思いやる利他の精神を呼び覚ましているのだ。その試みは、古代から続く文明の息吹と、東の島国から届く静かな光が交わる瞬間である。
その光はやがて、カイロの教室にも、ナイル沿いの小さな村にも届くだろう。 そして、新しいエジプトは、知の翼を広げながら再び空へと羽ばたくのだ。

【執筆者】アルモーメン・アブドーラ
エジプト・カイロ生まれ。東海大学国際学部教授。日本研究家。2001年、学習院大学文学部日本語日本文学科卒業。同大学大学院人文科学研究科で、日本語とアラビア語の対照言語学を研究、日本語日本文学博士号を取得。02〜03年に「NHK アラビア語ラジオ講座」にアシスタント講師として、03〜08年に「NHKテレビでアラビア語」に講師としてレギュラー出演していた。現在はNHK・BS放送アルジャジーラニュースの放送通訳のほか、天皇・皇后両陛下やアラブ諸国首脳、パレスチナ自治政府アッバス議長などの通訳を務める。元サウジアラビア王国大使館文化部スーパーバイザー。近著に「地図が読めないアラブ人、道を聞けない日本人」 (小学館)、「日本語とアラビア語の慣用的表現の対照研究: 比喩的思考と意味理解を中心に」(国書刊行会)などがある。
アルモーメン・アブドーラ(東海大学国際学部教授)
 

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コメント
1. ペンネーム新規登録[853] g3mDk4NsgVuDgJBWi0uTb5he 2025年10月09日 10:17:10 : dglT44jzDY : SWNQOXNobUEyTDI=[1104] 報告
エジプト人労働者なら安心安全です!っていうPR記事なんだろうかなぁ。
近年主張されるピラミッド建設の奴隷労働説の否定だって、要は現代的奴隷労働が採用されてたってことでしかないんだし。
いずれにせよ、特定の国や人種を美化宣伝する手口には今後要注意だな。

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